2017年10月30日月曜日

防衛体制の今後、甘い期待の日本が米国に梯子を外される日



あくまでも現状の延長線を予期する日本側に対して米国はもっと先の選択肢を想定しているようです。都合よく考える日本側の論理(例 なぜ国境から遠く離れた地点の事態に日本が巻き込まれる必要があるのかとの一部野党主張)はどんどん現実からかい離していくとわかります。世界の(特に米中の)考え方を日本が正確に把握したうえで重大な決定をしていく必要があります。なかでも憲法改正特に第九条改正が待ったなしに思えるのです。日本のこれからの方向性は過去の延長線ではなく、あらたに設計する未来の設計図にあると思います。


Time to Let Japan Be a Regular Military Power

日本に軍事力整備を許す時が来た
American officials have forgotten the purpose of alliances: defense, not welfare. 米側は同盟関係の根本目的を忘れている。防衛であり、安泰ではない。
A Japanese Ground Self-Defense Force soldier takes part in an annual training session at Higashifuji training field in Gotemba, west of Tokyo, Japan August 24, 2017. REUTERS/Issei Kato
October 29, 2017


  1. 日本国民は安倍晋三首相を支持していない。首相には別の人物に務めてほしいと考えている。だが連立政権は衆議院選挙で三分の二議席を確保した。安倍首相はこの勝利をてこに防衛面での対米依存を終わらせることが可能だ。
  2. 第二次大戦終結後70余年たつが日本には先の戦争の負担がまだ残り世界における役割に制約が残っている。だが中国や北朝鮮の脅威が日本に向かい日本は積極的な外交防衛政策の採用を迫られている。しかるに米国が残した「平和憲法」がいまだに日本の手を縛っている。第九条が軍事力保有を禁じているのだ。
  3. 米国は大戦中のソ連との同盟関係の解消と中華人民共和国(PRC)の出現で態度を逆転し、日本の再武装化に理解を示すした。日本の政策決定層は憲法解釈により「自衛隊」(SDF)を創設した。現在も日本政府は憲法を変更せず戦争への強い嫌悪を示す国民とともに軍事支出に上限を課し、SDFの役割も変更していない。日本には都合いいことに米国が防衛してくれた。
  4. 日本の隣国は戦時中の日本軍の残虐な占領の記憶が残り、ワシントンが日本の完全軍備化を妨げたことを歓迎した。アメリカが「瓶のふた」の役目をしているといみじくも言ったのは海兵隊のヘンリー・スタックポール大将Marine Corps Gen. Henry Stackpoleである。日本に友邦国がないわけではく台湾がその例だが、韓国、フィリピン、中国、オーストラリアはおしなべて日本の安全保障面での役割拡大に警戒的だった。さらに二十年間の日本経済の不振でSDF予算の大幅増は困難だった。
  5. それでも日本は相当の実力のある軍事組織を整備している。予算支出は昨年は500億ドル近くになった。陸軍部隊は小規模ながら海軍空軍部隊は相当の能力があり近代装備を保有している。だが外部脅威は日本の支出規模を凌駕している。
  6. PRCは日本の四倍の軍事予算を使う。さらに核兵器も保有している。過去二回の対日戦では無力だったが、現在の軍事力は着実に伸びており、日本との差は開くばかりだ。東京のテンプル大学のジェフ・キングストンJeff Kingstonは「軍事競争では一方的に中国が有利だ」と解説している。チャイナデイリーUSA版は「好戦的な阿部」が軍事支出を増やしているが「日本にここまでの軍事装備は安全保障上不要だ」と述べている。
  7. 北朝鮮は別の課題だ。平壌の通常軍事力は朝鮮半島外に展開する能力は皆無に近いが、核兵器を整備中であり、化学生物兵器もある。ミサイルで日本を容易に標的にし米国同盟国も狙われる。
  8. 安全保障環境の悪化が日本に圧力となっている。安倍首相は2012年就任後から日本に強い役割を模索している。防衛予算増、新型兵器の導入、SDFの一層広い役割を提言し、自衛隊はイージスアショアミサイル防衛装備、トマホーク巡航ミサイル、F-35戦闘機を主な関心対象とする。
  9. 2014年には第九条の解釈変更で限定的ながら「集団的安全保障」に道を開き、攻撃を受けた米軍への防御が可能となった。日米防衛協力ガイドラインも翌年に変更している。
  10. こうした変更は論議を呼んだが内容は中途半端である。集団的安全保障は合憲と解釈されるようになったが、極めて狭い範囲での実施しか想定していない。道下徳成政策研究院大学院大学教授は新措置では日本自体の安全が危険にならないと米艦船の防御はできないと見ている。さらに日本政府は第九条改正を実現していない。このため軍事行動の選択肢は狭まったままだ。インディアナ大のアダム・P・リフAdam P. Liffは「憲法改正がないままだと一層大規模に第九条の解釈を変更しようとるか、日本の軍事力の海外展開は国内政治再編でもない限り実現不能のままだろう」と述べる。
  11. 安倍首相は北朝鮮への対抗を名目に変更を推し進めようとし、有権者の恐怖を利用した。選挙公約を念頭に安全保障関連で政策推進を一層強く加速するかもしれない。リフは「憲法第九条の解釈の変遷は戦略環境や国内政治の動静が大きく推進してきた」と述べている。小野寺五典防衛相は防衛装備品取得のガイドラインに手をつけ、巡航ミサイル等の新兵器導入を検討し敵基地攻撃能力の整備を検討するとの発言があった。政府は再び憲法改正の政治課題を俎上に載せそうだ。国内エリート層には核兵器取得の検討も見られる。
  12. ただしこうした変更に対する抵抗も熾烈だ。連立政権の相手公明党は安倍の動きに加わることに及び腰だ。財務省は巨額政府債務を軍事支出増の反対理由に挙げる。憲法改正に向けた首相の努力は支持率低下につながったが金正恩の無謀な動きで助けられた格好だ。国民も揺れ動いているがまだ時は熟していない。「日本国民はまだ決心していない」とMIT国際研究センターのリチャード・サムエルスRichard Samuelsは述べている。
  13. さらに憲法の制約を緩和する努力が不十分だ。政府が部隊構成や外交政策を変更すれば支出増とともにリスク増大も覚悟する必要がある。だが劇的な変化は可能性が低い。安倍政権は米国の安全保障の約束がこのまま続くのか確信を持てないようだ。だからといって日本が防衛責務を全部負担するつもりはない。一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの船橋洋一からは「米国の日本防衛への取り組みが弱体化する」可能性を上げてこの動きにくぎをさす。
