2017年1月11日水曜日

★米海軍の次期戦略ミサイル潜水艦コロンビア級はこんな姿になる



米ミサイル原潜は核抑止力の重要な要素で一度も居場所を探知されたことがないと言われています。その任務は重要ですが攻撃型潜水艦の乗員とは決定的にメンタリティが違うはずです。40年間も供用できるのであればいい買い物でしょうが、その裏にはこれまでの稼働実績からの原子炉関係の技術が相当進歩していることが伺えます。こればかりは日本にはほぼ永遠に手に入らない分野ですね。
Visit Warrior

Navy Builds New Nuclear Missile Submarine Tubes
KRIS OSBORN
Wednesday at 1:45 AM


オハイオ級核ミサイル潜水艦の後継艦は2080年代まで供用される。その役目は米本土への大量第一撃核攻撃を未然に防止することにある。

  1. 海軍は新型核弾道ミサイル搭載潜水艦SSBNの初期建造と試作を開始しており、海中に大量の抑止力を展開し世界平和を維持する姿勢を堅持する。
  2. オハイオ級後継艦(ORP)建造事業は2021年に建造開始の予定。要求性能・技術仕様の準備、初期試作作業はすでにジェネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート事業部が着手している。
  3. 全長560フィートで16発のトライデントIID5ミサイルを搭載する44フィート長の発射管を備えたORPはステルスとハイテクの核抑止力として世界の海中で哨戒する設定だ。
  4. 「供用期間を42年に設定し、2080年代まで運用することで生存性が高く信頼性の高い抑止力が実現します」とデイヴィッド・ゴギンス大佐オハイオ級後継艦建造事業主管は2016年のScout Warrior取材に発言していた。
  5. この新型潜水艦はコロンビア級と命名され一号艦は2028年に完成し、実戦哨戒航海は2031年に開始すると大佐は述べている。最終的に12隻を建造運用し、供用は2040年代から2080年代に及ぶ。

戦略核抑止体制の維持
  1. 海軍の説明ではオハイオ級後継艦の任務はあくまでも核抑止力だという。詳細設計は2017年に完了する予定だ。新型潜水艦は核戦争の場合に第二次攻撃(報復核攻撃)を確実に行う手段となる。
  2. 12隻建造で現在のオハイオ級ミサイル潜水艦14隻と交替させるのは新型潜水艦の原子炉が改良され性能が向上するためと海軍は説明している。
  3. このためコロンビア級は現在よりも展開回数が増え、途中での燃料交換は不要になり、42年間連続供用が可能となる。
  4. 「原子炉中核部の耐用年数が伸びて、途中での燃料交換は不要になりました。これで12隻のSSBNで現在14隻で行っているのと同じプレゼンスを維持できます。これだけでライフサイクル換算で400億ドルの費用節約になります。二隻少なくて済むことも大きく効果を上げています」(ゴギンス大佐)
  5. エレクトリック・ボートは海軍と初期試作作業を進めており、ミサイル発射管と艦体を接続している。一体型発射管艦体構造により艦体と溶接し、最終建造の前に主要構造部品を製造する能力を評価することが目標だ。
  6. 2012年にジェネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート事業部へ5カ年18.5億ドル相当の研究開発契約が発効した。契約ではコスト低減とともに建造効率の向上の実現に奨励策が講じられている。
  7. 英米両国はミサイル格納部分の共通化で協力し部品を共同購入する7.7億ドル相当の契約をエレクトリック・ボートと交わしている。米案ではORPは12隻で各16発搭載し、英国は12発のミサイルを搭載する4隻を建造する。

次世代技術の採用
  1. コロンビア級には新技術も盛り込まれるが多くはヴァージニア級からの流用だ。攻撃型潜水艦で実証済みの装備を使いコロンビア級は最新技術を導入しつつ開発費用を節約できるとゴギンス大佐は説明。
  2. 特筆すべきはヴァージニア級で採用済みのフライバイワイヤ操艦システムと大開口アレイソナーだろう。
  3. 従来のソナーは維持費用が高い欠点があったが、大開口艦首アレイは性能が高いがライフサイクル費用は低くなると大佐は説明。「送受波器、聴音機ともに艦の供用期間を通じて交換せずに使えますので運用コストも保守コストも低く押さえられます」
  4. ヴァージニア級攻撃型潜水艦の戦闘システムもコロンビア級に採用される。「電子監視手段」、潜望鏡、無線交信装置とコンピューターでシステムを構成する。(ゴギンス大佐)
  5. コロンビア級では自動操艦のためフライバイワイヤ航行システムがこれもヴァージニア級から採用される。「操舵員はコンピュータに針路と深度を入力するだけでコンピュータのアルゴリズムで両方を維持できます」
  6. またコロンビア級のシャフトは10年から12年の供用に耐える設計で艦の計画保全と同期させるとゴギンス大佐は説明。現在のシャフトは長くても8年というところだという。
  7. コロンビア級にはヴァージニア級の次世代通信装置、アンテナ、マストが導入される。かつての潜望鏡はカメラマストになっており光ファイバーで艦内へつなぎ、潜望鏡の下に立たなくても艦外が見られる。
  8. また新型電気モーターが推進用に導入され推進効率が上がり、戦術面で優位性が上がるとゴギンス大佐は期待する。
  9. 議会では特別予算を編成し、国家海中配備抑止力基金の詳細について議会では審議が進んでいる。コロンビア級に特別に設けた予算で海軍は12隻を建造し2085年以降も供用したい考えだ。
  10. 初号艦は124億ドルとの試算がある。うち48億ドルは初回の技術開発コストで艦の単独での建造費用は76億ドルと海軍は説明している。.二号艦からは2010年ドル価格換算で単価49億ドルでの建造を海軍は期待している。■

Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com.



