2019年2月26日火曜日

フランス海軍原子力空母ド・ゴール空母戦闘群は3月に本国出港

フランスを3月に出港し途中各国と訓練しながら太平洋で日本近くに到達するのは4月末でしょうか。香港寄港は無理と思われますので日本へやってくる可能性もありますね。また左巻きな人たちが反対の声を上げるのでしょうか

France's Only Aircraft Carrier Is Back in Action (And Headed Asia) フランス唯一の空母が現役復帰し、アジアへやってくる

The French navy's only aircraft carrier is back in action following an 18-month, $1.5-billion overhaul that compelled French aviators to practice aboard an American flattop.フランス海軍唯一の空母は18ヶ月15億ドルの大改修を終え現役復帰する。この間はフランス航空部隊要員は米空母で技量を維持していた。

February 25, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: FranceAircraft CarrierNavyU.S. NavyMilitaryTechnology
ランス海軍で唯一の空母が工期18ヶ月15億ドルの大修理を終え復帰する。フランス航空部隊はその間米空母で技量を維持していた。
フランス海軍は排水量42千トンの原子力空母シャルル・ド・ゴールを2018年11月にフランス調達機関Direction Générale de l’Armementから受領した。
「大修理近代化改修はフランス南部ツーロンで行われ戦闘システム、航空整備施設、艦体を対象にした」とJane'sは報じていた。
『新装備の長距離3D航空探知レーダーほか高性能航法レーダー、ネットワークのデジタル化、指揮命令所は全部入れ替え通信装備も近代化された」とある。
航空機整備用ハンガー、機体格納スペース、着艦装備は「ラファール対応」に全部切り替えられ、シュペル・エタンダール退役後に主役の座についたラファール戦闘機の海軍仕様に対応する。操舵関係の自動化装備も更新され、冷却系統ふたつも交換されている。
フランス国防省はシャルル・ド・ゴール戦闘群(駆逐艦3、潜水艦1、補給艦1含む)はインド太平洋地区に向け2019年3月に出港と発表。派遣期間は5ヶ月だ。
派遣中、同戦闘群は海上自衛隊との演習の他、エジプト軍、インド軍とも訓練を展開するとNHKワールドが報道している。
「フランスはここ数年に渡りインド太平洋でプレゼンスを強化してきた。南シナ海への艦船派遣もそのひとつ」とNHKワールドが伝えている。
大改装前にシャルル・ド・ゴールは中東に三回派遣されている。2015年に二回、2016年一回でイスラム国を標的とする連合国作戦に参加した。
その前にはアフガニスタン戦で2001年に、またリビアでのNATO作戦に2011年投入された。
全長860フィートの同空母は40機ほどを搭載し、ラファールM戦闘機、E-2Cホークアイ早期警戒機、EC725カラカル、AS532クーガーの両ヘリコプターが航空戦力だ。
大改装中は航空要員の技量維持が課題になる。このため空母二隻を保有するのが通例であるが、フランスとロシアは一隻しか保有していない。
そこで大改修がはじまった2017年からフランス航空部隊が米海軍の空母航空隊に初めて編入された。
フランス海軍航空士官27名と要員350名が2018年4月にヴァージニアに移動してきた。ラファール12機とホークアイ1機は陸上訓練後にUSSジョージ・H・W・ブッシで洋上訓練をした。
「フランス航空隊二個を米航空団に統合した」と第八空母航空団司令ジム・マッコール大佐が Navy Timesに語っている。「ラファールはF-18隊としてまたフランスのE-2はこちらのE-2隊に加わった」
1994年進水のシャルル・ド・ゴールは2040年代まで供用される。2018年にフランス国防相フローレンス・パルリは後継艦の仕様を2020年に決めると語っている。新型空母は2080年代まで供与されよう。
「新型空母の検討課題には原子力推進にするのか、ドイツと共同開発の新型機をどう運用するのかがある」とAFP通信が伝えている。
「フランスは今も大国としての意識が強い」とRANDのマイケル・シャキーンがNational Interestに語っている。「原子力推進空母はこの願望に叶う」■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels   War Fix , War Is Boring  and Machete Squad .

