Boeing, Airbus Chiefs Exchange Tanker Barbs
aviationweek.com Oct 22, 2009
1.ボーイング経営トップは同社が不公平な優位性を米空軍KC-X空中給油機契約競争で受け手いるとの見解を否定するとともに逆に競争相手のEADS-ノースロップ・グラマン連合こそ政府補助金を受けた機体を使っていると非難した。
2.EADSとノースロップ・グラマンは当初は350億ドルの給油機契約を2008年初めに獲得したものの、米会計検査院がペンタゴンによる選定基準に疑義を呈したため契約ヶ成立しなかった経緯がある。今回は同連合からA330ベースの価格詳細情報がボーイングに漏れていた野ではないかとの疑惑が発表された。
3.「当方にとっては無視できない話題です。と言うのも双方ともに同じような機体を提案しているからです」とEADSのCEOルイ・ギャロワがワシントンでの10月20日記者会見席上発言している。「ボーイングにとっては当方の価格構成がわかることが好都合でしょう。当方も同じことが言えます」
4.これに対しボーイング会長兼CEOのジェイムズ・マクナーニは10月21日にボーイングの「いわゆる優位性」について反論した。「今回の競争では相手方から当社の情報がないという抗議ヶありそこから情報が出ている感じがする。相手方のいわんとしていることが理解できない」と第③四半期営業報告の発表席上発言している。
5.マクナーニは世界貿易機構によりヨーロッパ各国政府が不正にエアバス開発の補助金を支給していたとの指摘があったことを取り上げている。逆にヨーロッパ側からはボーイングが米政府からの援助を受けているとの反論に対する裁定は2010年に出るものと予想されている。
6.「公正な競争とはいえない。なぜなら今回の裁定内容で事実上エアバスの各機種が補助金を受けて開発されたことが判明したためで、A330もそのうちのひとつだ」とマクナーニは続ける。「これにより相手方は当社以上のリスクを引き受けることができるようになっている。このことは当社が詳しく調査したいと思っている」
7.マクナーニの発言は同社の統合防衛システム部門(軍用機関連)の売り上げが年換算3%増加し87億ドルになったとの説明の席上であったもの。営業利益は4%増の885百万ドルとなった。この増加から同社の軍用航空機ビジネスの強さがうかがえる。売り上げが7%増加し、利益は25%増。これによりネットワーク関連および宇宙システム分野の9%減を補う形になっている。ネットワーク・宇宙分野の減は情報収集・保安システム、ミサイル防衛・戦闘管理システムの発注量が減少したことによるもの。
軍事航空、ISR、 無人機、サイバー、宇宙、安全保障、最新技術....防衛産業、軍事航空、軍用機、防衛関連宇宙開発等の最新技術動向を海外メディアからご紹介します。民間航空のニュースは「ターミナル1」をご覧ください。航空事故関連はT4へどうぞ。無断転載を禁じます。YouTubeでご利用の際はあらかじめご連絡ください。
2009年10月24日土曜日
F-35 韓国に甘い誘惑を送るロッキード
Lockheed Dangles F-35 Work For S. Korea
aviationweek.com Oct 21, 2009
1. 韓国がF-35発注に踏み切った場合、同機部品製造に韓国企業が参入することができるとロッキードマーティンは発表。
2. 生産ペースが上がり、日産一機になると、決定済みのメーカーに加えサプライヤーを追加する必要がある。
3. F-35用の部品製造は韓国航空宇宙産業には仕事量は増えても国産戦闘機設計では進歩する可能性にはつながらない。ボーイングはF-15SEへの韓国の参加を提案しており、こちらでは技術力向上が期待されている。
4. コリアンエアの子会社コリアンエアアエロスペースはF-35生産の分担に関心を持っているものと見られる。
5. F-35ブロック2とブロック3のソフトウェア作成では生産分担の可能性があるとロッキードは見ている。
6. 一方、韓国は同国F-X IIIの要求性能を持つ機体合計60機を求めている。それとは別に国産KF-Xを2020年配備を前提としたより高い性能水準の発揮に提案されている。来月にも同計画の今後が決定される見込みで、実現すれば韓国航空宇宙の技術水準を押し上げる効果が期待されるが、F-35購入に対して費用対効果の点で疑問が呈されているのも事実。さらに、KF-Xの要求性能水準は半ステルス性まで格下げされている。
aviationweek.com Oct 21, 2009
1. 韓国がF-35発注に踏み切った場合、同機部品製造に韓国企業が参入することができるとロッキードマーティンは発表。
2. 生産ペースが上がり、日産一機になると、決定済みのメーカーに加えサプライヤーを追加する必要がある。
3. F-35用の部品製造は韓国航空宇宙産業には仕事量は増えても国産戦闘機設計では進歩する可能性にはつながらない。ボーイングはF-15SEへの韓国の参加を提案しており、こちらでは技術力向上が期待されている。
4. コリアンエアの子会社コリアンエアアエロスペースはF-35生産の分担に関心を持っているものと見られる。
5. F-35ブロック2とブロック3のソフトウェア作成では生産分担の可能性があるとロッキードは見ている。
6. 一方、韓国は同国F-X IIIの要求性能を持つ機体合計60機を求めている。それとは別に国産KF-Xを2020年配備を前提としたより高い性能水準の発揮に提案されている。来月にも同計画の今後が決定される見込みで、実現すれば韓国航空宇宙の技術水準を押し上げる効果が期待されるが、F-35購入に対して費用対効果の点で疑問が呈されているのも事実。さらに、KF-Xの要求性能水準は半ステルス性まで格下げされている。
2009年10月21日水曜日
インドが陸上配備型E-2Dを検討中


India Mulls Land-Based E-2D
aviationweek.com Oct 19, 2009
インド海軍は将来の空母設計を再評価中で米海軍の電磁航空機発艦システム(Emals)(ジェネラルアトミックスが開発中)への関心を示している。
Emalsではリニアモーターを使い、加速を得る。インドは短離陸垂直着陸(Stovl)のシーハリアーを現有の空母ヴィラートから運用しているが、同艦は退役が近づいている。インド海軍はロシアの空母アドミラル・ゴルシコフの改装をずっと待っており、最新の引渡し予定は2012年でイタリアのフィンキャンティエリの協力で空母整備を進めている。
「カタパルト技術が向上すれば、蒸気の代わりに電気を動力とする通常型空母の建造が有望だ」とインド海軍参謀総長(前)スレッシュ・メータ提督は語る。防衛対象の海岸線が7,500キロメートルにも及ぶ同国には空母が最低5隻必要だという。
より現実的に今日の警戒・軍事力投入のニーズに応えるため、インドはノースロップ・グラマンE-2Dアドバンスト・ホークアイの評価をしている。米国政府からは8月に輸出許可が下りたことで検討が進んでいる。
インドの要望はE-2D合計6機の購入で、監視警戒飛行および対テロ巡視任務に投入するもの。
インドからは2008年に情報開示の請求があり、本年8月に米海軍から技術情報のプレゼンテーションが行われた。インド海軍の空母ではカタパルト発艦ができないため、陸上型のE-2Dがノースロップ・グラマンに求められている。
陸上基地からの運用以外にインド海軍には選択肢はない。ゴルシコフ用にはMiG-29K戦闘機が配備されるが、カタパルトではなくスキージャンプで発艦させる。
高高度からの監視偵察能力の増強を進めるインドはボーイングP-8I 長距離海上偵察機を発注済で老朽化進むツボレフTu-142Mを取り替える。
またインドは長年にわたり空中早期警戒能力および戦闘管理能力を有する機体の取得に関心を示してきた。E-2Dにはロッキード・マーティン製AN/APY-9レーダーが搭載されており、監視対象面積が現在よりも300%増加させることができる。
一方、E-2Dについて連続飛行能力が低い、機内が窮屈、運用コストが高い、米海軍の通信機器専用に設計された機体だとの批判もある。「インド側には8時間の飛行が可能と説明しましたが、E-2CとE-2Dは外観こそ同じですがまったく違う機体です」(米海軍)
ノースロップ・グラマンはヒンドゥスタンエアロノーテイクスと追加燃料を収容する改造主翼開発の覚書を締結している。
E-2Cの場合のライフサイクル分析手法による飛行時間あたり費用は3,000ドルを下回ると米海軍は説明。
米海軍・NATO諸国とデータリンクを介して共同作戦ができる能力も同機を採用した場合の利点だ。
米各軍はEmalsの採用で現在の大型蒸気カタパルトを取り替えたいと考えている。機体の重量、速度が増大する傾向から発艦時の運動エネルギー水準も大きくなり、蒸気カタパルトの性能限界を超える予想。Emalsには供給電力を増加させる必要があるが、高エネルギー密度のフライホイールを使えば蒸気発生器の低密度を置き換えることができる。また、米海軍の装備はインド海軍には規模が大きすぎるとしても、発艦間隔を長くすれば必要となる動力を抑える解決も可能だ。
2009年10月19日月曜日
インド、ロシア軍事協力の最新状況


Russia And India Discuss Decade Of Defense Ties
aviationweek.com Oct 16, 2009
ロシア・インド間軍事協力協議が開催され、両国間の防衛協力の円滑化が中心議題の通常の会議に見えるが、 ロシアから見るとインドは通常の軍備装備市場の域を脱している。
米、独、仏、英各国がインドの国防支出の中から自国装備購入のシェアを高めようと必死であり、その例として調達機数126機の中型多用途戦闘航空機(MMRCA)があり、その他にもロシアも競争に加わるべき計画が目白押しだ。
今回の協議ではロシア国防相アナトリ・セルジューコフとインド国防相A.K.アンソニーが議長となり、特に二つの議題が最重要課題となった。ひとつがロシアで改装中の空母ヴィクラマディティヤ(旧名称アドミラル・ゴルシコフ)の引渡し価格であり、もうひとつは今後の両国の防衛産業協力の枠組みの合意だ。
その他にはロシアのT-90S戦車の国内生産が計画から遅れていること、さらに重要な新規開発計画として第五世代戦闘機(FGFA)の共同設計・開発問題のほか、多用途輸送機(ATA)の共同開発がある。
インド海軍向けのMiG-29K艦載機の引渡しが来月開始の予定で、同機の艦上運用試験がロシア海軍の空母アドミラル・クズネトフで最近実施されている。空母ゴルシコフの改装は日程から遅れており、予算も超過しているが、インド国内の政治的関心も高まっている。これがこじれないことがロシアの利益にもなるのは、乗員の訓練他で国防産業協力が拡大する可能性が出るためだ。
2011年から2020年の期間にインドはロシアの第五世代戦闘機スホイPAK FAの取得をめざし、同時に現有のSu-30MKI の性能向上も実施する。多用途輸送機開発はインド首相のロシア訪問(2007年)に合意したものだが両国で開発状況を再検討しており、このために合弁企業を設立し、両国軍の要望にこたえる15トンから20トンの機体の設計、開発、生産を行う。このため両国はまもなく協定書に調印する見込み。
誘導ミサイル関連ではSu-30MKI用の空対地ミサイルとして3M-55 ヤコント (SS-N-26) の派生型ブラーモスの導入が協議内容に含まれており、加えてブラーモスから超音速性能の兵器開発が検討されている。ブラーモスはラムジェット動力で速度はマッハ2.0から2.5の範囲で、仮称ブラーモスIIは更なる高速でマッハ6をめざし動力はスクラムジェットとなろう。
インドを重要な顧客と見るロシアの姿勢はKh-38 空対地ミサイルをMMRCA候補機としてのMiG-35 商談に抱き合わせで提供することにあらわれている。同ミサイルはロシア空軍にも配備がはじまったばかり。同じくMiG-29Kの商談にもこのミサイルがセットになっている。
インド国内ではブラーモスIIミサイルの共同開発はすでに合意済みとの報道があり、その推移に多大の関心が寄せられている。ただし、この報道には確証がない。
今回の両国 政府間協議は第9回目で各年持ち回りで開催されている。■
(写真左から インド海軍のMiG-29K、ロシアとインドが共同開発しているブラーモスミサイル)
2009年10月15日木曜日
アフガニスタン派遣で明らかになった英国軍の補給体制の弱点




U.K. Logistics And Support Concerns
Oct 13, 2009
英国によるアフガニスタン国内での作戦展開では補給および予備部品供給の問題があることが下院予算委員会で浮き彫りになった。 同委員会の報告書が国防省による戦闘部隊への補給・支援活動の実績が明らかにしている。
「国防省は重要装備を迅速に『緊急作戦要望』(UOR)要領にのっとり移送し、現場で発生した脅威に対応使用としたが、結果は不十分な初期対応または継続展開に限界があることがしばしば発生した」としている。
国防省はUOR調達手順に準拠して比較的早く戦闘部隊用の装備品を調達している。このことを念頭に同報告書が提起しているのは「国防省の現行装備調達活動とのバランスはどうなのかと言う疑問」である。
報告書では国防力見直しの一部として国防省が装備品整備計画が現在進行中ならびに将来発生しうる作戦に直結した能力水準のバランスが取れた装備を実現しているかを根本的に見直すべき、としている。
また報告書ではアフガニスタンで「マスティフ戦闘装甲車両はきわめて高い性能を示している」一方で、「予備部品の不足が発生している」としている。また「ベクター車両の信頼性は低いと判明した」としている。
さらに報告書では国防省が「イラク、アフガニスタン双方でサプライチェーンの目標水準を実現できていないが、補給対象の各部隊の平均待ち時間は短縮されている」としている。
ヘリコプターに関しては予備部品が問題としており、アグスタウェストランド・マーリンとWAH-64アパッチで顕著なのは「機体部品の共食いが必要となっており、結果本国内でのヘリコプター利用を減じている」という。
そこで戦闘作戦の支援が必要なのは認識しつつ、同委員会は「本国と海外の双方でヘリ運用の支援を実現するために民間企業へ奨励策を与え、予備部品の確保を改善する方策を検討すべき」とまとめている。■
写真 アグスタウェストランド・マーリンヘリ、WAH-66アパッチヘリ、マスティフの原型米製クーガー装甲車両(大きいです)、ぱっとしない外観のヴェクター
クーガー戦闘装甲車両(総重量17トン)を英国版にしたのがマスティフです。
2009年10月14日水曜日
米陸軍航空兵力の将来像


U.S. Army Aviation Plots Its Future
aviationweek.com Oct 12, 2009
米陸軍航空部隊のトップはコマンチに計上した146億ドルを再配分し、各種装備の近代化に支出している。コマンチヘリの開発は2004年に中止。ただ、この資金はまもなく枯渇する見込みで陸軍は財源の確保の戦略を練っている。
「陸軍航空隊の業績は好調」とウィリアム・クロスビー准将(航空部門計画責任者)は評価する。運用稼働率が高いまま維持されていることで「予算は順調についてきましたが、予算規模そのものが縮小傾向で、自己評価も謙虚にならなければなりません」
陸軍航空部隊の将来像を現実的に理解する作業は完了している。陸軍参謀副総長J.D.サーマン中将主宰の航空部隊研究報告IIは参謀総長の承認を得て 12番目の戦闘航空旅団の創設を内容に含み、装備の再編成を今後12から18ヶ月かけて実施する。また、無人航空機の利用方法を今後も模索する。
さらに4億ドルで訓練体系を改善してフォート・ラッカー(アラバマ州)でのヘリコプターパイロット養成を現状の1,200名から1,400名に増強する。一時は高等訓練機への移行に800名の訓練生が順番待ちになっていたこともあり、今回の予算措置でこれを緩和できる。アパッチ、ブラックホークの新型機導入で2012年までに解消の見込み。
コマンチの開発中止以降に陸軍航空部隊が予算不足に直面する事態は発生していない。逆に航空関連予算は40%増加している(会計検査院(GAO))。ただ陸軍もこのまま推移するとは見ていない。
GAOはまさしくその方向で、陸軍に対し2010年度陸軍航空近代化計画に予算の不確実性を取り込むべきと提言し予算削減の場合の対処方針の検討を勧めている。GAOは同時に共用将来型戦域空輸ヘリ開発を進めるべきと希望しており、空軍が短距離離発着に傾いて同計画が頓挫しかけている事を憂慮している。
陸軍の当面の予定は2010年までに現有システムの改良、新規開発、民生機種・装備の調達(例 UH-72Aラコタ軽量多用途ヘリ(LUH)の購入)を進めること。またUH-72については陸軍はEADS製の同機合計345機を導入する予定でこのうち210機は州軍に配備される。LUHの導入が進むとその分ブラックホークを戦闘に送ることができるとニール・サーグッド大佐(多用途ヘリ責任者)は語る。戦場でのブラックホークの需要は高い。
陸軍はLUHが順調に導入されているので、他軍あるいは海外でもラコタの導入が実現しコスト効果が大であると陸軍は強調できるだろう。米海軍は5機を総額30百万ドルで購入し、パタクセントリバーの海軍テストパイロットスクールに配備する。サーグッド大佐によると他に数カ国が関心を示し、海外軍事販売制度による導入を検討しているとのことだ。
ウォルター・デイビス准将(陸軍航空部長)は陸軍がこれまでの試練に対し計画的に潜在的な問題点を整理しながら当たってきたことを強調し、過去のコマンチ・近年の陸軍偵察ヘリコプター(ARH)の計画中止以降は変化があり、それは「戦闘で需要の高い能力を優先して維持すること」だという。意味するところはARH導入で廃棄される予定だったOH-58Dカイオワ・ウォリアーの老朽化進む部隊を維持・改良していくことだという。
同時に装甲偵察または空域観測のニーズにこたえる開発計画を策定することもある。この要求を実現するためには当初想定の単独のプラットフォームから複数の機種に変化しつつあるという。無人機を取り入れるのか、あるいは全部有人機となるかもしれない。
クロスビー准将は陸軍は今後19ヶ月以内に考えられる選択肢の検討を完了し、来年4月あるいは5月には最初の考察結果を発表し、予算編成の決定を支援する材料を提供したいという。「来春発表の当初資料で陸軍は計画の策定が楽になるでしょう。必要とする内容と実際に投入できる内容の比較対照ができるはずです。」■
(写真上 UH-72Aの原型はBk117です。 下 ステルスヘリとして開発されたものの取りやめになってしまったRAH-66コマンチ)
2009年10月13日火曜日
ユーロ・ホーク
Northrop Grumman Unveils Euro Hawk
aviationweek.com Oct 12, 2009
ノースロップ・グラマンはユーロ・ホーク一号機の受領テストを開始する。同機はRQ-4グローバル・ホーク無人機(UAV)の派生型でカリフォルニア州パームデールで10月8日にロールアウトした。
初の国際型UAVとなる同機はこれまでの機体と通信傍受(SIGINT)用のポッド6基を主翼に装着している点が異なっており、飛行制御ソフトの改修が必要。現在その最終作業が進行中で、タクシーテストの開始予定は来年2月。
初飛行の予定は3月。同機の所有権はドイツで、ノースロップ・グラマンは国務省に同機のフェリー飛行をエドワーズ空軍基地まで初飛行の際に行う外交上の許可を申請中。エドワーズで同機は六ヶ月にわたり性能限界を引き上げる作業を受けてからドイツに移送される。
ノースロップ・グラマンは飛行ルートを検討中。現在はカナダの領空を通過する大圏コースで直行する予定。これまでの大西洋横断飛行が西海岸からある場合はフロリダ経由だったが、航路短縮で飛行時間は約6時間短くなるという。
同機はEADSのマンチン工場へ来年9月か10月に移送されダミーのペイロードを正式なSIGINT装置に取り替える。その後のテスト等を経てドイツ空軍への引渡しは2011年となり、当初6ヶ月は作戦運用コンセプトの開発に使われる。続いて生産型ユーロ・ホーク4機の生産が2012年末までに完了する見込み。
ユーロ・ホークの生産は米空軍向け機体のロット12とロット13の一部とする計画をノースロップ・グラマンは考えている。同社が期待するのは初の海外型となったユーロ・ホークをきっかけに「大規模な」海外市場が形成されること。ドイツ・NATO向け以外に同機に関心を寄せているのはオーストラリア、スペイン、韓国、日本であり、それ以外にもあると同社は見ている。
2009年10月12日月曜日
アフガニスタン空軍部隊の再建



USAF Mentors Pass Skills To Afghan Pilots
aviationweek.com Oct 9, 2009
カブール空港から北数百メートルの荒廃したビルの陰に老朽化したMiG-21戦闘機が一機たたずんでいる。コンクリートの隙間から生えた雑草が同機を取り囲んでいる。そこから非舗装道路を少し行くと米国により最近補修された施設が二つあり、そこでアフガン国民軍航空部隊向けの教導訓練が行われている。MiGを片付けて、記念モニュメントにする計画がある。その他にもソ連時代の影響がUSAF指導員、アフガン教官、および訓練生により払拭されつつある。訓練生の多くは高年齢のパイロットで1990年代にソ連が支援した政権が崩壊したした際に国外へ脱出していたものもあり、国土の大部分を支配する部族の下で、あるいは北部同盟あるいはタリバンの下で飛行したものと経歴は様々だ。
カブール航空隊訓練センターではアフガン人機付長、消火部隊員、整備部隊員向けの講習に加え、英語とコンピュータ研修を実施している。講習に当たるのはアフガンの民間人が大部分でアメリカ人が支援している。米空軍中佐ビル・シェッド(第738空軍派遣顧問団の指揮官)によるとアフガン人教官の登用が大切なのだという。「アフガン人が関与して実施してる形を重視しています。訓練の進展は時間がかかり、忍耐も必要」だという。アフガニスタンで運用されているのはアントンフAn-26/32 輸送機、Mi-17輸送ヘリおよびMi-35 攻撃ヘリだ。
滑走路の反対側に新設の兵舎、食堂および航空隊司令部がきれいに並んでいる。その中にはMi-17ヘリのパイロット37名が教習を受けるシミュレーターも設置されている。ただし、稼働時間は一日一時間だけだ。米空軍中佐ジェイムズ・ドゥービンによると「シミュレーターを本当は一日16時間から18時間稼動させたいのですが、そうなると操作員がもっと必要になる」とのこと。
同じことはアフガニスタン駐留の米軍将校の全員から聞こえた。この国のあちこちを数週間かけて訪問して、すべてが不足していること、人員・機材の不足、いつも変更され骨抜きの交戦規則で空軍力の使用が制限されていることから戦闘行為に混乱した状態が存在していることが明らかになった。
ただひとつ希望が見えるのは生まれたばかりのアフガン航空隊の能力だと米空軍関係者が見ている。アフガン人パイロットの任務の大部分は貨物輸送で、人員輸送のほか人道援助物資のほか、アフガン陸軍兵員の医療輸送も行っている。「戦闘地域での輸送効率がいっそう重要になっています」とドゥービン中佐がキャンプKAIA(カブール空港内NATO施設)で語った。回転翼機については「医療輸送、対地攻撃、情報収集・偵察・監視を中心としています」とのことだが、これらのミッションにパイロットを配備している。
アフガン軍にはMi-35攻撃ヘリもあり、戦闘に投入するよう求める圧力も多い。同機の初期戦闘能力は8月に確立されており、「限定的ながら戦闘運用が可能なクルーが三組できました」とドゥービンが言う。言及している作戦には示威飛行、武装護衛作戦および事前策定によるアフガン陸軍向け近接航空支援がある。アフガン人パイロットはアフガン派遣国際治安援助部隊を支援することはない。また医療輸送も対象はアフガン人に限定される。戦闘が可能な状況でもクルーが武器を使用することはない。能力はあるのに、限定的な任務しか与えられず、実際に攻撃をする場面がないのだ。
今後二か月内にヘリ9機が増強され、訓練向けにそのうち二機が使われる。ドゥービン中佐他がアフガン人パイロットが経験あることを主張しているが、米空軍の指導教官の見方では今後の課題は言語理解力だという。アフガニスタン政府は同国航空業務の公用語は英語と決定している。
コメント: イラク空軍の再建への努力については先日お伝えしましたが、今回はアフガニスタンです。状況はもっと悪いことがこの記事から伺えます。その中でアフガニスタンに対するコミットメントを深めようとする日本外交には大きな試練となりそうですね。洋上給油というリスクが低い選択を取りやめ、あえて同国内に乗り込もうという日本の選択は楽ではありませんが、米国、NATO加盟国とやっと同じレベルに(中身は知りませんが)立つことができるのでしょうね。くりかえしますが、前途は多難です。
2009年10月10日土曜日
雨に弱いF-22

