2026年6月30日火曜日

バーナムが新首相に就任したら英国の防衛・安全保障にどんな影響が生まれるか予想

 

2026年6月22日、イングランド・ロンドンの国会議事堂で宣誓式を終えた後、メイカーフィールド選出の労働党下院議員アンディ・バーナムが喜びを露わにしている。(写真:ダン・キットウッド/ゲッティイメージズ)

アンディ・バーナムの首相就任は防衛・国家安全保障にどんな影響を与えるか

Prime Minister Andy Burnham comes with defense and national security implications


バーナムは、現政権の防衛・安全保障政策で多くを引き継ぐだろうが、重要な相違点も出てきそうだ

https://breakingdefense.com/2026/06/prime-minister-andy-burnham-comes-with-defense-and-national-security-implications/



ア・スターマーが首相を辞任するというニュースを受け、先週行われた特別補欠選挙で英国議会の新議員となったアンディ・バーナムにすべての注目が集まっている。バーナムが労働党党首選(もし実施されれば)で勝利した場合、彼の首相在任中は、最近ジョン・ヒーリー英国防相を辞任に追い込んだのと同じ経済的逆風と財政的制約に直面することになるだろう。

とはいえ、バーナムの台頭が、英国の戦略レベルにおいて大きな変化をもたらす可能性もある。

バーナムは、突然の選挙で予想を上回る結果を残した。選挙前の世論調査では、最有力な対立候補を3~12ポイントリードしていたが、投票当日には20ポイント以上の大差で勝利した。イングランド北西部にある本人の新たな選挙区メイカーフィールドは、新興右派政党「改革党」から労働党が直面する挑戦を測る政治的な風向計と見なされている。この強い追い風と、労働党内での人気を背景に、バーナムが新たな党首、ひいては首相に就任する可能性は極めて高いとみられる。

次期総選挙は2029年8月までに実施される。財政を根本的に変革し、国家の舵取りを転換するには、これでは時間が足りない。バーナムは、防衛・安全保障政策においてスターマーのアプローチの多くの側面を引き継ごうとするだろうが、いくつかの重要な相違点があると思われる。

スターマーが防衛分野で最初に行った施策の一つは、「戦略的防衛見直し」の外部委託で報告書は2025年6月に公表された。スターマー政権は、数千発の新型ミサイルの購入、潜水艦の増強、陸軍の拡大など、62項目の提言すべてを受け入れた。しかし、同レビューの執筆者の一人元労働党国防相兼元NATO事務総長のジョージ・ロバートソン卿は、後に政府がレビューで合意した公約を履行していないと批判した。バーナムは、これらの公約を実行に移すことで、スターマーとの差別化を図ろうとするだろう。

第一に、そして最重要なのは防衛費だ。2025年、ロンドン政府は2027年までに英国の国内総生産(GDP)の2.5%、2035年までに3.5%に相当する額を防衛費に充てることを約束した。しかし、これらの目標達成に向けた具体的な道筋――あるいはその欠如――こそが、今月早々、ジョン・ヒーリー元国防相の辞任につながった

スターマー政権のレイチェル・リーブス蔵相は、支出を抑制し政府の債務負担を軽減する手段として、厳格な財政ルールを課した。防衛費をめぐる大々的な騒動がスターマーにとって「最後のとどめ」となったことを踏まえると、バーナムは、ドイツと同様の方法で、防衛費増額を可能にするため、これらの財政ルールを超えた借入を行うことを余儀なくされる可能性が高い。バーナムが指名する大蔵大臣と国防相の考え方が一致しているかどうかは、英国の防衛政策に大きな影響を与えることになるだろう。