F-15Xが必要な理由を米空軍退役大将が説明しています

記事を前にF-35支持派等に困惑と疑問が広がっているようですが、以下退役空軍大将の論調には一定の説得力がありますのでご覧ください。一部読者のご指摘にあるようにF-15Xと航空自衛隊はつながりが薄いように思えますが、今後F-15Xが中進国等に普及する可能性もあり、F-15は100年近く供用されるかもしれません。

Why the Air Force (As In the F-22 and F-35) Needs Boeing's F-15X Fighter 
米空軍がボーイングF-15X戦闘機を追加する理由
Unfortunately, today’s fighter force mix, despite increasing numbers of F-35s over time and upgraded F-22s, will likely not be enough to meet future needs. America needs the F-15X. 残念ながら現行の戦闘機ミックスでは将来のニーズに対応できなくなる。アメリカにはF-15Xが必要だ
February 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15XMilitaryTechnologyWorldF-35F-22
メリカの安全は航空戦力にかかっている。航空戦力は抑止力の裏付けであり、抑止力が機能しない場合は最小限の犠牲で勝利をおさめる選択肢を政策決定層に提供する。
米航空戦力の中核は戦闘機部隊だ。歴史を見れば戦闘機の開発から独特な部隊構成や戦術が作られてきたとわかる。現在の技術水準や作戦構想 (CONOPs)、戦術・技法・手順  (TTPs)により米戦闘機の戦力は非常に高い水準に上り詰めた。
米空軍には第4世代、第5世代の戦闘機が在籍する。第4世代機にはF-15、F-16、A-10があり高性能かつ部隊の中心的存在だ。第4世代戦闘機は戦闘司令官が投入できる機材の大半で本土防空から遠征部隊まで世界各地で姿を見られる。小規模の第5世代戦闘機にはF-22(187機)とF-35(150機超)があり、少数だが需要は高い。ステルスとセンサー融合技術により各機は最も威力の高く生存性の高い戦闘機になっている。空軍はF-35の年間48機調達をしながらF-22の性能改修を続ける。少数派の第5世代機に多数の高性能第4世代機を組み合わせて運用するのが戦場ニーズに合致していることは証明済みだ。
残念ながら今日の戦闘機部隊構成のままではF-35の実数が増え、F-22が性能改修しても、将来のニーズに対応困難になる。より具体的には、
  1. 現時点の作戦テンポでは戦闘機投入は常に高く維持する必要があるが代替機材がない
  2. 将来投入可能な戦闘機数は今より減るか厳しくなる。F-22や初期型F-35で改修が必要となるためだ  
  3. 第4世代機の整備運用コストは上昇の一途で改修は高費用かつ長時間がかかるため費用は負担に耐えられないほど高くなる
  4. 敵対勢力も第5世代機の探知、捕捉、交戦に必要な技術開発に注力しており、今日の一方的な優位性は維持できなくなる
  5. 第5世代機の機内兵装搭載量に限界がある
  6. 第5世代機調達は製造・予算両面の制約を受け、特に短期的に制約は大きい
  7. 第5世代機の飛行時間あたり経費(CPFH)に比べるとF-15Xは大幅に低いが、第4世代機のCHFHは機体の老朽化に応じ大幅に高くなる
こうした課題の前にボーイングF-15Xを加えることが解決策となる。DoDはF-35のIOC確立と機数増加に注力中だが、ボーイングは史上最も成功した戦闘機F-15の性能と発展性を伸ばしてきた。F-15Xは第4世代機ながら4++といってよくセンサー能力、兵装搭載量、データリンク信頼性、航続距離がいずれも改良されている。さらにF-15Xがあれば第5世代機をステルス機能が不要な任務から外せる。
F-15Xは現時点、将来いずれの戦闘機部隊の制約へ極めて常識的な回答となる。次にその理由10点を述べる。
  1. すぐにでも稼働でき、妥当な価格で搭乗員や整備要員の追加訓練なく活用できる機材だ
  2. 戦場での実績に裏付けされ2万時間の耐久性も実証済みの機体だ
  3. 第5世代機は兵装搭載量が制約されるが、ハードポイント数を増やし大量の兵装を運ぶことが可能
  4. 既存インフラを流用でき新規整備が不要
  5. F-15XのミッションコンピュータはLink 16データリンクに即座に処理、データ受け渡しが可能。これにより敵勢力の欺瞞妨害戦術を減じる事が可能。Link 16ネットワークを利用して友軍・同盟国・協力国の機材とデータの共有・統合・拡大も可能
  6. F-15XのEPAWSS(イーグルパッシブ-アクティブ警戒生存装備)は高性能電子戦(EW)および統合対抗装備(ICS)でF-15Xは単独で残存性を高められる。さらに第5世代機のEW戦術を高める効果ももたらす
  7. F-15Xにより戦闘機数の余裕と能力追加が実現し敵勢力が第5世代機の能力を下げてきても対応可能
  8. F-15Xの性能で戦力構造に選択肢が広がり、CONOPsやTTPsも同様で各種作戦の立案が捗る。敵勢力は対応が困難になるはずだ
  9. 第5世代機は価格で導入できない同盟国協力国にもFMS制度を利用しF-15Xを通じ協力関係を強化できる
  10. F-15Xで戦闘機製造ラインを温存すれば産業基盤を多様化のまま製造能力を維持でき、国家防衛戦略(NDS)が想定する大国、国力が拮抗する敵対勢力の打破に貢献できる
現行の第4第5戦闘機ミックスにF-15Xを加えることは妥当かつ予算的にも実行可能で将来の戦闘機部隊の戦力、活力の維持につながる。これ以上の機種追加は負担できないと主張する向きがある。しかしながらF-15X追加は現行の第4第5戦闘機ミックスが将来も必要な戦闘能力を維持することを意味する。NDSが中国あるいはロシアとの直接対決の可能性が厳に存在するとする中でこれ以外の選択肢はない。■
General Frank Gorenc USAF (Ret.), is a four-star general who served as Commander of Allied Air Command, NATO and U.S. Air Forces in Europe.
This first appeared in RealClearDefense here.

