2026年6月27日土曜日

エアバスCEOへのインタビュー骨子。次期戦闘機開発は欧州内では各国主張が対立しがちで難航すると悲観視している。A400Mは受注増を見込んでいない。宇宙打ち上げ機は欧州製を優先採用すべきだ

 

Airbus(エアバス)のギヨーム・フォーリCEOへAviation Weekがインタビューしました。以下その要約です(ターミナル1・2共通記事)

1. 民間航空機部門(次世代単通路機「eAction」)

  • タイムラインと開発状況: 現行のA320の後継機(eAction)は、2030年のプログラム立ち上げ、2030年代後半の就航を目指して計画通り進行中だ。現在はパートナー企業と翼や推進システムなどの技術検証・シミュレーションを行う研究・技術開発(R&T)の段階である。

  • 先行優位性とサプライチェーン: 競合のボーイングが開発タイムラインを遅らせる意向であるのに対し、エアバスは市場をリードしている今こそ投資すべきだと判断し、先んじて動く方針。最初に動くことでサプライチェーンを自社に引き寄せ、主導権を握る。

  • 増産の戦略: A320で膨大な受注残があるため、eAction導入後も新旧2つのモデルは並行生産される。初期の不具合によるレトロフィット(改修)リスクを避けるため、生産ラインの立ち上げスピードについては慎重に検討中。生産拠点はトゥールーズやハンブルクに限定せず、米国や中国など海外拠点の活用や、新システムの導入を視野に入れている。

  • エンジン選定のトレードオフ: 理想は顧客に2つのエンジン選択肢を提供することだが、性能や競争力を損なう場合は単一(1社)のエンジンサプライヤーに絞るリスクも受け入れる。2社提供はリスク分散になる一方で、サプライチェーンの複雑化や構成の増加というデメリットもあるため、ビジネスと技術の両面から判断する。

2. サプライチェーンと市場動向

  • サプライチェーンの課題と構造改革: コロナ禍を経て期待した業界の統合(集約)が進まなかったため、エアバスはリスク分散のために複数ソース(二重・三重化)の確保に動いており、結果としてサプライチェーンがさらに断片化している。今後は地政学リスクやサイバーセキュリティ対策を考慮し、単一障害点(Single Point of Failure)の排除と多様化を徹底する。また、重要システムにおいて自社保有の知的財産(IP)や制御を強める「部分的な垂直統合」も検討中。

  • 派生機種の検討(A220-500 / A350のストレッチ型): A220の胴体延長型(-500)やA350のストレッチ型に対する市場の需要は理解しているが、現在は既存契約の履行とA350の生産レート向上(短期間で月産12機への移行)という産業的課題が最優先だ。リソースが整うまでは新プラットフォームの立ち上げを急がない。

  • 競合(エンブラエル)の参入について: エンブラエルが単通路機市場へ参入を検討していることに対し、ボーイング、エアバス、COMAC(中国商飛)がひしめく市場への参入は大きなリスクであり、自分なら二の足を踏む。

3. ヘリコプター・防衛・宇宙部門

  • ヘリコプター部門: H145やH160など強力なラインナップが揃っており、現在はH145などの生産立ち上げが課題。今後は新規プラットフォームの開発よりも、既存機の軍事化や派生型、ドローンの開発にR&Dリソースを集中させる。

  • 宇宙・衛星ビジネス(規模の経済の追求): 宇宙分野では米国(スペースXなど)が巨額資金を投じており、欧州は競争力を失いつつある。規模の経済を取り戻すため、レオナルドやタレスとの衛星事業の統合を模索している。また、欧州の産業を強めるため「欧州は欧州製ランチャー(ロケット)に資金を投じるべきだ」と主張。

  • 戦闘機ビジネス(FCAS/将来航空戦闘システム): 欧州における次世代(第6世代)戦闘機開発の必要性は高いが、各国が国家主権や固有のニーズに固執するため、欧州内での協調や統合(スケール化)は非常に困難で、今後の見通しについては楽観視していない。ただし、エアバスを中心とする企業グループは開発の準備が整っている。

  • 輸送機(A400M)およびドローン:

    • A400Mは生産レートの急激な引き上げよりも、まずは現行レートでの安定化と長期的な見通しの確保を優先したい。

    • ドローン市場は現在、かつてのeVTOL(電動垂直離着陸機)のように多数の企業が乱立して断片化しているが、今後淘汰と統合が進むだろう。エアバスは規模の優位性を活かし、競争力のあるラインナップを開発中だ。■


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