記事を前にF-35支持派等に困惑と疑問が広がっているようですが、以下退役空軍大将の論調には一定の説得力がありますのでご覧ください。一部読者のご指摘にあるようにF-15Xと航空自衛隊はつながりが薄いように思えますが、今後F-15Xが中進国等に普及する可能性もあり、F-15は100年近く供用されるかもしれません。
Why the Air Force (As In the F-22 and F-35) Needs Boeing's F-15X Fighter
米空軍がボーイングF-15X戦闘機を追加する理由
Unfortunately, today’s fighter force mix, despite increasing numbers of F-35s over time and upgraded F-22s, will likely not be enough to meet future needs. America needs the F-15X. 残念ながら現行の戦闘機ミックスでは将来のニーズに対応できなくなる。アメリカにはF-15Xが必要だ
by Frank Gore
https://nationalinterest.org/blog/buzz/why-air-force-f-22-and-f-35-needs-boeings-f-15x-fighter-45197
アメリカの安全は航空戦力にかかっている。航空戦力は抑止力の裏付けであり、抑止力が機能しない場合は最小限の犠牲で勝利をおさめる選択肢を政策決定層に提供する。
米航空戦力の中核は戦闘機部隊だ。歴史を見れば戦闘機の開発から独特な部隊構成や戦術が作られてきたとわかる。現在の技術水準や作戦構想 (CONOPs)、戦術・技法・手順 (TTPs)により米戦闘機の戦力は非常に高い水準に上り詰めた。
米空軍には第4世代、第5世代の戦闘機が在籍する。第4世代機にはF-15、F-16、A-10があり高性能かつ部隊の中心的存在だ。第4世代戦闘機は戦闘司令官が投入できる機材の大半で本土防空から遠征部隊まで世界各地で姿を見られる。小規模の第5世代戦闘機にはF-22(187機)とF-35(150機超)があり、少数だが需要は高い。ステルスとセンサー融合技術により各機は最も威力の高く生存性の高い戦闘機になっている。空軍はF-35の年間48機調達をしながらF-22の性能改修を続ける。少数派の第5世代機に多数の高性能第4世代機を組み合わせて運用するのが戦場ニーズに合致していることは証明済みだ。
残念ながら今日の戦闘機部隊構成のままではF-35の実数が増え、F-22が性能改修しても、将来のニーズに対応困難になる。より具体的には、
- 現時点の作戦テンポでは戦闘機投入は常に高く維持する必要があるが代替機材がない
- 将来投入可能な戦闘機数は今より減るか厳しくなる。F-22や初期型F-35で改修が必要となるためだ
- 第4世代機の整備運用コストは上昇の一途で改修は高費用かつ長時間がかかるため費用は負担に耐えられないほど高くなる
- 敵対勢力も第5世代機の探知、捕捉、交戦に必要な技術開発に注力しており、今日の一方的な優位性は維持できなくなる
- 第5世代機の機内兵装搭載量に限界がある
- 第5世代機調達は製造・予算両面の制約を受け、特に短期的に制約は大きい
- 第5世代機の飛行時間あたり経費(CPFH)に比べるとF-15Xは大幅に低いが、第4世代機のCHFHは機体の老朽化に応じ大幅に高くなる
こうした課題の前にボーイングF-15Xを加えることが解決策となる。DoDはF-35のIOC確立と機数増加に注力中だが、ボーイングは史上最も成功した戦闘機F-15の性能と発展性を伸ばしてきた。F-15Xは第4世代機ながら4++といってよくセンサー能力、兵装搭載量、データリンク信頼性、航続距離がいずれも改良されている。さらにF-15Xがあれば第5世代機をステルス機能が不要な任務から外せる。
F-15Xは現時点、将来いずれの戦闘機部隊の制約へ極めて常識的な回答となる。次にその理由10点を述べる。
- すぐにでも稼働でき、妥当な価格で搭乗員や整備要員の追加訓練なく活用できる機材だ
- 戦場での実績に裏付けされ2万時間の耐久性も実証済みの機体だ
- 第5世代機は兵装搭載量が制約されるが、ハードポイント数を増やし大量の兵装を運ぶことが可能
- 既存インフラを流用でき新規整備が不要
- F-15XのミッションコンピュータはLink 16データリンクに即座に処理、データ受け渡しが可能。これにより敵勢力の欺瞞妨害戦術を減じる事が可能。Link 16ネットワークを利用して友軍・同盟国・協力国の機材とデータの共有・統合・拡大も可能
- F-15XのEPAWSS(イーグルパッシブ-アクティブ警戒生存装備)は高性能電子戦(EW)および統合対抗装備(ICS)でF-15Xは単独で残存性を高められる。さらに第5世代機のEW戦術を高める効果ももたらす
- F-15Xにより戦闘機数の余裕と能力追加が実現し敵勢力が第5世代機の能力を下げてきても対応可能
- F-15Xの性能で戦力構造に選択肢が広がり、CONOPsやTTPsも同様で各種作戦の立案が捗る。敵勢力は対応が困難になるはずだ
- 第5世代機は価格で導入できない同盟国協力国にもFMS制度を利用しF-15Xを通じ協力関係を強化できる
- F-15Xで戦闘機製造ラインを温存すれば産業基盤を多様化のまま製造能力を維持でき、国家防衛戦略(NDS)が想定する大国、国力が拮抗する敵対勢力の打破に貢献できる
現行の第4第5戦闘機ミックスにF-15Xを加えることは妥当かつ予算的にも実行可能で将来の戦闘機部隊の戦力、活力の維持につながる。これ以上の機種追加は負担できないと主張する向きがある。しかしながらF-15X追加は現行の第4第5戦闘機ミックスが将来も必要な戦闘能力を維持することを意味する。NDSが中国あるいはロシアとの直接対決の可能性が厳に存在するとする中でこれ以外の選択肢はない。■
General Frank Gorenc USAF (Ret.), is a four-star general who served as Commander of Allied Air Command, NATO and U.S. Air Forces in Europe.
This first appeared in RealClearDefense here.
米国は多くの紛争に介入しているが、第5世代機の数が足らないことが最大の問題だからF-15Xを導入するということですね。老朽化したF-15だと修理費用がもっとかかるから。
返信削除自衛隊は現時点では紛争に介入していませんが、中国が日本含むアジア諸国への侵略を隠さない現状で、老朽化したF-15の再改修だけで良いのでしょうか。。。
とは言え、下手にF-15Xを新調すると財務省がF-3の開発費を出さないか。
ロシア、北朝鮮、韓国も含め、どんどん日本に軍事的圧力を強める中で、そもそも、日本の財政赤字の定義自体が他国の赤字の定義と違う事は知られていますから、財務省の言う財政健全化、消費税増税で良いのだろうか?
不安だな。危機は少子高齢化だけではないのだけどね。
これも提灯記事にしか見えませんね。
返信削除第5世代機は兵装が制限されるなんてのはとってつけたような言い掛かりに過ぎず、むしろ外部タンクを必要としないF-35はビーストモードでの兵装搭載の自由度が既存機よりも高い。
提示されたメリットを見れば見るほど既存機種の増産が必要ならそれはF-15ではなくF-16であるべきでしょう。
根本的原因が予算の逼迫であるならば高価なF-15になるのは筋が通らない。
F-35を購入出来ない友好国に対する機材供給用として考えてもF-16の方が断然ハードルが低く、既存のインフラ流用やら人員の使い回し等々を言うなら尚の事機数の多いF-16であればこそその効果が発揮されるはず。
また今後の輸出も考慮すると「米空軍が現用してる」というブランドは大きく、より広範な市場の確保を狙うなら尚のことF-16にメリットがある。
詰まる所本音は最後の『F-15Xで戦闘機製造ラインを温存』て部分でしょう。
ボーイングに仕事を回すのが真の目的で理由はどうでもいいのです。
F-15Xの調達は厳しいのでしょうか?これも提灯記事では?
返信削除長期と短期などを無視してごまかしていますね。
運用費に関して、高いと言っていますが、F-16とF-15Eは横這いで上昇しているのはC/Dです。
これも急上昇ではないみたい。
F-15XになってもF-35より安くなるとは、思えないです。
5世代機と言うとF-22も含まれ、これがべらぼうに運用費が高いせいですね。
10項が本音でしょう。
製造が少ないですが、毎年40機前後、増産されており、2020年には、輸出も含めてですが、年産200機になりそうです。これが新造の根拠にはならないのでは。
国防費削減が出ており、本当にこれに回す予算あるんでしょうか?
退役大将のコメントは妥当な点が多いと思う。
返信削除老巧化の著しい第4世代機は、第5世代機の生産ネックもあり、継続して新しい機材に交換することになる。これは現在の米空軍の戦術と中露の軍事状況に対応するものであるが、将来もこのままこの状況が変わらないことはない。
米空軍の戦術は、敵国の防空網を制圧し、敵国内のいかなる目標も破壊できるフリーハンドを得ることである。
将来の状況は、もっと厳しい方向に向くだろう。中露の防空網の緊密化・高度化とステルス機探知技術の向上は第5世代機の価値を減ずる。第4世代機の侵攻は、大きな損害を受ける。
このような状況の対応は、まず敵国内に侵攻する前にある程度の防空網の破壊が求められる。このための兵器は射程を増大した各種ミサイルと無人機になるだろう。そのなると役立つのは第4世代機の大きな搭載量となる。
この観点から米空軍の戦闘機調達は、第5世代機を減らしてでも第4世代機を調達しようとするだろう。この予想は稼働率の観点からも支持されるだろう。
提灯提灯と匿名さんは現実が見えない人のようですね。・・・もしF-35が戦闘機として欠陥が無ければF-15Xという一世代前の戦闘機を新造しなくて済んだはずだ。
返信削除第四世代に置き換えれば、F-22に相当するF-15が高額すぎたので、F-35に相当するF-16を量産したが、そのF-35に当たるF-16があまりに使えなくって、第三世代戦闘機をチューンナップして3.5世代戦闘機にしたF-4EJ改を新たに新規に製造するという話しになる。
現実にF-15Xは予算がつく見込みではないか!F-35は大失敗とは言わないが、がどれだけ戦闘機として頼りにならない情けない最新戦闘機なのか!
F-22の製造を打ち切ったゲーツ元長官の判断がそもそも間違っただったが、戦闘機の歴史に、前世代戦闘機を再生産させなくてはならなくなってしまった情けない最新鋭戦闘機として、F-35は名を残すことになります。
とっくに言及されてるがF-15の製造はBT-X量産が始まるまでのボーイングの製造ライン維持の為。
削除F-35の発注数が削られて代わりにF-15が、というならおっしゃる通りだがそういう話にはなっていないのが証拠。
一度決まったA330MRTTを撤回させてKC-46を捻じ込んだボーイングの政治力は凄まじいですよ。
このぐらいの事は戦略的合理性がなかろうとやってみせるでしょう。
そもそもあなたの論理でいくとF-22に欠陥が無ければ製造が打ち切られることはなかったって事になる上にF-22の製造打ち切りは判断ミスなのにF-15の調達はそうではないと?
F-22を”撃墜”したF-35を嫌悪するあまり現実が見えていないのはあなたのほうではありませんか?