2019年2月25日月曜日

中国が南シナ海で有事想定の総合演習を一ヶ月にわたり実施した

沖縄では赤土がどうのこうのという話もでていましたが、史上最大規模と言って良い南シナ海での自然環境破壊についてなぜあれだけ沖縄の自然にうるさいみなさんは黙ったままなのでしょう。不思議な話です。今回の演習で注目されるのはロケット軍の動きで、核部隊と通常型部隊を分ける動きのようにも見えます。

China just finished a month of unannounced drills in the South China Sea to test its wartime command system 中国が一ヶ月に及ぶ無通告演習を南シナ海で終了し有事の指揮統制システムをチェックした


Liu Zhen,

China's Harbin (112) guided missile destroyer takes part in a week-long China-Russia navy exercise誘導ミサイル駆逐艦ハルビンHarbin. AP Photo
  • 中国が海軍、空軍、ミサイル部隊による各種演習を南シナ海・西太平洋で展開した
  • .一ヶ月に及ぶ演習では実弾発射も実行した
  • 演習では予めシナリオを準備せず、事前通告もなく有事を意識している
中国が南シナ海で一ヶ月に及ぶ演習を展開し、海軍、空軍、ミサイル部隊を動員した。
軍事観測筋によれば演習では人民解放軍は指揮統制システムをテストし、南シナ海方面でのミサイル防衛を強化する狙いがあったという。
同海域は世界有数の通商航海路であり中国、ヴィエトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイの領有権主張が入り交じる。
演習には中国最新鋭艦も加わったと南海艦隊が声明を出し、誘導ミサイルフリゲート运城Yuncheng、揚陸ドック型輸送艦長白山Changbaishan、補給艦洪湖Honghuを指している。

実戦を再現した今回の演習では事前シナリオを使わず予告もださず、指揮命令はずべて実戦時の手順に沿って行ったと発表されている。
.演習では敵艦船の前進阻止、強行救助活動、実弾発射も行った。
34日にわたり展開された今回の演習は1月16日開始され、共同部隊は20回の演習を展開した。
.PLAに近い筋によればロケット軍は通信部隊を派遣し今回の演習でミサイル防衛が盛り込まれたことに対応した。また南シナ海で中国が実効支配する諸島の駐留部隊も演習に参加した。
「ロケット軍はHQ-9対空ミサイル、YJ対艦ミサイルをウッディ島の恒久施設に展開したいのだ」と匿名の消息筋が語る。
Woody Island South China Sea南シナ海ウッディ島 Reuters

ウッディ島はパラセル諸島の中で最大の大きさがあり、台湾やヴィエトナムも領有を主張するが中国が実効支配中だ。
PLAはかねてからウッディ島にミサイル陣地を構築したほか、スプラトリー諸島でも人工島を構築した。衛星画像では以前はミサイル発射台が各島に見られたが、その後撤去されている。
「中国が南シナ海に攻撃兵器を配備しないのは米国が偵察飛行を頻繁に行っているから」と同上筋は述べる。
香港在住の軍事アナリストSong Zhongpingによれば今回の演習はPLAがロケット軍の通常戦術部隊を南シナ海方面を統括する南方戦域司令部に統合させるのが目的だと見る。またPLAは指揮命令機能の改善を2015年に着手したという
「ロケット軍の核ミサイル部隊は中央軍事委員会の直轄だが通常型ミサイル部隊は有事には戦域司令部が指揮する構造だ」「今回の演習では合同部隊の指揮統制の有効性を確認する目的があったと見るべきだ」(Song)■