ヘッドラインニュース 1月11日(水)


1月11日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。



米海軍が接近するイラン警備艇に威嚇射撃
米海軍駆逐艦がホルムズ海峡付近で接近するイラン高速艇に警告弾を発射した。1月8日のこと。USSマハンはイラン革命防衛隊と交信を試みたが返答はなかった。艦載ヘリコプターも飛行し発煙弾を投下した。イラン警備艇は800メートルまで近づいたという。イランと米海軍のにらみ合いはこれまでも発生している。

超小型無人機の大量一括運用実証実験に成功
チャイナレイク上空を飛ぶ三機のスーパーホーネットが合計103機のPredix超小型UAVを放出する実証を昨年10月に行っていたことが国防総省から発表された。戦略性能整備室が海軍と協力して実施した。超小型UAVは群れを形成し、状況に応じ運用できる能力を実証した。Predixはマサチューセッツ工科大学が開発し、軍用投入を目指して改良が進んでいるが全て民生技術で構成している。

パキスタンが潜水艦発射巡航ミサイルのテストに成功
1月9日インド洋でバブール-3SLCMの発射テストにパキスタンが成功した。「水中移動体」から発射したと発表があり同国が運用するアゴスタ級潜水艦を言及している。同ミサイルの射程は450キロ。軍の発表からは巡航ミサイルを核運用し抑止戦力として運用する方針が見えてくる。インドを標的にしパキスタンは中国と共同開発でAIP大気非依存動力を装備した新型Hangor級潜水艦を開発中だ。


北朝鮮ICBMを迎撃するのはどんな場合か
米国は北朝鮮が発射するミサイルを米国同盟国への脅威と感じればこれを撃墜するとカーター国防長官が断言した。米領土あるいは同盟国に着弾する予測があれば破壊するという発言からはミサイルが発射されても太平洋に着水する予測なら米国は手を出さないという意味に取られる。NBCのMeet the Press番組での発言から。


イスラム国内部へ強襲作戦を実施、狙いはISIS指導部
国防総省はシリア内陸部Deir al-Zourに特殊部隊を投入し作戦を実施した。成果は非公表だがモスル攻略並びにゆくゆくのラッカ攻略に役立てる情報の収集が目的とし、IS指導層も標的とした。米軍に被害はなく、イスラム国に死傷者が発生したという。英NGOによればIS戦闘員25名が死亡したという。シリアへはイラク駐留の米特殊部隊200名が人質解放、情報収集、IS指導層の拉致に従事している。


2017年1月10日火曜日

★★2017年は米空軍につらい年になりそう



本来ならトランプ政権で海軍と空軍は別格扱いとなり、実際に海軍は追い風を感じているようですが、空軍はビジネスマンのトランプから見ればあまりにもコストパフォーマンスが悪い実績しか目につかないのか当初から厳しい向かい風に直面しているようです。

