かつてのソ連同様に西側は限られた情報からともすれば存在しない中国の機体を想定し振り回されがちですが、今回取り上げたJH-XXについてはどうでしょうか。時間が解決してくれそうな気がしますが、実現すれば厄介な存在になりそうですね。
Picture This: China's Air Force Having 2 Deadly Stealth Bombers 中国空軍がステルス爆撃機二型式を並行開発しているのか
It may just happen. 可能性はある
2018年1月、DIAから出た中国軍事力年次報告書の次のくだりが国防関連インターネットウェブサイトでちょっとした衝撃を生んだ。
「PLAAFは新型中距離及び長距離ステルス爆撃機を開発中で地域内及びグローバル標的の攻撃を狙っている。ステルス技術が新型機開発の中心で2025年には初期作戦能力を獲得すると見られる」.
爆撃機が二型式で、うち制式名称不詳の「戦術爆撃機」は高解像度のアクティブ電子スキャンアレイレーダー、精密誘導爆弾、長距離空対空ミサイルを搭載するとある。
ここ数年で中国が遷音速長距離大型戦略爆撃機H-20の開発中であると明確になってきた。2018年に中国政府がその存在の一部を仄めかした全翼機形状の同機は米B-2スピリットと性能面でも類似し、西安航空機が製造元と判明した。同社は旧式H-6戦略爆撃機やY-20輸送機のメーカーでもある。
だがステルスの「戦術」あるいは「中型」爆撃機は新しい内容だ。戦闘爆撃機JH-XXとして中国国内で西安のライバル企業瀋陽航空機が提案している機体のようだが、同機は一度選定でH-20の前に敗退している。瀋陽は戦闘機製造で知名度が高くJ-31ステルス戦闘機は輸出あるいは中国海軍空母で運用されそうだ。
JH-XXの姿は2013年にリークされた。そして2018年5月に中国の航空雑誌航空知識Aviation Knowledgeが概念図を表紙にし、全長30メートル、ターボファン双発、尾翼に角度がつくところはノースロップのYF-23ブラック・ウィドウに似ており、大型爆弾倉のほか機体側面にウェポンベイがあり長距離空対空ミサイルを搭載する。この想像図が刺激となって模型やファンアートが大量に出てきた。(1980年代に『F-19ステルス戦闘機』の想像図がでたが実際のF-117ステルスジェットと共通点が皆無に近かったことを思い出す)
DIAがJH-XXを実際に開発中の機体と見る理由がはっきししない。 The Diplomatのリック・ジョーがDIA報告書の前にJH-XXの記事を書いたが開発については懐疑的だ。
「DIA報告でPLAの中型爆撃機の存在を『確認した』とあるが、昨年に筆者が記事を書いて以来情報は変わってない。『分かる範囲ではJH-XXは実際に開発されているわけでない』と書いた」
「DIA報告は一般国民が知らない極秘情報がもとなのだろうが報告書を見ると確度は低く疑わしいと見ている」とし、「公開情報や一般情報でJH-XXについて触れたものを真剣すぎる形で取り上げたのではないか」
JH-XXが実際に開発中なのかはもう少し待ち証拠となる情報を待つほうがよいようだ。
ではPLAがステルス爆撃機二機種を発注する理由は何か。JH-XXは設計上の妥協と無縁のようだ。H-20ではペイロード、航続距離、ステルスを確保する代わりに速力が犠牲になった。同機の想定は探知されずに敵空域に侵入することが基本で迎撃戦闘機やミサイルが来ても退避する操縦性はない。航続距離5千マイルで太平洋地区全域を攻撃範囲に入れ、空中給油や長距離射程ミサイル搭載の予測がある。
JH-XXでは航続距離は900ないし1500マイルと短く、ペイロードもH-20より小さいが速度はマッハ2程度と速い。ただし、そのスピードだと機体表面のレーダー吸収剤が溶融する。そのためJH-XXは目標近くでは急加速するはずで、スピードとステルスが組み合わさり防衛側は対応時間が十分に確保できない。
H-20の長距離飛行性能と大ペイロードをPLAは有益に活用できるが、JH-XXでは強固な防空体制への突破能力が実現しPLAは別の形で重宝するはずだ。
米国とオーストラリア空軍はF-111アードヴァーク域内爆撃機をかつて運用し、ステルスを除けばミッション内容はよく似ている。さらに2000年代初頭にペンタゴンはラプター爆撃機型の採用を検討したこともあり、YF-23も候補だったが結局B-21レイダー戦略ステルス爆撃機が実現した経緯がある。The Driveのタイラー・ロゴウェイとジョセフ・トレヴィシックはJH-XX構想の出自は技術文献を入手した中国ハッカーだろうと見ている。
JH-XXの高速性能は空対空ミサイルでヒット・アンド・ラン戦法をかけ脆弱な支援機材の攻撃に最適だろう。あるいは敵爆撃機の迎撃にも投入できる。JH-XXではドッグファイトは不向きだが、ステルス、スピード、ペイロードを生かして視程外距離での空対空ミサイル攻撃には十分活用できるはずだ。
もうひとつJH-XXで注目すべきは海上標的の攻撃だ。PLA海軍航空隊はJH-7「飛豹」超音速攻撃爆撃機250機を運用中だ。ステルス性能は皆無のため長距離対艦ミサイルと電子戦で対抗するしかない。ステルス戦闘爆撃機ならもっと接近でき、標的艦には防空対応の余裕が減る。ステルスを活かしJH-XXは電子戦機材あるいはスパイ機としても活用できる。海軍関係に詳しいロバート・ファーレイはJH-XXは空母搭載も想定すると見ている。
JH-XXが本当に開発中であれば、より多くの噂や写真が出てくるはずだ。それまでは超音速ステルス爆撃機の開発は疑問のままだが、模型メーカーや国防ライターがいろいろ予測を出してくるだろう。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
中国と言うと機密を盗む、パクることがよく言われ、それは大問題なのですが、どんどん実行している点は、素直にうらやましい。
返信削除安易な平和主義が幻想であった事は、北朝鮮の拉致事件や中国の軍拡や侵略を見れば明らかですから日本もできるだけ早く対処しないといけないのですが、どうも動きが遅いですね。一党独裁ではないので止むを得ないとは言え、間に合うのか心配です。
サイズ的には、Tu22MとSu34の中間位ですか。
返信削除M2出せると言っても、この速度でスーパークルーズできるわけではないので、あまり意味ないです。機体規模と中国のエンジンを考えるとスーパークルーズはできそうにないです。
こんな中途半端な機体を作る意味ないのでは。J-20で十分では。
どうしてもなら、Su-34のように複座化する位かな。