Additional reporting by Minnie Chan

2019年2月24日日曜日

F-15XとF-35の投入は最強の組み合わせになり相互補完で敵を排除する 



Killer Combo: The Stealth F-35 and New F-15X Joining Forces in the Sky ステルスF-35と新型F-15Xの合同部隊は空の殺人者になる

The ultimate dynamic duo? Could this happen? 究極の組み合わせになるのか。実現するのか。
February 23, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35F-15XU.S. Air ForceAir CombatAir War


1月に今年のレッドフラッグ演習が始まり、USAF以外にも協力国部隊が現実を反映した空対空戦闘シナリオ各種に投入された。
同演習は「可能な限り現実に即した空対空戦闘」と理解され空対空戦術や技量の錬成機会としてUSAF搭乗員の役に立っている。F-35A戦闘機部隊も一部参加した。
注目されるのは今年のレッドフラッグでは従来以上に「厳しい」環境を想定し米国が完全な航空優勢を維持できない想定で、超大国あるいは大国相手の航空戦で最新の防空機材、防空装備を想定して展開した。
F-35はそのような環境を想定して生まれた機材だがどう活躍したのだろうか。
388戦闘航空団の広報資料に片鱗が伺える。F-35Aは旧型機を上回る活躍をしていたとある。
もっともはっきりした事例を388の作戦グループ指揮官が口にしている。F-35養成課程を出たばかりの若手パイロットが大規模ジャミングの中で敵を探知できたのに3千時間のベテランパイロットはできなかった。このパイロットは第4世代機を飛ばしていた。
作戦上の理由から詳細内容は不明だがF-35A搭載のEOTSあるいはDAS標的照準装備がレーダーをジャミングして探知されずに進んで来た敵を視覚的に探知した。
F-35が編隊の「目」となったと広報資料で強調しているが、F-35搭載のレーダーや光学センサーが最高性能を有することを考えるとそのとおりなのだろう。F-35にはネットワークとデータリンク機能もあり他機のセンサー信号を管理し戦闘状況を明確に整理できるのだ。その内容の「絵」を他機に伝達できる。
だが空軍が調達し始めたF-15Xにどんな意味があるのだろうか。
レッドフラッグでF-35Aが活躍した事実はF-15Xや類似事業には余り意味がない。F-35Aは戦闘機として真価を実証した形だが、F-15Xには別任務が与えられるのだ。
いずれにせよ、F-35AのEOTS装備がF-15Xの調達に意味があるのを実証した形で、同機には「リージョンポッド」が搭載される。F-15XではF-35を上回る最大22本の空対空ミサイルを搭載するという。
将来の戦闘ではF-35Aが敵に接近し探知捕捉した情報をF-15Xに送り、同機が安全な距離からミサイルを発射するだろう。F-15XとF-35Aで相互補完しながら厳しい環境での作戦運用をめざすはずだ。
F-35がこれまでのレッドフラッグで優秀な成績を残していることに注目すべきだ。2017年のキルレシオは15:1だったという。今回の演習でこれまでより厳しい条件になったのは米軍が訓練想定を変更したためだがF-35はそれでも優秀な実績を残している。■

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.

中国は大型ステルス爆撃機H-20以外に超音速中型戦闘爆撃機JH-XXを本当に開発しているのか

かつてのソ連同様に西側は限られた情報からともすれば存在しない中国の機体を想定し振り回されがちですが、今回取り上げたJH-XXについてはどうでしょうか。時間が解決してくれそうな気がしますが、実現すれば厄介な存在になりそうですね。


Picture This: China's Air Force Having 2 Deadly Stealth Bombers 中国空軍がステルス爆撃機二型式を並行開発しているのか

It may just happen. 可能性はある
February 20, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarChina


2018年1月、DIAから出た中国軍事力年次報告書の次のくだりが国防関連インターネットウェブサイトでちょっとした衝撃を生んだ。
「PLAAFは新型中距離及び長距離ステルス爆撃機を開発中で地域内及びグローバル標的の攻撃を狙っている。ステルス技術が新型機開発の中心で2025年には初期作戦能力を獲得すると見られる」.
爆撃機が二型式で、うち制式名称不詳の「戦術爆撃機」は高解像度のアクティブ電子スキャンアレイレーダー、精密誘導爆弾、長距離空対空ミサイルを搭載するとある。
ここ数年で中国が遷音速長距離大型戦略爆撃機H-20の開発中であると明確になってきた。2018年に中国政府がその存在の一部を仄めかした全翼機形状の同機は米B-2スピリットと性能面でも類似し、西安航空機が製造元と判明した。同社は旧式H-6戦略爆撃機やY-20輸送機のメーカーでもある。
だがステルスの「戦術」あるいは「中型」爆撃機は新しい内容だ。戦闘爆撃機JH-XXとして中国国内で西安のライバル企業瀋陽航空機が提案している機体のようだが、同機は一度選定でH-20の前に敗退している。瀋陽は戦闘機製造で知名度が高くJ-31ステルス戦闘機は輸出あるいは中国海軍空母で運用されそうだ。
JH-XXの姿は2013年にリークされた。そして2018年5月に中国の航空雑誌航空知識Aviation Knowledgeが概念図を表紙にし、全長30メートル、ターボファン双発、尾翼に角度がつくところはノースロップのYF-23ブラック・ウィドウに似ており、大型爆弾倉のほか機体側面にウェポンベイがあり長距離空対空ミサイルを搭載する。この想像図が刺激となって模型やファンアートが大量に出てきた。(1980年代に『F-19ステルス戦闘機』の想像図がでたが実際のF-117ステルスジェットと共通点が皆無に近かったことを思い出す)
DIAがJH-XXを実際に開発中の機体と見る理由がはっきししない。 The Diplomatのリック・ジョーがDIA報告書の前にJH-XXの記事を書いたが開発については懐疑的だ。
「DIA報告でPLAの中型爆撃機の存在を『確認した』とあるが、昨年に筆者が記事を書いて以来情報は変わってない。『分かる範囲ではJH-XXは実際に開発されているわけでない』と書いた」
「DIA報告は一般国民が知らない極秘情報がもとなのだろうが報告書を見ると確度は低く疑わしいと見ている」とし、「公開情報や一般情報でJH-XXについて触れたものを真剣すぎる形で取り上げたのではないか」
JH-XXが実際に開発中なのかはもう少し待ち証拠となる情報を待つほうがよいようだ。
ではPLAがステルス爆撃機二機種を発注する理由は何か。JH-XXは設計上の妥協と無縁のようだ。H-20ではペイロード、航続距離、ステルスを確保する代わりに速力が犠牲になった。同機の想定は探知されずに敵空域に侵入することが基本で迎撃戦闘機やミサイルが来ても退避する操縦性はない。航続距離5千マイルで太平洋地区全域を攻撃範囲に入れ、空中給油や長距離射程ミサイル搭載の予測がある。
JH-XXでは航続距離は900ないし1500マイルと短く、ペイロードもH-20より小さいが速度はマッハ2程度と速い。ただし、そのスピードだと機体表面のレーダー吸収剤が溶融する。そのためJH-XXは目標近くでは急加速するはずで、スピードとステルスが組み合わさり防衛側は対応時間が十分に確保できない。
H-20の長距離飛行性能と大ペイロードをPLAは有益に活用できるが、JH-XXでは強固な防空体制への突破能力が実現しPLAは別の形で重宝するはずだ。
米国とオーストラリア空軍はF-111アードヴァーク域内爆撃機をかつて運用し、ステルスを除けばミッション内容はよく似ている。さらに2000年代初頭にペンタゴンはラプター爆撃機型の採用を検討したこともあり、YF-23も候補だったが結局B-21レイダー戦略ステルス爆撃機が実現した経緯がある。The Driveのタイラー・ロゴウェイとジョセフ・トレヴィシックはJH-XX構想の出自は技術文献を入手した中国ハッカーだろうと見ている。
JH-XXの高速性能は空対空ミサイルでヒット・アンド・ラン戦法をかけ脆弱な支援機材の攻撃に最適だろう。あるいは敵爆撃機の迎撃にも投入できる。JH-XXではドッグファイトは不向きだが、ステルス、スピード、ペイロードを生かして視程外距離での空対空ミサイル攻撃には十分活用できるはずだ。
もうひとつJH-XXで注目すべきは海上標的の攻撃だ。PLA海軍航空隊はJH-7「飛豹」超音速攻撃爆撃機250機を運用中だ。ステルス性能は皆無のため長距離対艦ミサイルと電子戦で対抗するしかない。ステルス戦闘爆撃機ならもっと接近でき、標的艦には防空対応の余裕が減る。ステルスを活かしJH-XXは電子戦機材あるいはスパイ機としても活用できる。海軍関係に詳しいロバート・ファーレイはJH-XXは空母搭載も想定すると見ている。
JH-XXが本当に開発中であれば、より多くの噂や写真が出てくるはずだ。それまでは超音速ステルス爆撃機の開発は疑問のままだが、模型メーカーや国防ライターがいろいろ予測を出してくるだろう。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .