2024年1月28日日曜日

中国空軍は台湾制圧任務の準備ができていない---CASの概念、訓練形態が西側と大きく異なる

中国の戦闘ドクトリンが西側とはことなるため、CAS能力が空軍に不足しているので台湾侵攻がまだできないとは言えないと思いますが、今のままで作戦が実施されれば、ミサイル飽和攻撃など派手な場面が続いても陸上の侵攻部隊には西側と同様のCAS効果は期待できない、ということでしょうか。Insider記事からのご紹介です。


  • 中国軍は空対地火力と戦術を向上させている

  • ただ中国は緊密な空対地連携を行っていないようだ

  • 近接航空支援で友軍を誤爆しかねない


国空軍は近接航空支援能力を向上させていると見る向きが一部の米専門家にある。

 これは、台湾侵攻の準備で深い意味を持つ。空から降下した地上部隊や第一陣の陸上部隊には、戦車や大砲など重火器がない。そのため、敵の防御を抑えるには、艦砲射撃、ミサイルやドローンによる攻撃、ジェット機やヘリコプターからの攻撃など、火力支援に大きく依存することになる。

 重要な要素は近接航空支援(CAS)で、米空軍は「友軍に近接した敵対目標に対する航空機による活動」と定義している。友軍が被弾する可能性もある難しい任務だ。空軍がA-10ウォートホグを開発し、海兵隊航空隊が地上部隊の直接支援を重視するなど、米軍はCASを長く実践してきた。

 しかし、ウクライナ戦争で明らかなように、空対地作戦は長らくロシアの弱点であり、中国も同様だ。しかし、中国軍として知られる人民解放軍がソ連時代の装備と戦術を廃棄するにつれて、人民解放軍空軍(PLAAF)は航空機とドクトリンを近代化してきた。米陸軍対外軍事研究室Foreign Military Studies Office(FMSO)による2023年12月の報告書によると、PLAAFの「近接航空火力支援任務の能力は過去数十年間で向上している」という。

 FMSO分析官ケビン・マッコーリーKevin McCauleyは、以前の航空支援は「主に計画的な攻撃で構成されており、戦場で移動したり新たに発見された目標に対処する柔軟性は不十分だった」と指摘する。しかし、航空支援は「地上部隊がより機動化・機械化され、PLAAFの能力が向上するにつれて」、より迅速に対応できるようになった。

 例えば、中国は、中国でGPSシステムに対応する北斗を含むISR(情報、監視、偵察)システムを強化してきた。また、Q-5攻撃機(ソ連のMiG-19がベース)など冷戦初期の装備が、J-10やJ-16戦闘機、JH-7A攻撃機のような精密誘導ミサイルや高度なレーダー、電気光学センサーを装備した近代的な設計に取って代わられたことで、中国の空対地火力はより致命的になっている。「これらのアップグレードは、CAFS(近接航空火器支援)任務に投入される可能性の高い航空機の速度、揚力、生存性の大幅な転換を意味する」(マコーリー)。

 しかし、中国の近接航空支援で最大の限界は、依然として指揮統制である。友軍が目標から数百ヤードしか離れていない場合に空爆を行うのは厄介なプロセスだ。第二次世界大戦中、各国は試行錯誤の末、軍隊と空軍が緊密に連携して初めて前線部隊への航空支援が効果的であることを学んだ。ノルマンディーにいたアメリカ陸軍の兵士たちは、味方の爆撃を受けることに苛立ち、アメリカ第9空軍を "アメリカのドイツ空軍 "とあだ名した。

 米英は最終的に、敵軍には確実に命中させ、味方軍には命中させないため、前方航空管制官を使うなどの方法を考案した。韓国、ベトナムからアフガニスタン、イラクに至るまで、アメリカの地上部隊は航空支援を当てにするようになった。米軍では航空支援を利用して侵入してくる脅威を攻撃したり、敵の陣地を攻撃し、敵の攻撃を抑えながら地上部隊が機動できるように訓練されている。


PLAの近接航空支援へのアプローチにはアメリカと重要な違いがある。中国軍の航空戦力は、弾薬庫や中継地点のような、前線の後方にある目標に向けられている。中国のCASはまた、「米国の近接航空支援に比べて、指揮・調整システムが単純で合理化されているように見える」とマコーリーは書いている。「米国のCASほど地上作戦と密接に統合されてはいないが、戦術的な地上戦を直接支援している」。

 マコーリーは、中国が米国の近接航空支援システムを研究し、学んでいると見ている。「PLAが米国の手順や組織を完全にコピーする可能性は低いが、空中火器支援能力の向上につながりそうな特徴を採用する可能性は高い」と結論づけた。

 しかし、米国の他の専門家はもっと懐疑的だ。米空軍の中国航空宇宙研究所China Aerospace Studies Instituteのブレンダン・マルべーニーBrendan Mulvaney所長は、Business Insiderにこう語った。「CASと呼べるようなものからは程遠い」。

 中国空軍は通常、地上部隊と緊密に連携していない。元米海兵隊のコブラ攻撃ヘリコプターのパイロットで、近接航空支援の経験が豊富なマルべーニーは言う。例えば、中国にはアメリカの統合端末攻撃管制官(Joint Terminal Attack Controllers)に相当するものがいない。特別な訓練を受けた地上要員が前方部隊に配置され、パイロットがどの標的を攻撃すべきかを把握し、スマート爆弾をその標的に誘導し、パイロットが友軍の位置を把握して謀殺を回避できるようにする。

