2017年12月16日土曜日

米陸軍の新型ストライカー戦闘車両は火砲強化でロシアに対抗する

当方陸上装備には疎いのですが、エイブラムズ主力戦車、ブラドレー戦闘車両、
ストライカー歩兵戦闘車と言うのが米陸軍の現行主力装備と言う理解で
いいのでしょうかね。ロシアの存在がヨーロッパに暗い影を落とす中で米陸軍も大変
ですね。イラク等で鍛えられた車両がさらに重装備にして行けば相当の戦力になりそう
です。

New upgunned Strykers arrive in Germany


火力強化型ストライカーがドイツに到着


火砲強化型ストライカーの30mm機関砲は包装されたまま第二騎兵連隊に
2017年12月13日に到着した
MARTIN EGNASH/STARS AND STRIPES

By MARTIN EGNASH | STARS AND STRIPESPublished: December 15, 2017

VILSECK, Germany — 米陸軍第二騎兵連隊にクリスマスが早くや
ってきた。火砲強化型ストライカーの第一陣が今週到着し、
主砲の包装はついたままだ。

  • 同連隊は強化型の装甲歩兵戦闘車両をヨーロッパで先駆けて受領した。ジェネラルダイナミクス製の8輪走行ストライカーには30mm自動機関砲が搭載され、これまでのM2 50口径機関銃から火力が大幅強化された
  • ストライカー強化型開発が決まったのは2015年でロシアがウクライナ介入をうけてのことだった。分析をはじめると機関銃搭載のストライカーではロシアのBMP-3軌道歩兵戦闘車両の100mm低速機関砲やBTR-82車輪走行式輸送車両の30mm自動機関砲や120mm迫撃砲に対抗できないことがわかった。

第二騎兵連隊向けのストライカー火力増強型の二両。
Vilseck, Germany, Wednesday, Dec. 13, 2017.
MARTIN EGNASH/STARS AND STRIPES

  • 新型30mm機関砲を搭載した「ドラグーン」ストライカー車両は装甲貫徹型高性能空中破裂弾を発射可能。有効射程は機関銃から倍増し騎兵連隊は精密度と威力を増やす。
  • 「ヨーロッパでの脅威は機械化部隊です」と騎兵第二連隊指揮官パトリック・エリス大佐 Col. Patrick Ellisが述べる。「BMPに遭遇すればこちらの威力がものをいいます」
  • ストライカー戦闘車への批判に火力不足がある。新型ストライカーで火力は増加したとはいえ戦車並みの破壊力はないが、30mm機関砲で装甲戦闘車や軽戦車への攻撃力は大幅に増えたと言える。
  • ストライカーの主任務は歩兵部隊輸送であることは変わりなく、9名までの隊員を戦場に移動させる。もともと敵装甲車両との直接対決は意図しておらず、歩兵部隊の携行する対戦車兵器を活用する構想だ。「敵戦車を追うのが任務でなければ配備の意味がない。こちらの利点は機動力で歩兵部隊を迅速に送り届けることにあります」とエリス大佐は解説してくれた。■

egnash.martin@stripes.com

@Marty_Stripes

Su-57に高優先順位を置けないロシア空軍の実情

 


  • Russia's New Su-57 Stealth Fighter Has A Big Problem That Won't Be Fixed Until 2025 ロシアのSu-57ステルス戦闘機の問題解決は2025年以降に

December 13, 2017


  • ロシアがスホイSu-57PAK-FA第五世代戦闘機に新世代サトゥルン製イズデリエ30エンジンを搭載してテストを開始した。今後数年間続く。一方でロシアは暫定的にサトゥルンAL-41F1アフターバーナー付きターボファン(推力32,500lbs)を搭載し運用テストも行う。
  • サトゥルン製イズデリエ30エンジンの詳細は不明だが通常24,054lbs、アフターバーナーで39,566lbsとの予想がある。ただし供用開始は2025年ごろになる。ロシア空軍はSu-57を160機程度調達する予定で、新型エンジン搭載をもくろむ。
  • 現時点では12機のみ購入し、納入は2019年予想だ。初期型のSu-57の調達規模は60機未満だろう。
  • Su-57初期型にロシアが前向きでないのは搭載エンジンAL-41F1が原因だ。同エンジンはSu-35Sフランカー-Eにも搭載されている。
  • ステルス性能を除けば、最新型フランカーでSu-57とほぼ同じ性能が実現している。そうなるとロシアがごくわずかしか性能が上がらない機体に大金を払いたくない気持ちがわかる。
  • Su-35S制空戦闘機やSu-34フルバック爆撃機を導入中のロシアがSu-57を大量導入するとしたら2027年以降だろう。
  • 「Su-57の本格生産は新エンジン換装がないと始まらず、それは2027年以降だ」「今後8年間でロシアはテスト用に小数機を導入するでしょう」とドミトリ・ゴレンブルグDmitry Gorenburg(Center for Naval Analys主任研究員)が‘PONARS Policy Memoに書いている。
  • 生産は続いても、ロシア空軍は他機種に重点を置くだろう。
  • 「新鋭戦闘機が多数ある中で同機調達を減速し他機種導入を優先するはず」とゴレンブルグも述べる。「同様なことは軍用ヘリコプターにもあてはまり、ロシア軍向け新型高速ヘリの開発は2027年すぎないと始まらないだろう」
  • 今後のロシア空軍は大型輸送機、情報収集偵察監視機など支援機材に重点を置きそうだ。さらにロシアは空中給油能力不足を常に抱えている。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

Image Credit: Creative Commons.

2017年12月15日金曜日

新型スタンドオフ対艦ミサイルLRASM試射に成功


  • 今月に入り一般ニュースでも出てきたJASSM-ER(ジャサマと発音するのでは)の派生型巡航ミサイルの話題ですね。Jointというのが日本人に今一理解されていなかったのですが、今回米空軍が海軍のミサイルを発射した事実が中身をよく説明しているのではないでしょうか。


B-1 Bombers Attacked “Multiple Moving Maritime

Targets” in Test of New Missile 

B-1爆撃機発射で新型ミサイルが「複数移動海上目標」

攻撃に成功


December 14, 2017


12月8日、米海軍がロッキード・マーティンの新型AGM-
158C長距離ステルス対艦巡航ミサイルLong Range Anti-Ship
MissilesLRASM)を米空軍B-1Bランサー超音速戦略爆撃機
からの発射にカリフォーニア州沖合のポイントマグ海上
試射場で成功した。巡航ミサイル複数は「移動海上標的
複数」に初めて命中したと海軍が発表。

「テスト成功で対艦攻撃力整備の早期達成に官民合同で
成功した」と海軍航空システムズ本部(NAVAIR)でLRASM
を主管するトッド・フーバー大佐Capt.Todd Huberが声明を
発表している。.
 この事は海軍が新兵器の配備に一歩近づいたことを意味する。LRASMの供用開始で柔軟に長距離で高度の対艦
撃能力が実現する。
「公海領域への軍事アクセス作戦展開を確実にし、沿海
域でも同様に遠距からで敵艦船を撃破する能力が実現す
る」とNAVAIRは説明。
 LRASMは原型がAGM-158B共用空対地スタンドオフミサイ
ル-射程拡大版 (JASSM-ER) 巡航ステルスミサイルで、国
防高等研究プロジェクト庁(DARPA)が海軍の要望に応え
開発したものだ。海軍はLRASMを対艦戦能力向上策第一
段階の実現手段として配備する計画だ。
 さらに第二段階での対艦ミサイルが想定されており、
LRASMの後継装備が2024年に供用開始される。LRASM自体
もこの競合に加わり、AGM-158Cは潜水艦発射も可能とな
る。
 一方で海軍はLRASMの艦隊導入を急いでおり、来年に
開始となる見込みだ。「LRASMの初期作戦能力展開は
2018年まず米空軍B-1で、2019年に米海軍F/A-18E/Fスーパー
ーネットで実現する」とNAVAIRは説明している。
 米海軍にとって中国海軍の脅威は現実なのでLRASM
用開始はうれしいニュースになる。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

