2018年1月22日月曜日

ウラジオストック潜水艦基地で火災事故が発生した模様

Fire At Russia's Vladivostok Submarine Base Sure Doesn't Look Like An "Exercise"

ウラジオストック潜水艦基地で発生の火災はどうみても「演習」ではない

Lighting your own sub on fire, or setting a fire right next to one, seems like a pretty stupid, if not unbelievable way to execute a drill.

潜水艦での火災事故あるいは近辺での火災発生は愚かな事件だ

TWITTER SCREENCAP
BY TYLER ROGOWAYJANUARY 21, 2018


シアのウラジオストック潜水艦基地で相当の火災が発生した映像が突如現れた。濃い黒煙がキロ級ディーゼル電気推進攻撃潜水艦の停泊場所から出ている。この映像が流布してロシアメディアは火災は「被害対応訓練」の一環とのロシア海軍説明を伝え始めた。
 ロシアの準公的報道機関TASSはロシア海軍が以下述べたと伝えている。「火災鎮圧演習をふ頭で行い、太平洋艦隊所属潜水艦と人員で対処の想定とした...人員は火災にうまく対応した」
 このような訓練を現役潜水艦の横で炎を燃やして状況で行ったとはとても信じがたい。潜水艦数隻が停泊する横で点火するのは艦の安全を考えると尋常ではない。
 濃い黒煙と水面の様子からディーゼル燃料の燃焼のようだ。キロ級潜水艦へ燃料補給の途中で点火したのか。あるいは艦内の燃料が漏えいしたのかもしれない。
GOOGLE EARTH


 ウラジオストックはムラヴィヨフ・アムールスキー半島南端にあり、ロシア太平洋部で最大の港湾であり太平洋艦隊の母港だ。中国、北朝鮮、日本とつながる戦略的地理条件があり、キロ級潜水艦数隻がここを本拠としている。また原子力潜水艦の母港にもなっている。■


ロシア発表の情報はどうしていつも事実を認めない内容なのでしょうか。今回は通常型潜水艦だったのでまだよかったのですが、原子力潜水艦で事故が発生したらどうなっていたでしょうか。

★韓国は米国に見捨てられる? 韓国防衛のため自国犠牲は耐えられない米国、米国を信じられない韓国

Should Americans Care More about South Korea than America?

