日本ではワクチン注射をめぐり頓珍漢な意見の応酬、オリンピック開催を中止させ日本をおとしいれようとする陰謀論が展開しており、そもそも今回のウイルスがどこからどうやって発生したのかには関心を示す余裕がないようです。中国起源説をめぐり、国内メディアが報道しない自由を行使している間に欧米では再び中国の責任を問う声が強まっているのは実に興味深い進展ですね。Asia Times 記事のご紹介です。
武漢ウイルス研究所では厳しい保安体制が敷かれており、世界保健機関の調査団が同施設を2021年2月3日に訪問した。Photo: AFP / Koki Kataoka / The Yomiuri Shimbun
ここがポイント:バイデンが中国実験施設からウイルスが外部に漏れて大流行が始まったとの説に注目しており、米中関係はさらに悪化しそうだ。
陰謀論と一蹴されていたCovid-19の武漢研究所起源説が再び注目を集めている。
この説によれば武漢ウイルス研究所 (WIV)が生物兵器開発の一環でウイルスに手を加え、外部に漏出させパンデミックが始まったとする。
5月11日に米国の著名な免疫学者アンソニー・ファウチ博士が実験施設漏出説に可能性があると公言し、以前はこの説には信憑性がないとしてきた自らの見解を一変させた。5月23日、米情報機関をソースとする記事で武漢ウィルス研究所の研究員3名が2019年11月にCovid-19類似の症状にり患したとあり、中国で大量発生が公式に伝えられる数週間前のことである。
もっとも重要な点は5月26日にジョー・バイデン大統領が情報機関に二説のうちどちらに信憑性があるか調査を命じたことである。ひとつは実験施設からの漏出説、もうひとつはウイルスは自然界由来で動物から人体に転移したとする説明だ。
中国は現政権に不都合な場面を避けることを優先し、グローバル規模の衛生問題は二の次にしている。完全な協力と透明性をうたいながら、中国当局は今回のアウトブレイクの重要情報をいまも隠している。
特に実験室漏出説に対し中国政府は異常なまで敏感に反応し、ウイルスは武漢施設で作られたものではないと、一貫して強烈に否定している。
2020年に米中関係を冷え込ませたのがマイク・ポンペイオ国務長官の発言があり、2020年5月にパンデミックは武漢実験施設が起源と述べた。
中国の広報官はこれに対し米国には生物戦展開の実績がある、ウイルスは米国が起源、考えられる発生源はメリーランド州フォートディートリックの米陸軍実験施設だと反論を繰り広げた。
中国外務省広報官Zhao Lijianはツイッター上で2019年10月に米陸軍要員が武漢にやってきて疾病が始まったと暗示している。
実験施設起源説は実証ができていない。とはいえ、この説が再び脚光を浴びていること自体に重要な政治的意味がある。
まず、実験室漏出説が真実だとすると、中国は国際取り決めに違反していたことになる。国連生物兵器条約では生物兵器の使用はいうまでもなく、開発・製造まで禁止しており、中国は1984年に同条約を批准している。
次に武漢施設説が再び注目を集めることで、感染症研究の国際協力にブレーキがかかる。世界各地で数百万人が生死の境をさまよう中で、国際協力は最大限進め、今後の感染症大流行に備えるべき時だ。
不幸にも中国政府が協力を放棄し、情報開示も拒否すれば、実験室漏出説のみならずその他が言うような中国がアウトブレイクで初動を誤ったとする主張は確かめようがなくなる。
その結果、Covid-19パンデミックがどう始まったのか全体的に理解するのに役立つはずの情報が共有されなくなり、その他のアウトブレイク対策もおろそかになりかねない。
三番目に、バイデンが実験室漏出説の証明を求めてきたのは中国への対抗の意識があること、悪化した米中関係を好転する必要を感じていないことを示すものだ。
バイデンの動きには驚かされるものがあるが、今年3月にトランプ前政権が始めた実験室漏出説の調査を打ち切らせた際には、作業そのものに誤謬や先入観があることを理由にしていた。
北京にとって不愉快な展開となり、中国政府関係者は米国がもっと「客観的かつ合理的な」アプローチを両国関係に取るよう促し、ポンペイオが中国共産党を悪の存在と決めつけたことの反対に、「対立回避」を求めている。
だがバイデンが米情報機関に同問題への対処を命じた背景に国内政局が強くにじみ出ている。
一般の関心が報道機関が伝えた武漢実験施設説で強まると、バイデンは無視できなくなった。5月26日付命令でバイデンは政敵共和党を切り崩す一歩に進んだ。共和党は大統領が中国にトランプより弱腰と主張していたのだ。
バイデン発表に対し予想通り、中国外務省はウイルスは米陸軍実験室で生まれたとの主張を繰り返した。
最後に実験室漏出説が再来したことで中国と民主体制各国との亀裂が強まっている。ここから構造面で問題が生まれそうだ。
そのひとつが中国政体の特異性だ。中国共産党は徳政の維持こそ政権の正統性につながると強く信じている。同党指導部は不徳と非難されることには極端に神経質である。
中国は面子を保つ必要を感じれば、折れて出ることは考えにくく、いかなる証拠が提示されてもこれは変わらない。中国政府が新疆地区で大規模な宗教弾圧、文化抑制は一切行っていないと主張するのはこの一つの例だ。
外国政府から侮辱を受けたと感じれば中国政府は通常の二国間関係の維持など目に入らなくなる。この例がオーストラリアとの関係悪化で、オーストラリアがパンデミック起源の国際調査を求めたことで中国は侮辱されたととらえたのだ。
対極にリベラルな民主国家がある。そうした国の政府も民間も中国政府の動きを堂々と批判してくる。この動きはパンデミック一年目からすでに見られた。
リベラル民主国家における自由な報道機関が中国を批判し、中国政府関係者が反論する形が非生産的な「戦狼」外交でみられる。北米、西欧、日本、オーストアリア-ニュージーランドでの中国イメージは2020年に悪化した。
この負のスパイラルが中国と民主国家間でそれぞれの政治体制の主張が繰り広げられるたびに再発する。実験室漏出説の再来で事態は次のラウンドに移りそうだ。
もちろん国際社会は中国に圧力をかけ、同国が有するパンデミック関連の情報を開示させるべきだ。そして実験室漏出説のさらなる調査は不可欠に見える。
残念ながら、以前から続く政治的緊張関係のため、このプロセスを進めるのは苦痛となり、最終的な成果も限定的になろう。一方で、米中関係の低迷が続くのは確実だ。■
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Wuhan lab-leak theory is back with consequences
By DENNY ROY
MAY 31, 2021
バイデンの弱体政権は、武漢肺炎流行の原因の追究で、老獪な曖昧政策を採りにくくなっている。少しでも甘いと印象付ける親中姿勢は、政権批判となり、次期大統領選挙ばかりか、中間選挙で敗北することになるだろう。
返信削除他方、習は、武漢肺炎流行の責任を回避できなければ、流行の隠蔽や欺瞞ならまだしも誤魔化しが可能かもしれないが(これだけでも重大な責任であるが)、武漢ウイルス研究所(WIV)からの漏洩が確定となれば強力な制裁と巨額の賠償を避けられず、習の命運が尽きることになるだろう。
国際社会が、武漢肺炎ウイルスの発生源がWIVであると認識してしまえば、中国は孤立し、習どころか、CCPへの非難の嵐に包まれることになり、崩壊の危機となるかもしれない。
この状況は、極めて危険なものになる。習を免職し収拾できれば最善であり、全面戦争の危機さえあり得る。なにしろ武漢肺炎の米国の犠牲者は、50万人以上と9.11テロの犠牲者をはるかに超え、武漢肺炎流行のストレスにより米国民の感情は爆発するかもしれず、対中制裁戦争を求めるだろう。
このような状況を避けるために、以下のシナリオが採られると予測する。
バイデンは、情報機関に調査報告の提出を命じたが、結果を曖昧なものにするだろう。つまり、WIVからのウイルス漏洩は、仮説の一つとして扱われると言うことだ。トランプ政権時、情報機関は膨大な情報を得ながら意図的にその分析をサボってきたが、今回も同様だろう。しかし、このような欺瞞は、情報漏洩と抗議行動を招くことになる。バイデンは、中国に新たな制裁を加え、沈静化を図ることになるだろう。
習は、独裁を強化し、弾圧と粛清を強め、政権の存続を図るだろう。鎖国のような政策を行う可能性もある。中国経済は、停滞・縮小が運命付けられているが、新たな制裁はこの退潮傾向を加速させるだろう。
いずれにしても、武漢肺炎流行後の世界は、その影響力の大きさから何が起きてもおかしくないものになることは確かであり、後戻りのできない世界になりそうだ。
19年夏に武漢の病院の駐車場が混雑して、検索ワードに下痢やのどの痛みと言った新型コロナの症状が激増したと言うので、11月の研究所の職員入院もそこからの感染ではないかと思います
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