★ボーイング・ディフェンスから謎の機体を12月19日発表

  • 12月19日発表ですか。期待しましょう。時差がありますからこちらでは20日でしょうか。写真ではどう見ても尋常な機体ではないですね。

Boeing Defense Teases Mystery Aircraft Unveiling By

Hiding It Under A Black Sheet

ボーイングディフェンスが謎の機体を黒布に隠し発表への期待を高める
The strange teaser came on Twitter, showing a puzzling design that the company says will "change the future of air power."
ツイッター上で通告した同社によれば「航空戦力の未来を変える」設計だという

BOEING VIA TWITTER
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 14, 2017

  • ボーイング・ディフェンスがツイッターで思わせぶりな投稿をした。「力強い? チェック。 準備万端? チェック。航空戦力を一変? チェックしてください。12/19に発表!#PhantomWorks」とある。ファントムワークスはロッキードの伝説的なスカンクワークスをモデルに同社が作った社内先端技術設計部門だ。
  • 新型軍用機のお披露目には新車発表を思わせる派手な企画がつきものだが今回はこの新型機について分かっていることが何もないことが違う。

Robust? Check
Ready? Check
Changing future air power? Check it out!

See the reveal 12/19! #PhantomWorks
  • 一見するとこの新型機はシエラネヴァダコーポレーションのドリームチェイサー軌道飛行機のように見える。だがボーイングは同事業に参画していないので、同様な事業を自社単独で開始するのは変に思えるが、不可能ではない。ボーイングには再利用可能な宇宙機X-37Bの製作実績があるが、それ以前にスペースシャトルで長い実績がある。ボーイングはスペースシャトルのもともとの製造業者ロックウェルを1996年に買収している。国防用に類似した製品を投入しようとしているのか。
  • ボーイングはペンタゴンの最先端研究開発部門DARPAからの受注で新型宇宙機XS-1の開発中だ。今回の機体はこの事業と関連あるのか。リスク低減策としての縮小版か技術実証機かもしれない。
  • あるいは宇宙と無関係かもしれない。見えるのは機体後部からの姿だけだ。傾斜がついた尾翼あるいは操縦舵は非常に肉厚で機体制御用だろう。また機首が二輪で主脚も頑健なことからミッション内容がうかがえる。
  • ボーイングには2000年代初頭に高性能無人戦闘航空機コンセプトで新分野を拓いた実績がある。X-45CファントムレイUCAV試作機が注目を集め、高性能かつステルス機能がついていた。ボーイングはジェットエンジン以来最大規模の航空戦闘革命を始めるように映った。ただし米空軍の関心が急速に萎えてしまった。
  • 米空軍にはローエンドUCAVに対する関心があり、使い捨て機材構想、有人戦闘機から「忠実なるウィングマン」として運用するコンセプトもある。あるいは別のUCAVと大量の機体を運用するコンセプトもある。だが現時点の契約企業は標的無人機のメーカーのクラトスであり、ボーイングではない。
  • 以上を踏まえるとボーイングがUCAVコンセプトでまた大きな一歩を踏み出したのか、あるいは後日そのような機能を実現するための試作機を発表しようとしているのではないか。

BOEING
X-45C Phantom Ray UCAV.
  • 別の可能性は米海軍の求める空母運用型空中給油システム(CBARS)への同社の回答だ。同事業ではボーイング提案はまだ出ておらず、要求内容から低視認性(ステルス)が取り除かれたため、奇妙な外形の機体は十分な量の燃料を機体に搭載するためなのか。ボーイングはCBARSを足掛かりにハイエンド無人戦闘航空機を作り、将来のUCAV事業をめざしているのか。
  • 同社が最近オーロラ・フライトサイエンシズを買収したことと関係があるのではと考える向きもあろう。今の時点では何とも言えないが、可能性は低いようだ。同社がDARPA事業で手掛けたダクテッドファン技術はXV-24ライトニングストライクに搭載されているが今回の写真を見る限り同技術は応用されていない。また買収はごく最近のことであり、オーロラ・フライトサイエンシズの機体設計をボーイングがこのような形で早速発表するとは妙な話だ。