久しぶりにF-22の話題です。購入の道をほぼ閉ざされた日本にはもはや未練はないのかもしれませんが、もし導入していたらと考えると次の報道には考えさせられてしまいます。今後何十年も使う機体ですからこれくらいのトラブルはトラブルとはとらえずひたすら熟成を図るのでしょうか。
Air Force Timesより
F-22 problems linked to rain in Guam
By Erik Holmes - Staff writer
Posted : Monday Oct 5, 2009 11:53:34 EDT
雨とラプターは相性が悪い。アンダーセン空軍基地(グアム)の高温多湿環境でアラスカから移動してきたラプターがつぎつぎに故障を起こしている。グアムの雨季は7月から12月。同機の冷却システムに水分が入りショート、機能作動不良となっている。新型機の場合はメンテナンス上のトラブルはよくあるが、「この機体をいろいろな環境の中で使う際に避けて通れない習熟上の問題です」と太平洋空軍広報責任者のエドワード・トーマス大佐は語る。「F-15やF-16 の導入時にも小さなトラブルがあったものです」
基地の整備部隊がF-22の故障は解決しており、問題箇所に防水コーティングを施す対策を講じたという。
当地のF-22はエルメンドーフ空軍基地(アラスカ)の第525戦闘機部隊からの派遣で5月から4ヶ月の駐留。全機予定通り原隊に戻っている。アンダーセン基地へのラプターの配備はこれが三回目でいずれもエルメンドーフから移動している。
今回の事例はグアムの戦略的意義には「全然影響がない」もので、同地の防衛体制に支障は与えなかった。(同大佐)今後はグアム以外の場所にも配備される予定。
2009年10月9日金曜日
厳しい米軍各部隊のヘリ運用事情



Aging U.S. Rotary Fleet Gets Upgrades
aviationweek. com 10 月8日
予算が厳しい中、アメリカの各軍は現有回転翼機の改修、改造で前線部隊の要望に応えようとしている。陸軍航空部隊の運用責任者ウィリアム・クロスビー准将は「これはヘリコプター戦争というべきものだ。予算制約の中、厳しい運用環境におかれている」という。新型機の導入のめどが立たない中、各軍は現有機材の保守点検に中心をおきつつある。クロスビー准将によれば、飛行時間の拡大、砂塵・高温・高地が組み合わさって磨耗損傷が機体に目立ってきたことを指摘する。陸軍の補給部門から航空ミサイル司令部へ今後の機材装備計画の検討が依頼された。今月は重整備計画の最初の報告書の締切があり、その後数ヶ月をかけて分析をし、装備計画を作っていく。
クロスビー准将は「機材は改修後は10年間の耐用年数を持たせたいところです。ではどうそれを実現するか。要は事前に行動をとることです。故障が発生してから’さあどうしよう’と考える事態にはなりたくありません」
【陸軍では①ブラックホーク】各軍の中で一番多くのヘリを運行するのが陸軍だとニール・サーグッド大佐(多用途ヘリ計画主査)は語り、現時点で350機のブラックホークが飛行している事実を指摘する。80年代製のUH-60A型が新型のL型、M型と一緒に飛んでいる。A型とL型はともに改修を受けており、M型の新造機を最初に配備するのはアフガニスタンになるとサーグッド大佐は語る。
陸軍の考えるUH-60の必要機数は合計1,931機。だが現有機数は1,750機。このためA型は全機L型仕様に改装を受けている。この作業に290日かかる。さらにM型への改修でフライバイワイヤー、完全デジタル管理のエンジン(Fadec)と共用エイビオニクス計器システム(CAAS)のコックピットに換装されるが、まだ改装工程の開発に2年間必要だ。性能向上を求める声は大きく、陸軍はM型の性能水準を既存機に取り入れていくことになる。サーグッド大佐は「まだ進行中ですが、性能向上内容の他型機への展開の検討をしているところです」という。
【陸軍②チヌーク】ボーイングは砂漠の嵐作戦以降のイラクでの教訓を取り入れていると、ジャック・ドハーティー(同社H-47チヌーク計画主査)は語る。その結果チヌークはアフガニスタン、イラクでの作戦により適合しているという。砂塵による腐食対策としてエンジンを守るフィルターに加え空気中の粒子の分離機(EAPS)がある。チヌークは本国で保守点検を受けるが、ドハーティによると「EAPSから大量の砂が出てくるので驚くことがあります。そのための装置なのですがアフガニスタンの砂の半分を本国に持ち帰っているのではないかと言う向きもあるくらいです」という。チヌークの旧型であるD型にも陸軍からのフィードバックでボーイングが改修をしている。「前線の使用部隊の声をいつも聞いています。陸軍と共同で改修が効果があるのかを見極めています」
クロスビー准将によれば陸軍の回転翼機向け業務計画は大部分が既存機体の改修あるいは稼動期間の延長であるという。同准将はチヌークの新しいF型、基本性能型のUH-60M、OH-58Dカイオワの前線配備を言及している。先にはUH-60のM型内容改修とアパッチのブロックIII改修が控えている。
「気になるのは現有機体を通常の4倍から5倍のペースで運行していることです」(同准将)