2017 Forecast: Air Force Faces Intense Trump Scrutiny

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 06, 2017 at 11:18 AM

Air Force photo
空軍長官デボラ・リー・ジェイムズがマイノット空軍基地へICBM要員を訪ねた
ARLINGTON: 米空軍が大統領に就任前のドナルド・トランプから激しく非難されている。2017年は空軍創立70周年だが、大統領に振り回される年になりそうだ。
退任が近づく空軍長官デボラ・リー・ジェイムズはロッキードF-35共用打撃戦闘機やボーイングのエアフォースワン案件へのトランプの介入に平静を装っているが、明らかに懸念している。
「気になるのは次期大統領が納税者のお金に焦点を合わせていることです」とジェイムズは任期中最後となる空軍協会講演で話している。「それ自体は大事なことだと思う。私自身も三年間同じ思いでやってきました」と長官就任後の姿勢を表現。空軍は「入隊隊員のA1C一等空兵」にさえコスト意識を植え付けようとしているという。
さらにジェイムズ長官は続けた。「普通と違う対応で事業を仕切ることができるのか確信がもてません。でもきっかけは費用面の管理であり、効率性であり、政府決定層の注意をひきつけることになるのでしょう」
長官が論じているのは空軍が費用削減と事業管理の両面で進展を示していることだ。司令部経費を一年で20%も削った事例もあり、通常なら5年もかかって当然の成果だ。また事業運営でも安定効果が現れている例としてトランプが目の敵にするF-35がある。
「費用管理で効率をあげていただくのはとても素晴らしいことですが、誰もが同じ思いなのです」とジェイムズ長官は続けた。「でもF-35の性能に関する限り、私自身が発言しているように素晴らしい性能の機体であり、パイロットなら夢中になる機体であり、必要な機材であり、どうしても欲しい機材です」
ではトランプがボーイングに「価格総合検討」を依頼してF-35の代替機材に期待するF/A-18E/Fスーパーホーネットはどうなのか。「優秀な機体ですが種類が違います。要求内容は全部満足できない機体です。優秀な第四世代機です。これに対しF-35は見事な第五世代戦闘機に仕上がっています」と発言。違いにはステルス性能がないことがあり、これは設計で実現する性能なので後付することができないのだ。
スーパーホーネットとF-35を比較して長官は「りんごとオレンジのようなものです。決定には大きな変革に配慮すべきです。性能検討の最高責任者に相談するとなると空軍参謀総長こそその人でしょうね」
ジェイムズもF-35の事業執行が優れているわけではないと認めた。ボーイングはKC-46A空中給油機の納入を今年後半に控えている。空軍は2016年にB-21レイダーステルス爆撃機調達の契約をノースロップ・グラマンと締結しており、シコルスキー(現ロッキード・マーティン)とはHH-60W戦闘救難ヘリコプター契約を結んでいる。業界には提案要求がJSTARS指揮統制機の後継機種、T-X練習機の二案件で新年直前に出ている。核兵器近代化では地上配備戦略抑止力(GBSD)となるICBMと長距離スタンドオフ(LRSO)の巡航ミサイルがある。新GPS地上局網を構築するOCXもトラブルが続いているが10月にやっとペンタゴンが事業推進を承認した。
OCX復活にこぎつけた裏には国防デジタルサービスDDSによるソフトウェア改善も一因で、アシュトン・カーター国防長官の肝いりで民間ハッカー集団やIT専門家を政府に短期雇用で迎え困難な問題点を潰していったのが大きい。ジェイムズも空軍独自のDDSを立ち上げたところで本人言うところの「おたくサイバーswatチーム」は正式名称を空軍デジタルサービシズチームという。ソフトウェアが連邦調達事業の多くで悩みのタネになっており、OCXしかりF-35でも同様である。F-35は各軍との共同事業なので空軍は自らのおたく軍団を事業管理に投入しないだろう。
ジェイムズ長官が口にしなかったが国防デジタルサービスの関連部門の国防イノベーション組織(実験)と戦略能力整備室があり、ともにカーター長官が注力して生まれた組織だ。巨額予算を投じてきた大型事業と違いこうしたパイロットプロジェクト実施部門には組織内基盤がなく、次期政権が一旦関心を失えばすぐに消滅してしまう。
他には人事面の改良も効果を上げそうだ。トランプは四軍すべての規模拡大を希望しており、最近採択された2017年度国防予算認可法でもジェイムズ長官の人員面での優先順位は、以下順番に
  • まず、無人機パイロットを増員し、新設の「遠隔操縦航空機」部門で過労気味の無人機部隊の負担軽減を図る
  • 老朽化が進む機材の整備部門を増員する。B-52ではエンジンが飛行中に脱落する事件が発生したばかりだ(原因調査は現在進行中とジェイムズ長官は述べた)
  • サイバー専門職として3,000名を州空軍に追加する
  • そして最後に核兵器要員がある。ジェイムズは講演直前に雪に覆われたマイノット空軍基地(ノースダコタ州)を訪問しており、トランプも核兵器更新へ支持をツィッターで表明している
空軍の先端技術も人員があってこそ正しく作動することにかわりはなく、ジェイムズ長官はこれまでもこれからも人材が「最重要要素」だと語っている。■



1月10日(火)のヘッドラインニュース


1月10日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

英空軍がA400M保守管理をエアバスに504百万ドルで一括委託
A400Mアトラス輸送機部隊の維持は410百万ポンドでエアバス・スペースアンドディフェンスに委託する契約が1月5日にまとまった。英空軍が運用予定の22機が対象で契約期間は2026年までとなっている。今回は同社への随意契約だったが今後は競争入札方式に変更するという。同型機を導入する各国も同様の保守整備体制になるかは微妙だ。

オバマ政権最終年度で空爆合計26千回に
オバマ政権が執務最終週に入るが、これまで頑なに地上部隊派遣を減らし、無人機等空爆を重視する政策で本当に米国に対する脅威が減ったのか疑問だ。その中で空爆回数は昨年だけで26,711回に及ぶとの試算が出てきた。対象7カ国でうち24千回以上がイラクとシリア向けで突出している。

フィリピン:ロシアに同盟関係、保護役を期待
マニラに寄港したロシア艦船を視察したデュテルテ大統領が発言した。前日に駐比ロシア大使が両国関係の強化を期待する旨発言していた。大統領は4月にはモスクワを訪問する。今回のロシア艦寄港は海軍間交流の第一歩。米国都の歴史的関係を清算したいデュテルテは人権問題を理由に米国が武器販売を拒むとロシア、中国へ寄り添う発言を公然としてる。

中国の新しいプロパガンダ放送はネットでも視聴可能
かつてのCCTV NewsがChina Global Television Network(CGTN)に模様を変えて、今年から世界に配信されている。英語に加え、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語で放送している。ソフトパワーの手段として世界各地で視聴者を獲得するのが中国の狙いのようだ。YouTubeでもストリーミング中。ただし内容はあくまでも中国政府の推奨するテーマに絞り、西側報道のような視点は見られない。官製メディアの域を脱することは全く期待できないが中国の狙いは明確に反映するのだろう。

2017年1月9日月曜日

★北朝鮮がICBMを完成する前に先制攻撃を実施すべきか



北朝鮮の思考は大戦中のわが国の国体護持と同一で、案外もろいものかもしれませんが、核兵器整備まで進むのはあらゆる国とって容認できるものではなく、イランと並んで頭の痛い問題でしょう。先制攻撃構想は単純な思考でしょうが、魅力があることも事実です。トランプ大統領がどう判断をするのかが見ものです。



The National InterestShould Washington Strike North Korea's Dangerous ICBMs Before It's Too Late?