  14. 対照的に安倍政権は従来以上のコミットメントを米国に求めている。匿名条件で外務省関係者は「戦略的環境は従来より厳しく、一緒にどう対応するのかを検討せざるを得ない」と述べている。つまりワシントンと一緒にいうのだ。「米国には防衛姿勢を再確認してもらいたい。核抑止力も含まれる」と小野寺防衛相は日米閣僚級会合で発言している。「北朝鮮の脅威を念頭に揺らぐことのない米国のコミットメントを抑止力強化に向けることを確認した」
  15. ワシントンも対応している。8月の日米安全保障協議委員会(いわゆる2+2)の共同声明では両国が「日米同盟のさらなる強化に向けた具体策とアクションの展開の意向を共有した」と述べ、「在日米軍の安定したプレゼンスの維持」を含むとした。同席したティラーソン国務長官からは両国が「日本防衛のため米国の大幅な抑止力が大きな意味を果たし、アジア太平洋地区での平和安定にも役立っている点を強調した」と解説していた。
  16. 米国の関与を深めようと日本は北朝鮮への国際社会の一層の対応を後押しした。河野太郎外相は北朝鮮が「非核化への姿勢を明白に示した」ことへの対応とし「対話はない」と発言。安倍首相は「北朝鮮に前例のない高いレベルの圧力をかけ同国の政策を変更させる」と主張し、各国は協調して北朝鮮への「物資、資金、人員、技術の流れを止めて核ミサイル開発を阻止する」べきと主張。さらに必要なのは「対話でなく、圧力」と、ワシントンが主張する「すべての選択肢」がテーブルにある、つまり戦争についても支持を表明した。
  17. このように強硬な政策を示す日本として国力相応の軍事力整備が適当になろう。しかし道下教授は「防衛とはリスクヘッジであり、完全な防衛体制を整備しようとすればとんでもなく大きな予算が必要となる」と懸念を示す。日本政府の視点からすれば米国に任せればいいのになぜ自分で支払う必要があるのかとなるだろう。
  18. 日本政府の戦略は日本には良いが米国にはそうはいかない。米政府関係者は米国民に負担をさせながら覇権をもて遊ぶ立場だがドナルド・トランプ大統領は違う見方をしている。二年前のトランプは中国の脅威について聞かれてこう答えている「もしこちらが一歩引けば、米国の同盟国は自国防衛を充実させるのではないか」「どうしてこちらが各国を守る必要があるのか」ただしそれ以降本人は前任者の路線に方向転換しており、本人が忌み嫌うバラク・オバマも例外でない。
  19. もちろん、米国が東アジアに駐留するのは米国自体の安全保障のためと説明する向きがあろう。ただしそれは第二次大戦終結時の話だ。冷戦は終了した。ロシアが旧ソ連に代わり、日本は経済復興を遂げた。日本には自国防衛能力は十分整備できるし、隣接国と協調すれば地域大の安全保障態勢が生まれる。
  20. 一部にはさらなる日本の役割を期待する向きがある。ディヴィッド・フェイスDavid Feith はウォールストリートジャーナルで在日米軍5万人は「ワシントンで一番価値のある地域内紛争抑止効果」と述べている。そのほかにも同様の主張をする向きがあるが支持は得られていない。米軍が予防するという戦争はどんなものなのか。
  21. 中国と日本は尖閣諸島をめぐり対立中だが今すぐ開戦する状況ではない。だが武力衝突が発生したらどうなうか。豊かな日本が発生抑止に動かないはずがない。沖縄駐留の海兵隊遠征軍は日中戦というより朝鮮半島対応を想定しており、韓国が補助する想定だ。さらに中国台湾間の衝突をワシントンは回避する必要がある。台北は良き友人だが核装備している大国との戦いに巻き込まれる価値はない。台湾防衛に携わるより台湾を武装させる方がよい。
  22. これ以外の可能性は米国が完全に距離を置くべき小規模武力衝突となる。ミャンマー、タイ、カンボジア、ヴィエトナム、インドネシア、マレーシア他で戦争・衝突・崩壊の組み合わせで事態が発生するかもしれない。各事案で犠牲者が発生し不安定化が生まれるだろうが、米国の根源的な利益が危険になる事態ではなく、軍事介入の正当化はできない。アメリカがすべての問題解決にかかわる必要はない。
  23. 日本は自国防衛を全面的に進めるべきだ。だが日本の通常防衛力のみに責任を期待するのでは不十分だ。米国は核の傘を再考すべきだ。日本防衛で米国は東京防衛のためロサンジェルスを犠牲にするリスクを負っている。北朝鮮が米本土を直撃する能力を整備しても米国は無謀な動きに対抗して行動するのみだ。
  24. 明らかに米国は報復力で攻撃を抑止しようとしている。もし歴史上に見られるように抑止力にほころびが出ると戦闘は米本土に及ぶだろう。日本の軍事力整備力を考えればこのリスクを取るのは健全でない。日本国民は核戦力整備には抵抗があろうが、わずかな危険の可能性で防衛支出は米国が自国民に費用負担させる間は最小限に抑えられる。存亡のため今以上の努力が必要と理解できれば、日本は今と違う路線を選択するだろう。
  25. 残念ながら米関係者は同盟関係の意義を忘れてしまっている。安泰ではなく防衛だ。ワシントンは米国防衛のために条約を結ぶべきであり、他国防衛が目的ではない。第二次大戦後の米国は友邦国を専制勢力から適度に防御してきた。この戦略自体は成功してきたが、もう過去の話だ。ワシントンは外交政策で調整を必要としており、軍事力も呼応させるべきだ。今や強力で成功している米国の同盟国が十分に機能できる。米国は各国と利害が一致する範囲で協力を続け、各国では対応できない脅威に目を光らせばよい。各国で可能な内容を米国が自分で実行する必要はない。
  26. 米関係者は日本政府にいちいち指示するのはやめるべきだ。日本国民は自国の権益を考えて国防外交政策を決定すべきであり、アメリカの要望を満足させるのが目的ではない。ワシントンは意向を伝えるだけでよいのでありもっと大事なのは望まないことを伝えるべきだ。つまり安全の保証ではなく、部隊配備せず、日本のために戦闘に入る約束も不要だ。
  27. 米国は70年余も世界の警官の役目をはたしてきた。世界はその間に大きく変化している。そのため米国の政策も日本関係含め変更すべきだ。安倍首相は日本防衛で対米依存を一層強化する姿勢のようだ。ワシントンは逆に安全保障で自立化を日本に諭すべきなのだ。■
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is the author of several books, including Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World (Cato Institute) and The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea (co-author, Palgrave/MacMillan).
Image: A Japanese Ground Self-Defense Force soldier takes part in an annual training session at Higashifuji training field in Gotemba, west of Tokyo, Japan August 24, 2017. REUTERS/Issei Kato​


「F-19」と謎の米軍部隊記章



なにかと極秘機材の話題が好きな当ブログですが、ノースロップの存在がいつもつきまとっていますね。それはそれで楽しいのですが、どうも噂の域を超えないようですね。しかし火のないところに煙はたたず、ということもあります。あと数年して機密解除される可能性がないとはかぎりません。



This USAF Intelligence Squadron's Insignia Appears to Show the "F-19 Specter"

米空軍情報隊記章に「F-19スペクター」がついている

It's officially a "generic" airplane, but it sure looks like someone got their inspiration from the fictitious design.

「一般機材」という公式説明だがどこでデザインを拾ってきたのか

DOD INSIGNIA
BY JOSEPH TREVITHICKOCTOBER 23, 2017

  1. 部隊記章には風変わりもの、ぱっとしないもの、問題になりかねないものがと同時に部隊の歴史や任務に関し重要かつ興味深い洞察を与えてくれるものがある。そのひとつに「F-19スペクター」ステルス戦闘機を題材にした記章がある。
  2. アラバマ州軍の第117情報隊の公式記章では衛星ビームが南北アメリカを照らし、F-19Aと思しき機体が信号波を発信する形にまとまっている。州軍航空隊の公式歴史管理局および米陸軍紋章記録所によればこの記章は1989年制定で、当時の第117偵察技術隊のものだ。
  3. 記章の公式説明は以下の通りだ。
「青と黄は空軍の色。青は空で空軍の活動場所で、黄は太陽であり、空軍人員に求められる優秀さを意味する。地球は世界規模での当飛行隊の運用技術を意味する。機体は飛行隊の有する空中監視偵察能力を体現している。衛星は偵察と情報を遠隔地から入手する技術の象徴だ」
  1. 州軍航空隊公式歴史部によると機体は「架空」のもので特定機材を意味する意図はないという。空軍の上位方針ではこれは正しい措置で時を超えても有効な記章にすべく、新機材導入があっても変更を不要にする措置だ。
  2. だがデザインが大衆の信じるF-19Aに酷似しているのは単なる偶然なのか。もちろんスペクターが実在する証拠でもない。事実はその反対だ。
  3. 話の全体像をご存じない方には1980年代に空軍が米軍の戦闘機公式呼称で「19」を飛ばしていることをお教えしたい。F-16はYF-17を破り採用され、その次にF-18が生まれF/A-18になった。
NORTHROP/LORAL
一番詳細なのがロラールのF-19スペクター・ステルス戦闘機の構想図だ。だがあきらかに作者の想像の産物であり、同社技術陣のインプットではない。
  1. だが1982年に空軍は機体呼称制度を使いノースロップ・グラマンのタイガーシャークをF-20と命名している。するとただちにF-19の存在を観測する動きが出て、想像の最大公約数が噂に上っていたステルス戦闘機だった。その6年後に同機はロッキードF-117ナイトホークとして登場したが、極秘機が別に存在すると信じられるようになった。
  2. だが正体は暴露されている。民間航空研究者のアンドレアス・パーシュは自身のdesignation-systems.netで公式文書を引用し、F-19が欠番になったのはノースロップの要請をおもんばかったためと解説している。タイガーシャークの国際販売をもくろんだ同社がF-20名称にこだわったのはMiG-19と混同を防ぐためでソ連が奇数の機体名称を採用していたからだ。
USAF
ノースロップF-20 タイガーシャーク
  1. 果たしてこの話題があったのか疑わしいが、米軍の航空機ミサイルの制式名称には例外が多く標準形と異なる例も多いし、順番でないものやマーケティングや政治配慮のために変えられた型式名がある。好例がC-130JハーキュリーズとC-27Jスパータンの関係で実際に両機はシステム上の共通項もエンジン含め多い。このため空軍はアルファベット8文字を飛ばしてA型のかわりにJにした。
  2. 別のステルス機が存在し途中で使われなくなった可能性は極秘の世界なら考えられる。戦場上空を飛行しながら探知されず奥地まで侵入できる機体が影のステルス機発達の歴史で存在したのかもしれないし、1990年代後半に現れたタシットブルー/BSAX実証機や同様のミッション内容を持つ無人機との間に存在するギャップを埋める機体なのかもしれない。だが同機が信じられているようなF-19の姿だったのか、そもそもF呼称がついていたのかも不明だ。
F-19 広告のひとつ

  1. 別の可能性として米空軍、情報機関、ノースロップが結託してF-20の呼称を採用させステルス機の存在で混乱させ関心をそらすため偽情報にしたという可能性もある。実際のF-117やB-2はスペクターの姿とは似ても似つかない。一般が欠番の「F-19」に関心をいだくならソ連軍情報部も明らかに興味を示すはずだ。
VIA HITECHWEB.GENEZIS.EU
この写真は空軍関係催事がラスベガスで1986年にあった際に展示されたものでノースロップ/ロラールの初期のATF設計案を表している。これに手を入れたデザインが各種広告でF-19として表れている。YF-23はステルス機としてもっと洗練されノースロップのAFT案となった。
  1. そこで第117偵察戦術飛行隊の記章だが内輪のジョークのようで同隊は記章制定時に機材を保有していなかった。当時の同隊の任務はSR-71ブラックバード、U-2ドラゴンレイディ、RF-4CファントムII各偵察機の撮影したフィルの処理、解析さらに画像情報の配信で、おそらく記章制定時に機密扱いではなかったF-19のイメージを採用するのが極秘機材と縁がある同隊に都合がよかったのではないか。
  2. 1989年はF-117公開から一年後だが、F-19の噂が航空機愛好家にまだ残っており、一般大衆も同様だった。1988年にマイクロプローズがF-19のコンピューターゲームを発売しており、ハズブロもGIジョーX-19ファントムを発表したのも同機を強く意識したものだ。
  3. 「謎の機体」のプラスチックモデルは数多く発売されている。当時最も人気のあった設計案を採用したものが多い。丸みを帯びた大きな主翼はノースロップ/ロラール広告の影響を受けており、機体が細いのはSR-71からヒントを受けたとメーカーのテスターTestorは説明していた。このテスター製品がレヴェルやイタレリからその後も販売され700千個も売れている。
  4. 第117情報隊は今日も当時同様の任務にあたっているが、情報解析には衛星画像や無人機からのフルモーション画像が使われている。湾岸戦争(1991年)以降主要作戦10ケを支援しており、ハリケーンカトリーナ(2005年)やディープウォーターホライゾンの原油漏出事故(2010年)も含まれる。
  5. 同隊は今日も同じ記章を使っている。ご紹介した背景事情以外の内容をご存知の場合はぜひEメールでお知らせいただきたい。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com


2017年10月29日日曜日

米朝開戦は不可避になったのか



朝鮮半島の非核化には核そのものを破壊するしかないのではないでしょうか。交渉に期待する向きには現実の受け入れは不可能でしょうね。トランプ大統領の訪韓を巡りレトリックが今後活発化すると思われますが、米軍の動きはわかるのですが、北朝鮮の動向は見えてきません。その中で韓国の動きがポイントになりそうです。トランプ訪韓への反対デモに参加する人たちの動きを米国も苛立たしく見ているはずです、ろうそくデモ参加者、沖縄の不法デモに参加した人たちとも重なり、北朝鮮に併合されてもいいと考えているのではないですか。北朝鮮の核がそのまま統一朝鮮の武力になると見ているとしたら情けない話ですね。


Why North Korea and America Could Be on the Road to War

北朝鮮と米国が戦争への道に向かう理由とは何か
October 28, 2017


  1. 米韓両国は北朝鮮に核兵器放棄を求めているが、ワシントンがどこまでの結果を求めているか見えてこない。平壌に核廃棄で得られる効果がなく、ワシントンも目の先に示すニンジンがほとんどない状態だ。
  2. ジェイムズ・マティス国防長官は10月27日非武装境界線(DMZ)で「この背後の抑圧的政権は国民を拘束し自由を否定し国民の福祉と尊厳をないがしろにして核兵器開発を進めることで破滅以外のなにものも招かない」と発言している。
  3. 「北朝鮮の挑発は地域のみならず世界平和にも脅威となっている。国連安全保障理事会の全会一致の非難をものともせず、進めている。ティラーソン国務長官が明示したようにわが方の目標は戦争ではなく完璧かつ検証できる形であともどりのない朝鮮半島の非核化である」
  4. 韓国国防相宋永武Song Young-Mooも平壌に交渉の席につくよう求めながら同時に金正恩政権に対し北朝鮮の好戦的な振舞いは看過できないと警告している。「北朝鮮が核、ミサイルを開発を続けているがその使用は絶対に許されるものではない」「仮に使用されれば韓米連合軍による強力かつ断固とした対応を目にすることになる。したがって北朝鮮には無謀な挑発をただちに中止し平和と対話への道に向かうよう切に願う」
  5. ただし交渉の余地があるのかはっきりしない。
  6. ホワイトハウスからはドナルド・トランプ大統領は核武装した北朝鮮が米国をICBMで直撃する事態は受け入れられないと声明を発表。
  7. 「大統領の北朝鮮に対する姿勢は極めて明瞭」と国家安全保障担当補佐官H・R・マクマスター中将は10月19日に国防民主制財団講演で述べている。「大統領は米国の体制そのものを脅かす核兵器は甘受できない。『現実を受け入れ封じ込めればよい』との意見もあるが、たしかに受け入れて封じ込めするのは受け入れられないことはない。そうなると軍事行動を除く形で解決策を求めていかねばならない」
  8. 北朝鮮の立場も同様に妥協の余地がない。10月11日、北朝鮮外相李容浩Ri Yong-hoはトランプを「戦争への導火線」に火をつけていると非難し、DPRKは決して核兵器を放棄しないと述べている。「最終目標への道程で最終地点はほぼ達成している。米国との力のバランスを確保できるようになる」「当方の核兵器は交渉の対象に絶対にさせない。米国がDPRKへの圧力を緩めない限りはだ」.
  9. 外交問題専門家の大部分が非核化した朝鮮半島の実現は非現実的かつ達成可能な目標ではないと述べる。より現実的な目標は核兵器、弾道ミサイルの実験凍結だろう。もし北朝鮮がICBM技術完成に近づき弾頭小型化まで完成させていれば平壌にいまさら中止する意味がない。
  10. 金正恩政権の視点では自らの存続のためには米本土直撃可能な武器こそが必要だ。北朝鮮はリビアのムアマール・カダフィ政権が2011年に米空軍力の前に屈した事実から学んでおり、大量破壊兵器の放棄と引き換えに安全の保証を求めるはずだ。
  11. 「金正恩は気が狂っているわけではない。また自らの存続のみを求める動きには合理性はあり、世界は核のカードを手にした同国を注視し、抑止効果も出てくるだろう」と国家情報長官のダン・コーツ上院議員Sen. Dan Coatsがアスペン安全保障フォーラムで7月に述べている。「リビアの核放棄、ウクライナの核放棄で学んだ教訓とはいったん核兵器を手に入れたら放棄することはありえないということだ」
  12. そうなると軍事行動(この場合は核戦争になりそう)以外では朝鮮半島の非核化はありえないだろう。選択肢は二者択一で、抑止か戦争かだ。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


★B-21の姿、性能、運用を想像する



 


Why Russia, China and North Korea Should Fear America's B-21 Bomber

ロシア、中国、北朝鮮が米B-21爆撃機を恐れる理由

October 27, 2017

  1. 2015年10月27日、ノースロップ・グラマンは初のステルス爆撃機開発契約の獲得から34年目に米空軍は同社にB-21レイダー開発契約を交付した。機体の詳細は謎のベールに包まれているが、わずかは判明しており、残りは推測するしかない。
  2. B-21レイダーの名称は21世紀とともに1942年の伝説的なジミー・ドゥーリットルの日本初空襲にちなむ。ドゥーリットルレイダーズとして当時不利な戦況の中で士気を大いに高める効果があった。
  3. 空軍公表のB-21レイダー構想図はB-2スピリットと極めて類似している。ただし決定的な違いがある。B-21ではエンジン位置が主翼胴体の境に近い場所に移っているが、B-2のジェネラルエレクトリックF118-GE-100エンジンは主翼上で胴体から離れた位置につく。レイダーの空気取り入れ口は角度がつくがB-2のような鋸歯状でない。レイダーの主翼上に排気口がつきエンジン排熱のシグネチャーを減らすのがB-2とはちがう。
  4. 機体寸法はB-2に近いが、プラットアンドホイットニーが2016年にエンジンメーカーとして選定され、エンジンはF-100およびF-135の二つに絞られる。F-100は成熟度が高くF-15イーグルに搭載されており賢明な選択だが、空軍はF-135を希望するはずで、F-35共用打撃戦闘機に採用され今後の性能向上が期待でき一方でF-35のエンジン関連経費も下げる効果も期待できる。
  5. B-21は重戦略爆撃機で核・非核両用の運用化可能だ。コスト削減のためB-2で採用した回転式発射装置AARLを流用するだろう。AARLは爆弾あるいはミサイル8発を搭載する。
  6. 核運用では長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイルを搭載する。LRSOは次世代ステルス核巡航ミサイルで、別にB61自由落下式核爆弾の新型B61-12型「爆発力調整式」搭載する。まず巡航ミサイルで敵防空網を突破してからB61爆弾を投下するシナリオだろう。
  7. 通常兵器ミッションではJASSM-EM通常弾頭巡航ミサイルと2千ポンドのGBU-31共用誘導攻撃弾(衛星誘導式)爆弾を搭載するだろう。B-21を核兵器と同様に使用し防空網を突破してからJDAMを投下するはずだ。これとは別にB-21はミサイルトラックにもなり、JASSM-ER16発までを遠隔地から敵に発射する。B-21は30千ポンドの大型貫通爆弾も搭載する。現時点でこの米軍最大の通常爆弾を運用できるのはB-2に限られる。
  8. 他の新型装備同様にB-21は「オープンアーキテクチャー」をハードウェア、ソフトウェア両面で採用し、B-21は将来のアップグレードは容易で爆撃以外のミッションも実現できる。爆弾倉はミッション用ペイロード搭載に転用され、偵察、通信、電子戦と多様に使える。レイダーは米空軍初の多用途爆撃機になる。
  9. B-21レイダーは2020年代中頃に運用開始の予定で空軍はまず100機を調達しB-52Hストラトフォートレス、B-1Bランサーの後継機とする。調達規模が200機程度になる可能性もあるが財政事情次第だ。レイダーが最終的にどんな機体になるかわからないし、機密を守る米空軍がいつ情報を開示するかもわからない。B-21は軍用技術の「ブラック」世界に入っており、そこから出てくるのは機体完成時のみだろう。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: A U.S. Air Force B-2 Spirit "Stealth" bomber, 393rd Expeditionary Bomb Squadron, 509th Bomb Wing, Whiteman Air Force Base, Mo., flies over the Pacific Ocean after a recent aerial refueling mission, May 2, 2005. / Wikimedia Commons / U.S. Air Force photo by Tech Sgt. Cecilio Ricardo


