スキップしてメイン コンテンツに移動

習近平のゼロコロナ政策は悲惨な失敗へ。国民の健康より面子を重視する思考に問題がある。ただし、悪影響を受けるのは世界各国へ広がった。中国の終わりの始まりなのか。

 


3年間にわたるゼロコビドという過酷な状況を経て、中国国民は、全国的な感染や入院患者の急増の亡霊に直面している。

 

国共産党とその指導者習近平が、世界の羨望の的だと喧伝してきた「ゼロ・コビッド」戦略が崩壊する構図に嫌気がさし、中国で学生や労働者が街頭に出てきた。今回の混乱は、すべて習近平の仕業だ。独裁者が人命救助より面子を優先すればどうなるかという、戒めの物語だ。習近平と中国共産党の無責任で責任感のない行動を世界は無視できない。

 Covid-19のパンデミック対応で模範的な記録を誇れる国は皆無に近い。鎖国、マスク着用、ワクチンなどの医療品不足など、最初の不手際を経て、世界の民主主義国は透明な試行錯誤を経て、国民を守り、ウイルスと共存することを学んできた。習近平と中国共産党は、そのパラノイアと支配欲のため、過剰検査と強権的なロックダウンで、中国国内のコビドを「消滅」させようとした。北京は、ワクチン接種でウイルスと共存するのではなく、ウイルスを消滅させようとした。中国の監視国家体制は自然を屈服させられると考えたが、自然が反撃している。

 中国共産党第20回全国党大会まで3年間、北京は習近平の前人未到の3期目を保証する主要成果の一つとしてゼロ・コビド戦略を謳った。その一方で、自慢の経済成長率は2018年の6.75%から2020年に2.24%に低下し、若者の失業率は20%近くに上昇している。党大会で習近平は3期目に昇格し、ゼロコビトの戦士たちへ側近の高位に就く褒美を与えた。

 11月上旬、習近平はその地位を固め、地方当局に対して、封鎖を縮小し、経済を回復させ、コビドを排除するよう指示した。自滅的といえるこの指示の結果、感染が急増し、ロックダウンが再開され、国民は大混乱に陥った。3年間のゼロコビッドを経て、中国国民は今、多数国がパンデミック初年度に経験したような、国民免疫への道のりの中で、全国的に感染と入院が急増する恐怖に直面している。習近平と彼のゼロ・コビッド・ウォリアーたちは、中国を自らが招いた不愉快な混乱に陥れている。北京は、①封鎖を続け国民の怒りに直面するか、②規制を緩和し、低効力の中国製ワクチンによる免疫がまばらで、大量感染への準備ができていない国民保健システムのまま蔓延する感染症に立ち向かうか、どちらかだ。

 習近平はプライドより国民を優先し、ゼロコビットから管理可能なコビットへ軸足を移すこともできたはずだ。効果の高いファイザーやモデルナのワクチンを輸入し、国民の免疫力を高め、経済を開放するため国家的なワクチン接種キャンペーンを開始できたはずだ。残念ながら、歴史は、独裁国家が国民よりも面子を重んじることを示している。

 最終的に、中国のCovid騒動は、習近平の個人的な失敗であるだけでなく、脆く、硬直し、独裁的な中国共産党の制度的失態だ。中国国家の秘密主義、閉鎖性、協調性の欠如、誤ったプライドが、信じられないほど無責任なCovid政策につながり、中国国民と国際社会の両方が代償を払わされている。

 その結果の範囲は、中国国境をはるかに超えている。秘密主義と面子を重んじる政権姿勢は、国内感染を世界的な大流行に展開させ、世界にとって重要な1カ月を犠牲にさせた。同時に、中国は真実を伝えようとする医師を投獄し、世界保健機関(WHO)をいじめウイルスに関する誤解を招く情報を発表させた。さらに中国の締め付けによる経済的影響は、世界経済全体に響き続けている。

2017年のダボス会議で、嬉々としていた習近平は、より活性化された、包括的で持続可能な経済のグローバル化を呼びかけ、ドナルド・トランプ米大統領が手放した経済のマントを主張しようとした。その習近平が、過去50年間の各指導者よりも、世界貿易とサプライチェーンを揺るがすことになるとは、会場の聴衆は誰も予想できなかっただろう。

 中国国民は、指導者がもたらした政策の混乱から、迅速かつ安全に立ち直ることができるはずだ。国際社会は、求めがあれば協力する用意があるはずだ。この大失敗の後、国際社会のすべての賢明なメンバーは、習近平が「人類運命共同体」のために中国共産党のイメージで世界を再形成すると自慢していることに立腹すべきである。世界は、旗を掲げた勇敢な中国の愛国者の言葉に耳を傾けるのがよい。「私たちは自由を求め、閉鎖を求めず、選挙を求め、支配を求めない。私たちが欲しいのは自由であり閉鎖ではない。奴隷ではなく、市民になれ」。■

 

China’s Covid Crisis Is a Mess of Xi Jinping’s Own Making

by Kaush Arha

December 3, 2022  Topic: China  Region: Asia  Tags: ChinaCoronavirusCOVID-19Xi JinpingZero-COVIDChinese Communist Party

https://nationalinterest.org/feature/china%E2%80%99s-covid-crisis-mess-xi-jinping%E2%80%99s-own-making-205979

     

Dr. Kaush Arha is a senior fellow at the Atlantic Council and the Institute for Tech Diplomacy at Purdue.

Image: Reuters.


コメント

  1. ぼたんのちから2022年12月4日 11:33

    武漢で人為的に作られたと推定する武漢肺炎ウイルスは、世界中に流行した後、感染力を著しく強化し、里帰りを果たしたようだ。
    最新型ウイルスは、死亡率を大きく下げたように評価されているが、それは既に広範囲の流行が起き、また、多くの市民がワクチンを接種済みの社会での評価であり、中国のように小規模の流行の経験と、有効性の低い「水ワクチン」の対策しか行っていない社会での死亡率は、当然、深刻なものになる可能性が高い。
    死者は、武漢での数を大きく越えることになるかもしれない。
    このような状況に陥った原因の多くが習の責任によるものである。国内流行を抑え込んでいる時に、自画自賛で浮かれないで次の対策を準備すべきであったが、それを怠った。
    中国での武漢肺炎の流行は、始まったばかりであり、その被害もこれからより大きくなると予想される。
    習は、より強力な隔離政策を行うしかなくなり、人民の抗議行動もより高まることになるだろう。そうなると習は、「血とはちみつのプー」になるだろう。桑原、桑原!!!

    返信削除
  2. 中国が強すぎるゼロコロナ政策をとるのは新型コロナに数年~数十年後に発症する危険な後遺症(はしかやO-157にあります)があるのを中国政府が(開発者だからにせよ何年か前に採取して世界に隠していたからにせよ)
    知ってるからではないか?と危惧してましたが、政権のメンツのためだったと分かり一安心してます

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM