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レーザー兵器開発、実用化はどこまで進んでいるのか 意外に早く戦闘機搭載になるかも知れない

Imagine This: Air Force Fighters Like the F-35 and F-22 Armed with Lasers 戦闘機へのレーザー兵器搭載が間もなく現実になる

January 18, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35LasersMilitaryTechnologyWorld
空軍は航空戦の戦略、戦術、作戦構想を書き換えるレーザー兵器の急速な実用化を目指している。レーザー技術は近代戦の様相を一変し戦闘機による攻撃効果を引き上げる存在だ。
空軍は早ければ2020年代にも航空機でのレーザー兵器運用を目指し、電源確保以外に装備統合をしつつ技術の急速な進歩に対応する。
レーザーで光速で攻撃精度が上がるだけでなく欲しい効果に合わせ拡大縮小、つまり完全破壊から部分損傷あるいは限定効果まで脅威に応じた対応が可能となる。
「レーザーにより戦闘部隊は状況に対応して柔軟、迅速かつ精密な標的攻撃が可能になります」と空軍研究本部(AFRL)広報エバ・ブレイロックがWarror Mavenに書面で伝えている。
空軍研究本部はカートランド空軍基地でレーザー兵器を開発中で、地上発射テストは実施済みで空中発射実証の準備に入った。まずレーザーポッド装着の戦闘機から地上で発射し機体装備との整合性を確認する。
ARFLの主要プロジェクトには空対空兵器としてSHIIELD自機防御用高エネルギーレーザー実証装置があり、地上発射型の実証レーザー兵器システムもある。AFRLはロッキード・マーティンとSHIELDに取り組み、実用レベルのレーザーで数年以内の実現を目指している。
半導体レーザーは電源のみに依存し、特定の化学製品は必要ない。高熱で標的の機能を喪失させたり燃焼させる。
レーザー兵器が実用化されれば戦闘機パイロットの戦術で新しい可能性が広がる。例えば複数標的を同時にねらうとか再照準がすぐ可能となるとAFRLは論文で説明している。
現行の戦闘機は空対空戦で同時に複数標的を狙えるがレーザーでその機能は更に高まる。戦闘機は近接航空支援を行いつつ敵航空機にも対応できる。
自由に規模変更できることに意味がある。ビーム数本をまとめれば効果を変更できることをAFRLでは例に上げている。「30kW級レーザーにより接近阻止、劣化、妨害、破壊が一定距離以内なら可能で少舟艇なら数キロ先から可能です。出力を増せば対空、対地、対水上攻撃手段となり相当の距離から対応可能となります」(ブレイロック)
破壊ではなく劣化させる選択肢がパイロットに生まれると、従来の手段では不可能な空対空ミサイル、空対地ミサイルや爆弾への対応も実現する。敵の機体、車両、装備を破壊しつつ人命で損傷は発したくない場合、例えば至近距離内に民間人がいる場合で対応が可能となる。
開発現場では小型化と機内発電手段でも進歩しており、戦闘機や輸送機が重量超過なしで「無限の弾倉」の発射装置を搭載できるようになる。この事の利点は大きく、燃料消費を改善し、速度、機体操縦でもプラス面が多い。運搬可能なレーザー兵器があればジェット戦闘機も兵装の大量搭載が不要となり、航続距離が伸び、機体操縦性能が向上する。
機体が軽量化すれば滞空時間が伸び、給油で帰投する回数も減る。「補給拠点」への依存が減ったレーザー武装戦闘機は兵装再装填も不要となり、ミッションの拡大に貢献するだろう。
「30kW級レーザーのバッテリー重量は約300ポンド、大きさは0.5立方メートル以下」とAFRL文献にある。
パイロット及び地上兵器操作員には長期かつ迅速なミッションに対応した新しい戦術構想が必要となり、攻撃効果も自由に調整する必要が生まれる。レーザー出力を伸ばすためにAFRLでは二色ファイバー増幅器の利用も考えている。
ただしレーザー兵器開発の実用化では課題が残ることをAFRLは認めている。
戦場の厳しい条件に耐えること以外に「ビーム制御」で精度を確保しつつ「流体力学上の不安定性」の影響を排除する必要もある。「ビーム制御をさらに進めて精密な照準、追随、捕捉を飛行時の振動の中で実現する必要がある」とAFRLは説明している。装備の「発熱と重量」を適切に管理できればビームの希薄化や分散は減るはずだ。
「高速での大気の流れを緩和しないと光学上のゆらぎが防げない」とAFRL資料は説明。「熱管理の効果を上げて発射回数を増やすべく液冷ループや二段階冷却を利用しつつ、余熱伝導で固体を溶融して液体にしてから冷却していく」
レーザーが攻撃手段に使えれば米軍での効果は大きい。レーザーは同時にセンサーにもなるので敵ミサイル飛来時に効果を上げる。「迎撃手段」として光の速度で進み、敵攻撃を撃退できるので、対艦ミサイル、空対空ミサイル以外にICBMにも対応できる。兵器開発部門には戦術上も財務上も十分に魅力ある選択肢になるはずだ。レーザーは極限まで低コストでありながら高額な迎撃ミサイル同様の効果を生むからだ。
米陸軍、海軍も同様に攻撃、防御両用でーザー兵器実用化をめざしている。
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at National TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.
This first appeared in Warrior Maven here.
Image: Creative Commons.

コメント:ここまでの内容をさり気なく公開するとはレーザー兵器の実用化が思ったより早く進んでいるのか、それとも予算を狙ったほら話のいずれかでしょうが、レーザー兵器は現実の手段になりそうだと見ています。技術情報などの防護が非友好勢力に対して必要ですね。あとはこれも音沙汰のないロッキードのCFR小型融合炉技術が加われば鬼に金棒ですね。その場合は単座の戦闘機よりも大型機を「空の戦艦」に改造することで戦闘機の概念も変わるのではないでしょうか。

コメント

  1. ビーム制御はビーム品質BQの話で、回折限界にどれだけ近づけるかの話ですかね。意外に熱管理の手法が進んでいるのは朗報ですが、やはり電源確保の問題が戦闘機搭載ができるかの鍵であることは変わらないですね。

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