January 7, 2017


  1. こんな仮定はどうだろう。北朝鮮の独裁者金正恩が朝鮮中央通信を通じいつもの調子で米国がいかに邪悪で嘘まみれかを罵詈雑言とりまぜて演説。20分後、初のICBM発射実験が最終段階に入ったと宣言し予定は一週間後と述べる。演説を受け米情報機関は北朝鮮がICBMを太平洋に向け発射するのは確実と評価。米政府は発射を食い止める唯一の手段は米軍による攻撃と判断し、二日後に米空軍、海軍に実行命令が下る。
  2. まるでハリウッドのサスペンス映画だが、ワシントンの外交専門家の間では北朝鮮が近隣諸国はおろか西海岸なまでと脅威を及ぼすのを防ぐには米国・国際社会には武力行使しか選択肢がないとの見方が強まっている。リンゼイ・グラハム上院議員もその一人で、上院軍事委員会の昨年12月の公聴会で軍事力行使の権限を大統領に与え北朝鮮のICBM完成を阻止するため先制攻撃も必要だ陳述している。
  3. 共和党院内総務ミッチ・マッコネルは黙殺するだろうが、共和党が正式に審議に持ち込めば、民主党上院議員は成立阻止に動くだろう。北朝鮮への先制攻撃は止めどもない被害を生じさせ、百万の兵を有する北朝鮮との全面軍事対決になる予想もあり、金の権力基盤を揺るがすだけに終わらない。
  4. 米軍が先制攻撃した際に金がどう対応するかが予測できないが北朝鮮による報復攻撃の与える損害の大きさは容易に想像できる。グラハム上院議員は失念しているかもしれないが、北東アジアには米軍8万名(日本に55千名、韓国に28,500名)が駐留しており、北朝鮮には標的が8万通りあることになる。在韓米軍は非武装地帯に沿って配備されており容易に標的になる。金が直情的に行動していることは知られており、中距離ムスダンミサイル多数を日本や韓国へ発射するのを自制できるか不明だ。三代目の最高指導者が報復が最善の選択ではないと計算できればよいが、希望的観測は戦略の根拠になりえない。
  5. 次に、北朝鮮ミサイル基地が攻撃を受ければ北朝鮮は核開発交渉に戻れなくなる。北朝鮮指導部との外交交渉の再開はきわめて薄くなっている現状からすれば一旦攻撃を実施すれば北朝鮮が主張してきたように米国が好戦的かつ侵略国家だとの観点が強まるだけだ。北朝鮮ウォッチャーは金正恩は信じられないほど偏執狂だと見ている。張成沢Jang Song-thaekの処刑が示すように政府転覆を図る分子、国家の敵、反逆者を絶えず摘発するのに懸命だ。その中で米国が究極の敵であり、北朝鮮に一度攻撃を加えれば外交は全く役立たずとなるのは間違いない。
  6. 最後になるが、北朝鮮への軍事力行使を支持する向きには孔子の聖句を思い出してもらうのが賢明だろう。力の行使は最後の手段だ。ワシントンのタカ派には反対の論調があるが、北朝鮮との外交交渉はまだ途絶してない。ビル・クリントン政権時代の交渉は包括的かつ究極のアメとなる平和条約を持ち出す代わりにその場しのぎで各論中心だった感が強い。平和条約の話もあったが協議は一回もされていない。オバマ政権の第一期目では覚書の協議があったがごく短期間に終わった、8年間に及ぶ「戦略的忍耐力」の時期とは問題に目をつぶり自然に消えることを願うのみだったのではないか。外交手段が完全に道を閉ざされた場合にのみ米政府に軍事力の行使を選択してもらいたい。実際にはそんなに簡単ではないが。
  7. ジェイコブ・ヘリブランはドナルド・トランプ次期大統領に金と話し合い、「我々の時代に平和」を精緻に構築してもらいたいと助言している。先制攻撃により米軍数万名の生命と韓国全土を危機に追いやるよりはずっとましな選択だろうが、米国と中国の関係には悪影響が生まれるはずだ。■

原著者ダニエル・R・デペトリスはWikistrat Inc.地政学コンサルタント企業のアナリストの他、フリーランスで研究員もつとめる。CNN.com、Small Wars Journal、The Diplomatに寄稿している。
Image: An F-15 Eagle and an F/A-22 Raptor fly in formation. Wikimedia Commons/U.S. Air Force



2017年1月8日日曜日

1月8日(日) ヘッドラインニュース


1月8日のヘッドライン

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空母クズネツォフ帰国の途に付く
モスクワ報道によるとプーチン大統領の命令にしたがい、地中海に展開していた空母クズネツォフ含む海軍部隊が撤退を開始した。

サイバーおたく採用の専門部局を立ち上げた米空軍
民生部門から選抜した専門家によりトラブルが続く兵器開発のソフトウェア問題の解決をめざしている。空軍デジタルサービシズ部門は民間から短期契約で人材を集め、具体的な解決を目指す。ジェイムズ空軍長官は冗談交じりで「おたくサイバーSwatチーム」と呼んでいる。

