2014年8月28日木曜日

空で、海で、頻発するロシアとの対立は何を意味するのか 







Russia Playing Politics With Alleged Submarine Confrontations

By: Kyle Mizokami
Published: August 26, 2014 11:19 AM
Updated: August 26, 2014 11:19 AM
Oyashio-class submarine
おやしお級潜水艦

ロシア軍と日米欧の部隊で対立的な遭遇がこの数週間で増えている。ウクライナを巡りロシアと西側の関係が冷え込んできたのと歩調をあわせたようだ。

  1. 今月に入り、ロシア領付近くで日米の潜水艦にロシア対潜作戦が対応した事例をロシア報道が二件伝えている。水中対立は米ソの冷戦時代を想起させるものがあり、ソ連と米・同盟側は追跡劇を繰り返していた。

  1. ただ今回は背景が複雑化しており、。ロシアは国内問題として、その他各国はより大きな視点から取り上げている。

  1. ロシア国営メディアによれば8月7日に北海艦隊の対潜部隊が外国潜水艦をバレンツ海から追い出すのに成功したと伝えている。水上艦艇とイリューシンIl-38メイ対潜哨戒機で潜水艦を追尾したとする。潜水艦は米海軍のヴァージニア級攻撃潜水艦だったとしている。

  1. これに対してヨーロッパ軍司令部はこの出来事の発生自体を否定し、同海域に米海軍潜水艦はいなかったとする。

  1. この事件に加え、その一週間前に米空軍RC-135V/Wリヴァエットジョイント機がバルト海上空の国際空域でロシア機から妨害を受けており、ロシアから近隣諸国へのメッセージの意味があったようだ。つまりNATOに近づくポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアに対してロシア軍は欧州内の米軍を上回り、その気になれば米軍を排除できるぞ、との内容だ。

  1. 一方でロシア領土の反対側では先週に同様の事件が発生したとの報道が入ってきた。ロシアのビジネス新聞紙コメルサントKommersantがロシア国防省が対潜部隊によりロシア国境付近で日本のおやしお級潜水艦の哨戒行動を中止させたと述べたと伝えたのだ。

  1. 伝えられる発生地点は宗谷海峡(国際的にはラ・ペルーズ海峡 La Perouse Strait)だ。宗谷海峡はわずか巾43マイル、最大深度も60mで、日本の北海道とロシア領のサハリン島を隔てる。

  1. この宗谷海峡は日本の潜水艦部隊にとって重要な防御線となっており、冷戦時にはソ連による侵攻ルートの想定があり、有事には海上自衛隊の潜水艦数隻が配備され揚陸部隊を迎え撃つ場所だ。

  1. おやしお級はディーゼル攻撃潜水艦として最新鋭の部類に属し、AIP(大気非依存型推進力)を装備し、X型の船尾翼を有する。伝えられた艦は海上自衛隊の横須賀基地配属の可能性がある。
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  1. 8月27日のITAR-TASS通信によればロシア政府は水中対立は実は発生していなかったと異例の発表をしている。「ラ・ペルーズ海峡で日本潜水艦を探知したが、国際法に違反しておらず、ロシア側国境線を越境もしていない」とロシア幕僚本部が認めたという。

  1. この潜水艦がおやしお級で、X型船尾まで確認されていたことから、本当に事件が発生していたのであれば同艦が当時は浮上しており、存在を隠す意図がなかったことになる。これでなぜロシア政府がこの事件はバレンツ海事件とは異なると主張していたかがわかる。

  1. 事件発生時にはロシア軍地上部隊1,000名、武装輸送ヘリMi-8AMTSh 5機、軍用車両100台がロシアが占拠する千島列島で演習を行っていた。千島の南部四島はソ連が第二次大戦終了時に日本から奪取したままで、日本は領有権を主張しており、北方領土として返還をロシアに求めているが実現していない。今回の演習を日本は「到底受け入れられない」として抗議している。

  1. クリミア情勢の関連で日本も対ロシア制裁に加わっており、今回つたえらえる対立もロシアが千島列島南部を事項支配していることを暗に伝え、日本に対して強硬策に走らないよう求めているものだろう。

  1. 一連の事件ではそれ以上に強い背景理由はプーチン政権に対する暗いニュースからロシア国内の目をそらすことがあるのだろう。冷戦時とは違い、ロシア政府は西側報道に対して自らの見解を国民に伝えることが求められている。ロシア国営通報道機関とロシア政府の関係からプーチン政権はマイナスの側面を持つ報道に対する別の報道や出来事を広めることが可能だ。

  1. これに対してヴァージニア級と言われる潜水艦をバレンツ海から追い出した件でのプロパガンダには別のねらいがある。このニュースが出たのは8月9日土曜日で、週末はロシア国内ニュースが報道を占める。翌週の12日火曜日は原潜ミンスク沈没事故から14周年だ。ミンスクが乗組員118名全員と沈没したのがバレンツ海で、プーチン大統領による当時の救難活動が不適切と批判が起こっていた。

  1. そこで今回の追放劇を報じたロシアトゥデイ国営ニュース局は「NATO潜水艦は北極海付近で航法エラーを多数起こしており、米原子力潜水艦トレド(原文ママ)と衝突したことでクルスクが沈没したとのロシア海軍情報もある」と報じている。クルスク事故記念日もネットはロシアの実力を称賛する声であふれていた。

  1. 同様にマレーシア航空MH17便の撃墜事件はウクライナ分離派によるもので、ロシアも共謀したとされるが、ロシア軍がアメリカの国境侵犯を食い止めたことで影が薄くなっている。ロシア軍の実力を示すイベントを作ることでクリミア問題でロシアが露呈した愚劣さとあからさまな介入の報道に対して正の効果が生まれる。

  1. そこでロシアと米、NATO、日本の各軍と海を巡る対立は今後もプーチン政権が続く間は再発しそうだ。対立が海上戦闘につながる懸念が残る。しかし、皮肉にもこうした対立があることで西側はロシア軍の実力を知る機会が生まれ、長所短所を探り、ロシア製装備に関する技術情報も収集できるのだ。■

コメント ミンスク事件は当初から外国潜水艦のせいだとロシアは主張していましたね。どこの国でも外国による陰謀や嫌がらせを国内の意識高揚に使ってきた歴史があり、革命後さんざんいじめられたソ連では特に外国を警戒する意識が強かったのですが、ロシアになってもやはりそのままのようですね。


2014年8月27日水曜日

スコーピオン練習機型も提案するテキストロンエアランド社


何かとスコーピオンが注目されるのは明確にMarket-Inの思想を実現した機体であるためでしょう。新興国含む各国への採用が本命のようですが同機は決して途上国向けの機体ではなく、各国も空軍装備として合理的に同機を検討すべきなのではないでしょうか テキストロンエアランドは人道救難、国境監視含む多様なミッションが可能と宣伝しています。 www.scorpionjet.com


Textron AirLand Developing Scorpion Trainer Variant

Aug. 26, 2014 - 11:47AM   |  
By AARON MEHTA   |   
Textron AirLand is planning to develop a trainer variant of its Scorpion aircraft to compete for the US Air Force's T-X trainer replacement competition, as well as international markets.
テキストロンエアランドはスコーピオンを練習機に改造した機体を企画中で、米空軍のT-X競技に参加する意向のほか、海外販売を目指す。 (Textron AirLand)

CHICAGO —テキストロン・エアランドTextron AirLandはスコーピオンを改良し米空軍のT-X次期練習機の提案競争に参入する意向と分かった。同社は海外販売も視野に入れ、練習機需要を取り込みたい考えだ。なお、スコーピオンの成約例はまだない。
  1. テキストロン幹部が回答を避ける中で同社防衛事業開発担当副社長スティーブン・バーク Stephen Burke,regional vice president for military business development の発言が際立って明瞭かつ直接的だ。

  1. 「当社はT-Xに参加します」とDefense Newsに8月23日州軍協会の年次総会(シカゴ)で語っている。

  1. スコーピオンは情報収集監視偵察機能(ISR)に攻撃能力を付けた機体。昨年9月の発表以来、テキストロンはモジュラー構造を特徴だとして強調しており、バーク発言では練習機型を言及している。 「モジュラー構造により簡単に必要な性能に応じた機体に改造でき、T-Xの性能仕様にも対応可能です」

  1. 練習機型も双発、二枚尾翼と言うスコーピオンの基本設計を継承するが、主翼が短縮化され空力学的にも洗練されるほか、エンジン推力も増加する。「ISRミッションでは偵察時間が長い方がよいですね。でも一回2時間の訓練課程では性能と燃料消費率の関係がが違ってきます」(バーク)

  1. T-Xの性能要求は空軍から2016年後半に発表される見込みだ。それまではテキストロンとしてはまず練習機型を完成させて実際に飛行する予定。T-X競合の勝者はT-38練習機に代わる350機を製造することが認められるはずで、契約規模から数社が関心を寄せている。

  1. 練習機として既存機種三機がT-Xに名乗りをあげそうで、このうちBAEノースロップ・グラマンL-3シミュレーションロールスロイスが共同で設立したホーク高性能ジェット練習機システム以外に、ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業製T-50を、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキと共同でT-100 を推している。

  1. ボーイングサーブとともに「完全新設計」の機体を作ると発表している。詳細は不明だが、両社はサーブ・グリペン戦闘機を原型にするものではないとしている。

  1. 「空軍はこのために全くの新型機を開発させようとは全く思っていません。そこで当社は既存機でも練習機の要求に合致していることを示すつもりです」

  1. 一方でテキストロンは同機の第一号顧客を探しているが、バークによれば真剣な商談が数件進行中といい、別の関係者も海外受注数件でローンチカスタマー複数が決まるとみている。

  1. フロスト&サリバンのアナリストであるマイケル・ブレイズMichael Blades, an analyst with Frost & Sullivanは練習機型でスコーピオンの販売はプラスとみている。モジュラー設計により基本機種を装備なしで販売すれば、米国の国際武器取引規則 International Traffic in Arms Regulations の規制を受けない。
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  1. またフロスト&サリバン作成の資料では練習機需要で今後も大きな伸びはないとしているので、コストが重要な要素だとする。テキストロンの説明ではスコーピオンの飛行時間当たりコストは$2,700でターボプロップ練習機T-6の$2,200に近い。「プロペラ機に近いところまでコストをさげられたら大きな利点になります。狙いどころは正しいとみています」(ブレイズ)

  1. バークも海外市場では同じ機体を練習用、軽攻撃用の両方に使う傾向があると指摘する。「軽攻撃機で練習用途にも使える機体だと強調しています。同じ機体で練習と攻撃の両方に使えれば、お買い得感があり、軽攻撃専用機はこちら、こっちは練習用専用機と売り込んできたやり方は変わりますね」「そこが市場のおいしい部分になり、事実、当社の狙いどころが正しいとのコメントが海外顧客から返っています」

  1. スコーピオンチームはテキストロンの広範な製品群も活用している。スコーピオン営業には同社のTRU Simulation部門によるシミュレーションも抱き合わせで提案し、同社のこれまでの整備分野の経験から有効な解決策も提供できるという。■

2014年8月26日火曜日

米陸軍の極超音速飛行試験機、打ち上げに失敗、空中破壊される


これもブラックプロジェクトなのでしょうが、実験に失敗したためあらためてその存在が表面に出てきました。極超音速飛行は課題が多いのですが、着実に開発が進んでいるようです。それにしてもなぜ陸軍が開発に絡むのでしょうか、空軍がやる気がないからでは。あるいは陸軍と言うのもフロントなのかもしれませんが。通常弾頭とはいえ、着弾すれば相当の運動エネルギーで目標を破壊するはずです。核の応酬を招かずに相手国の核施設を攻撃するというコンセプトなのでしょうね。

Army Hypersonic Test Vehicle Destroyed Following Failed Launch Test

By: Dave Majumdar
Published: August 25, 2014 5:41 PM
Updated: August 25, 2014 5:44 PM
Artist's concept of a hypersonic vehicle. DARPA Photo
極超音速飛翔体の想像図(2011). DARPA Photo


米陸軍の宇宙ミサイル防衛本部が通常型全世界即時攻撃兵器Conventional Prompt Global Strike (CPGS) のテストを本日実施したが、結果は予定通り運ばず、弾頭は空中爆破された。

国防総省は「陸軍が高性能極超音速兵器体系の試射をアラスカ州コーディアック打ち上げ施設から実施したが、異常事態によりテストは打ち上げ直後に打ち切られた。このことによる人的被害は一切発生していない」と声明文を発表した。


ペンタゴンによれば関係者が原因を調査中である。CPGSは通常兵器により地球上どの地点も一時間以内に攻撃する手段として開発中。

これまでは通常弾頭を搭載した大陸間弾道弾の開発が中心だったが、発射した場合核兵器攻撃と受け止められかねないことからペンタゴンは代替手段を模索していた。

「今回のテストは前回までの分と合わせ極超音速打ち上げ滑空技術のテータを収集し、長距離大気圏内飛行の性能を見極めるのが目的」と国防長官官房の報道官は伝えている。

「テストで得られたデータは国防総省により地上テストに活用され、モデル作成およびシミュレーションで極超音速飛行を実施したうえ、実施可能な通常型全世界即時攻撃兵器のコンセプトに応用する」

当初案ではトライデントII D5潜水艦発射型弾道ミサイルに通常弾頭を装着する予定だった。■



2014年8月25日月曜日

台湾:中国の圧力に直面しつつ模索するその国家戦略





Panel: Taiwan Facing Increasing Chinese Pressure

By: John Grady
Published: August 14, 2014 8:58 AM
Updated: August 14, 2014 8:58 AM
ROC Navy Kang Ding-class (Lafayette-class) frigate with S-70C helicopter. Taiwan Ministry of National Defense Photo
中華民国海軍フリゲート艦康定 Kang Ding級とS-70SヘリコプターTaiwan Ministry of National Defense Photo


1996年の台湾危機で中国は台湾近海にミサイルを発射したが、合衆国が空母打撃群2個を派遣して対応した。その後中国は海軍力を増強し「第一列島線」付近で影響力を増大させてきた。さらに2050年までにマリアナ諸島までを勢力圏に入れるべく原子力潜水艦や空母を建造するだろう。.

  1. 台湾の海上安全保障に関するフォーラムがヘリテージ財団主催で国連の中華人民共和国承認および米国の台湾関係法成立35周年の節目に開催された。

  1. ただし「台湾周辺の作戦には中国は原子力潜水艦は不要だ」というのは国防大学校バーナード・コール Bernard Cole (中国、太平洋地区の専門家)だ。

  1. ヘリテージ財団の主任研究員ディーン・チェン Dean Cheng, senior research fellow at the Heritage Foundation は「台湾への優先順位は中国軍部では高い」と作戦面で表現し、資源を海外に頼る台湾の海上封鎖の効果は高いと見ている。

  1. ただし中国は大型揚陸艦は建造していない(コール)。
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  1. コールによれば中国の金科玉条は「台湾の独立を認めない」ことで、国民党政権を追放した1949年から一貫して台湾に圧力をかけている。台湾は中国の接近拒否領域否定能力の向上に直面している。


  1. RAND研究所の上級政策アナリスト、コーテス・クーパーCortez Cooper によれば台湾は中国対抗策として地域内外交を展開しており、東シナ海平和構築の一環として漁業、領土、資源開発などの分野で緊張緩和をめざすとともに外部からの援助が到着するまでの自国防衛能力を拡充しようとしているという。

  1. 台湾が採択した戦略は「時間稼ぎが目標」であるが、チェンによれば中国は台湾の孤立化を一貫して狙っている。中国は台湾政府と外交関係を樹立する国家を懲罰対象としている。ハワード・マッケオン下院議員(共、カリフォーニア集、下院軍事委員会委員長)の東アジア訪問で、台湾を第一訪問先としたところ中国は急きょ予定されてた会談を一つ除き取り消ししている。

  1. 台湾の直近二政権は「国内問題を重視」する姿勢を示し、次回2016年総裁選挙では台湾独立を公約とする政党もある。台湾にとって頭の痛い安全保障上の問題は全志願兵制への移行、必要な防衛装備の選定、変化する環境の中で防衛指針をどう改変し、米国との共同運用を実現するかだとクーパーは指摘する。台湾は中国問題で「これまでとはちがうアプローチを採用する必要がある」とし、地域内紛争では中国とは「合同戦線」を張らないと域内各国に示すことがその例だという。


  1. クーパーは域内各国に対し中国からこれから台頭する大国は中国であり、米国は信頼に足るパートナーの座をすべりおりるかもしれないとメッセージが出ていると述べた。また米国が台湾、日本、フィリピンと結ぶ同盟関係は「冷戦思考の色彩を強めている」と中国は指摘している。「中国は自信を深めている」(クーパー)

  1. これに対しコールは1949年以来中国は毎回米国の意図を誤解してきたという。

  1. 中国は「マラッカのジレンマ」と呼ぶ事態でまさしく再度同じことを繰り返すかもしれないとコールは言う。マラッカのジレンマとは米国がマラッカ海峡から中国本土へ移動する原油輸送を阻止する能力を指している。現在の巨大タンカーでも同海域の移動は可能な船体サイズとなっているという。

  1. しかしチェンによれば中国も同海域はじめとする衝突点になりうる各地を重視しているという。1999年にベルグラードの中国大使館が爆撃された事件がその例だという。当時米国は爆撃は誤射と弁明しているが、中国はコソヴォでのNATOによる精密攻撃能力を理由に爆撃は故意であったと主張。「中国の視点は我々と異なる」

  1. チェンによれば中国は台湾に関しては米国に対するメッセージは一貫しており、台湾への武器売却の停止、偵察活動の中止、国家防衛権限法による台湾防衛の取り消しを求めている。「中国のたくらみに負けてはいけない」(クーパー)■



アメリカはISISを打破できるか 



ISISの勢力がここ数週間で急増しています。さらに米国を対象としたテロを計画している兆候があり、この数年間で最大の脅威となってきました。また、イラク、シリアという既存の国境区分けを否定していることでISISへの対応も地政学的に構築しなければならないようです。米国ではシリアも含めた現地への対応、しかもエスカレートしそうな規模での攻勢が必要との議論が出てきました。以下AFPが簡潔にまとめています



How can the US defeat IS jihadists?

Aug. 23, 2014 - 01:08PM   |  
By Agence France-Presse   |   Comments

WASHINGTON — バラク・オバマ大統領はイスラム国聖戦派を中東のみならず世界にとって「ガン」だとまで表現しているにもかかわらず、これまでは限定的な航空攻撃にとどまっている。
  1. 合衆国が真剣にイスラム国(IS)を打破するとしたら、外交、軍事でどんな手段が想定されるだろうか。
  2. オバマ大統領はイラク、シリアでの空爆を大幅に拡大し、西側諸国とアラブの同盟国に大義名分を共有させ現地軍の装備を強化して聖戦派に戦わせる必要があると専門家は見ている。
【軍事作戦はこうなる】
  1. イラク、シリア両国内のIS部隊に対し大規模航空攻撃が必要となり、地上戦はバグダッド中央政府、クルド人部隊、スンニ派部隊が展開するのがよいと司令官経験者たちは語る。
  2. ここ数週間で米軍が実施した空爆は数十回程度だが、IS壊滅には米軍の全力を投入する必要がある。おそらく数百機、数百回の空爆を連日実施することになる。
  3. 「空軍力を投入するのであれは集中豪雨のように投入しなければ意味がない、小雨ではだめだ」とデイブ・デプチュラ退役米空軍中将Dave Deptula, a retired US Air Force lieutenant general (アフガニスタンとイラクの航空作戦を統括、現ミッチェル航空宇宙研究所所長)は言う。
  4. 2001年のアフガニスタンで米軍機が空爆で、北部連盟が地上でそれぞれタリバンを追い出したのがこの構想の実際例、とデプチュラは言う。
  5. 航空攻撃を慎重に行うために特殊作戦部隊が必要だと主張するアナリストがいるが、デプチュラはハイテク機は地上部隊の援助無く目標を補足できるので地上部隊投入は不要と見る。
  6. 今回は強硬派でさえ地上部隊の大規模派兵を求めておらず、イラク・シリア両国の現地軍へ装備供与を拡大すべきと主張している。
  7. 安全保障補佐官補のベン・ローズDeputy National Security Advisor Ben Rhodes からは「当該国の住民にISILへ立ち向かわせることが長期戦略」との発言が出ており、イラク、クルド、スンニの各派の戦闘要員の活用を想定している。
【シリアでの軍事作戦なしでISを打倒できるか】
  1. その答えはノーだとマーティン・デンプシー統合参謀本部議長はじめ専門家、アナリストが言っている。
  2. シリアをISが聖域にするのは看過できないとデンプシー大将は言う。
  3. 米国が「正当防衛」の権利を行使しシリア国内のIS勢力を攻撃可能と主張する向きもある。根拠はシリア政府が国内数カ所で実効支配をすでに失っているためだ。
  4. ただし、その場合はシリア内戦に慎重な姿勢だった米政策を変更し、大量の武器をスンニ派(アサド政権とISに共に反抗中)に引き渡すことになる。
  5. この方向転換で米政府がシリアと和解に向かう可能性を見る向きがあるが、政府関係者はその選択肢はないと言っている。
【外交戦略で必要となるのは】
  1. 合衆国は今まで想定外と思われた同盟関係をヨーロッパ各国、サウジアラビア、イランと結ぶと見るアナリストは多い。イランにとってもIS聖戦派の打倒は目的になっている。
  2. 米国の決意の程を示すべく、オバマ大統領はIS打倒が目標だと公言する必要が出るだろう、というのはザルメイ・カリザッドZalmay Khalilzad 元在アフガニスタン、イラク大使である。
  3. 戦争にあきあきしているアメリカ国民に対しても今後の作戦の方向性とともになぜISが合衆国への直接の危険となるのかをオバマ大統領は示す必要がある。
  4. トルコに対してはシリア国境閉鎖によりIS部隊志願者の移動を阻止させ、また難民を抱えるヨルダンなど各国向け援助を増やす必要があるとアナリストは見る。
  5. 【スンニ派の役割】
  6. イラク国内のスンニ派は.シーア派優勢の中央政府から冷遇が8年間にわたっており、これがISを増長させた原因になっている。
  7. 米政府としてはハイダ・アル・アバディHaidar al-Abadiによる新政権がスンニ派も巻き込む挙国一致体制を期待しつつ国軍の改革も求めている。軍が実質上宗派構成になっているからだ。
  8. ただしイラク政府と西側がスンニ派各部族に対しIS過激派への戦闘に加わるよう説得できるかは不明だ。■


2014年8月24日日曜日

オーストラリア新型強襲艦キャンベラが海上公試を開始



日本が強襲揚陸艦を作ろうかという中でオーストラリアが一足先に建造していました。この艦を見ると日本の設計案もある程度見えてきますね。それにしてもカーフェリーのような大きな胴体を見ると優雅さは見えてきませんね。

Largest ship ever built for the Royal Australian Navy begins final sea trials

By David Szondy
August 22, 2014

Nuship Canberra transiting the waters of Jervis Bay, New South Wales (Photo: RAN)
オーストラリア海軍史上最大の艦艇が公試に入った。27,800トンのキャンベラは二隻建造する上陸ヘリコプタードック(LHD)艦の一隻目でオーストラリア海軍は「空海地揚陸戦用としては世界最高性能の艦」と称する。
キャンベラはウィリアムズタウン造船所から今月はじめにニューサウスウェールズに向けて出発しており、同地で主契約社BAEによる公試を受けた後、今月終わりにウィリアムズタウンへ戻る。

公試が終わり、海軍に引き渡されると同艦はHMASキャンベラ(LHD02)として就役する。
Nuship Canberra starts sea trials (Photo: BAE Systems)

起工は2009年9月、進水は2011年2月だった。船体はスペインがモジュラー方式で建造してからはしけでウィリアムズタウンのBAE社造船所にて艦橋を構成するモジュラーやレーダー、通信監視システム等を搭載した。

全長230 m 全幅32 mのキャンベラは防衛任務に加えて大規模人道援助任務も想定し、喫水は7 mと浅く、沿海部や小規模港湾の利用を想定している。巡航速度15ノット、最高速力20ノット超で航続力は9,000カイリ(16千 km)。

艦内に病院設備をもち、5,000食を一日あたり提供する他、重車両を搭載するデッキを4層、乗員兵員居住区、ヘリコプター格納庫、そしてヘリコプター甲板があり、スキージャンプによりAV-8ハリアーやF-35BライトニングIIの運用が可能だが、固定翼機の運用は通常は想定していない。船体は開放式で上陸用舟艇4隻を運用する。
Bridge of Nuship Canberra (Photo: BAE Systems)

キャンベラの海軍への引き渡しは年末の予定で、姉妹艦アデレードに建造中のノウハウを応用する。■


2014年8月23日土曜日

中国の米軍機への異常接近が危険度を増している 今回はP-8A対J-11B



Chinese Fighter Buzzes US Patrol Aircraft

Pentagon: Intercept is 'Very Dangerous, Very Unprofessional'

Aug. 22, 2014 - 03:12PM   |  
These images of the Chinese J-11B fighter were taken from a US P-8A Poseidon aircraft over the South China Sea on Tuesday. The fighter is seen beginning a pass under the Poseidon, then crossing the P-8A's nose and showing weapons — a display of potentially hostile intent.
P-8Aが撮影したJ-11B、この後同機はポセイドンの下部を通過したBy CHRISTOPHER P. CAVAS   |   Comments

WASHINGTON — 米海軍P-8A哨戒機が南シナ海公海上空で中国戦闘機による迎撃といやがらせを8月19日に受けていたことをペンタゴンが22日に認めた。
  1. 中国機の飛行は「極めて接近し、極めて危険、好戦的かつプロらしくないもの」だったとペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍少将が報道陣に語り、今回の事件を2001年以来最も危険な事例になったと述べた。
  2. 問題の中国機は瀋陽J-11BフランカーBで所属は人民解放軍空軍。同機はP-8Aの通過飛行を3回繰り返している。
  3. 発生地点は海南島の東135マイル地点だとペンタゴンは発表し、同空域は国際法により軍事活動が「航行と上空飛行の自由を行使」できる地点であることを強調している。
  4. 「三回の通過飛行のうち中国J-11は米軍機の直下50ないし100フィートで飛行している」とペンタゴンは発表。
  5. 「またP-8Aの機首から90度方向で通過し、P-8Aに対して武装を誇示している。この際に中国機パイロットはP-8Aを視認しておらず空中衝突の可能性があった。中国機パイロットはP-8の真下、横を飛行し、最小20フィートしか離れていなかった。その後、機を安定させた後横転し、P-8から45フィートで飛行していた」
  6. このP-8Aはフロリダのジャクソンビル海軍航空基地第45哨戒隊所属で嘉手納空軍基地から西太平洋で飛行していたもの。
  7. 今回と類似しているのは好戦的な中国機が米海軍EP-3EエリアスII情報収集機にちょっかいを出してきた2001年の海南島付近の事例だ。この際はJ-8迎撃機がEP-3Eに衝突している。中国パイロットは死亡、損傷を受けたEP-3Eは海南島に緊急着陸を迫られた。機内の最高機密の破棄は全部できず、中国側に見られている。
  8. EP-3E乗員は中国に11日間抑留され、離陸を中国が拒否したため、機体は分解され米国へ送付されたままになっている。
  9. 海南島には滑走路多数と潜水艦基地があり米国等過各国が関心を示す地点になっている。.
  10. 「今回の事件は米軍機に対する非常識的、プロらしからず、かつ危険な迎撃が増えていることの一環で、2013年末から急増している。問題の中国機が海南島から発信したのは間違いない。同様の事件は3月、4月、5月に発生している。迎撃機の乗員が好戦的になっていること、我が方の乗員の安全への配慮が欠如していると明らかになっていることに憂慮している」(ペンタゴン)■

コメント 以前に紹介した中国空軍のおかしな慣行(高卒をそのまま採用して同じ基地に貼り付ける)が原因で国際法など尊重する余地がないパイロットが危険な離れ業を行っているのでしょうか。しかし、軽はずみなパイロットの行為だけとは思えず背後に何らかの組織の意思を感じますが、事故とならないことを祈るばかりです。