追記
  • ボーイングが極めて長くステルス機に関係してきたことを考えると今回の機体は実は20年の技術開発の結果なのかもしれない。

View image on Twitter
Colonel Doug Benjamin in Boeing's other worldly and once very secret Bird of Prey technology demonstrator.
Contact the author: Tyler@thedrive.com


米海軍ヴァージニア級の建造数増加か、今後の戦力内容は


 


The Virginia Class Submarine: The Undersea Killer Russia and China Hate

ロシア、中国が忌み嫌うヴァージニア級潜水艦
December 13, 2017


  • 米海軍は新しい分析でヴァージニア級攻撃潜水艦を現在より短期間で建造するのは「達成可能」であり、米海軍の優位性を維持するためにも必要だと見ている。
  • 分析は2017年から2030年にかけての潜水艦産業基盤と攻撃型潜水艦追加建造の可能性を検討し、2017年7月に議会提出済みだと海軍がScout Warriorに伝えてきた。
  • ヴァージニア級は年間2隻建造中だが2020年代に新型コロンビア級原子力ミサイル潜水艦の建造がはじまると年一隻になると見られている。
  • だが今回の報告書では海軍が産業界と協力すればヴァージニア級2隻、コロンビア級1隻の年間建造が可能であるとする。
  • 分析によりヴァージニア級年間二隻建造体制の維持をしながらコロンビア級SSBNの建造開始は実現可能でありSSN(攻撃型潜水艦)部隊と海軍に大きな利点が生まれることがわかったと海軍関係者がScout Worrierに語る。
  • 海軍上層部は2020年代の潜水艦不足を憂慮しており、ロシアや中国に対抗するため潜水艦の強化が必要とするが、ヴァージニア級年間二隻建造を維持すれば海軍が目標とするSSN66隻体制が実現する。また増産で潜水艦建造企業の生産能力も上方修正され年間3隻建造に道が開ける。
  • ヴァージニア級潜水艦は海軍とエレクトリックボートおよびニューポートニューズ造船の協力合意内容で建造中だ。前者はジェネラルダイナミクス、後者はハンティン・トンインガルス工業のそれぞれ関連会社、事業部だ。各社が潜水艦の「モジュール」部分を製造し一つにまとめ完成させている。
  • ヴァージニア級潜水艦は高速攻撃型でトマホークミサイル、魚雷他を搭載し各種任務にあたる。対潜戦、攻撃任務、機雷敷設、ISR(情報収集監視偵察)、対水上艦戦、特殊作戦と多様だ。
  • ロサンジェルス級はじめとする旧型攻撃型潜水艦と比べるとヴァージニア級は浅海域戦闘能力、偵察能力、大洋での作戦能力が拡大していると海軍は述べる。
  • ソフトウェアコードと電子装置の多用で、乗員による手動制御や微調整が不要となった。ヴァージニア級潜水艦は「フライバイワイヤ」機能で深度を維持できるため浅海域で浮上や深度の手動調整が不要になっており、乗員が深度速度を指定すればソフトウェアが制御操舵して深度速度を維持できるようになった。
  • また以前の艦と違い、ヴァージニア級は「ロックアウトトランク」と呼ぶ区画があり特殊部隊隊員は潜航中に発進できるようになった。
  • ヴァージニア級は「ブロック」単位で調達されている。このうちブロックIとIIの引き渡しが完了している。
  • 建造中の艦はブロックIII仕様でヴァージニアペイロードチューブ(VPM)を搭載し建造単価を下げつつ戦力を増やしている。
  • 既存艦の垂直発射管は直径21インチの12本構成でトマホークが発射可能だが、ブロックIIIは大型87インチ発射管二本で各6本のトマホークを運用する。
  • 新型発射管のねらいは低価格化だが同時に今後登場する新装備の運用も視野に入れ、トマホーク改良型や他の兵器を想定する。
  • ブロックIII艦は大型開口艦首と呼ぶ一体型アレイソナーを搭載し、音響信号を発信し戻ってくる反響で敵の位置や形状を把握する。
  • 今後建造されるヴァージニア級潜水艦(VCS)は沿海域性能、特殊部隊投入、攻撃能力が改良され21世紀の安全保障環境にふさわしい艦になると海軍は述べている。さらにブロックVは84フィートを艦体に挿入しミサイル搭載量を増加させる。これを「ヴァージニアペイロードモジュール」(VPM)と呼ぶ。
  • VPM搭載艦はヴァージニアペイロードチューブ(VPTs)を4本追加し、それぞれトマホーク7発を搭載して40本搭載にする。
  • VPMの試作がはじまっており、海軍上層部から同技術の開発導入を急ぎたいとの意向が表明されたのは攻撃能力の拡大が求められているためだ。VPMミサイル発射菅で大型無人水中機の搭載も可能となる。
  • VPMの目的は明白だ。2020年代になると大型オハイオ級誘導ミサイル潜水艦の退役が始まり、154発のトマホーク運用が可能な艦が消える。このため水中からの大量火力運用能力を喪失するからだ。
  • トマホーク搭載数の増加は2026年までに実現させ、「SSGN」オハイオ級誘導ミサイル潜水艦の退役に対応させる。
  • 2002年から2008年にかけて米海軍はオハイオ級で最古参の四隻を回想し通常型弾頭ミサイル運用に転用した。それがUSSオハイオ、USSミシガン、USSフロリダ、USSジョージアの各艦だ。これをSSGNと呼称している。■