エリア51でドッグファイトを繰り広げるSu-27が目撃された
11月の好天に助けられ演習空域を外部から収めた写真には、Su-27PフランカーBがF-16とドッグファイトする光景がしっかり写っている。グルームレイクにSu-27が配備されていることは知られていたが飛行中の姿が目撃されるのは稀だ。写真は不鮮明だが機体はロシア空軍塗装。なお、Su-27は民間所有の機体を借り上げ模擬空戦相手に使っているようだ。昼間飛行にはポッドの性能をチェックする意味もあるのだろう。米軍はイスラエル経由でMiG-21も入手しYF-110の偽装呼称で飛行させたこともある。


韓国がレーザー迎撃手段の開発に乗り出す
北朝鮮が飛ばす小型無人機への対策として韓国国防部はレーザーによる迎撃手段の開発を来年から始めると声明。38度線付近で北朝鮮が小型無人機を多数運用していることへの対策だ。北朝鮮は無人機を350機程度保有し、うち武装型も10機程度運用しているとみられる。

★アルゼンチンがフォークランド再侵攻を試みる可能性---日本には何が参考になるでしょうか



1982年のフォークランド戦争は途上国対先進国の軍事衝突、かつ西側陣営内の紛争となりました。アルゼンチンが同様の作戦を実施する可能性は低いようですが、そもそもフォークランド侵攻は国内世論の不満をそらそうと当時の軍事政権が無謀にも実施したものであることをわすれてはいけません。中国、韓国とも領土を巡る対立を抱える日本にも他山の石取すべき事例であり、国内の矛盾を対外戦争で見えないようにするのは為政者の選択肢だということを忘れてはなりませんね。

Argentina Has Three Years to Retake the Falklands

It’s too late for Buenos Aires to rebuild its shattered air force before the U.K.’s new carriers arrive

by ROBERT BECKHUSEN
アルゼンチンは空軍再建を目指しイスラエルからクフィール戦闘機ブロック60の12機ないし14機導入を2017年中に狙う。旧式だが実力のある機材でブロック60はElta製2032AESAレーダー含む近代化もしている。
  1. 英国には現時点では作戦投入可能な空母はないが、一隻だけ匹敵する機能を果たせる艦がある。HMSオーシャンでヘリコプター空母だ。大型空母二隻を建造中だが、一号艦HMSクィーン・エリザベスが戦力化するのは2020年まで待つ必要がある。
  2. だが2020年時点で英軍用のF-35Bで実戦投入できる機材はごく少数だろう。2023年に24機で飛行隊が2つそろうとアルゼンチンには面倒な存在になる。
  3. アルゼンチンはなぜイスラエルから戦闘機調達を急ぐのか。当然自国領空の防衛のためだが、フォークランド諸島の支配をめぐり英国に再度挑戦する意向もあるのだろう。前回の侵攻作戦は1982年でアルゼンチンは敗退させられた。
  4. そうなるとアルゼンチンがフォークランド諸島奪還に使える時間は三年程度となる。クィーン・エリザベスの戦闘飛行隊が整備されるまでだ。
  5. とはいうものの再侵攻の可能性はきわめて低い。紛争後、英軍は大幅に戦力を縮小したが、アルゼンチン国軍はもっと惨憺たる状況だ。クフィールを導入しても再奪還の条件は整わないだろう。
  6. フォークランド戦争でアルゼンチン空軍は三分の一と機材多数を失い、紛争後も未だに戦力は回復していない。それでも現在のアルゼンチン空軍はラテンアメリカで最新鋭の戦力だが機材は三十年間放置され1990年代の経済崩壊で空軍は機材調達機能を喪失した。
  7. 再度侵攻はしないとの姿勢を示すマウリシオ・マクリ大統領は英国と関係回復を模索しているがアルゼンチンは今でもフォークランドを自国領と主張し、マクリ政権でもその主張に変わりはないが、軍事衝突の可能性は一層減ってきた。
英空軍のトーネード戦闘爆撃機。フォークランド諸島内のマウント・プレザント英空軍基地。撮影2007年、英国防省写真。
  1. アルゼンチン空軍の主力機はシュペール・エタンダールと亜音速のスカイホークと旧型機が飛行できない状態になっている。ミラージュIIIの最後の一機は2015に退役している。
  2. このためアルゼンチン防空の主役は30機あるプカラ対地攻撃機や少数のトゥカーノ、パンパ多用途練習機各型しかない。紛争の可能性に備えてアルゼンチンは高性能ジェット戦闘機と訓練済みパイロットが必要だ。
  3. 英国がフォークランドのマウント・プレザント基地に常駐させるのはユーロファイター・タイフーン2機ないし4機しかないが、地上には対空ミサイル陣地があり、英本土にはタイフーンが100機、トーネード多用途戦闘機が76機控えている。
  4. アルゼンチン陸軍には装備品が不足するとともに銃、弾薬、対戦車ミサイルが堂々と盗まれ闇市場に流れる問題もある。
  5. アルゼンチン空軍が再建されフォークランドの英空軍基地が侵攻部隊により無力化される事態を恐れて英国はクィーン・エリザベス級正規空母で航空優勢を確保しようとすれば、1982年のHMSハーミーズ及びインヴィンシブルで行った作戦を繰り返すことになる。
  6. ただしアルゼンチンの「兵力投射能力はきわめて限定的」と国際戦略研究所は2016年版報告書でまとめており、クフィールが10機ほど加わったところで状況は変わらない。空中給油なしではフォークランド上空に数分間しか残れない。アルゼンチンの空中給油機はハーキュリーズ改装型が二機あるが能力不足だ。
  7. イスラエルがアルゼンチン向けクフィールに希望通りの兵装を加えて提供する保証もない。アルゼンチンは海面すれすれを飛ぶゲイブリエルIII対艦ミサイルによる英海軍攻撃を希望している。またクフィール売却には米国の承認も必要だ。同機が米国製J-79エンジンを搭載しているためだ。だが決して不可能ではなく、米国もこれまでアルゼンチンに装備売却の実績がある。
  8. そうなるとアルゼンチンが同戦闘機を導入しても35年前の戦力水準には程遠い。アルゼンチンの機材が揃い、パイロット養成も順調に進んでも英空母群が艦載機とともに姿を表わすことになる。
  9. それに英軍の守備体制はも当時はわずかばかりの歩兵しかなかったのと比べれば小部隊といえども大きく変化している。増援部隊を受け入れる空軍基地も構築した。
  10. アルゼンチンの軍用輸送船は1982年当時の水準を大きく下回りフォークランドへ部隊を十分輸送できない。
  11. それでもアルゼンチンは知恵を絞れば英艦船の攻撃は可能だ。2016年2月にはエグゾセ対艦ミサイルの改良型を試射して、標的艦を破壊している。中国に習う戦略も可能だ。中国は南シナ海に着々とプレゼンスを築いている。
  12. とはいえフォークランド諸島の占拠、英艦艇に脅威を与えることの2つは同国には困難なままだ。■


2017年1月7日土曜日

ヘッドラインニュース1月7日(土)


1月7日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


F-35はロシア、中国の防空網での有効性をこうして試されている
2030年代2040年代にかけてF-35を第一線作戦機材としたい米空軍は中国、ロシアの最高度の防空体制をシミュレーションして同機の有効性を試している。想定される相手国のSAMをデジタル化してシミュレートしていると米空軍は説明。またロシア製中国製防空装備を導入する国との対立も想定せねばならない。ハイテク、ハイエンドの脅威に対抗するためにモデリングとシミュレーションが一層重要になっているという。

E-2Dが日本へ来月やってくる
空母搭載早期警戒飛行隊(VAW)125タイガーテイルズは岩国海兵隊航空機基地に2月前方配備される。同隊は、NIFC-CA海軍統合火器管制防空体制で初の配備部隊としてテディ・ローズヴェルト空母打撃群に所属していた。交替となるのはVAW-115リバティベルズでE-2Cとともにカリフォーニアへ転属となる。E-2Dは海軍が進めるネットワーク化戦力の要となる機材だ。

新政権誕生でCIAは冷遇される
トランプ次期大統領はCIAと国家情報長官官房を縮小、リストラする意向であるとウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。理由はともに組織が肥大化していること、政治的な思惑に動かされていることだとする。トランプの政権移行チームは情報機関が政治に左右されている傾向を指摘。

次期戦略ミサイル潜水艦コロンビア級の実現が一歩近づく
マイルストーンB審査を通過し、今後詳細設計に入る。ケンドール副長官(調達)が調達決定文書に署名した。コロンビア級の単価は80億ドルといわれる。マイルストーンB段階は昨年8月から開始されていた。

ヴァージニア級は最強の潜水艦だ



なるほどこれだけの威力のある潜水艦が安々と沿岸近くに進出するのでは中国は枕を高くして眠れませんね。トマホークミサイル、魚雷、機雷、シールズ、さらに無人水中機(この前中国が強奪したような観測用のものではありません)を運用するとなるとやはり艦体が大きくなりますね。ロサンジェルス級がすっかり性能不足に見えてしまいます。

The National Interest

The Virginia-Class Submarine Is Arguably the Best in the World (And the U.S. Navy Wants More)

January 4, 2017


米海軍は新型ヴァージニア級攻撃潜水艦の建造を加速しロシアや中国の水中戦力の増強に呼応していく。
  1. Scout Warriorの特別取材に対し海軍は産業界とともにオハイオ級後継艦建造事業によるミサイル原潜の建造が2020年代に始まる段階でヴァージニア級潜水艦を年間2隻建造できる能力を実現したいと述べた。
  2. 年間2隻のヴァージニア級建造能力は現状を打破しないとオハイオ後継艦の建造が始まる2020年代初頭には一隻に減るとみられるのだ。
  3. 前水中戦部長チャールズ・リチャード少将はScout Warriorの取材で戦略需要と産業構造の特別考察研究の課題は議会に提起したと述べている。
  4. 「産業基盤としてオハイオ後継艦が始まってもヴァージニア級二隻建造できるということです。この実現に向けて懸命に努力しているところです」
  5. リチャード少将は構想の実現には議会による予算配慮と追加的な開発が必要だとし、実現させるだけの能力があると初めて公言したのだ。ヴァージニア級の調達が成功していることも潜水艦建造隻数を増やせるとの見込みに後押ししている。
  6. 「各艦が予定工期より早く完成しており予算以下でおさまっている。このことから2021年でもヴァージニア機2隻体制が実現する可能性が見えてきた。2025年になると任務内容を実現できる隻数が確保できなくなるので今が最後のチャンスというわけです。
  7. かねてから潜水艦建造能力について疑問があっただけに少々の発言は特別に価値があり重要だ。
  8. かねてから海軍上層部は2020年代中頃に潜水艦が不足すると主張し、もっと攻撃型潜水艦が必要でロシアや中国からリードを保てないとしてきた。
  9. 米海軍で潜水艦が不足する事態は中国が米本土を潜水艦ミサイルで攻撃する能力を向上させている中で重要度をましている。当然ながら海軍は技術優位性を水中でも維持したいとするが、今後は各国からの追い上げが見られるだろう。
  10. 「中国は米本土を直撃する能力を有しています。その能力を有する二番目の国になりました。二国が能力を整備したため戦略抑止力の意義が一層次重要になっています」(リチャード少将)
  11. ヴァージニア級で採用の技術には静粛化技術、大開口艦首ソナーならびにトマホークをヴァージ二ア・ペイロードモジュールに搭載して威力を増したことがあり、米海軍潜水艦に接近阻止領域拒否体制を整備する敵性国家による挑戦への対抗能力を与えている。
  12. ヴァージニア級潜水艦は海軍とエレクトリック・ボート(ジェネラル・ダイナミクス子会社)とニューポート・ニューズ造船(ハンティントン・インガルス工業)の協力協定により建造が進んでいる。それぞれが艦の一部を「モジュール」として建造し、一体化して完成させている。
  13. 造船関係各社の幹部はこの方法を十分可能と評価し、海軍が求める建艦計画には協力していきたいと意向を述べている。

なぜ攻撃型潜水艦がもっと必要なのか:
  1. 建艦ペースを速めるとヴァージニア級が太平洋艦隊にもっと配備されることになる。
  2. 太平洋方面総司令官のハリー・ハリス大将は議会に対し潜水艦の増強を求めた。「太平洋こそ潜水艦がもっとも戦力を発揮できる場面だ。ヴァージニア級について言えば、今ある装備では最高の存在だ。潜水艦は不足している。要望水準に達していない」と議会で述べた。
  3. 技術優位性と次世代ソナーを備えた同級潜水艦は重要な情報収集監視偵察活動を水上艦なら接近も出来ない海域でも実施できる。このためヴァージニア級攻撃潜水艦は接近阻止領域拒否と呼ばれる動きへの対抗策としてはなくてはならない存在とされ、敵側がハイテク装備やセンサーで米軍の活動を戦略的に重要な地帯で封じ込めるのに対抗できる希望を与える。
ヴァージニア級攻撃型潜水艦の技術的特徴:
  1. ヴァージニア級潜水艦は高速攻撃潜水艦としてトマホークミサイル、魚雷の他にミッション装備各種を搭載している。対潜戦、攻撃任務、機雷敷設、ISR(情報収集監視偵察)、対水上艦攻撃、特殊作戦用に隊員を敵地に侵入させることが含まれるとの説明だ。
  2. ロサンジェルス級と比較するとヴァージニア級が沿海部での戦闘用に大幅に戦力を向上させていること、監視や公海での能力を増強していることを海軍は説明している。
  3. たとえばソフトウェアコードと電子装備で航行でき、細かい操作に人員の手を必要としないので大幅に時間と労力を節約できる。
  4. 「電子的に操艦できるので沿海部や潜望鏡深度で柔軟性が増えて従来より長期間に渡り探知されないまま活動できます」とヴァージニア級攻撃潜水艦開発に当たったデイヴィッド・ゴギンス大佐が以前発言している。(なおゴギンス大佐は現在オハイオ級後継艦建造事業の主管)その発言内容は数年前のものだが依然正確でヴァージニア級の建造を進める根拠にもなっている。
  5. 「フライバイワイヤ」機能で浅深度の海域でも静粛を保ったまま留まる事が可能で人力操艦の場合のようにつど浮上したり微調整が必要ないとゴギンスは付け加えている。
  6. また以前の級と異なるのはヴァージニア級には「ルックアウトトランク」と呼ぶ特殊作戦部隊用の区画が組み込まれており、潜航中に浮上せずに部隊を運用できる。
  7. 「シールズや特殊作戦部隊はルックアウトトランクに入り、海水を入れ潜航中に発進しても探知されないが、以前の潜水艦ではこれは無理だった」(ゴギンス大佐)
  8. ブロックIIIのヴァージニア級潜水艦には大開口ソナーの一体型アレイソナー装備が付く。音響音を発信して返ってくる信号から敵艦の位置や形状を把握する。
  9. これまでヴァージニア級は10隻以上が海軍で運用中で7隻が建造中だ。他の調達事業と同様にヴァージニア級でも「ブロック」型式になっている。
  10. ブロックIとIIで10隻を建造し、全艦が納入済みだ。またブロックIIIの最初の艦はUSSノースダコタとして引渡し済みである。
  11. ブロックIIIでヴァージニア・ペイロード・チューブと言われる装備が搭載され艦体価格を引下げながら戦略的意義を向上させている。
  12. 以前のヴァージニア級では直径21インチの垂直発射管12本でトマホークミサイルを発射できるが、ブロックIIIは87インチ発射管二本を搭載し、それぞれにトマホークを6発搭載する。
  13. 「発射管には油圧機構と電子装備があり、ブロックIIIでは発射管が12本から2本になりました。これで製造がずっと用意になりました」(ゴギンス大佐)
  14. 新型発射管は海軍が「価格に応じた設計」と呼ぶ戦略で費用圧縮を狙ったもので同時に戦略的な優位性を各艦で実現するものと海軍は説明。
  15. 「将来はトマホーク以外に別の兵器も搭載できるようになります」(ゴギンス)
  16. ブロックVになると海軍は新型97インチ長の部分で追加ミサイル搭載を実現すると期待している。この「ヴァージニア・ペイロードモジュール」(VPM)の技術性能開発要求はすでに文書化されている。VPMではモジュールとして潜水艦の艦体を追加してトマホーク・ミサイル搭載を12本から40本に増やす。
  17. トマホーク追加搭載の実現は2026年に実現する見込みで、SSGNに転換したオハイオ級誘導ミサイル潜水艦部隊が退役始めるまでに実現したいとゴギンスは述べる。
  18. 海軍技術部門が要求性能の実現に向け作業中で新型70フィートのモジュールでトマホーク換算28発を新たに搭載できるという。
  19. トマホーク搭載を想定しているが、VPMでは新型ミサイルやペイロード、さらに無人水中機も搭載できるようになると海軍は説明。
  20. VPMの狙いは明白だ。2020年代に入ると海軍はオハイオ級大型誘導ミサイル潜水艦四隻の退役を始める。各154発のトマホークミサイルを発射可能で、退役で水中発射能力が大幅に減少していく。
  21. 2002年から2008年にかけてオハイオ級の最古参四隻が通常兵器のみの運用に改装された。USSオハイオ、USSミシガン、USSフロリダ、USSジョージアの各艦でSSGNの呼称がついた。