公表が延期中の「防衛投資計画(DIP)」の発表可否は、スターマー陣営とバーナム陣営間で主要な対立点となっている。現政権は、バーナムがダウニング街に入居できる最も早い時期の2週間前に開催されるNATOサミット前にDIPを公表する方針を堅持している。スターマーの計画が許容する額よりも防衛費を増やすと述べてきたバーナムは、自身が直面する最も重要な初期の政策決定の一つについて、自身のチームが方針を定める機会を与えるため、公表を秋まで延期したいと考えているとみられる。

「軍備」と「民生」への支出のバランスを見直す必要性についてバーナムは広く言及してきたが、必ずしも後者を削減し前者を優先するというものではない。その代わり、より多くを就労させ、福祉依存から脱却させることで、防衛投資資金を捻出できると示唆している。これは、英国の財政問題の解決策としてスターマーやリーブスが一貫して重視してきた「成長」を彷彿とさせるが、バーナムはこの再均衡を実現するため、前任者よりも迅速かつ具体的な進展を示す必要があろう。

防衛政策の観点から言えば、バーナムは調達と投資について10年という時間軸を重視している。これは、生産ラインの拡大に向けた長期的なコミットメントを求める防衛関連企業にとって、共感を呼ぶだろう。おそらくさらに重要なのは、これが、防衛支出を活用して成長を強化し、地域経済を再建し、長期的に労働者のスキルを向上させる産業戦略を策定したいというバーナムの意向を反映している点だ。このように、バーナムは、必要性が高まっている防衛費増額を、「再産業化」という枠組みで位置づける可能性が高い。

武力行使に関しては、バーナムは、海外軍事作戦に必要な正当性の鍵として多国籍性および国際法を重視するという労働党の伝統を引き継ぐとみられる。これに関連して、欧州の同盟国と連携し、ウクライナへの英国の強力な支援が継続されることが予想される。つまり、バーナムの防衛・外交政策の姿勢はスターマーと類似したものになる可能性が高いが、防衛支出への重点を強め、産業戦略との結びつきが明確になる可能性がある。しかし、次期首相となる可能性の高い彼が活用を検討しうる、欧州の安全保障関係を劇的に変動させる重要な戦略的手段が一つある。

ちょうど10年前の今週、英国の有権者はEU離脱を選択した。それ以来、データによれば、残留派が勝利していた場合の予測と比較して、英国経済のパフォーマンスは低迷している。最新の世論調査データによると、英国国民はその決定を後悔しており、経済活性化や英国の安全保障の向上を妨げる要因と見なしている。同じ経済予測によれば、EU再加盟は、英国のGDPに大きなプラスの効果をもたらし、ひいては防衛予算にも好影響を与える可能性が高い。現在、英国は欧州の防衛体制に比較的うまく統合されているが、再加盟により、防衛産業における協力のさらなる道が開かれ、EUの調達資金へのアクセスが拡大し、欧州の防衛産業政策に対する影響力も高まるだろう。

バーナムは候補者として、補欠選挙運動中、ブレグジットへの焦点を慎重に避け、かつてスターマーの対抗馬だったウェス・ストリーティングのEU再加盟呼びかけから距離を置いていた。とはいえ、バーナムが再加盟を支持していることは明らかで、国内政治的に余地があると判断すれば、英国政治で「触れてはならないタブー」とされてきた「英国のEU再加盟」の議論を正常化しそうだ。

そうなれば、バーナムは最終的に、単なるスターマーの後継者というだけでなく、英国をブレグジット時代のアイデンティティ政治から脱却させた指導者として見なされることになるかもしれない。■

ジョン・R・デニは、米国陸軍戦争大学(U.S. Army War College)の研究教授であり、アトランティック・カウンシルおよびNATO防衛大学(NATO Defense College)の非居住シニアフェローを務めている。

フィリップ・ディキンソンは、アトランティック・カウンシルのスコウクロフト戦略・安全保障センターに所属する「大西洋横断安全保障イニシアチブ」の副所長である。以前は、英国外務・英連邦・開発省でキャリア外交官を務めていた。

ここに示された見解は、著者個人のものである。

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