2017年12月14日木曜日

MDAが目指すICBM打ち上げ初期段階でのレーザー攻撃



MDA awards contracts for a drone-based laser design

MDAが無人機搭載レーザーの設計を各社に発注

An MQ-9 Reaper sits on the flight line Nov. 16, 2016, at Creech Air Force Base, Nev. The MQ-9 provides persistent attack and reconnaissance capabilities. (Airman 1st Class James Thompson/U.S. Air Force)

By: Jen Judson 1 day ago

  • 米ミサイル防衛庁(MDA)がUAV搭載の数キロワット級レーザーと光線安定装置試作を三社に契約交付した。
  • ロッキード・マーティンジェネラルアトミックスボーイングの各社でそれぞれ9百万ドル程度だ。
  • これまでMDAは指向性エネルギー技術の段階的増加を目指し、「実験室レベルから規模拡大し精密照準を無人機から行い数キロワット級レーザーを機体搭載する可能性を模索する」としてきた。MDA局長サミュエル・グリーヴァス中将Lt. Gen. Samuel Greavesの声明をDefense Newsは入手した。
  • MDAは2015年に低出力レーザー実証事業を開始し概念設計をボーイング、ジェネラルアトミックス、ロッキード・マーティン、ノースロップグラマンレイセオンの各社に求めてきた。
  • 概念設計ではMDAの要求内容に合致し、実現可能性の評価や日程管理、費用面も検討したとグリーヴァス中将は述べている。
  • この結果をもとに飛行テストの仕様をMDAは固めた。
  • 実証機は追尾レーザー、防御レーザー、光線制御装置で構成し、高高度無人機に搭載する。
  • 選定企業は実証機開発で機材選定やレーザー、光線制御装置の初期設計を自社責任であたるとグリーヴァス中将が説明。「有人機でもいいが、レーザーや光線制御部分は地上操作としUAVへの移行リスクを低減させたい」
  • 契約企業三社は第一段階で初期設計を完成させ最終案を第二段階でまとめる。第二段階は2018年末から1年間の予定。重要設計審査で第二段階を終える。
  • 第三段階は2019年開始とし2023年までにすべて順調なら終了する。設計案から一ないし二機種を製造し飛行テストする。各種滞空中テストで「飛翔中ミサイルの捕捉、レーザーの脅威対象への照射持続を実証する」とグリーヴァス中将が述べている。「各段階で各社による競争効果を評価していく」
  • 低出力レーザー実証事業はMDAがめざす指向性エネルギー・レーザー技術の実証の一環で今後弾道ミサイル防衛システムに統合するとグリーヴァス中将が述べる。
  • 「可能性のある各コンセプトを試しており、ここから各種装備が生まれる可能性がある」
  • そのひとつがUAV搭載レーザーで大陸間弾道ミサイルを発射直後の加速中に長距離スタンドオフ攻撃で撃破するという。
  • このためにはミサイル追尾と「高度に安定しながら軽量で正確に照準を合わせられるレーザー光線が必要」とグリーヴァス中将が説明。
  • 低出力実証は段階を追って向上させる実証事業で目指す機能の実現が目的だ。
  • 「各種技術をテスト中で可能性がある分野を選定する。テスト結果に基づき、ペンタゴンや議会と協力して指向性エネルギー装備、レーザー装備や測距技術の最良の選択をミサイル防衛に取り入れていく」(グリーヴァス中将)■