  22. 「2020年代にSSGNの引退が始まるとそのまま何もしなければ海軍は水中攻撃発射能力の60%を失うことになる。そこでVPMの設計が始まったのであり、2019年に建造が始まれば60パーセントの喪失は2028年時点で40パーセント減少に変ることになる。VPMを手に入れることで火力の喪失を抑えることになるというわけだ。そのためVPM実現を急ぐ必要があり、なんとかその40パーセント喪失を緩和したい」(ゴギンス大佐)
  23. ブロックVでは円筒状構造を艦体中央に差し込み全長が増え、ペイロード性能が追加される。ブロックVの一号艦の建造は2019会計年度に始まると海軍は説明。
  24. VPM試作品の製作はすでに始まっており、製造を加速化したいというのが海軍上層部の希望だ。実現すれば潜水艦の火力は相当向上する。
ヴァージニア級調達の成功の要因:
  1. ヴァージニア級潜水艦の基本計画では30隻を建造することになっている。ただしこの規模が増える可能性を海軍関係者の多くが口にしており、海軍の公式な30年計画の建艦事業案でも迅速な建造ペースを求めている。
  2. 現在建造中の各艦は2008年12月22日付け契約で8隻建造する内容にもとづいて進行中だ。ヴァージニア級建造の契約三号がブロックIIIで艦体番号784から791で140億ドルの複数年度調達事業になっている。
  3. 複数年度契約にすることで費用圧縮と建造期間短縮を狙い業者には付属品を潜航調達し、生産活動を安定化させる効果を複数年に渡り期待できる効果がある。
  4. ブロックIVの最初の艦も建造中だ。USSヴァーモントとUSSオレゴン。海軍はジェネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート部門とハンティントン・インガルス工業のニューポート・ニューズ造船に176億ドル契約でブロックIV艦10隻を建造させ、最終艦は2023年に納入との条件をつけた。
  5. 設計変更には推進器の素材変更があり、ブロックIV各艦では定期補修まで96ヶ月までの航行が可能となる。
  6. これにより運用コストとともに保守維持コストはブロックIVでずっと低くなるとともに追加配備期間を務めあげることが可能となる。これで同時に配備可能なヴァージニア級の隻数が14から15になると海軍は説明している。
  7. さらに建造期間の短縮が可能となり、費用を引き下げながら引き渡しを予定より前倒しで実現しているとゴギンス大佐は述べる。これまで予定の工期以前に引き渡しとなったヴァージニア級は少なくとも六隻あると海軍は説明している。
  8. 現在の年間二隻建造体制は遡れば2005年に当時の海軍作戦部長マイク・マレン大将が提起した課題を実現したものだ。前述したように日程をさらに加速化する検討が進んでいる。
  9. マレン大将は同級の建造事業に対して20パーセントの費用圧縮を求め、その分でVCSを年間二組製造できるとしたのだ。これにより単艦費用は400百万ドル程度引き下げられた。
  10. この実現の裏には多数の努力があり、海軍が業界と手を組んで建艦方法の改革に予算を回したこと、生産費用圧縮に効果のある技術に投資をしたことが中でも大きい。その他の費用圧縮要因には複数年度契約があり、生産を合理化し、作業工程を圧縮しながら事業経費を引き下げることに成功した。
  11. 米海軍はヴァージニア旧潜水艦の全体規模を説明する文書作成に取り組んでおり、最終的には51隻にまで引き上げたいと関係者は述べている。
Kris Osborn became the Managing Editor of Scout Warrior in August of 2015. His role with Scout.com includes managing content on the Scout Warrior site and generating independently sourced original material. Scout Warrior is aimed at providing engaging, substantial military-specific content covering a range of key areas such as weapons, emerging or next-generation technologies and issues of relevance to the military. Just prior to coming to Scout Warrior, Osborn served as an Associate Editor at the Military.com. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at CNN and CNN Headline News. This story originally appeared in Scout Warrior.