【海軍】海軍では艦隊からのフィードバックはより早く、内容も多い。これは運営管理モデルが確立しているためとスティーブン・イーストバーグ海軍少将(対潜・上陸・特殊航空作戦計画主任)は語る。「艦隊の最前線で教訓がまだ新しいうちに、われわれはその内容を理解したいのです」という。10年前は海軍は新開発を無抵抗に受け入れていたという。「熱心に新型機の開発に没頭していました」それがこの10年ほどで生産工程を重視するとともに特に最近は運用支援に中心が移ってきたという。「一種のヘリコプタールネッサンスとでもいうべきでしょう。20年前、40年前の技術でいろいろ進展があります。ハードウェア、ソフトウェア両面で新型を現場に提供する過程にあります」
海軍の最新鋭シーホーク対潜・水上艦艇用機はMH-60Rの開発は順調に推移したとディーン・ピータース大佐(H-60開発主任)は評価する。空母ジョン・ステニス艦上で同型19機の部隊が編成された。
【海兵隊】海兵隊で最優先なのはH-1の改修で、UH-1Y、AH-1Zコブラが含まれる。両機種ともまずキャンプ・ペンドルトン(カリフォルニア州)に導入され、UH-1Yは11月にアフガニスタンに投入される予定とジョージ・トラウトマン中将(海兵隊航空部隊副司令官)は説明する。初回の配備において「Y型はエンジン出力が大きく増加し、ペイロードと性能も向上したのでパイロット、乗組員が燃料、搭載兵器、輸送人員で運用上の妥協をする必要が一切なしに運用できましたし、アデン湾の海賊対策でも同じです。」(同大佐)
ハリー・ヒューソン大佐(海兵隊H-1改修事業主査)によると以前のAH-1W とUH-1Nは今でも前線に配備されているが、運用を継続するには多大の注意を必要とするという。トラウトマン大佐はUH-1Nは今でも有用な機体であるものの「三十年間の稼動で空輸能力が減少し、アフガニスタンのような高温の高地環境では課題が多い」とのこと。
海兵隊はV-22オスプレーの保守点検と信頼度の向上で多大の努力を進めている。トラウトマン大佐は同機の信頼性が低いことを9月の会議で取り上げている。ただ同機の優秀性に着目すべきと度大佐は考える。8月には前線配備の各機種で稼働率が向上したという。「機種ごとに目標値が違う」が。CH- 46Eで85%、CH-53Eで75%だったという。
CH-53E型とD型の改修内容は広範囲である一方、海兵隊は新型のCH-53K重量物運搬ヘリの投入を心待ちにしている。エンジン信頼性改善プログラム(ERIP)により同機のT64エンジンの三つの機種 -413、-416(CH-53D)、-419(CH-53E改修後)それぞれで稼動時間が増大している。リック・マルドーン海軍大佐(CH-53計画主査)はこの改修結果は劇的に大きいとみる。CH-53の砂漠地帯での重点検までの稼動時間合計はわずか150時間という。ERIPの結果、これが650時間になり、マルドーン大佐の目標は1,100時間という。
【まとめ】「手元にある機体を維持することが中心です。最優先事項は各機を飛行可能にし続けることにつきます」(マルドーン) この発言は各軍で共有できる内容だろう。
コメント イラク、とくにアフガニスタンでのヘリの酷使が伺える内容ですが、生産が追いつかなくなると今後の各軍のヘリ部隊編成が大変なことになりますね。また稼働率、稼働時間の低さには注意が必要です。予算が厳しいとはいえ、これからはproactive が合言葉となり、先に手を打つメンテナンスが中心となりそうですね。
2009年10月8日木曜日
USAF: KC-135E退役でKC-Xへの期待が高まっています

今回は米空軍の広報資料からお送りします。http://www.af.mil/news/story
As KC-135Es retire, Air Force officials' focus shifts to KC-X
Posted 10/5/2009
by Tech. Sgt. Scott T. Sturkol
Air Mobility Command Public Affairs
スコット空軍基地(イリノイ州)(AFNS)--- KC-135Eストラトタンカーの最後の機体が9月28日の最終飛行をシェパード空軍基地(テキサス州)で行い退役し、50年以上の運用に終止符を打った。このKC-135E 56-1503機は同基地で航空機メンテナンスの教材として使用され、1956年製で同型機161機のひとつ。空軍はKC-135R合計415機の運用を今後新型機が導入されるまで継続する。KC-135Eの退役でKC-X次期空中給油機の必要性があらためて注目されると空軍機動軍団(AMC)は見る。9月24日、国防総省はKC-X提案仕様書案を公表。それによると新型空中給油機179機をKC-135の後継機とする。KC-Xは二次的に貨物、人員、患者を輸送する。