自国を差し置いて韓国を心配する理由がアメリカにあるのか

The National Interest 

January 21, 2018


ワイのミサイル警報誤報騒ぎで米国民に改めて同盟国の安全保障が自国より重要視されているごとき状況で米国が支払う代償が増えてるのを痛感させられた。同盟関係維持の目的は米国防衛効果を強めることにあるが、韓国防衛の姿勢堅持が米本土への核攻撃につながる可能性もある状況だ。
韓国との「相互防衛条約」は冷戦で生まれ当時の米国はソ連と世界でしのぎを削っていた。米国にとって世界のいかなる場所であれ失うことはソ連の勝利につながった。韓国が論点となったのは朝鮮半島が米国にとって重要だったと言うよりも韓国が超大国間のグレートゲームの一部だったからだ。
この変化はソ連崩壊がきっかけだ。その後の南北朝鮮間の競合は地域対立の一つになった。朝鮮半島での開戦の代償は通常の地域紛争より高いとはいえ特別の存在でもない。イラクによるイラン侵攻、ザイールの崩壊はともに恐ろしい結果を生んだ。それでもワシントンは朝鮮半島への姿勢は一つも変わらず、引き続き部隊を配備してきた。
さらに重要なのは韓国はとうの昔に北に対して優勢になっていることだ。経済力では45対1、人口は2対1、技術力でも大きくリードし、国際社会の地位も差が開き、国力指標ほぼ全部で韓国が優位だ。韓国は自力では貧弱かつ孤立した北の侵攻を食い止められないと信じ込ませているにすぎない。中国やロシアが北朝鮮を支えなければ、韓国は他国支援を仰ぐ必要はない。
ではワシントンが米国の信用をかけ富と国民の生命のリスクまで侵して韓国防衛を確約する理由は何なのか。外交政策は常に変化する安全保障環境を反映すべきだ。米国による1953年の韓国防衛の誓いは2018年にはほとんど意味がない。60年以上前の条約を永遠に存続し変更不能のものと取り扱い、状況変化に目をつぶるのは愚かとしかいいようがない。
少なくとも現時点では米政策立案部門は武力衝突が「向こう側」での出来事なので救われるだろう。軍服を着るものが死んでも米国民は本土で安心できればいい。だがこれはもはや正しくない。
朝鮮人民民主主義共和国が信頼性の高いICBMを製造すれば紛争は「こちら側」に飛び火する。世界各地に米軍を派遣し他国の地で死と破壊を広げてきた政策立案部門には許容範囲を超えた恐ろしい可能性だろう。今や海外の「取るに足らない紛争」で米国本土の国民がリスクを負担する可能性がでてきた。
平壌が封じ込められ抑止されたままでいるとは思えない。だがこれがワシントンの求める政策解決策ではない。あくまでも北朝鮮攻撃に正当な根拠を見つけようとしている。あるいは米国が各地で何度も企ててきたように政権崩壊でもよい。トランプ政権が北朝鮮の核開発を恐れるのは金正恩が米本土に自殺攻撃を企てると見るためだ。米国に対して抑止効果を北朝鮮が持つことに我慢ができないのだ。北朝鮮と対戦すれば米国は破壊的な反撃を余儀なくされる。
そうなれば韓国防衛は韓国に任せるのが解決策だ。韓国に北朝鮮攻撃を抑止させればよい。韓国防衛は韓国の責任であり米国以上の責任を韓国がすべきだ。米国が北東アジアの平和を切望するのは韓国の国民の安全と友好以外に主要国がならぶなかで地域内秩序を維持し、経済の大きな流れを止めないためだ。これで米国本土が安全になる。
ただし金正恩が核兵器で無理やり半島統一を迫ってきたらどうなるのか。実現の可能性が高い北の政策目的だが観測にすぎない。西側ではこの選択を実施しても金正恩は目的を達せられないとの見解が大部分だ。金一族は悪の存在だが同時に現実主義者でもある。祖父は南の併合を再度試みず、父は一度も試していない。
現在の最高指導者は核兵器開発と並び経済発展を強調している。ビョンジン並行開発策であり、祖父、父親が経済発展や国民生活を犠牲にしたのと対照的だ。その意味で金正恩にも平和の維持は半島南部の奪取とともに重要な目的だ。
平壌を抑止できないと信じる理由もない。再統一しても北の首都やDPRKの価値観が「火の海」に沈んでしまっては意味がない。
米国は核抑止力を提供している。しかし北の核開発がさらに進展すれば米国自体が南北朝鮮の対立に巻き込まれていいのかという問題意識が強まるだろう。代替策があればこの疑問がさらに強まる。代替策とは韓国による核抑止力の整備だ。
これでは望ましい結果にならないが、唯一の望ましい解決策とは交渉によるDPRKの武装解除であり、実現可能性が皆無だ。対照的にワシントンへの最悪の結果は他国が米国本土を人質にすることだ。現在のままだとこうなる。
口だけの脅かしなら代償は発生しない。現政権はホノルル消失のリスクを覚悟すべきか腹を決める必要があろう。本当にミサイルが飛んで来たらどうなるか。あるいはロサンジェルス、シアトル等の都市ならどうなるか。何のために危険を冒すのか。友邦国を守っても米国自身の安全が脅かされていいのか。
韓国軍の核兵器は最善の選択肢ではないが、残りの北朝鮮向け政策すべてでも同じだ。韓国自身に抑止力を持たせるのはその他の選択肢よりましかもしれない。平壌も武力による半島統一を断念するだろう。中国も北朝鮮を思いとどまらせ、核兵器拡散が日本や台湾にまで続くことを食い止めようとするはずだ。核兵器保有を韓国国民の三分の二が支持するのは米大統領が米国人数百万人の犠牲を覚悟してまで韓国を防衛してくれるとは思っていないためだ。
トランプ政権の対北朝鮮政策に目的と手段の混乱が見られる。韓国との同盟関係を米国自身の安全確保の手段と見ている。だが冷戦終結後はこれはあてはまらない。北朝鮮が米本土攻撃能力を整備すればさらに現実と乖離する。
米国がDPRK攻撃の脅威を与えなければ北朝鮮が米国を脅かす理由がなくなる。平壌は韓国侵攻を企画しているのか。うかがい知ることができないが、韓国防衛は韓国の仕事だ。トランプ政権は同盟関係と部隊駐留を段階的に解消し、ハワイ当局が本当にミサイル警告を出す状況が現実にならないよう努めるべきだ。■
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is author of Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World and coauthor of The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea.
Image: A South Korean air force F-16 Fighting Falcon aircraft takes off for a sortie at Eielson Air Force Base, Alaska, Oct. 15, 2014, during Red Flag-Alaska 15-1. Red Flag-Alaska is a series of Pacific Air Forces commander-directed field training exercises for U.S. and partner nation forces, providing combined offensive counter-air, interdiction, close air support, and large force employment training in a simulated combat environment. (DoD photo by Senior Airman Peter Reft, U.S. Air Force/Released)​ / U.S. Department of Defense Flickr

韓国が核兵器を持つことは日本にとって望ましくないですね。米国が韓国を十分な実力を持つ国と認めたとしても今回の五輪協議のように北朝鮮にとって南は熟した果実のような存在でしかも御しやすい相手にすぎません。国力よりも政治的な意思、思考訓練の差が歴然としています。北朝鮮は連邦制度を提唱し、南を事実上支配下に置くでしょうし、金正恩が大統領になる可能性さえ出てくるでしょう。どちらに転んでも朝鮮半島のせいで世界が迷惑するのはたまらないというのが米国インテリの見方でしょうが、そんな国をお隣に持つ日本は不幸としかいいようがないではないですか。と言って目をつぶることもできず、韓国が国力を有しながら意思の欠如で埋没していく歴史を目撃するしかないのでしょうか。

★中国ステルス戦闘機J-20の最新動向

 

China's J-20 Stealth Fighter Is Now Training for War



中国のJ-2戦闘機が軍事演習に初めて参加

January 19, 2018

中国人民解放軍空軍(PLAAF)は1月11日にJ-20戦闘機が初の実戦演習に参加したと発表した。場所は非公開だが内蒙古だったと思われる。シンガポールのストレイツタイムズによれば演習は9日間でJ-20はJ-16およびJ-10Cを相手にしたという。PLAAFは演習でJ-20は視程外航空戦能力を実証したという。
新華社通信はもう少し詳しく伝えておりY-20輸送機、H-6K爆撃機も各戦闘機に加わったとある。Y-20はPLAAF引き渡しが2016年に始まった大型輸送機だ。
J-20はAVIC中国航空工業が開発した単座双発機で初飛行は2011年だったが中国は2016年までその存在を認めていなかった。
J-20はF-22、F-35に次ぐ世界三番目のステルス機で西側ではF-22をモデルにしているとの観測があるのは機体形状を見てのことだ。ただし中国により相当の改良が見られる。たとえばJ-20分散開口システムdistributed aperture system (DAS)を搭載しパイロットはあらゆる角度を監視できる。これはF-35には搭載されているのと同じだがF-22にはない。J-20設計陣は「F-22やF-35より航続距離が長く、機体内燃料搭載量が多く兵装運用量も大きい」と述べている。
Popular Mechanicsのカイル・モチズキはJ-20 は「兵装すべてを機体内部に搭載しレーダー探知されにくくし、兵装庫は三つあり、うち大きい兵装庫でPL-12視程外ミサイル最大6発、残りの二つで短距離空対空ミサイルを運用する」と述べている。国際戦略研究センターは「J-20は高性能電子装備も搭載し、アクティブ電子スキャンアレイ、赤外線電子光学式探知追尾センサー、パッシブ電子光学探知装置で機体まわりの360度の状況を把握できる」と解説。
空軍参謀総長ディヴィッド・ゴールドフェイン大将はJ-20にリアルタイムで他の防衛装備とのリンクができると見ている。そのとおりならJ-20はF-35に近い機体となる。「F-35、F-22であれJ-20やJ-31が単機でどんな性能があるのかが問題ではない。実際には各装備をファミリーとして運用するからだ」とゴールドフェイン大将は言っている。
J-20の生産機数は不明だが一部には中国が量産に苦労しているとの見方がある。「中国の生産場面ではすごい速度で生産する定評があるが、iPhoneでアップルは中国の生産状況を見て販売時期を慎重に設定せざるを得なかったようにもっと複雑な軍用機には多様な要素の制約が加わり完成品の誕生に影響を与える」とAsia Timesで中国軍事評論家の Xi Yazhouが解説している。一つの制約条件は中国が国産エンジンン採用にこだわっていることだ。中国では航空機エンジンの国産化に一貫して苦労している。
中国にはFC-31/J-31と言う別のステルス機もある。FC-31の制式名称から同機は輸出用とわかる。ジェフリー・リンとP.W.シンガーは同機について「瀋陽航空機の双発機J-31はF-35とほぼ同寸で最高速度マッハ1.8」と解説し空母搭載型のJ-31製造の可能性に触れている。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Wikimedia Commons

2018年1月21日日曜日

インドネシアが空中給油機更新へ、KC-46Aが有力候補か

Indonesia puts KC-46A Pegasus, Airbus A330 in frame for aerial tanker requirement

インドネシアがKC-46ペガサス、エアバスA330を次期空中給油機候補として検討中
 
オーストラリア空軍のエアバスA330 MRTT。Source: Airbus


Ridzwan Rahmat, Singapore - Jane's Defence Weekly
18 January 2018


  • インドネシアがボーイングKC-46A、エアバスA330MRTTのいずれかの導入を検討中。空中給油機の整備が狙い。
  • エアバスA400Mに次ぐ大型装備調達になりそう


インドネシア空軍が空中給油能力整備の検討を始めた。2024年までに二機調達を目指す。
検討対象の機種にエアバスA330多用途給油輸送機(MRTT)もあるが、ボーイングKC-46Aペガサスの導入をインドネシアがほのめかしている。
インドネシアの求める作戦要求に答え、現有機材の空中給油方法に適合するのか等の検討に入る。
また国営航空機メーカーPT Dirgantara Indonesia (PTD)への技術移転の可能性も検討内容だという。
検討作業が終わり次第、調達内容の骨格を決め、正式に事業化し予算も確保する。これを2020年から2024年までに行う。
2015年6月までインドネシア空軍は給油ポッドを付けたKC-130Bを1960年代から使ってきた。うち一機が同月にメダンで墜落し、使える機体が一機になっていた。同機はマランのアブドゥルラクマン空軍基地に配備中だ。■
2機しか導入しないつもりでもしっかり技術の国内還流を狙うとはしたたかですね。交渉の腕はわかりませんが。

中国を最大脅威ととらえた米国防総省作成の軍事戦略構想

Mattis’ Defense Strategy Raises China To Top Threat; Allies Feature Prominently

マティス長官の下でまとめられた国防戦略では中国を最大の脅威とし、同盟関係を強調
By COLIN CLARKon January 18, 2018 at 2:58 PM
ランプ政権による初の国家防衛戦略National Defense Strategy(NDS)はよくまとまった文書でオバマ、ブッシュ政権からの政策転換を示し、中国とロシアを米国の「中心的課題」と位置付けている。
 戦略案の最終原稿に目を通したが両国を専制主義モデルで世界を作り変える勢力ととらえ、他国の思惑を阻む国だと表現。テロ活動は引き続き米軍の懸念対象だがトップ事項ではない。この戦略構想はホワイトハウスがまとめた国家安全保障戦略をもとに組み立てられている。
 中国に特に強い表現を振り向け、南シナ海人工島構築で周辺国への脅威になっていると指摘。
中国の人工島
 ではアメリカはどう対応すべきか。同盟国と一緒に動ける部隊を整備し、「対抗し、抑止し勝利する」べきとする。だがその前に戦略的萎縮で軍事優位性が揺らいでしまった。米軍部隊は世界各地に展開できるものの各所が込み合っている。中国、ロシアに次いで戦略案hでは北朝鮮、イランを戦略上での競合相手として米権益の前に立ちふさがる主要課題ととらえている。
 民生技術の急速な軍用転用で戦闘の基本が変化していると指摘。高性能演算技術、人工知能、自律運用、極超音速、バイオテクノロジーなどで米国は対応が可能となる。
 なかでも興味を惹かれるのが米国が戦略的に予測可能でありながら作戦上は予測不可能であるべきとのくだりだ。まるでジム・マティス国防長官がトランプ大統領の人柄を財産にとらえているように聞こえる。一方で第二次大戦後から一貫した姿勢も見られる。つまり米国による国際自由政治体制の維持に同盟諸国が中心の役目を果たしてきたことだ。
 報告書では2ページを割いて米国にとって同盟関係の重要性を説いており、不確実性を増す世界において不可欠な要素だとするのは同盟各国にはうれしい内容だろう。さらに多国間の仕組み(国連)やNGOが追加的手段として米権益を支えるとも述べている。
 オバマ政権による太平洋重視政策には言及がないが、この戦略ではインド太平洋地区の同盟関係協力関係の強化につながる。またNATO強化も訴えているのは米安全保障に死活的なためだ。もちろんヨーロッパ各国が攻防支出を増やすべきとの主張もあり、この点はホワイトハウス筋が強く求めてきたのだろう。
 国家防衛戦略とは政策文書ではないことに注意が必要だ。ペンタゴンの予算手続きである企画、立案、予算、執行(PPBE)で重要な位置を占めどの部分以どれだけ支出すべきを述べている。NDSの内容は大部分が秘密扱いで一般が目にすることができるのは総括部分のみだ。
国家軍事戦略の予算編成上の位置づけ
 近代化が待ったなしの分野として、核戦力、宇宙サイバー、C4ISR、ミサイル防衛、高度自律装備を上げている。
 原案ではマティス長官が署名入りでこの戦略で長官が「緊急に変化させようとしている」内容を重視していると解説。秘密扱い内容が公開部分と同様に明確に説明していればホワイトハウスと議会による法案成立につながり、アメリカには軍事力の再構築とともにグローバルな同盟関係のネットワーク作りで有効な刺激が必要だ。■

2018年1月20日土曜日

北朝鮮が韓国併合する日が来るとは思えない理由

 

The Real North Korea Threat: A Forced Unification?

北朝鮮にとって南北統一が脅威になる
Uniformed women march past the stand with North Korean leader Kim Jong Un and other high ranking officials during a military parade marking the 105th birth anniversary of the country's founding father Kim Il Sung, in Pyongyang April 15, 2017. REUTERS/Damir Sagolj
January 16, 2018

2018年に北朝鮮と開戦の可能性が高まるばかりだが、そもそも北朝鮮の最終目的は何なのかで議論がある。筆者は北朝鮮が韓国を併合することを目指しているとは思えないと主張してきた。北朝鮮がこのためならどんな代償でも払うとは考えにくいとも述べてきた。だが極めてタカ派色の強い見方でじゃ北朝鮮がねらうのは最終的に韓国を吸収する南北統一であり、このためあえて冒険を侵しているのだとの説明だ。
右派の解釈には北朝鮮の主張を真剣に取り入れている節がある。事実、北朝鮮上層部は統一への関心を常時口にしている。金正恩は新年のあいさつでこの話題を十数回にわたり取り上げていた。だからと言ってこれが北朝鮮の目標との「確証」と筆者は受け取っていない。
まず韓国エリート層もこの話題に言及している。南北朝鮮の双方が統一を目標にするのは不思議ではない。それでも韓国が無謀にも統一に向けて動き出し安定を危険にさらすとはだれも口にしていない。では嘘つきが当たり前の国の主張をそこまで真剣に取る理由は何か。逆に北朝鮮が統一を口にするのを真に受けるのなら、北の核兵器の目的が抑止力と防衛との主張を信じて不都合があるのだろうか。
二番目に、おしゃべりは安っぽい。南北朝鮮はゼロサム競争で互いの正当性を競い合っている。共に民族を標ぼうし、統一を目指すと主張。これがそれぞれの憲法に書き込まれており、エリート層は統一を公に話す。その結果、統一の話題は頻出する。だがその結果発生する費用負担を覚悟しているのかが双方に試される。社会科学でいうところの「costly signaling」であり、自らの政権基盤を危険にさらしてまで目標を追求するのかという疑問が生じる。米国が放棄した後の韓国を蹂躙するために北朝鮮が攻撃兵器を整備するだろうか。もしそうなら核兵器は別の意図の存在となる、なぜなら核兵器の主たる存在意義は防御にあるからだ。
三番目に北朝鮮は平気でうそをつく。北朝鮮では誇張はあたりまえのことだ。北朝鮮の発言内容に信頼を置いていいのか。発言ではなく実行から意味をくみ取るべき国が北朝鮮だ。北朝鮮が統一の申し出を真剣に考えている証左は皆無に近い。
北朝鮮は費用とリスクを負担してまで統一をめざしているのか。話題が出ているからと言ってその下支えにならない。「我が闘争」顔負けの声明文で統一構想が語られている。たしかに北朝鮮は南の支配を目指している。金一族は統一で社会主義の楽園の実現を指導するとの夢を持つ。だが願望があるからといって確たる証拠にあたらない。
すべてが正しくないとしても力による統一がいかに困難かを次の想定で考えてもらいたい。


(A) 米韓同盟の崩壊
北朝鮮が韓国を攻撃する事態は韓国が米国と同盟関係にある限り実現しない。同盟はほぼ70年に及び、過去の困難な事態を乗り越えてきた。北は同盟の終了を希望しているが、実際に廃棄した場合の負担準備はあるのだろうか。北が米国を追い出したいとするのは自国がその結果を受け入れるとの態度のあらわれのはずだ。1970年代以降の北朝鮮指導者で韓国駐留米軍への武力衝突を公言するものない。
(B) 韓国が戦場で敗北する
米国が朝鮮半島から放逐されても北主導の統一の前に韓国軍が立ちはだかる。ただし韓国軍の戦闘能力がはるかに優勢と信じられており、訓練装備も優れているし、技術も優れ、指揮命令も優秀など優れている。韓国の国防予算は増加中で、間もなく北朝鮮の経済規模に相当するようになる。韓国の人口は北朝鮮の二倍以上ありGDPでは40倍の格差がある。まともに戦闘にならないはずだ。米国抜きの戦闘は厳しくなるといっても、韓国で10年以上会議に出席してきたが北朝鮮が通常戦で勝利すると確信する声は一度も聞いたことがない。核兵器を投入すれば戦場の様相は一変するが勝利条件も無効になる。放射能汚染され混乱した社会を征服して意味があるのか。韓国を無傷のまま手に入れることがポイントとなり、そうでないと負担が増えるばかりだ。
(C) 韓国占領統治は北にとって壊滅的効果を生む
北が勝利したとしよう。戦争で事実上同国は破たんし、韓国占領はあたかも南北戦争後の南部復興の様相を呈し各所の反乱勢力により占領軍はドイツの平和的統一どころではなくなる。核兵器で勝利を収めたのなら占領はもっと悲惨になり、北朝鮮軍が放射能汚染された占領地でまともに機能できるだろうか。もっと悪い状況になるかもしれない。
北朝鮮は直ちに韓国を世界経済から遮断し、貧困化を進める。北は南から富を収奪するので南はグローバル経済との接点を求めるが北がこれを許さない。
韓国市民は自由で開かれた民主体制に慣れきっており、当然反乱を起こす。韓国の人口規模を考えれば占領軍は簡単に人数で不利となる。その後は各所でゲリラ戦となる。
敵意を持った地の占領の代償は驚くべき高額になり、規模が小さい北朝鮮経済に戦争の影響が重くのしかかる。韓国からの収奪で一時的に息をつくだろうが、維持できず、中期的に韓国を取りこむことは一層困難になる。
北朝鮮軍は米軍が「第四段階」と呼ぶ対ゲリラ戦、占領業務、移行業務の訓練は受けていない。米軍がイラクでこれに失敗したというのなら、訓練もろくになく、腐敗して予算も不足した全体主義国の軍隊にできるはずがない。
北朝鮮にも予期できない負の結果は同国体制が大幅に不安定になることだ。北朝鮮は独特の規律で極度にまで定型化された社会である。柔軟性に乏しく、外部を取り込む想定がない社会だ。そこに不満だらけの53百万人を統合するのは不可能に近く、平壌の腐敗し機能しない行政が圧倒されてしまう。北朝鮮軍兵士は南での勤務を終えて憤慨するまでの豊かさの話を土産に戻るだろう。南に進駐する北司令官は豊かな南で別収入をあげようとするだろう。新たに征服した地で住民の思想転換は巨大な規模となり抵抗にもあうはずだ。南を統治するのは規模も内容も複雑となり北の国家崩壊につながりかねない。
先に南北戦争後の復興時代を同様の例に挙げたが、イスラエルによるウェストバンク占領でも同様だ。北指導部がそんなリスクを冒すとは思えない。■
Robert Kelly is an associate professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. More of his writing can be found at his website. He tweets at @Robert_E_Kelly.
Image: Uniformed women march past the stand with North Korean leader Kim Jong Un and other high ranking officials during a military parade marking the 105th birth anniversary of the country's founding father Kim Il Sung, in Pyongyang April 15, 2017. REUTERS/Damir Sagolj​


コメント 本当にそうでしょうか。国力とは別に北朝鮮には思想面で韓国より厳しく訓練された様子がうかがえます。つまり意思の力が感じられます。そんな国が割りが悪いからと南を併合しないという保証はないでしょう。


現在進行中の南北協議でも北が主導権を握りがちに見えるのは当方だけでしょうか。北朝鮮からすれば米軍さえ放逐すれば南は自然に北と一緒になると見ているのではないでしょうか。

肝心の南の政府を率いる大統領がオリンピックだの南北合同だの面子にこだわる対応ばかりで、平気に北に飲み込まれてもいいという姿勢で日米がせっかくおぜん立てした制裁など強い対応を自ら崩すような姿勢ですので南がいつか消えてしまう日がこないともかぎりません。

2018年1月19日金曜日

USSワスプが佐世保到着、F-35B搭載運用はいつ開始するのか

First F-35B shipboard deployment to begin as US warship arrives in Japan

米艦艇の日本到着でF-35B初の艦上運用が始まる


F-35B ライトニングIIが米海軍揚陸強襲艦ワスプから離陸する。運用試験Iの昼間運用中。 (Cpl. Anne K. Henry/U.S. Marine Corps)

 By: Mike Yeo    16 hours ago


MELBOURNE, Australia — 米海軍揚陸強襲艦ワスプが日本の新しい母港に到着し、ロッキード・マーティンF-35BライトニングII戦闘機が初の海上配備に今年末に展開することになった。
1月14日に佐世保基地に到着した同艦はノーフォーク(ヴァージニア)を昨年8月出港し28,400マイルの行程を終えた。途中、カリブ海のハリケーン災害救援活動に従事し1,129名を収容し、26,720ポンドの装備、170万ポンドの補給物資を運んだ。
「USSワスプの到着は軍事力強化とともに同盟国等への安全保障面と地域安定で米国がコミットメントを貫く姿勢を示すもの」とワスプ艦長コルビー・ハワード大佐が述べている。「F-35B共用打撃戦闘機との組み合わせで各種運用を危機対応や災害救難含め可能になる」
ワスプはボンノムリチャードに代わりタスクフォース76旗艦となり、第七艦隊の揚陸部隊全部を率いることになる。なお、同部隊は米海軍で唯一の前方配備打撃集団を構成する。佐世保にはこのほかに三隻の揚陸強襲用艦船がある。
ボンノムリチャードは五年間に及ぶ日本配備を終えサンディエゴに戻る前にタイがコブラゴールド演習に2月中旬に参加する。
ワスプは初の定期出動を今年末に予定し、沖縄駐留の第31海兵遠征部隊とF-35B海兵隊戦闘攻撃飛行隊121を搭載する。同飛行隊は2017年早々に岩国に移駐し、海兵隊初のF-35B作戦部隊として岩国に16機を配備している。
単距離陸垂直着陸型のF-35BはAV-8BハリヤーIIと交替する。なお、ハリヤー最後の分遣隊は昨年8月に日本を出発して帰国についていた。

ワスプの配備とF-35搭載による後日の航海は通常型式の前方配備海軍部隊の運用で国防総省が目指す同盟国支援策として最高峰の装備を前方配備する方針に沿う。だが通常の西太平洋配備の装備と違う意味合いが今回は見られる。米国とアジア域内諸国が北朝鮮のミサイル核兵器テストに対応を迫られているからだ。■

2018年1月18日木曜日

北朝鮮に不穏な動き:五輪前日に軍事関連行事を強行か

North Korea reportedly plans to hold a military event, one day before the Winter Olympics kick off in South Korea

北朝鮮が冬季五輪開幕前日に軍事行事を開催
north korea
North Korean army recruits in Pyongyang, North Korea. Reuters/KCNA KCNA



北朝鮮が軍事関連行事を朝鮮人民軍の70周年記念として2月8日に実施するとの報道がある。同日は2018年冬季五輪の開幕前日にあたる。NKNewsが1月17日伝えている。
国防関係者と配偶者あてに招待状が出ており、それによれば北朝鮮は「祝賀行事」を準備しており平壌での軍事パレードも含まれる。
「『パレード』と呼ばないかもしれないが、何らかの行事が金日成広場で繰り広げられるのは確実だ」と北朝鮮事情を研究するフョードル・テリティスキーが伝えている。「北朝鮮としてはこれは敵対行為ではないというのだろうが一度出席を求めた行事を同国は取りやめたことがない」
モンテレーのミドルベリ国際研究所で東アジア核非拡散をテーマとするジェフリー・ルイスは近隣の空港衛星写真から北朝鮮が行事の準備中と述べている。
A series of satellite images of Mirim airfield taken by @planetlabs over 26 December-1 January show that North Korea is preparing for a massive military parade. (1/2) @T_Hamm @rsimmon@DaveSchmerler pic.twitter.com/eDv0YorAqK
— Jeffrey Lewis (@ArmsControlWonk) January 17, 2018
展示物の大きさと形態から行事は韓国との緊張を招きかねず、韓国は冬季五輪主催の準備に追われているが、北による最近の挑発の記憶はまだ新しいところだ。
韓国は北に譲歩し、恒例の米国との軍事演習を五輪閉幕まで延期までている。

南北協議に警戒心を隠さない向きもあるが、両国の対話は進展しており、北朝鮮代表団に楽団、応援団含め移動滞在の支援方法が現在議題となっており、北朝鮮ホッケーチームが韓国チームに合流することとなった。■