2017年10月28日土曜日

★米海軍空母代替策検討より やはり小型空母ではよい結果は期待できない



 

フォード級が最後の超大型空母になるのか、革新的な小型艦建造が始まるのか、中間の新型艦になるのか、このRAND報告についてはすでにお知らせしましたがやや詳しい解説が入っていますのでNational Interestからお伝えします。小型艦では国防の役に立たないという結論ですが皆さんはどうお思いになりますか。

 


Why Building 'Baby' Aircraft Carriers Would Be a Bad Idea for the U.S. Navy

「小型」空母建造が米海軍に悪い結果となるのはなぜか
October 21, 2017


  1. 今回発表された米空母の将来像に関する研究は以下のように要約される。意味ある内容は負担なしでは手に入らない。
  2. 海軍は小型で安価な空母を130億ドルするフォード級のかわりに導入できる、とRAND研究所が新しい研究で発表した。だが小型かつ安価な空母は性能が限定され、海軍は有事の際に有効な航空戦力を地上作戦の支援に提供できないだろう。
  3. RAND研究成果は2016年の海軍委託研究の一部を公開したもので、議会がフォード級より安価な選択肢はないか調べさせたものだ。
  4. RANDは四つの選択肢を提示している。
- CVN-8X: フォード級(排水量10万トン)をやや小型化している。核燃料は交換不要で40年間稼働する。フォード級では20年ごとの交換が必要だ。カタパルトも現行の4基が3基に減らされる。
- CVN LX: 7万トンで1950年代のフォレスタル級(初の「スーパー空母」)に近い。核・通常動力のハイブリッド方式で推進し、原子炉はひとつだけでニミッツ級フォード級の二個と異なる。相当の航空戦力を搭載し、ニミッツ級を上回るほどだが、速力が下がり残存性はフォード級より劣る。航空戦力も出撃回数が減る。
- The CV LX: 43千トン通常動力で揚陸強襲艦アメリカ級を原型とする。カタパルトがなく、F-35B25機を搭載するが一日あたり50ソーティーしか実施できない。早期警戒機や電子戦機材を搭載せず、「従来型大型空母あるいは地上基地の支援が必要で、敵の航空戦力が強力な地点では運用できない」CV LXは有事に即座に第一線に投入できる装備ではない。航空戦力が不完全なためでAEWやEA機材がないのがその原因だ。
- CV EX: もっと小型の2万トン赤ちゃん空母で通常動力で短距離離着陸機6機から10機搭載するのはイタリア空母かヴォールに近い。CV EXは25億ドルと一番安いがフォード級の戦力を実現するには四隻が必要とRANDは試算している。「CV EXはCV  LX同様の制約があり、飛行甲板は小さく、燃料・弾薬搭載量も限られ低レベル紛争にしか対応できず、またはCVN補助にしか使えない」(RAND報告書)
  1. RANDは特定の選択肢を推奨することは避けているが、報告書からは建造費が安ければ性能も下がることになるのは明らかだ。現在の固定翼機としてF-35Cがあるが運用するには空母にそれなりの大きさが必用なのは格納庫や拘束ギアを見れば明らかだ。小型空母では短距離離着陸のF-35Bやヘリコプタ―を運用することになるがE-2早期警戒機やEA-18電子戦機の運用はできない。
  2. 性能が限定されると米国の戦争の仕方にも影響が出る。陸上運用機が到達できない遠隔地では空母航空戦力がどうしても必要だ。「フォード級の性能はフォード級の規模の投資が必要だ。代替策は低価格だが、一部機能が実現できなくなってもそれ自体で決定的に劣るわけでないものと(一日当たりソーティー生成量)とそうはいかないものがある」とRAND報告書の共同作成者ブラッド・マーティン(退役海軍大佐)が本誌に語っている。
  3. RANDが説明するような大型原子力空母のどちらかを選択しても海軍には大きな変化にはならないはずだ。だが残る通常型二型式の場合は異なる。ニミッツ級後継艦に選択した場合は米海軍の作戦能力が大きく下がる、とマーティンは見ている。「統合航空戦力を運用できるかがカギだ。攻撃、防御両面で戦力を形成できるからだが、艦船以外の手段による代替策も利用でき、陸上からの空中早期警戒やC2能力がこの例だ。
  4. では最良の選択肢はどれだろうか。ひとつではない。フォード級と大差ない大型艦を建造するのか、小型だが大幅に能力が下がる艦を建造るのかのいずれかだろう。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Wikimedia Commons.


噂は本当か、イスラエルF-35にシリアSAMが命中(大いに疑わしい)


噂が噂を呼びそうですが、中東の空は込み合っており、事実誤認の可能性は十分あります。また情報戦の様相もあり、今後もこの話には尾ひれがついて当分話題に上りそうです。



Did a Russian Missile Really Hit an Israeli F-35?

ロシアミサイルがイスラエルF-35に命中していた?

October 26, 2017

ロシア製対空ミサイルがイスラエルの新鋭F-35ステルス戦闘機に命中していたのか。
  1. ロシア寄りメディアによれば今月S-200地対空ミサイルがシリア上空でイスラエルF-35Iに命中したという。イスラエルはF-35一機が損傷を受けたことを認めている。ただし、バードストライクとしている。
  2. 発生したのは10月16日でイスラエルはシリアSAM陣地をダマスカス郊外で攻撃したと発表。レバノン上空を飛行中のイスラエル偵察機にシリアがSAMを発射した2時間後の攻撃だった。陣地は破損し、イスラエル空軍に被害なしとイスラエルは発表。偶然の一致なのか同日にロシア国防相セルゲイ・ショイグSergei Shoiguがイスラエルに到着しベンジャミン・ネタニヤフBenjamin Netanyahu首相、アヴィグドル・リーバーマンAvigdor Lieberman国防相と会談している。
  3. ただしロシア軍事動向特にシリア内戦への介入を追うウェブサイトSouthfront.orgによれば話は全然違う。「入手した情報によればシリア国防軍はS-200をイスラエル軍用機に発射した」とある。
  4. SouthfronはF-35が原型が1960年代のミサイルの命中を受けたと報じている。「ソ連製ミサイルはシリア軍が運用する中で最高性能の長距離劇劇手段だ。今回は近代戦で旧式装備が活躍したことになる」
  5. ただし同サイトの裏付けは弱い。イスラエルがシリアミサイル陣地攻撃を発表して数時間後にイスラエルメディアがF-35一機が二週間前にバードストライク被害にあっていたと報道。同機は無事着陸したが、イスラエル空軍は同機の飛行復帰は困難と認めた。イスラエルが受領したF-35Iはまだ7機で発注総数は50機だ。
  6. 「確かに事件は『2週間前』だが公表は10月16日になってからだ。イスラエル筋は『鳥と衝突』したF-35の写真は公表していない」とSouthfrontは伝える。
  7. Southfrontは損傷機の写真をイスラエル空軍が公表する必要がどうしてあるのか伝えていない。米国防関連ウェブサイトThe Driveはイスラエルで供用開始したばかりのF-35をシリアにいきなり投入されるとは緊急時以外は考えにくいと指摘。(イスラエルにはF-15やF-16が相当数配備されており、すぐ投入できる) さらにF-35はレバノン上空の偵察ミッションには向いていない。
  8. The Driveの結論はこうだ。「可能性はすべて捨てきれないが、フロイドがいうようにバードストライクはバードストライクにすぎないのだろう」
  9. いずれにせよ、今回の事案で興味を惹かれるのはF-35がロシアミサイルの命中を受けたのかどうかだ。UFOと同様で、事実かもしれないし事実ではないかもしれないが状況証拠以上の何かがないと信ぴょう性は低いままだ。
  10. F-35は米技術力の象徴であり同時に、F-35が戦闘中に損傷あるいは撃墜されたとあれば当然関心の的となる。ロシアやその取り巻き勢力はF-35命中に一斉にとびつきF-35支持派が反論してくるのは必至だ。
  11. イスラエルF-35部隊が実戦投入されているとの報道がすでに出ているがあくまでも報道だ。米空軍と並びイスラエル空軍が世界で最も活発に作戦行動しているので、遅かれ早かれF-35が実戦の試練を受けるのは確実だ。ただし今のところ噂の域を出ない。
  12. 事態は今始まったばかりなのだ。

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: An F-35A Lightning II Joint Strike Fighter takes off on a training sortie at Eglin Air Force Base, Florida in this March 6, 2012 file photo. Canada is poised to buy 65 Lockheed Martin Corp F-35 Joint Strike Fighter jets, sources familiar with the process told Reuters, marking a major renewal of Canada's fighter fleet and helping contain costs of the expensive defense program. REUTERS/U.S. Air Force photo/Randy Gon​

2017年10月27日金曜日

中国の戦略爆撃機H-6の過去と現在


日本周辺にも姿を現しているのがH-6の最新K型ですが以外に機数が少ないようですね。これでは継続した作戦はできないはずですが、旧式機も投入してくるつもりなのでしょうか。いずれにせよ日本としては同機よりも搭載するミサイルに軽快すべきなのはいうまでもありません。勿論発車前に母機を撃墜すればそれが一番いいのですがスタンドオフ攻撃だとそうはいかないでしょう。

Fact You May Not Know: China Has Its Very Own 'B-52' Bomber
中国にも「B-52 」があることをご存知でしょうか

October 22, 2017

  1. 長距離戦略爆撃機をある程度の機数で運用中なのは中国、ロシア、米国のみだ。米B-52 やロシアTu-95と並び中国は原型は1950年代のH-6を人民解放軍空軍PLAAFおよび海軍航空隊が運用する。巡航ミサイルを搭載し同機は実戦にも投入された。
  2. H-6は中国がツポレフTu-16バジャーをコピーした機体で1958年から59年に当時のソ連から中国が数機受領し、ライセンス生産を始めた。直後発生したソ連との関係悪化前にTu-16生産キットを中国が受領でき幸運だった。Tu-16は中国初の原子爆弾を1965年に投下している。
  3. H-6初号機の完成は1968年で西安航空工業が行った。WP8ターボファンエンジンもロシアAM-30 のコピーで音速にわずかに足りない656マイル時で飛行し、爆弾搭載量は60千から80千ポンドだった。戦闘行動半径は1,100マイルで乗員4名から6名で最高高度42千フィートを飛行した。
  4. 基本形は通常型爆撃機だったが、核爆弾運用型のH-6Aが1970年代の核実験で多用された。最近では通常爆弾で黄河の氷塊を破壊する用途にも使われている。.
  5. Tu-16原設計は1950年代で戦略爆撃機は攻撃対象地の上空飛行で核兵器通常兵器を重力投下するものだった。このコンセプトは第二次大戦の延長で、H-6にも23㍉自動機関砲が6門搭載され敵機撃退を狙った。ただし1960年代に地対空ミサイルや超音速ジェット戦闘機が登場してこの発想は時代遅れになった。
  6. 1970年代にPLAAFも戦略爆撃機で敵地侵入し上空から爆弾投下はできないと悟り、H-6の航続距離延長策を模索し始めた。H-6Dは新型レーターにより敵艦船を主翼下搭載のC-601シルクウォーム対艦ミサイル二発で狙った。C-601は全長6.5メートルでYJ-6あるいはCAS-1クラーケンのNATO名があり、有効射程150キロで1,130ポンド弾頭を運ぶ。.
  7. H-6Dは4機が1987年にイラクへ輸出され、C-60150発と引き渡され、1988年にイラン・イラク戦の死闘に投入された。
  8. C-601初の戦果はイランばら積み貨物船Entekhabで1988年2月5日のことで、さらに少なくとも14隻の石油タンカー、貨物船がイラクのC-601 によると思われる攻撃を受けたが、はっきりしない。大型石油タンカーは対艦ミサイルの攻撃を受けても簡単には沈んでいない。
  9. イランはF-14トムキャットでH-6D一機を撃墜したと主張している。1991年の湾岸戦争では残存するH-6三機は米軍がアルタカドゥム航空基地で破壊した。エジプト空軍がその後H-6を唯一運用していたが、2000年に用途廃止している。
  10. 他方でPLAAFはH-6を近代戦に合わせる努力を続け80年代にH-6EおよびF型でエイビオニクスや対抗装備を改良している。
  11. PLAAFはH-6を非戦闘任務用に改装しHY-6がPLAAF初の空中給油機になった。同機は85千ポンドまでの燃料補給能力があると見るアナリストがあり、米KC-135Eの半分程度で長距離任務につく戦闘機2機の支援が可能だ。その他特殊任務用のH-6にはH-6B偵察機、HD-6電子戦機がある。
  12. その後もH-6のか医療は続き巡航ミサイル運用に中心をおいたH-6Hが1990年代に登場し、対地攻撃ミサイル2発を運用した。H-6Gは地上発射巡航ミサイル用に標的情報を提供するのが任務で、H-6Mミサイル母機はYJ-31(KD-88)巡航ミサイル4発を搭載する。
  13. 最後に中国はH-6Kを2007年発表し、エンジンをロシア製D-30KPに換装し出力が25%増え、射出脱出シートやグラスコックピットがついた。陳腐化したガラス張りの機首や後部機銃手は廃止され、改良型レーダーと防御装備が導入された。その他にも赤外線方式と電子光学指揮センサーやネットワーク用のデータリンクがつく。
  14. さらにH-6Kは主翼下に大量装備搭載が可能となり、CJ-10またはCJ-20巡航ミサイル6発を搭載し900マイルから1,500マイルを射程とする。またはYJ-12対艦ミサイルを搭載する。飛行距離は2千マイルから空中給油で3,500マイルまで伸びる。H-6Kはこれまで16機が製造されており、国産エンジンWS18ターボファンに換装した型も開発中と言われる。.
  15. H-6Kの搭載能力や航続距離は米B-52には匹敵しないが中国にそこまでの性能は必要ない。中国にとって同機の性能で十分で大型巡航ミサイルを標的に発射できる。飛行速度は低くステルス性もないH-6は敵防空網の近くに接近せず長距離ミサイルを数千マイル先から発射すればよいのだ。基地からの最大攻撃範囲は空中給油を前提で4,500マイルになる。
  16. 興味深いことにH-6は理論上は核兵器運用できるが、PLAAFには核弾頭付き空中発射巡航ミサイルは配備されていないと見られる。この理由として中国は核兵器を防御用に使う思想があり、敵の第一撃攻撃を想定し装備の残存を最優先しているためといわれる。
  17. かわりにH-6は通常兵器攻撃能力の有効距離を伸ばし、対艦攻撃に投入するのだろう。近代化H-6Kはあらゆる面で海上攻撃機の機能を有しているが中国には有効な長距離監視偵察手段が欠落しているとの指摘があり、H-6で攻撃したくても敵艦位置を把握できない。
  18. それでもH-6の実戦投入事例(1988年)から巡航ミサイル搭載により大規模な損害を与えることは高性能情報収集能力がなくても十分可能とも言える。
  19. 昨年9月3日、PLAAFのMa Xiaotian大将から中国が新型戦略爆撃機を開発中と発表したがこれはH-6改良型なのか全くの新型機なのか不明だ。
  20. 中国が太平洋でのプレゼンスを強める中で長距離兵力投射能力が問われており、長年供用されているH-6がこの実現に有益な存在であるのは確かだ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
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