KC-135部隊の稼働率は80パーセントを維持していると、AMCの兵站本部は報告している。KC-135では飛行時間一時間あたり平均延べ7人時間から8人時間の保守点検が必要だ。KC-135の任務一回ごとに機付長と補佐2名が機体を点検している。一番多くの保守作業が必要なのは燃料タンク、補助動力装置、飛行制御、エンジン計器。その他にも毎年大体72機のKC-135が空軍資材軍団で経年変化への対応作業を受ける。KC-135のシステムおよび保守点検関係者によるとこの作業日数は増大の傾向にあるという。
AMCの予測では今後15年から30年でKC-135の保守点検は増大し、配線の更新、表皮処理、腐食対策他機体の維持ならびに飛行制御の総点検、アナログシステムの改修が含まれる。これらの合計で年間費用は20億ドルから60億ドル増加していくと見ている。退役後のKC-135Eには教材として使われる機体以外に部品取りのため「ボーンヤード」となるデイビス・モンタン基地(アリゾナ州)に保管される機体がある。
「必要な部品を取り外されるまで15年から20年そこに残ることもあります」とトム・シュナイダー大佐(309航空宇宙保守点検・再生グループ指揮官)は語る。「退役した機体を有効利用しています。保存状態に置かれるということは部品取りの対象となり、そのおかげで残りの機体が飛行できます」関係者はKC-135RとKC-10エクステンダーの空中給油ミッションを世界中で維持できると自信を持っている。しかし、新型給油機を熱望しているのも事実だ。AMC
司令官リヒテ大将はKC-Xを空軍の調達の最優先対象として捉えており、米国の軍事戦略を支える中核的な航空機として今こそ計画を前進させるべきと見ている。
(写真はKC-135E(下)とR。エンジンが違うのがよくわかりますか。空中給油機は窓がないので閉所恐怖症の方はつらいでしょうね。そのかわり機体が長持ちしています。)
2009年10月7日水曜日
イラク空軍は再建途中




Iraqi Air Force to Expand Capability
aviationweek.com 10月5日
イラク空軍(IQAF)再建が米国主導で開始された際、米国側はゼロからのスタートであり、飛行運用の開始は2016年と見ていた。だが、米-イラク協定により米軍撤退期限の2011年12月が迫り、いまや26ヶ月しか残されていない。
「この現状の中で、短時間で多数の種類の能力を運用可能にしようとしています」(イラク軍事訓練顧問団団長米空軍少将ロバート・ケイン)だが、同少将も残る時間内で任務を完了するのは「とても高い課題」と認める。事態をややこしくするのは、最近の原油価格の低下だ。これまでもイラク空軍再建の努力は予算の不足で台無しになっている。
現在のIQAFの能力の水準は大きくばらついている。空輸は2005年から運行され合計3機のC-130Eが中心。ここでの顧問団の役割は若干の保守点検を除けば事実上終了している。イラクはさらにC-130J導入予定。
情報収集活動で同空軍が運用しているのはC-208キャラバン、ホーカー・ビーチクラフトのキングエア350とSAMA CH2000で、これも着実に進展した。その結果、顧問団はセンサーで得られる情報の活用に指導の中心を移している。
対地上攻撃はIQAFが対ゲリラ戦を展開するために必須と見られ、ここでも目立った効果が出てきた。これまでは少数のMi-17攻撃ヘリで非誘導型ロケット弾を発射するだけだったが、3機のコンバット・キャラバンがここに加わり、今月にはレーザー誘導ヘルファイアミサイルの発射が実現する。
短期的な解決方法としてMi-17ヘリの改修で2.75インチ口径のダガロケット弾にレーザー信号追尾装置を装着する。さらにウェストカムMX-15 FLIRを装着し、正確に目標を識別させる。また新造のMi-17を合計22機購入する。
装甲つきの偵察ヘリとしてベル407を2011年導入の予定。学習効果を高めるため、通常型のベル407を先行導入しパイロットの習熟を進めている。したがって、装甲偵察型が導入で、顧問団は任務遂行の訓練に中心を移す。
対地上攻撃能力を向上すべく、地上航空管制官(陸上部隊に派遣され航空作戦を調整する)の技能向上を検討中。目標捕捉能力の向上は今のところIQAFの空対地攻撃能力が不足していることから優先度は低くされている。
固定翼機では発注済の8機のホーカー・ビーチクラフトT-6A練習機の一号機を12月に受領する予定で、チクリットに配備される。同地はイラクの空軍士官学校の伝統的な所在地。
大きな課題も残る。イラクは固定翼戦闘機の取得に関心を示しており、2015年の実現を目指している。しかし、同国所属だったMiG戦闘機がセルビアで見つかってもIQAF指導層の関心を呼んでいないようだ。今後の課題は導入中の複雑な機構の機体を長期間にわたり維持していくこと。
明るい材料はパイロット訓練で本年末にイラク単独で固定翼パイロット教程をキルクークで開始する。さらなる成果として回転翼パイロットの一期生が先月卒業している。
写真 セスナAC-208キャラバン、Mi-17ヘリ、SAMA CH2000、 T-6AテキサンII練習機
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