 PLAAFの作戦は、『近接航空支援』というより、『地上作戦への航空支援』に近いようだ。しかし、マルベーニーは中国がCASを改善しようと努力していると見ている。「彼らは何をしなければならないかをわかっており、研究しており、間違いなくそこに到達するための計画を持っている。

 その一方で、近接航空支援は中国の強みではない。「そう、彼らは良くなっている。しかし、ハードルは低い」。


China's Air Force Is Far From Ready for a Crucial Mission It Needs to Seize Taiwan

Analysis by Michael Peck Jan 27, 2024, 8:00 PM JST


外国機関が純粋な航空愛好家を利用して飛行データを収集している....中国公安機関のパラノイアな対応は同国の危機状況に根深いもがあることを物語っている


中共が危機的な状況で国内の動揺を抑えるため、外国を利用しようとしているあらわれなのでしょうか。いかにもでっちあげのようにも見えますが、公安当局が組織の手柄として事案を公表しているのかもしれません。さらに国民に密告を奨励しているのも怖いです。いずれにせよ、我々外国人は同国へ入境しないほうが身のためでしょう。中共のプロパガンダ機関環球時報の記事なので鵜呑みにしてはなりません。それにしても「スパイ防止法」がないままの日本はこれでいいのでしょうか。


Portable signal receiving devices distributed by foreign organizations Photo: China’s Ministry of State Security

Portable signal receiving devices distributed by foreign organizations Photo: China’s Ministry of State Security



航空愛好家を悪用し、外国組織が中国で機密飛行データを収集している: 国家安全部


国国家安全部(MSS)は6日、外国組織複数が機器の無料提供や航空情報の共有という誘い文句で、国内の航空愛好家の「志願者」を集め、中国国内の航空機の飛行データを違法に収集し、外国に送信していることを明らかにした。これを受け、国家安全機関は関連部門とともに全国で特別作戦を展開し、国内に配備された数百セットの機器を押収し、関係者を処分した。


MSSが微信(WeChat)アカウントを通じて発表した記事によると、外国組織は、微博(Weibo)、鉄板(Tieba)、フォーラム、QQグループ、動画サイトなど、中国の主要なオンラインプラットフォームで長期間にわたって活動している。彼らは航空愛好家のアクティブなアカウントを見つけ、電子メール、テキストメッセージ、その他の手段による「パーソナライズされた」「カスタマイズされた」広告を通じて彼らを勧誘している。


これらの広告では、これらの外国組織は航空愛好家の熱意と好奇心を利用し、機器を無料で提供し、航空情報を共有するという誘い文句を使って「勧誘」している。


これらの団体は「ボランティア」たちに、普通のスマートフォンと同じような大きさの携帯型信号受信装置を国際スピード便で配布している。


そして、「ボランティア」たちに中国国内の航空拠点付近に機器を設置させ、一定範囲内の航空機の機種、高度、経度、緯度、速度、方位などの情報を収集させる。収集されたデータは、これらの組織が指定したサーバーにリアルタイムで送信される。


国家安全保障機関によると、これらの外国組織は、渤海、東シナ海、南シナ海を囲む地方にこのような装置を大量に配備している、と同省はリリースで述べた。


外国組織は民間航空データだけでなく、軍用機やその他の航空機の機密情報も盗んでいる。彼らのデバイスはまた、遠隔オンラインプログラミングをサポートし、「パーソナライズされた」機能をカスタマイズすることができる。さらに、これらのデバイスはGPSチップを内蔵しており、指定された航空機の位置を特定し、暗号化された送信方法で外国のサーバーに機密データを迅速に送信することができる。


各デバイスは、1日あたり約1,000機の航空機のフライトデータと約130,000件の位置情報を送信できると推定されている。カバー半径が300~400kmであるため、中国領空内のすべての航空機の飛行データを監視・カバーするためには、約300台の装置を配備するだけで済む。


さらに、多数の違法デバイスが稼働している場合、民間航空および軍用航空管制システムへの信号干渉を引き起こす可能性もあり、航空安全に重大な脅威をもたらすとMSSは述べている。


外国組織による機密データの窃盗に対応するため、国家安全保障機関は関連部門とともに全国で特別作戦を実施し、国内に配備された数百セットのデバイスを押収し、関与した個人に措置を講じた。


中国の「スパイ防止法」によると、国家安全保障に関わるデータの窃盗、調査、賄賂、違法な提供のために他者を扇動したり、資金を提供したりする海外の機関、組織、個人はスパイ行為に該当し、海外の組織と結託して上記のような行為を行った国内の機関、組織、個人もスパイ行為に該当すると同部は指摘した。


また、データ・セキュリティ法によれば、データを収集する組織や個人は合法的かつ適法な方法で行うべきであり、その他の違法な手段でデータを盗んだり入手したりしてはならない。


国家安全保障を守ることはすべての国民の責任であり義務である、とMSSは述べ、国家安全保障に害を及ぼす可能性のある違法行為や不審な状況を発見した国民は、12339通報ホットライン、オンライン通報プラットフォーム、MSSのWeChat公式アカウント、または現地の国家安全保障機関に直接、速やかに通報するよう注意を促した。■


Foreign organizations found exploiting aviation enthusiasts to collect sensitive flight data in China: Ministry of State Security - Global Times

By Global Times

Published: Jan 06, 2024 01:50 PM


 

2024年1月27日土曜日

エアフォースワンの後に飛来する特殊C-32(ボーイング757)の存在は機密扱いになっている....

 大統領など重要人物の移動用に米空軍がボーイング757をC-32Aの名称で運用していることは長年知られていますが、どうも空軍には別の757部隊もあるようです。Defense Oneがその謎に迫っていますのでご紹介しましょう。


Air Force C-32 No. 90016—used for presidential transport but not officially acknowledged by service officials—lands at John Wayne Airport in Santa Ana, California, on Oct. 18, 2020.Air Force C-32 No. 90016—used for presidential transport but not officially acknowledged by service officials—lands at John Wayne Airport in Santa Ana, California, on Oct. 18, 2020. ALLEN J. SCHABEN / LOS ANGELES TIMES VIA GETTY IMAGES


エアフォース・ワン・シャドーフリートの秘密

特殊改装ボーイング757の4機の存在を、軍当局は認めていない


アフォース・ワンが世界のどこかで離陸すると数分後、「United States of America(アメリカ合衆国)」の文字が刻まれた青と白の別の機体が、後に続くのが一般的だ。

 それが空軍のやり方だ。後続機はボーイング757の特注型で、その存在を空軍関係者は認めていない。そして、この4機は飛行機探知機や航空ファンにはよく知られているが、フライト追跡は難しくなっている。

 同型機の任務は広く理解されている。滑走路が短すぎて、エアフォース・ワン任務によく使われるボーイング747型機では間に合わない地方へアメリカ大統領を運ぶのである。

 しかし、いつ、何のために購入されたのか、いくらかかったのか、飛行を維持するためにどれだけの税金が使われているのかなど、不明点が多い。他の高価な軍用ハードウェア、とりわけ大統領専用機である30年前のVC-25ジェット機の後継機として現在カスタマイズ中の2機の747とは異なり、4機のシャドープレーンは購入に関する公的な議論もなく、書類上の痕跡もほとんど残っていない。

 しかし、手がかりはある。公開されている政府、軍、契約文書、飛行追跡データ、そして航空ファンやフォトジャーナリストが集めた情報を使って、Defense Oneはこのシャドーフリートに関する最も包括的な歴史を組み立てた。これは、秘密主義的で、しばしば機密扱いとされる、大統領の移動と政府継続活動の世界を垣間見る貴重な機会だ。

 大統領の空の旅を監督するホワイトハウス軍事事務所は、同機に関する質問を空軍に先送りしたが、空軍はコメントを拒否した。



シークレットフリートの構築

空軍は長い間、幹部向けのボーイング757を運用してきた。空軍はC-32Aと名付け、ファクトシートで4機を公表している。(C-32Bと呼ばれる2機の真っ白な757もあるが、空軍はその存在を認めていない)。

 4機のC-32Aは1996年にボーイングに発注され、2年後に納入された。シャドウ・フリートが存在する以前は、大統領は747では小さすぎる飛行場に行くためにこの飛行機を使っていた。例えば、2004年4月、ジョージ・W・ブッシュはメイン州の地方空港に1機を飛ばした。今日、この飛行機は副大統領、大統領夫人、首席補佐官、その他の政府高官や軍高官向けに定期的に使われている。

 しかし、2010年代半ば以降、歴代大統領が使用している4機の757をボーイングが納入した記録はない。ボーイングは2005年に757の製造を中止しているため、空軍は機体調達を中古市場に求めたことになる。

 2009年2月、空軍は政府高官を飛行させるための新古機を求める契約公告を出した。「これらの航空機は、国内および世界中でチームやVIPの輸送を提供する」と通達は述べている。本契約は、公法110-417の結果である。同法は、2009年度国防授権法として知られ、航空機に関する明確な言及はない。しかし、シャドー・フリートの4機のうち3機は、2009年に購入されたことを示す09で始まる登録番号がついている。

 各機の尾翼番号は最近まで90015、90016、90017、90018だった。FAA記録によると、90015はボーイングが今はなきチリの航空会社ラデコ用に製造した。その後、L-3コミュニケーションズ(現L3ハリス・テクノロジーズ)に譲渡されるまでは台湾の航空会社で飛行していた。90016は、空軍への売却前にTWAとアメリカンエアラインズで飛行していた。90017はアエロメヒコ航空の機体だった。

 最新の大統領専用機C-32、90018は元フィンエアーの機体でその生涯をスタートさせた。L3が購入したのは2015年以前のことで、日本の飛行機スポッターが大阪の関西国際空港に着陸する同機のビデオを撮影した。当時、尾翼にはテキサス州の国旗が描かれ、前方の胴体には「Trailblazer」の文字があった。空軍は登録番号から2019年にこの飛行機を取得したようだ。

 L3ハリスとのつながりは偶然ではないようだ。2020年の空軍のブリーフィングによると、テキサス州グリーンビルにある同社施設は、ビジネスジェットにシニアリーダー通信システムを装備している。大統領専用機は、最高司令官と国の核兵器との連絡を保つために特別な通信装置を必要とする。

 シャドウフリート機材の内装は、公開されている4機のC-32と異なる。しかし公式機と同様、大きな座席と会議用テーブルが装備されている。2014年、オバマ大統領はキューバ政府に拘束されていたアメリカ人請負業者アラン・グロスを迎えに90016を送った。オバマ政権とパトリック・リーヒー上院議員(バージニア州選出)の事務所は、機内で撮影した議員とグロスの写真を掲載した。


A rare interior photo of a secret C-32 shows Alan Gross, right, after his release from Cuba on Dec. 17, 2014. (White House/Lawrence Jackson)



オバマは2010年代半ば、新型シャドー機に搭乗した最初の大統領となった。ドナルド・トランプは、2020年の選挙集会で支持者数千人を前に演説する際、背景として同機をしばしば使用した。

 ジョー・バイデン大統領は、メリーランド州のアンドリュース統合基地とデラウェア州の自宅近くのニューキャッスル空港を結ぶ短距離飛行に同機を利用したことがある。今月初め、バイデンはサウスカロライナとテキサスに飛んだ。月曜日には、フィラデルフィアのマーティン・ルーサー・キング・デーのイベントに向かうために使用した。

 尾翼番号が記載されていた2016年の空軍文書によると、この影の機材は大統領空輸グループの所属だ。ボーイング747も飛ばす同グループは、第89空輸航空団隷下の部隊であり、第1空輸飛行隊が4機のC-32Aを運用している。

 この4機はメリーランド州アンドリュース統合基地を拠点とし、セキュリティの高いエアフォース・ワン施設内にある。衛星画像は、ハンガー20として知られる格納庫を示しており、3機に十分な大きさで、2007年から2010年の間に建設された。エアフォース・ワンとして定期的に使用される2機のVC-25ボーイング747が保管されている隣の大型格納庫19と同様、特別なセキュリティフェンスによって、この複合施設はフライトラインから隔離されている。最近の衛星写真では、格納庫外に757が駐機している。


This screenshot from Google Earth shows the gray-roofed Hangar 20 built at Joint Base Andrews, Md., around the time the secret fleet was acquired. (Google Earth)


 秘密機は無線コールサインではわからない。大統領が空軍機に乗るときは、機体に関係なく「エアフォース・ワン」で通じる。また、トレイル任務で飛ぶC-32は、一般的なC-32と同じように「特別空輸任務」を意味する「SAM」というコールサインを使うのが一般的だ。

 また、尾翼で見分けることもできなくなった。昨年、空軍はバイデンを今週チャールストンとダラスに運んだ機体を含み尾翼番号を削除し始めた。

 しかし一旦上空に舞い上がると、機体とその尾翼番号はADS-Bエクスチェンジのような公共の飛行追跡ウェブサイトに表示される。空軍は、飛行追跡ウェブサイトを軍用機への脅威と呼んでいる。

 「国防総省は、オープンソースによる航空機の飛行追跡とデータ集約は、世界中で軍事航空作戦を遂行する我々の能力に対する直接的な脅威だと考えている」と、空軍は昨年、"国防総省の航空政策専門家 "による声明で述べている。

 シャドー・フリートの性能やコミュニケーション・スイートが、公開されているC-32Aとどう違うのかは不明だ。

 ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、2017年にオバマ大統領が大統領空輸グループと会談した後、「エアフォース・ワンができるようなことができる航空機は世界中に存在しない」と述べた。

 オバマが話していたのは747についてだが、シャドーフリートも同じ条件に当てはまると考えるのが妥当だろう。■


The secret history of the Air Force One shadow fleet - Defense One


BY MARCUS WEISGERBER

GLOBAL BUSINESS EDITOR

JANUARY 17, 2024


2024年1月26日金曜日

バイデンはフーシ派への攻撃をこうして決断した----大統領としての資質に疑問

 

  • POLITICO記事からのご紹介です。この大統領のもとで米国の行動力は低下しているとしか見えません。今年11月の選挙で敗退してもらうのが一番だと思います。



政権はイランが支援するフーシ派による攻撃へ対応を迫られていた。大統領は木曜夜の声明で、今回の攻撃でレッドラインを越えたと明言した

ョー・バイデン大統領は、2024年元日の朝、国家安全保障チームと話をしたとき、セントクロイ島で休暇中だった。イランが支援するフーシ派が紅海で国際海運への攻撃を開始し、大統領は軍事的対応の可能性について協議した。

大統領の指示は2つだった。外交面では、攻撃を非難する国連決議を強く求めるようチームに指示した。軍事面では、国防総省にフーシ派に反撃するオプションを準備するよう命じた。

この日の会議の結果、アメリカとその同盟国は10日後の木曜日、イエメンのフーシ派の標的に対して大規模な攻撃を開始した。

アメリカとイギリスの戦闘機は、アメリカの軍艦や潜水艦とともに、イエメン全土のフーシ派の軍事拠点に砲撃を加え、無人機や巡航ミサイル、弾道ミサイルの発射・保管場所を重点的に攻撃した。ある関係者によれば、参加した艦艇の中には、トマホーク巡航ミサイルを発射する誘導ミサイル潜水艦、USSフロリダも含まれていたという。空母ドワイト・D・アイゼンハワーのF/A-18スーパーホーネットも参加した。