  1. コメント スタンドオフで敵ICBMの発射直後に攻撃するためには現状の処理速度を数倍に引き上げたうえでもっと出力増が必要となるはずです。さらに防御のためにはおとり機も同時にうんようするのではないでしょうか。探知には衛星も使うはずで相当大掛かりなシステムになりそうですね。しかしこれが実現すれば各段階でのMD手段が実現します。核廃絶を理念だけで訴える勢力には到底理解できない体系だと思いますが。


AC-130ガンシップは活躍の場が今後もあるのか

Close Air Support Debate: We Go Inside an AC-130 to See if the Gunship is Still Relevant

近接航空支援を巡る議論あるが、AC-130を見ればガンシップは未だ有意義だとわかる



AC-130スペクター・ガンシップは近接航空支援で重要な役目を担い続けている

 By Tom Demerly
Dec 13 2017 - 0 Comments

  • 鈍足で防空装備特に携帯型SAMに脆弱な機体である。戦場環境が許せば驚くほど各種弾薬で正確に火砲支援を実現する。これがAC-130スペクターガンシップだ。
  • A-10の役割に疑問がつきF-35共用打撃戦闘機が台頭し、空軍は軽攻撃機実証を行い、武装つき遠隔操縦機(RPAs)も運用する中、AC-130スペクターは空軍が想定する各種作戦機材に適合するのだろうか。
  • まず「ガンシップ」が戦闘機材の一つになったのはヴィエトナム戦のことでプロジェクト・テイルチェイサーとしてミニガンをコンヴェアC-131B輸送機に搭載したことに始まる。ミニガンはGAU-2/A一丁だった。これはベルト駆動複数中弾倉を備えたガトリング銃で銃身の過熱を避けつつ高速発射が可能だった。
  • 興味深いのはこの1960年代のガンシップコンセプトが今日の軽攻撃機実験に類似していることだ。ヴィエトナム戦のガンシップでは既存装備と機材を使った。ガンシップはそもそもは非対称戦のゲリラ戦への対応策として構想された。この二つの要素は今日の軽攻撃機実験でも生きている。
  • プロジェクト・テイルチェイサーから有名なAC-47ガンシップが生まれた。同機こそ最初の「ガンシップ」と目されている。
  • コールサインを「パフ」(ヒット曲Puff the Magic Dragonから)としたAC-47が初出撃したのは1964年12月15日でその成功に続いたのがAC-119Gシャドウ、AC-119Kスティンガーでこのうち後者はターボプロップと補助ジェットエンジンを装備した唯一の機材だった。その後をうけてAC-130Aプロジェクト・ガンシップIIが1967年に始まりヴィエトナムにすぐ投入された。
  • ヴィエトナム戦以前にも機体に機銃を搭載し対地攻撃、対空攻撃にあたらせる構想があった。B-25ミッチェルは機首に8門の機関砲を搭載し対地攻撃に投入された。B-17空の要塞はブラウニングM2機銃18丁を搭載し空対空専門のガンシップYB-40に改装され、味方爆撃機編隊を敵戦闘機から守るのが目的だった。48回出撃し単発護衛戦闘機の航続力不足を補った。
  • ガンシップの脆弱性が痛感されたのは湾岸戦争時の1991年1月31日の早暁のイラク・カフジだった。AC-130Hスペクター(コールサイン「スピリット03」)が第16特殊作戦飛行隊からカフジ攻防戦で米海兵隊の支援にあたっていた。海兵隊からイラク軍の「ミサイル陣地」に空爆要請が入り、周囲が明るくなるとAC-130Hは地上から格好の標的になったが海兵隊の指示通りの場所に銃弾の雨を降らせた。だがイラクのSA-7「グレイル」携帯型対空ミサイルが「スピリット03」に命中した。同機はそのまま飛行したが洋上に墜落し乗員14名が死亡した。この事件で大型低速で低高度を飛ぶガンシップが最新式小型対空兵器に脆弱だと明らかになった。
