2018年4月5日木曜日

米海軍向けF-35Cの前方配備先として岩国基地が浮上

一番遅れてF-35運用を開始する米海軍はF-35Cをどう運用するのでしょうか。センサー中継機に登用するとの構想もありましたが、攻撃の先乗り部隊に使うのでしょうか。いずれにせよ岩国基地が重要度を上げるのは確かなようです。

 

Get Ready, China and North Korea: The F-35C Is Headed to Japan 中国、北朝鮮は心せよ。F-35Cが日本配備を控えている


April 2, 2018


海軍はロッキード・マーティンF-35Cを2021年以降に日本へ配備し、中国への抑止力効果を期待する。読売新聞の報道で海軍は海兵隊岩国航空基地に同機を配備するとした。

「空母航空隊CVW5はF-35CライトニングIIを2021年以降に受領する」と米海軍は読売新聞取材に答えている。「F-35C飛行隊は前方配備でMCAS岩国に配備される」

F-35CはCVW-5に配備中のボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットと交代する。現在は厚木基地に置かれているが、厚木配属の機数を60機減らす過程が始まっている。

海軍がF-35C部隊を最初から岩国に配備するのは海兵隊がSTOVL型のF-35Bを同基地に先に配備しておりF-35C運用に必要なインフラが完備しているので別のインフラ投資が不要となるためだ。

F-35Cは空母搭載をUSSカール・ヴィンソンで2021年開始する。海軍は正式な実戦能力宣言を2019年の想定でブロック3Fソフトウェアの実用テストが続いており、作戦能力獲得は2018年末と見込む。

「F-35事業全体のIOT&Eは9月に始まるので海軍向けF-35CがIOCを実現するのはIOT&Eと関連しつつ実証結果が出てからとなる。3Fの威力をIOT&E段階で確認するが、2019年2月の目標まで時間が足りないのも事実」とデイル・ホーラン少将(共用打撃戦闘機の艦載運用推進責任者)はUSNI Newsに買っている。「DoDとしては新型機をテストドライブしているようなものだ」

ただし海軍はF-35Cの作戦能力獲得宣言がわずかに遅れても2021年予定のカール・ヴィンソン搭載へ影響が出るとは見ておらず、同様に日本配備にも影響は出ないと考えている。「配備への影響が大きく出る要素は考えられない」とホーラン少将はUSNI Newsに語っていた。「新型機を艦隊に導入するのは常に複雑な作業だ」

F-35Cの日本配備が2021年以降にずれ込むこともありうる。日本は中国、ロシア、北朝鮮に近く、同機配備が実現すれば他国への抑止効果が強まる。ただし、必要ならF-35Cは上記三国に侵入し攻撃する強力な戦闘攻撃機にもなれる。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


2018年4月4日水曜日

クウェイト向けF/A-18EE/F売却契約成立で喜ぶボーイング

閑古鳥状態だったスーパーホーネットがここにきて結構な受注を得ており、生産ラインは一気に2030年代まで維持できそうな気配です。日本も派生型EA-18Gを購入するんでしたね。


Boeing Awarded $1.16B Super Hornet Contract for Kuwait Fighter Program ボーイングのクウェイト向けスーパーホーネット契約11.6億ドルが成立


By: Sam LaGrone

April 1, 2018 9:58 PM

Two U.S. Navy F/A-18E Super Hornets on March 9, 2018. US Air Force Photo


ーイングが首を長くして待っていたクウェイト向けF/A-18E/Fスーパーホーネット28機の売却契約11.6億ドルが交付されたことがペンタゴン発表資料で判明した。

内訳は単座E型22機と複座F型6機でクウェイト空軍で供用中のF-18Cホーネット27機と交代する。

公表資料によれば契約ではレーダー警戒装置および兵装類も含む。ボーイングは手付金275百万ドルを受け取り2022年までに作業を完了する。

国務省は議会に対してクウェイトによるスーパーホーネット40機購入の意向を2016年に通告していた。


「戦略的パートナーとしてクウェイトは地域内安定の維持に欠かせない。F/A-18E/Fスーパーホーネット調達で米軍との共同作戦体制が拡充され、訓練のみならず将来の共同運用で域内安全の確保という共通目標の実現に迎うことが可能となる」

クウェイト以外にスーパーホーネットにはフィンランド、インド、スイス、ドイツ向け販売の可能性が生まれており、さらに米海軍にも追加購入の動きがあり、さらに海外向け販売が成約すればミズーリ州の生産ラインは2030年まで維持できそうだ。


契約成立でミズーリ州ヘイゼルウッド(総工程の47.2%)、カリフォーニア州ゴレータ(22.3%)、同州エルセグンド(20.1%)、の他テキサス、ミネソタ、アリゾナ、フロリダ、ニューヨーク、ニュージャージー、オクラホマの各州経済が恩恵を受ける。■

2018年4月3日火曜日

★近未来の戦場で勝敗を決する兵器をリスト化すると次の5つになった

5 Futuristic (And Terrifying) Weapons That Could Change Warfare Forever 戦争の様相を永遠に変える未来兵器はこの5種類だ





March 25, 2018

来の戦闘の姿を変える影響で最大の兵器5種類を選ぶのは困難だ。戦闘そのものの姿が絶えず変わっていくからだ。二大大国対立で通常兵力ゲームチェンジャーになる装備は非対称戦では使い勝手が悪いことがなる。例えばイスラエル軍がガザの戦闘員を相手に使用する装備がその例だ。


第五世代戦闘機がゲームチェンジャーになる可能性はあるがあまりの高速の一方現場上空に滞空できず市街地に潜む戦闘員の探知捕捉に不適であり、AK-47を携帯する敵に対抗するのでは費用対効果が劣る。ハイパーステルス装甲と軽量銃で武装した特殊作戦部隊に「インテリジェントな」小口径弾を使わせた方がはるかに経済的だ。


次の課題は兵器開発革命をどう定義するかだ。破壊力と殺傷力だけで威力を測っていいのか。あるいは逆に人的損害は最小限にしつつ交戦目的を達成できるかで装備を比較すべきなのか。どんな兵器なら敵の軍事行動を無力にし従来型兵器を無用な存在にできるのか。


以上を念頭に戦闘の本質をシナリオ的にとらえて兵装のリストを示した。大部分がまだ開発段階とはいえ、投入されれば戦闘の様相を変えるはずだ。リストが不完全なのは承知の上で今後の世界に影響を与えそうな戦闘のトレンドをつかみとていただけば幸いだ。


5. 「ハイパーステルス」別名「画期的ステルス」
科学陣は光波を捻じ曲げるメタマテリアル素材の開発を進めており、熱・視認性双方で大きく被探知性を下げることが可能になる。原理はかなり単純なため懐疑派は納得せず本当に見えなくなれば信じると言っている。「適合型カモフラージュ」がこのような素材で可能となり光を曲げる。


このような技術開発の軍用用途は明白で一般歩兵から特殊作戦部隊まで戦闘部隊が敵領土内で探知されずに活動できるようになる。あるいは探知されるまで時間を稼ぐ。このよ能力が実現すれば死傷者を減らしながら外科手術的な奇襲攻撃を仕掛けたり、敵をかく乱したり要人暗殺が可能となる。


カナダ企業がこの素材を米軍内で実証をしたとの報道があり、連邦政府の対テロ部隊も試行したといわれる。


もちろんこの素材がテロ集団の手に渡れば深刻な影響が生じる。


4. 電磁レイルガン
EMレイルガンは電磁場を使い飛翔体を発射し化学反応は使わない。時速4,500マイルから5,600マイルと高速飛翔が可能で射程も長大だ。技術は開発途中とは言え32メガジュール出力で100カイリ到達の実績も残している。


EMレイルガンの高速と長距離射程から攻守両面で利点が生れる。高性能防空体制のもとでも精密攻撃が可能だ。また通常型発射弾につきものの高性能火薬や燃焼性物質が不要となるのも利点だ。


海軍用EMレイルガン開発は2005年に米海軍研究本部が開始した。現在は連続発射「レップレイト」性能の実証段階にある。


米海軍はEMレイルガンの有効射程を64メガジュールで200カイリまで延ばす計画だが一回の発射で6百万アンペア(これはオーロラを天空に見せる電流よりも大きい)が必要で、これだけのエネルギーの実現に時間がかかりそうだし、ガンの素材が発射に耐えられるかも課題だ。


米陸軍も独自のEMレイルガン開発にむかっている。中国も開発中と言われ内蒙古自治区のBaotou砲撃演習場での衛星画像が2010年代末から出ている。


3. 宇宙兵器
宇宙空間の兵器持ち込みには国際批判が強いが、超大国は頭上の空間を次世代の戦場に変える技術開発を止める兆候がない。月面にミサイル発射装置を配備するとか小惑星のコースを変えて地上目標を攻撃するとか枚挙にいとまがない。すべてのシナリオが実現可能ではなく、SFの世界のままのものもある。だが技術上の突破口があと一歩のところまで来ている分野があるのも事実で戦争の姿を大きく変えかねない。


地球周回機を核兵器や非核の電磁パルス(EMP)で武装する可能性がある。EMP兵器を軌道上の衛星で作動させれば、電力網、衛星、指揮統制通信コンピュータ機能(C4ISR) を破壊し敵は軍事作戦遂行ができなくなる。EMP兵器の規模により攻撃効果は全土を対象にするか、外科手術的に特定の目標のみを選ぶことが可能だ。この兵器があれば敵が一発も発射できないまま戦争は終結する。情報化が進む米国に対してはそうだろうが、タリバンやハマスでは効果は疑わしい。


EMP兵器を低高度であるいは陸上発射ミサイルから作動させれば迎撃手段の前に脆弱となり先制攻撃効果も出せない。衛星に搭載したEMP兵器は普通の国家には手が出ない。さらに宇宙からの停電攻撃への対応時間はごく短く、狙われた国はEMP兵器の迎撃そのものが不可能となる。


ここ数十年間で出たり消えたりしているのが高出力の宇宙配備レーザー(SBL)で敵の弾道ミサイルを加速段階で狙うことだ。(これを加速段階迎撃BPIと呼ぶ) BPIの利点は速力が一番低い段階で弾道ミサイルを無力化して迎撃が成功する。


BPIとして投入中のイージスのような戦域大の迎撃は敵地近くに展開する必要があるが宇宙配備レーザーは高高度運用で標的となる国は迎撃が不可能だ。長距離弾道ミサイルさらに核ミサイルを入手する「不良国家」が増えるにつれSBL迎撃手段への関心は高まっており、予算が付きやすくなっており実現可能性が高まる。ただし、課題は軌道上でのメガワット級化学レーザーの実用化だ。


2. 極超音速巡航ミサイルと「即時汎地球攻撃」
極超音速巡航ミサイルが1990年代にあれば米国はアルカイダ首領のオサマ・ビン・ラディンをパキスタンまで待たずもっと早くアフガニスタンで除去できていただろう。


長距離でも正確に命中させる能力のある巡航ミサイルでずば抜けた効果が生まれる。だが勝敗が数分の差で別れる現代においてはあまりにも低速だ。対地攻撃巡航ミサイル(LACM)がアラビア海の米艦船から発射されアルカイダ訓練キャンプのあるアフガニスタンに到達するのに1998年には80分を要した。この攻撃はケニア、タンザニア両国での米大使館襲撃の報復攻撃だった。極超音速ミサイルがマッハ5+で飛翔すれば同じ距離を12分で飛翔したはずだ。これならテロ活動の主犯格の所在を突き止めた情報活動を活用して目的を達成できたはずだ。


いかなる場所でも迅速に攻撃したいとの思いから「迅速汎地球攻撃」構想が2001年に生まれた。ここからX-51A極超音速巡航ミサイル本体(HCV)が米空軍、ボーイング、DARPA、NASA、プラット&ホイットニー・ロケットダイン、米空軍研究本部推進機局の共同体制で実現した。ロシア、中国、インドが同様の性能の実現に向かっており一部には世界各地を攻撃可能な武器の開発競争になると警告売る向きもある。


米海軍が潜水艦発射型の極超音速ミサイル開発を目指しているとの報道がある。


1998年事例が示す通り、汎地球攻撃にはいろいろな狙いがある。敵国家の首脳陣を排除する攻撃、指揮統制機能他高価値目標の攻撃、外科手術的攻撃を地上の情報収集内容に基づいて実施することがある。高速度飛翔で地形を縫うように飛ぶ巡航ミサイルの迎撃は従来型防空装備では難易度が高く攻撃側の優勢度が高くなる。


1. 「意識ある」無人機
過去10年間でもっとも重要な開発内容は無人機の台頭だろう。技術の進展で無人機はこれまで有人機の独壇場だった任務を急速に実施できるようになった。無人航空機(UAV)の進歩で生身のパイロットはいつの日か無用の存在になると見る専門家もある。


今日の無人機は爆弾投下機材から海中ミニサブ、艦載偵察ヘリコプターから高高度飛行暗殺機材にいたるまで口のきけない存在で人員の介在が必要となる。機材の大部分は遠隔地から人員が操縦している(ただし自律化も増えている)が、ミッションの中核要素は標的補足からヘルファイヤミサイル発射の決定までやはり人員の介在が前提だ。


だがこれが一変する日がもうすぐ来そうだ。科学陣は人工知能の応用を進めており、無人機が独自に生死を分かつ「決断」を自ら下す日が来る。もちろん無人機はロボットであり、人間と同程度の知能はないし、意識があるとも言えない。だが演算能力の高まりでマシンが状況把握能力を身に着け状況適合能力も実現するだろう。こうした性能は引き続き向上していくのでいつの日にか無人機が「打ちっぱなし」兵器になる日が来ないとも言えず、生身の人間を超えた注意力の持続が現実になる可能性がある。長時間滞空しながら状況が許せば一秒単位で攻撃判断をする。さらに戦闘をマシンに任せ生死を分かつ決断をさせれば高まるばかりの人員の訓練費用や軍に定着させるコストの上昇を相殺できる。


ロボットに殺人許可を与えるのがビデオゲームの様相を示してきた戦争で次の論理的展開となる。そうした装備を配備すれば加害者と被害者の違いがはっきりし、武力行使の心理的抵抗が減る。無人機に戦闘任務をさせる決定が下れば、可能な限りその投入を「自由に」させたくなるはずで、早く対応した側が武力対立で有利になるはずだ。■

J. Michael Cole is a Taipei-based journalist, a Senior Fellow at the China Policy Institute University of Nottingham, a graduate in War Studies from the Royal Military College of Canada and a former analyst at the Canadian Security Intelligence Service.

2018年4月2日月曜日

★★台湾はF-35Bを2000年代初頭から求めていた。F-35Bが台湾に必要な理由のおさらい

今年中にトランプ政権からなんらかの答えが出るのではないでしょうか。北朝鮮に比べると中国の軍事力の方がはるかに強力でたちの悪い勢力になっているのは明らかで、台湾は最前線ということですね。日本もうかうかしていられないのですが。仮に台湾向けF-35B供給が販売かリース化で実現したとしても生産が間に合わず先に日本向け機材が完成していたら、また台湾情勢が風雲急となれば日本は台湾に機材を提供する懐の深さを示せるでしょうか。



Here's Why Taiwan Wants America's F-35 これが台湾がF-35を求める理由だ





March 31, 2018


米上院の有力議員二名が連名でトランプ政権にF-35共用打撃戦闘機の台湾への売却を求めている。
3月26日付の書簡でジョン・コーニン、ジェイムズ・インホフェ両議員がF-35Bの台湾売却を政権に求めた。無理ならF-16Vを売却すべきと主張している。
「F-35Bとその搭載する長距離センサーで台湾は中国のミサイル迎撃が可能となり、抑止力を2020年代も有効に維持できる。F-35Bは第五世代戦闘機と言うだけではなく、次世代の継戦能力を強化する効果がある」と両議員は述べている。書簡は米台ビジネス協議会が公開した。「ただし、F-35Bの台湾向け提供が時期尚早と判断される場合はF-16Vの追加提供で質量ともに台湾の戦闘機部隊の能力向上を実現することを期待したい」
書簡はいきなり出現したわけではない。台湾はF-35B導入の意向から照会を2002年から始めていた。その時点でDefense Newsによれば台湾はペンタゴンにF-35B導入の場合の価格および機材調達可能性の照会を当時の台北経済文化代表部(台湾の事実上の在ワシントン大使館)の国防調達部門長Wang Chi-linの署名入りで発送していた。
F-35Bが実戦配備に近づいた2017年春に台湾は改めて米国に同機売却を迫り、台湾国防相が公式に同機調達の意向を米国に示そうとしたとの報道がある。実際に台湾が公式要請を発出した形跡はないが、逆になぜそうしなかったのかはっきりしない。今でも台湾は同機導入を狙っており国防相Yen Teh-faは国会で「F-35には垂直離着陸能力があり台湾空軍当局の要求水準を満たす。実際に本件は米国に提起ずみだ」と答弁している。
台湾がF-35Bを指名する理由は理解できる。台湾国防省によれば中国には弾道ミサイル1,500発が台湾に照準をあわせている。またRANDコーポレーションの研究によれば台湾国内のジェット戦闘機運用可能な滑走路全部の破壊に必要な弾道ミサイルは155発ですむという。これに対して単距離陸垂直着陸可能なF-35Bは有事の際に短時間で各地に分散展開できる。これがあれば機体を無駄に地上で破壊されずにすむ。F-35Bなら台湾各地の短い民生用滑走路から運用できる。
F-35Bには別の効果も台湾で実現する。National Interest で今年1月に「同機のステルス性能があれば敵機多数と遭遇しても残存の可能性が高い。また強力な電子戦能力で敵レーダーを探知妨害でき台湾側機材が有効に戦闘しつつ残存できる」とマイケル・マッザとゲアリー・シュミットの両名が寄稿していた。
台湾の現有戦闘機部隊はF-CK-1、F-16、ミラージュ2000で構成される。このうち国産のAIDC製F-CK-1經國號戰機は1989年に配備が始まり、130機が生産され、近年も改修が続いている。Aviation Weekは「F-CK-1/Dの49機が改修を終えており、残る95機が改修待ちでF-CK-1A/Bのままだ。台湾空軍は改修予定を口にしているが結局何機が対象かは不明だ」とまとめていた。
米国はF-16A/Bブロック20計150機の売却で1990年代に合意していた。オバマ政権当時に台湾から新型F-16C/D66機購入の要望が出たが、米側が口を濁し結局導入済みF-16およそ140機の改修でF-16V仕様にすることで話がまとまった。改修ではアクティブ電子スキャンアレイ方式のノースロップ・グラマンAN/APG-83 拡張型アジャイルビームレーダーがある。台湾はフランスから1990年代末にミラージュ2000を60機導入し、現在も55機を供用中で、これについても近代化改修を模索している。さらに新型国産戦闘機開発の話もある。
台湾は中国本土からの圧力をここにきて強く感じている。中国軍の装備近代化ならびに高圧的な行動がその理由だ。コーニン議員も「1950年代以来初めて中国が台湾を対象にした戦闘能力を装備近代化で獲得した」と指摘している。
中国は台湾近辺に軍用機を飛行させることが増えている。War on the Rocksで昨年9月に出た分析では「戦略爆撃機の台湾周回飛行が2016年末に二回行われ、その後テンポがあがり、5回の周回飛行が行われている」とある。まだこの飛行は続いており、先週も実施されたばかりだ。
トランプ政権が両上院議員の要望をどう処理するかはまだわからない。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.

Image: Wikimedia Commons

2018年4月1日日曜日

米北太平洋岸を守る州軍F-15の訓練状況

ポートランド国際空港にはF-15部隊もいるのですね。那覇空港みたいですが、一度オレゴン州に行ってその姿を見たいものです。イラク、アフガニスタン戦では州軍もかなり動員されており、航空隊もその例外ではないようです。


This Is What It Looks Like When You Get Intercepted By An F-15C EagleF-15Cイーグルの迎撃をうけるとこうなる
ポートランド配備のF-15は太平洋北西部米本土の防空が任務でイーグルが横を飛ぶときは何かまずいことになった証拠

Portland based F-15s are tasked with protecting the skies over the Pacific Northwest, and if they show up off your wing, you did something wrong.


BY TYLER ROGOWAYMARCH 29, 2018
VIDEO SCREENCAP
142戦闘航空団はF-15イーグルの精鋭部隊だ。オレゴン州ポートランドに基地を有し、常時警戒態勢を敷き、スクランブルに備え民間航空機の非常事態にも対応するが、敵巡航ミサイルが海上発射された事態に備え、さらに「外来」飛行目標にも対応する。そのため隊員は独自の手順と技術を訓練され各種対象機材への対応に備えている。
F-15Cは離陸時重量が50,000lbs超でプラット&ホイットニーF100ターボファン双発が推力47,500lbをアフターバーナー付きで発揮する。わずか数千ポンドの機体で160hpピストンエンジンしかないセスナ172とは比較にならない。このためイーグルドライバーは小型機を相手に安全かつ効果の出る迎撃の実施に苦労することになる。
これを念頭に州軍航空隊は常時各種標的を想定した訓練を行っており、空で迷う軽量機のパイロットが侵入禁止空域に入るたびにスクランブルが発生している。訓練の想定ではセスナ機を民間航空パトロール部隊の提供で使っている
そんな迎撃の様子を映像で見てもらいたい。

映像は民間航空パトロール隊のパイロット、マイケル・クラリーが撮影した。イーグル隊の餌食にされたのは昨年6月だ。そのときの経験をマイケルは次のように語っている。
「2017年6月25日、29日予定のフェリックス・キーノート演習への参加を打診された。ミッションではセスナを「制限空域」に飛ばしてポートランド州軍航空隊のF-15がスクランブル迎撃するものだ。喜んで参加したいと申し上げた。
オレゴン州ベンド近くに移動するといきなり9AMまでにF-15隊がこっちにやってくるという話だった。9:05になり4時と8時方向にF-15二機がこちらへゆっくり近づいてくるのを視認した。
むこうはこちらが制限空域に侵入した問題の機体だと確認した。交信で三度繰り返し「赤、白、青のセスナN101SPへ制限空域に侵入中。左旋回し230へ進路変更してください」との呼びかけを聞いた。
今回は交信はすべて無視する指示だったので三回も呼びかけがあったがそのまま飛ぶと左翼のすぐそばまで両機が近寄ってきた。それでもこちらは交信に応じなかった。あちらは姿を消した。それから数分間姿を探そうとしたら、突然こちらのセスナの真正面に現れ、こちらの進路を変えさせようとした。
すごい体験だった。あれだけ鼓動が早くなったがまたやってみたい」
映像では142戦闘航空団の機体が低速ハイアルファ通過飛行をマイケルのセスナにかけたのがわかる。その後アフターバーナーを燃やし再度接近した。マイケルはイーグルの雷のようなエンジン音をセスナ機内で聞くのは妙な体験だったとWar Zoneに語っている。
TYLER ROGOWAY/AUTHRO
142飛行団のイーグルがPDXへ帰還中

州軍イーグル部隊は米国の領海近辺も同時に守る。マサチューセッツ、フロリダ、ニューオーリンズ、カロライナ、オレゴンの5個飛行隊が米国の空の守りの最前線だ。各機には高出力AESA戦闘機用レーダーAPG-63V3が搭載され、スナイパー目標捕捉ポッドもあり、長距離で敵味方識別が昼夜問わず可能だ。
FAA

同ポッドは安定した望遠光学画像を実現し、レーダーと併用して対象機のIDを視程外で識別できる。その他改修作業も実施中で随時その内容はお伝えしているとおりだ。
142ND FIGHT WING
ポートランド国際空港で緊急投入訓練で隊列を組みタキシー中のイーグル隊

142戦闘航空団はブリティッシュコロンビアから北カリフォーニアまで広大な空域の防衛についており、実際の演習では配備中21機のうち13機を24時間以内に投入可能にしたことがある。各機が30年以上の経年機であることを考えるとこの実績はすごい。
それでも各機はF-15C/Dで最新の機体である。USAFの戦闘機飛行隊は2003年以来縮小傾向にあるため州軍イーグルは海外で危機発生の場合には短時間で展開を求められる。
州軍航空隊は週末だけ戦士に変身する集団で、旧式機を飛ばしながら実際に投入されれば世界の終わりの事態なのか。実態はその逆でペンタゴンの航空戦力で最前線部隊だ。■
A special thanks to our friend and aviation photographer Paul Schweizerhof for pointing us towards Michael's video.
Contact the author: Tyler@thedrive.com


2018年3月31日土曜日

★韓国の原子力潜水艦建造は結局実現できないのではないか

オーストラリアで本命と言われていた日本のそうりゅう級を破り採用されたフランスDCNSのバラクーダがまた韓国の原子力潜水艦建造計画でふたたび出てきました。フランスは商売上手ですね。韓国がこのまま原子力潜水艦建造に向かう可能性が低いとのThe Driveの分析ですが、パッションだけで突っ走る韓国はその通りにならないかもしれません。でもそもそも韓国に原子力潜水艦が絶対不可欠とは思えないのですが。



Why Would The South Korean Navy Be Eyeing A Nuclear Submarine Capabilit韓国が原子力潜水艦に注目する理由は何か

A nuclear boat would offer significant additional capabilities for the service, but could come at a high cost, practically and politically.原子力潜水艦投入で韓国海軍の威力が高まるが、予算・政治面で代償は高くつく


DCNS
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 29, 2018
国海軍が原子力潜水艦取得の政治技術両面での可能性の検討に入った。北朝鮮が潜水艦弾道ミサイル開発をしており緊張が高まる中だが原子力潜水艦は技術的に複雑であり先に開発成功しても半島関係は緊張を増すばかりだ。
2017年10月に韓国海軍が委託したシンクタンクKorea Defense Network (KDN)が原子力潜水艦の基本設計を検討し始めた。最終報告書ではフランスのバラクーダ級を原型にした原子力潜水艦の開発を提言している。
「国産建造を提言したKDN報告書は慎重に精査している」と韓国海軍はDefene Newsに述べている。「原子力潜水艦建造案には微妙な内容がありとくに南北朝鮮頂上会談や米朝頂上会談が行われる中で慎重に扱う必要がある」
現時点の韓国海軍にはドイツの209型の派生型チャンボゴ級(9隻)がある。また9隻建造計画のソンウォニル級は7隻が完成しており、これもドイツの214型だ。両級はディーゼル電気推進艦だが後者には大気非依存型推進(AIP)が搭載され静粛化と長期間潜航が進んでいる。韓国海軍は9隻からなる三番目の級も要望しているが、新型艦が先に来るかもしれない。


USN
The South Korean Navy's submarine Jang Bogo.


原子力潜水艦がさらに低い聴音特性を実現するとはいえAIP搭載艦が静かなのは確かだ。各艦は214型より長く潜航可能で哨戒範囲を広げられる。
フランスのバラクーダ級をKDNが報告書に出発点としてふさわしいと取り上げられており、潜航時およそ5,300トンの規模だ。ソンウォニル級より大きく、開発中のチャンボゴ-III級より2,000トンも大きくなる。
増える空間は兵装の搭載に使い、米海軍のロサンジェルス級のように垂直発射管も備えるかもしれない。また大出力センサー類を搭載でき、韓国海軍には有力な沿岸のみならず内陸部の動向の情報収集手段になる。その場合、対象は北朝鮮だけでなく中国もカバーできるだろう。
未確認情報だがチャンボゴ-III級には弾道ミサイル・玄武Hyunmooを改装した装備が搭載されるといわれ、事実なら探知されることなく北朝鮮周辺海域を数か月航行できる重要な二次攻撃能力が韓国に実現する。
原子力潜水艦構想は北朝鮮が進める潜水艦発射弾道ミサイル能力開発から生れた。長期間の哨戒能力が監視、敵潜水艦追尾には最適だ。北朝鮮には沿岸用小型潜水艦が多数あり有事には特殊作戦部隊を韓国へ運び大きな脅威となる。
北朝鮮以外に韓国は中国やロシアへも対抗の必要がある。両国は東アジアで軍事行動を増強しており、特に中国は原子力、通常型双方で潜水艦部隊を増強中だ。また水中聴音能力も伸ばしている。ロシアも潜水艦部隊の再活性化を狙っている。
こうした状況をもとにすれば韓国が新型国産原子力潜水艦の建造に熱心なのは当然と言える。今回に先立ち2003年にも極秘調査が行われていた。
「2003年の検討では国産原子力潜水艦の基本設計まで完成し、小型原子炉の構想まで検討していました」と退役大佐Moo Keun-sikが明かす。当時「326計画」と呼ばれた構想をまとめていた。「韓国には自国で原子力潜水艦を設計開発する十分な力があります」
KDNがフランスのバラクーダ級とほぼ同じ艦の建造を提言したのは当時の検討結果を反映しているようだ。だが韓国に必要な知識と産業力があるかは別にしても、ここまで野心的な事業を実施する予算と時間が不足しているのではないか。
今日の潜水艦は複雑かつ建造が非常に高価で、原子力潜水艦はさらにその上を行く。少なくとも一号艦建造には10年かかり、各艦が作戦投入可能となるのに20年かかってもおかしくない。韓国政府は建造単価を10億ドルと試算しているといわれるが、あまりにも楽観視しすぎだ。フランスのバラクーダ級は16億ドルといわれ韓国では不慣れな建造現場で原子力潜水艦を一から国産建造するためこれ以上になるのは確実だ。
韓国の2017年度国防予算は340億ドル程度といわれ、国家予算の1割を占め、年率4パーセント増とされていた。そこに一隻10億ドルの潜水艦を建造すれば国防予算の3パーセントに相当する。
国防予算は増額されそうだがインフレを考慮すれば新型潜水艦は韓国が調達を進めるF-35共用打撃戦闘機やRQ-4グローバルホーク、早期警戒衛星、大型水上艦、巡航・弾道ミサイル各種他と予算を競い合うことになる。今年3月28日にロッキード・マーティンが韓国向けF-35Aの一号機をロールアウトしたが、韓国は40機調達の予定でF-35B取得にも関心を示しており、独島級揚陸強襲艦へ搭載したいとする。
だが最大の障害は政治で、韓国は核非拡散条約に調印しており、核分裂物質の濃縮を一定以上行わない取り決めを米国としている。原子力潜水艦の原子炉には高度能力核燃料が必要で、核兵器製造とほぼ同じ程度と言われる。これは小型装置で十分な出力を得るためだ。
このような原子炉を搭載した原子力潜水艦を建造すれば米国との取り決めに違反する。核物質濃縮やその他核施設を追求すれば高度濃縮核物質の入手に繋がり国際社会からも韓国は批判対象となり、NPT違反ともいわれそうだ。ここに韓国が326計画検討を秘密裏にした理由があり、またいったん知られるとすぐに放棄した理由もある。米国とともに国際原子力エネルギー機関が目を光らせたためだ。
シンクタンクKDNがバラクーダ級をモデルにする提言としたのは同級が低濃縮燃料を使う原子炉を搭載しているため濃縮問題を回避できるからだ。韓国は民生用原子力発電所で同様の燃料を使用中だ。
ただし北朝鮮は韓国が自国に脅威となる「核武装化」を進めていると非難し自国の核兵器開発を正当化するだろう。また北朝鮮宣伝機関の良い材料となり米国とその「傀儡」の韓国こそ核で侵略を狙っていると喧伝するはずだ。
韓国が緊張緩和を狙っていることを考慮する必要がある。北朝鮮指導者は歴史的な韓国大統領文在寅と韓国で2018年4月に直接会談する予定で、北朝鮮首脳が韓国国内に入るのははじめてとなる。
またキムとドナルド・トランプ大統領の会談にも影響が出る可能性がある。そうなると米国も韓国が原子力潜水艦の実現を目指すのは政治的にリスクが大きいと判断し、計画の放棄を求めてくるかもしれない。
トランプ政権としては韓国との合意内容の再交渉に前向きな姿勢を示しており、韓国の弾道ミサイルでの最大射程と性能の制限を再検討するともいわれる。トランプ政権が北朝鮮の脅威を理由に核燃料濃縮問題で緩和したり北朝鮮に核兵器放棄を迫る取引材料に使う可能性もある。
だがそもそも韓国がこうした障害を乗り切る必要性が見えてこない。フランスは原子力を使わないAIP型バラクーダ級を輸出用に開発しおわっており、ほぼ原子力艦に匹敵する性能があるといわれる。オーストラリアがローンチカスタマーになる。この艦なら韓国の要求内容を満たすことが可能で韓国もまずジャンボゴ-III級を優先して整備するようだ。
韓国は米国の核抑止力の傘の下にあるため、同国が二次攻撃力を非核手段で整備して北朝鮮に対する抑止力を限定的ながら整備する決定になるのかは興味深いところだ。韓国政府は北朝鮮攻撃を受ければ通常兵器による報復攻撃能力を広範に行使する用意があると公言しているが、韓国にはすでに潜水艦から対地攻撃巡航ミサイルを発射する能力がある。
もちろん北朝鮮に積極的に核兵器を放棄する兆候はなくむしろ国内体制維持にも核兵器は必要に思える。韓国から見れば核兵器への備えとして原子力潜水艦を残存可能なミサイル発射台として整備すれば朝鮮半島情勢が悪化した場合でも安心できるというのだろう。
北朝鮮の核兵器整備が進んでいることから韓国も北朝鮮と同様にNPTを脱退しても自国の核武装を再考せざるを得ないと噂する向きがある。いったん決定すれば韓国も急速に核武装を実現できるとの意見もある。
.総合すると原子力潜水艦で韓国海軍の作戦能力が大幅に拡充されるが、本当に同国が予算面でも政治面でも高額な装備開発に前向きになるかはっきりしない。■

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★★台湾向けF-35B売却の可能性浮上

台湾問題がここにきて関心を集めているのは習近平体制が強硬な外交を展開しようとしていることと無関係ではないでしょう。南シナ海の実質的支配を確立した次は台湾なのか東シナ海なのか、今は台湾に関心が集まっていますが、日本ではまだ関心が低いようですね。F-15リース案件は実はF-35をリースするための布石だったのでしょうか。販売を回避し、「一つの中国」のまやかしも打破できるのですが。だが肝心のF-35Bの生産ってそんなに余裕がありましたっけ。

 

China's Worst Nightmare: Would America Sell the F-35 to Taiwan? 中国の悪夢になるのか、米国が台湾にF-35を販売する可能性




March 28, 2018



トランプ政権に台湾向けF-35売却を求める米有力上院議員

米上院の有力議員二名がトランプ政権にF-35の台湾売却を承認するよう今週月曜日に求めてきたとの報道が入った。台湾の「民主体制を守るため」と中国の軍事脅威の高まりを意識している。


「同戦闘機により台湾の防衛体制が向上し中国のアジア太平洋大での軍事姿勢に対する抑止力になる」とジョン・コーニンJohn Cornyn共和党院内副総務とジェイムズ・インホフェJames Inhofe軍事委員会有力議員がトランプ大統領に書簡を送った。


「軍事近代化を続ける中国は台湾を軍事統合する実力を1950年代以降初めて手に入れている」と両議員は指摘。「しかしながら大統領の指導力により台湾は民主主義国家として存続でき、軍事力の脅かしに屈しない関係を中国と築くことが可能だ」


報道陣から論評を求められたがホワイトハウスはまだコメントを出していない。だがジョン・ボルトンが国家安全保障担当補佐官に任命されており書簡内容も無視できない。ボルトンはかねてから対中強硬派で「一つの中国」論にも疑問を隠していない。


F-35Bを求める台湾


Defense Oneでは台湾がF-35Bの導入を要請いしてると伝えている。同機は艦上運用の他、短距離離陸性能を生かして地方民間空港からも運用可能だ。


「台湾が最新戦闘機を配備して国防要求に答えようとするのはまっとうな要望だ。」と両上院議員は書簡で書いている。「したがって台湾が米国の支援を得てF-35B調達を求めているのだ」

米側はリスクを恐れる

だがDefense One は専門家の見解としてF-35を台湾に売却すれば中国の怒りを呼び抑止力などと言ってられないリスクが増えるばかりだと指摘があると紹介。ただし同機が「台湾軍の要求に理想的な機材」だとは認める。


「台湾と中国の問題と言うより米国と中国の問題としてとらえるべき」と指摘するのはジョン・ヴェナブル元戦闘機パイロットで今はヘリテージ財団アナリストだ。「米国にとってリスクを冒す価値があるのか疑問」

台湾向け武器販売の新規提案としてトランプ政権が検討中のパッケージにロッキード・マーティンF-35が含まれているとの報道もある。だが実際に同機を台湾に販売するかまだ決まっておらず、米中協議や昨年11月のトランプ訪中でも懸念材料になりかねなかった。■