バイデンが軍事的選択肢を作成するようチームに指示した後、1週間以上も報復攻撃を命じなかったのは、外交的選択肢を尽くし、米国を再び中東戦争に引きずり込むことを避けたいというバイデンの願望に沿ったものだった。しかし、大統領は木曜日の夜の声明で、今回の攻撃はレッドラインを越えたと明言した。

「今日の防衛行動は、この広範な外交キャンペーンとフーシ反体制派の民間船舶に対する攻撃のエスカレートに続くものだ。「これらの標的攻撃は、米国と我々のパートナーが、我々に対する攻撃を容認せず、世界で最も重要な商業航路における航行の自由を敵対勢力が脅かすことは許さないという明確なメッセージである」。

この説明は、作戦直後に機密情報を提供するために匿名が認められた政権高官と軍高官のコメントに基づいている。

木曜日の攻撃は、フーシの攻撃に軍事的に対応するようバイデンに高まっていた数週間の圧力に終止符を打った。米軍は12月第1週の時点で、より強力な選択肢を描いていたが、その時点でバイデン政権高官は、フーシ派への直接攻撃は最善の策ではないとの意見で一致していた。

米政府高官は、商船への攻撃はパレスチナ人支持を示すものだと主張するフーシ派を攻撃すれば、イランを刺激し、イスラエルとハマスの戦争を地域紛争に拡大させる危険性があると懸念していた。

1月1日の会議でバイデンは、軍事行動を起こす前に、国際パートナーと最終警告声明を出すようチームに指示した。

他の国家安全保障の指導者たちは知らなかったが、ロイド・オースティン国防長官は10日前に前立腺がんの手術を受けたばかりだった。その後1月1日、彼はその手術の合併症のため、救急車でウォルター・リード国立軍医療センターに運ばれた。オースティンの医師たちは、彼の症状は尿路感染からきていると結論づけ、さらなる治療のために集中治療室に移した。

1月2日から1月5日まで、オースティンの副官キャスリーン・ヒックスがプエルトリコで休暇中ながら、事実上ペンタゴンを担当していた。バイデンの他の国家安全保障チームは、木曜日までオースティンの入院を知らされていなかった。1月5日に職務を再開して以来、オースティンは病床から会議に出席し続けている。

1月3日、米国と他の13カ国は、フーシ派がこれ以上商船を攻撃した場合、その「結果」をすべて負担することになると警告する声明を発表した。しかし、フーシ派を抑止する効果はほとんどなかった。

火曜日、フーシ派はこれまでで最大かつ最も大胆な攻撃を開始した。フーシ派は、米国の商業・軍用艦船を標的とした無人機とミサイルの一斉射撃を開始した。米英海軍は20機近くの無人機と3発のミサイルを撃墜し、フーシ派が意図した深刻な被害を防いだ。

この攻撃を受け、バイデンはその日のうちに国家安全保障チームを招集し、再度会議を開いた。ホワイトハウスにこもり、公務の予定もない中、バイデンは再び軍事的選択肢を提示された。会議の終わりに、バイデンは前に進む時だと判断した。彼は、まだ病院で指揮していたオースティンに攻撃実行を指示した。

国防総省高官によれば、この作戦の調整に時間がかかったのは、他の関係諸国が空爆の法的根拠を理解するよう望んだからであり、また米国が何を拠出するよう要請しているのかを正確に理解することを望んだからだという。

英国国防省の声明によれば、英国空軍のタイフーン4機が加わり、ボイジャー空中給油機が支援した。ジェット機はPaveway IV誘導爆弾を使い、イエメン北西部のバニにある無人偵察機発射用の施設と、紅海上空で巡航ミサイルや無人偵察機を発射していたアブス飛行場という、フーシ派の2つの施設を精密攻撃した。

米英両政府高官は、今回の空爆は民間人へのリスクを最小限に抑える設計だったと述べた。

「初期の兆候によれば、商船を脅かすフーシの能力は打撃を受け、世界の海運の約15%が通過し、世界経済に不可欠なシーレーンを守るという我々のコミットメントは十分に証明された」と声明は述べている。

フーシの反応はまだないが、結果は覚悟していると米政府高官は、述べた。「どんな反応が出ても驚かないだろう」。■


Inside Biden's decision to strike the Houthis - POLITICO

By LARA SELIGMAN and LAUREN EGAN

01/11/2024 10:28 PM EST

Updated: 01/11/2024 10:49 PM EST


北朝鮮が新型巡航ミサイルを試射、中国は米国の台湾海峡通過を非難など日本周辺で気になるニュース(1月25日現在)

 Pulhwasal-3-31 crusie missile KCNA Image



北朝鮮が新型巡航ミサイル試射

北朝鮮国営メディアの報道によると、北朝鮮は水曜日に新型巡航ミサイルの試験発射を行った。一方、中国軍はUSSジョン・フィン(DDG-113)による水曜日の台湾海峡通過を非難し、オーストラリア海軍(RAN)は今年最初の地域派遣でフリゲート艦を派遣した。

国営の朝鮮中央通信は木曜日、北朝鮮ミサイル管理局が開発中の巡航ミサイル「プルファサル 3-31」の初試射を行ったと報じた。「今回の試射は周辺国の安全保障に何ら影響も与えず、地域情勢とも無関係だ」とし、試射は兵器システムの絶え間ない更新プロセスの一環であり、管理局とその防衛科学研究所の定期的かつ義務的な活動であるとも説明した。

内容では、発射されたミサイルの数や発射場所については触れられていないが、水曜、韓国の合同参謀本部(JCS)は、同日午前7時、北朝鮮が黄海に向け巡航ミサイルを数発発射し、米韓の情報機関が詳細を分析中と発表した。

韓国の申元植(シン・ウォンシク)国防相 Defense Minister Shin Won-Sikは今回の発射を非難し、北朝鮮は「『水中核兵器システム実験』と主張する巡航ミサイルを発射した」と韓国を本気で脅していると述べた。申元植は、清州基地を拠点とする韓国空軍(ROKAF)第17戦闘航空団を訪問した際に発言した。彼は同部隊に対し、北朝鮮が戦争を始めた場合、北朝鮮政権に終止符を打つのは自分たちだと語った。「金正恩政権が開戦という最悪の選択をした場合、諸君は最短時間で敵の指導者を排除し、政権の終焉を告げる先兵となるだろう」と語った。

北朝鮮に関する国連決議は、巡航ミサイルを禁止していない。しかし、通常弾頭と核弾頭を搭載できる巡航ミサイルは、韓国とそこで活動する米軍にとって核兵器の脅威となる。

PLAN艦艇の気になる日本周辺での動き

水曜日、中国の東部戦域司令部は、USSジョン・フィンによる水曜日の台湾海峡通過を非難する声明を発表した。「中国PLA東部戦域司令部の部隊は、米軍艦の通過を全行程で追跡・監視し、法律と規則に従って対処した。同司令部のスポークスマンはまた、米軍は最近、地域の平和と安定を悪意を持って損なう挑発的な行為を頻繁に行っていると述べた。「戦域の部隊は常に厳戒態勢を敷き、国家主権を断固として守っている」と声明を結んだ。

Chinese destroyers underway on Jan. 24, 2024. JSDF Photo


一方、人民解放軍海軍(PLAN)も独自の国際海峡通過を実施している。木曜日、日本の統合幕僚監部(JSO)は、同日午前3時、PLANの駆逐艦CNS鄭州(151)とフリゲートCNS常州(549)が種子島の西43マイルの海域を北に航行するのを視認し、その後、大隅海峡と東シナ海を通過するために西に航行したとするリリースを発表した。リリースには、PLAN艦船が1月16日に宮古海峡を通過し、太平洋に入ったことも記されている。海上自衛隊鹿屋航空基地を拠点とする第1航空団の海上自衛隊P-1哨戒機(MPA)がPLAN艦船を監視した。PLANは日常的に日本の海峡の国際水域を通過しており、海上自衛隊の艦船と航空機は各艦を監視している。

オーストラリアの艦艇派遣

一方、オーストラリア海軍(RAN)は、南アジアと東南アジアへの3ヶ月間の派遣のため、火曜日にフリゲート艦HMASワラマンガ Warramunga (FFH152)が母港のシドニーを出発し、毎年恒例の地域プレゼンス派遣任務を開始した。「同艦は搭載されるMH-60Rシーホーク・ヘリコプターと200人とパートナー国海軍とのさまざまな演習、協力活動、共同パトロールに参加する」と、木曜日の国防総省のリリースは述べている。

「インド・太平洋地域への派遣は、豪国防軍が地域の安全保障と安定を支援するため、この地域でほぼ継続的にプレゼンスを維持できることを示している」と、オーストラリア艦隊司令官クリス・スミス少将はリリースの中で述べている。この派遣は4月中旬まで。

日豪協定で海中戦能力向上をめざす

これに先立ち、国防省は火曜日、オーストラリアと日本が海中戦のためのロボット・自律システムの戦略的能力を強化する協定に調印したと発表した。国防科学技術グループと日本の装備庁(ATLA)の研究プロジェクトは、2023年6月に調印された二国間の研究・開発・試験・評価協定に基づく最初のものである、とリリースは述べている。初回の研究プロジェクトは、日豪間の海底通信と相互運用性における戦略的能力に貢献する。

ATLAは同日のリリースで、日豪両国の海中音響通信モデルや海洋環境情報を用いて、様々なシミュレーション・シナリオを実施するとしている。■

North Korea Test Fires New Cruise Missile, China Denounces U.S. Taiwan Strait Transit - USNI News

DZIRHAN MAHADZIR

JANUARY 25, 2024 12:28 PM



英独共同開発のチャレンジャー3主力戦車の全貌が明らかになった---2027年にIOC獲得を目指す

 ウクライナ戦で主力戦車の効用が疑問視されていますが、いますぐ戦車が表舞台から消えるわけではありません。英独共同でチャレンジャー戦車の性能向上が進んでいることが明らかになりました。Breaking Defenseの記事からのご紹介です。



Images of the British Army’s first Challenger 3 main battle tank prototype were released for the first time by RBSL today. (RBSL)




「チャレンジャー3は、NATOで最強の戦車となり、ネットワーク対応のデジタル主力戦車として、一歩先の能力を提供する」


独の合弁会社ラインメタル・BAEシステムズ・ランド(RBSL)は、英国テルフォードの生産施設で新型車両の製造を完了し、チャレンジャー3主力戦車(MBT)プロトタイプの画像を公開した。

 プロトタイプの初公開画像は、本日ロンドンで開催されたIQPC国際装甲車会議で公開され、車両はまもなく試験を開始する。来年のシステム適格性審査に先立ち、英国とドイツで合計18カ月の試験が計画されている。試作車は8台開発される。

 「チャレンジャー3プログラムは、NATOで最高の戦車を提供し......ネットワークに対応したデジタル主力戦車を提供し、兵士に段階的に変化する能力を提供し、21世紀の抑止力を[2040年に予定されている]使用停止日まで確保します」と、RBSLの戦略・未来ビジネスディレクターであるローリー・ブリーンは述べた。「プロトタイプは......今後数週間で試験を開始する予定だ」。

 乗組員なしの状態で行われるトライアルの主な目的は、「(その後の)乗組員によるトライアルのためにシステムが安全であることを確認すること」だとブリーンは付け加えた。

 イギリス陸軍の現役主力戦車チャレンジャー2からチャレンジャー3規格にプロトタイプをアップグレードするため行われたエンジニアリング活動についても詳しく説明した。

 「プロトタイプで行うことは、むき出しのシャーシを使い、LRU(Line Replaceable Units)の約50%を交換することです」。

 プロトタイプに搭載され、8億ポンド(10億ドル)規模のチャレンジャー3計画の一環として148両の量産戦車に搭載される予定の新アイテムには、ラインメタル製120mm滑腔砲、デジタル化砲塔、昼夜照準用照準器、ラファエルのトロフィー・アクティブ・プロテクション・システム、モジュール式装甲システムなどがある。

 機動性の向上には、第3世代のハイドロ・ガス・サスペンション・システムと、より強力なエンジンも含まれる。

 チャレンジャー3開発は、「防御力、火力、機動性という鉄のトライアングルの進歩を示すものだ」(ブリーン)。

 英国国防省の要請があれば、RBSLはゼロから新型車両を製造することも可能だという。現在の計画では、同社はチャレンジャー2のアップグレードのみを請負っている。

 英国陸軍のチャレンジャー2の整備性と運用準備性は、英国政界で論争の的になっており、英国が2023年にウクライナに主力戦車を供与することを受けて、これまで以上に関連性が高まっている。

 英国国防参謀総長のロバート・マクゴーワン中将(財務・軍事能力担当)は、ロンドンがウクライナに14両の旧式車両を寄贈する決定を下したことで、英国陸軍の主力戦車の「運用資産」が3分の1近く減少したこととの指摘を否定した。中将は2023年2月、実際の割合は「それほど高くない」と議員団に述べたが、整備性の問題については言及を避けた。

 英陸軍は当時、「(チャレンジャーの)アップグレードプロセスに投入される戦車は、活発に使用されている」と述べた。

 チャレンジャー2戦車に対する議員の懸念にもかかわらず、最近のマイルストーンは、チャレンジャー3の開発が良い方向に進んでいることを示唆している。

 ブリーンは、性能実証試験、新型対戦車弾薬のCDR、トロフィー能動防御システムの試験と検証はすべて順調に進んでいると述べた。

 チャレンジャー3の初期運用能力は2027年を目標としている。■


Revealed: First look at UK’s Challenger 3 main battle tank prototype


By   TIM MARTIN

on January 22, 2024 at 3:39 PM



2024年1月25日木曜日

歴史に残る機体(36)空戦至上主義から生まれたF-16が航空戦の歴史を一変させた....

 


F-16で航空戦はここまで一変された

 

A F-16 is flow by Alec "Bulldog" Spencer during a mission at Eglin Air Force Base, Florida, Feb. 14, 2019. The 40 FLTS mission is to execute exceptional fighter developmental test and support to deliver war-winning capabilities. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. John Raven)


イロットからヴァイパーの愛称で親しまれているF-16ファイティング・ファルコンは、地球上で最も広く運用されている戦闘機だが、それには理由がある。

 戦闘機の設計が、最高速度や航続可能距離のような魅力的な指標に集中していた時代に、F-16は航空戦への新しいアプローチを体現するものとして登場した。空対空戦に関する機密分析を指針に、ジェネラル・ダイナミクスは、ドッグファイトが発生しやすい特定の速度範囲内での性能を重視した戦闘機を考案した。

 その結果、先行していたF-15イーグルのような速度や上昇の記録は打ち立てられなかったものの、遭遇しうるほぼすべての戦闘機を凌駕し、凌駕し、凌駕することができた......そしてそのすべてが、当時のトップクラスの戦闘機の半分以下のコストで実現した。

 今日のF-35と同じように、F-15が1970年代初頭に登場したとき、その比類ない性能は、ほとんど比類ない価格タグを伴っていた。初期のF-15Aは、1機あたり約2800万ドル(現在のインフレ率に調整すると、1機あたり約2億2750万ドル)という価格だった。つまり、F-15は1機で、現在のF-35A3機とほぼ同じコストがかかったことになる。

 このため多くの国防関係者は、米空軍がイーグルをアメリカの戦闘機隊の基幹に据える余裕はないのではないかと懸念した。

 空軍関係者、国防アナリスト、業界関係者からなる「戦闘機マフィア」と総称される小集団が待ち望んでいたのは、まさにこのチャンスだった。F-4ファントムIIやF-15イーグルのような近代的なロケット戦闘機とは異なり、戦闘機マフィアはパワーよりも敏捷性、技術の複雑さよりも手頃な価格を重視した。


戦闘機マフィア


 当時の常識では、最高速度や兵器の能力などが何よりも優先される中、戦闘機マフィアはエナジー・マヌーバビリティ理論(E-M理論、EMT)を提唱していた。この理論は、F-86セイバーで朝鮮半島での戦闘任務に就いた戦闘機パイロット、ジョン・ボイドの実体験から生まれたもので、彼はその後、空軍の戦闘機兵器学校の教官を務め、ドッグファイトは芸術ではなく、数値化可能な科学であるという考えを広めた。

 E-M理論では、すべての航空機操縦を位置エナジーと運動エナジーの交換とみなし、戦闘機が戦闘中にエナジーを得たり失ったり、そして最も重要なことだが、エナジーを維持できるかを理解する枠組みを作り上げた。

 この概念を単純化すると、エナジーは航空機の速度と高度(運動エナジーまたは位置エナジーとして反映される)に由来し、パイロットは操縦のためにどちらか一方を交換しなければならない。現代の戦闘機パイロットが「スピードは命だ」と言うのは、このことを指している。例えば、向かってくるミサイルを出し抜くにはスピードが必要であり、消費すればするほど、それ以上の操縦に使えるエナジーは少なくなる。E-M理論によって、優位性を維持するために、戦闘中も可能な限りエナジーを温存できるような戦闘機や戦術を設計することが可能になった。

 E-M理論の基礎を活用することで、ボイドをはじめとする戦闘機マフィアは、F-4Dの2倍の機動性、2倍の戦闘半径、半分強の重量、そして大幅なコスト削減を実現する戦闘機が設計できると主張した。提案は国防総省の注目を集め、1972年1月、国防総省はこのコンセプトに基づく正式な取り組みを開始した。これがF/A-18ホーネットと、F-16ファイティング・ファルコンの開発に直接つながった。

 しかし、戦闘機マフィアが提案したすべてがうまくいったわけではない。彼らはドッグファイト至上主義者とも言える。戦闘機にはレーダーのような重いエイビオニクスを搭載すべきではなく、極めて軽量で機敏であることに重点を置き、銃と短距離赤外線誘導ミサイルのみを搭載すべきだと考えたのだ。

 しかし、たとえ戦闘機マフィアが新型軽量戦闘機のキャンペーンを始めた頃に、その主張の多くがすでに時代遅れだったとしても、E-M理論が軍事航空に与えた影響は単純に割り引くことはできない。


ザ・ヴァイパーの登場


ジェネラル・ダイナミクスのF-16案は、1975年の通貨で戦闘機1機あたり600万ドル強、現在の3600万ドル弱で販売されたが、その曲技能力は価格以上に印象的だった。

 、F-16は世界で初めてフライ・バイ・ワイヤ制御を採用した戦闘機である。この画期的な技術により、本質的に不安定な設計の戦闘機を作ることが可能になった。それまでの戦闘機では、不可能ではないにせよ、現実的ではないと考えられていたことである。なぜなら、人間のパイロットは、機体を制御し続けるために必要な絶え間ない修正についていけなかったからである。

 この固有の不安定性は、曲技飛行を行うために必要なエナジー量を削減する。簡単に言えば、安定したジェット機操縦のためにエナジーを使うのではなく、F-16は安定性を保つためにコンピューター制御を使い、曲技飛行を自然な状態としていたのである。その結果、ヴァイパーは、燃料満タンで戦闘負荷がかかった状態で9Gのマニューバーを簡単にこなせる戦闘機となった。

 この結果、水平飛行では民間旅客機並みの安定性を感じさせると同時に、2005年にF-22ラプターが登場するまで、米国のあらゆる戦闘機を凌駕することができるジェット機が誕生した。

 今日、F-16は同世代の戦闘機の中で最も支配的なドッグファイターとして認識されており、76回の勝利と、現在ではフレンドリーファイアが原因だと広く言われている1回の損失(しかし物議を醸している)のおかげで、空戦では無敗であると多くの人が主張している。しかし、空戦に重点を置いた設計にもかかわらず、F-16の速度、敏捷性、多用途性は、すぐにF-16をアメリカ初の真のマルチロール戦闘機プラットフォームとして際立たせ、そのキャリアの初期に攻撃作戦で非常に優位であることを証明した。ドッグファイトの血統にもかかわらず、1981年以降、組立ラインからロールオフされるすべてのF-16は、空対地作戦に必要な構造および配線を標準装備されている。

 1991年の砂漠の嵐作戦では、F-16は、もっとも多くの戦闘出撃をこなし、その大部分は空爆作戦だった。そのようなミッションのひとつで、エメット・チューリア少佐操縦のF-16が、連続発射された地対空ミサイル6発を回避した。チューリアが自機にフレアとチャフが機能していなかったことを知ったのは、任務が終わってからだった。6発もミサイルをかわすことができたのは、パイロットの技量とF-16の驚異的な操縦性のおかげにほかならない。

 F-16の極めて高い性能と低コストの組み合わせは、アメリカ空軍だけでなく世界中の空軍の基幹機となり、これまで4600機以上のF-16が製造され、今も新しいヴァイパーが組立ラインから生まれ続けている。

 そして、F-35のような第5世代戦闘機の出現にもかかわらず、F-16は今日に至るまでアメリカ空軍の基幹機であり続けている。■



How the F-16 changed air warfare forever | Sandboxx


  • BY ALEX HOLLINGS

  • JANUARY 19, 2024