  • ガンシップの投入はテロ対策戦で続いており、最新事例では地上情報収集との統合の必要性が明らかになった。2015年10月3日、AC-130Uがアフガニスタン・クンドゥズで精密航空攻撃に投入された。標的はクンドゥズ治療所でタリバン戦闘員が占拠していると思われていた。攻撃は30分間で国際援助団体国境なき医師団によれば「少なくとも42名が殺され、30名以上が重軽傷になった」とし、多くは非戦闘員だったと主張。この事件は政治的にも人道的にも悲惨だが、逆にAC-130ガンシップの威力を知らしめた。
  • イラクでのガンシップ運用の実態はよくわからない。わかっているのはAC-130がA-10とともに有名な空爆作戦に投入されISIS支配下の燃料トラック116両をシリアのアブカマルで破壊した事例だ。2015年11月15日のことだった。
  • その後もガンシップの成果はつづき、2017年11月に最新のAC-130Jゴーストライダー6機が引き渡されている。AC-130Jは大幅改修されており、30mm砲、105mm砲、AGM-176グリフィンミサイル、ヘルファイヤーミサイル、GBU-39小口径爆弾を運用する史上最強のガンシップになったとAir Froce Timesがまとめている。
  • 同紙はまた2016年10月の記事で新型AC-130Jゴーストライダーは軽量、高速、高性能と評し、空軍少佐ジャロッド・ビアーズが「旧式機より燃費が25から30パーセント改善され最高速度は365ノット(416マイル)でAC-130Uの300マイルより早い。航続距離も3,000マイルで高度も28戦フィートまで上昇可能とAC-130Uより3千フィート高く昇れる」という。

第一特殊作戦飛行集団第二分遣隊のAC-130J ゴーストライダー機内で105mm砲を操作するTech. Sgt. Jarred Huseman(左)とTech. Sgt. Oscar Garcia。Ghostrider gunship, “Angry Annie,” during a training mission over Eglin Range, Fla., Jan. 23, 2017年1月23日の訓練ミッション(フロリダ州エグリン演習地)にて。(U.S. Air Force photo by Senior Airman Jeff Parkinson)
  • さらにレーザー兵器をAC-130Uに搭載する構想がある。2017年4月の「National Defense」誌は「空軍はAC-130Uの化学レーザーとは別に高性能電気レーザーをテストする。機体振動の影響を受けずにビームを安定させられるかが課題だ。ただし民生品で光学安定機能がGoProカメラ、望遠レンズまで応用されており、AC-130U搭載のレーザー兵器でも早期に解決される。テストでは30mm砲の位置にレーザー兵器を搭載している。


将来のAC-130はレーザー兵器を安定して運用するだろう (Photo: USAF)

  • AC-130Uゴーストライダーにレーザー兵器を実戦導入する案はいまのところないが、試験結果で変わりそうだ。ただAC-130ガンシップ搭乗員の間で一つだけ絶対に確かなことがある。大型ガンシップが当面消えることはない。F-35や遠隔操縦機、軽攻撃機実証の結果にかかわらず。大型ガンシップは実力を発揮する機会があり、戦力を強めながら相当の間にわたり脆弱性をカバーしていくだろう。■