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フーシ攻撃の様子をアデン湾上の米空母アイク航空団に見る。

 フーシによる海上交通妨害は一向に止む気配がなく、米海軍はじめ有志国部隊は毎日高いテンポの作戦展開を迫られているようです。海上交通にこれだけ依存している日本が未だにこの問題を深刻にとらえていないのが不思議です。The War Zone記事からのご紹介です。


Drone kill marks on F/A-18E Super Hornet from the USS Dwight D. EisenhowerUSN

海軍スーパーホーネットがフーシ派ドローン撃墜の印をつける

フーシの無人機を数カ月にわたり撃墜した海軍のF/A-18E/F飛行隊は、その功績を機体に刻印している

デン湾に数カ月にわたり駐留しているスーパーキャリア、USSドワイト・D・アイゼンハワー(通称IKE)搭載び米海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネットに、フーシの無人機撃墜を示すキルマークが施されている。長い伝統を持つ同様のマーキングが、この地域で同様の脅威を一掃した艦艇にステンシルされているが、作戦に参加している戦闘機にこのようなマーキングが施されているのは、少なくとも私たちにとっては新しいことだ。

本誌は、この地域での危機が5カ月間にわたり加速するなか、スーパーホーネットがフーシ無人機と交戦を開始したことをいち早く報じた。その後、無人機撃墜は日常茶飯事となり、他国の戦闘機も撃墜している。


3月5日、紅海でニミッツ級空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN69)の飛行作戦中、打撃戦闘機隊(VFA)105の「ガンスリンガー」に所属するF/A-18Eスーパーホーネットの発進を合図する船員たち。ドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群は、中東地域の海上安全保障と安定を支援するため、米第5艦隊作戦地域に配備されている。(米海軍公式写真)

米海軍は「IKE」での作戦の様子を伝える映像を公開した。VFA-131「ワイルドキャッツ」のF/A-18Eスーパーホーネットの1機が、フーシの無人機のシルエットと爆弾のシルエットをつけているのが写っている。後者は対地攻撃ミッションの成功を象徴している。ドローンのシルエットは、一般的に、フーシ派がここ何年も使用している一方向攻撃ドローンのSammadファミリーのように見える。

イエメンの武装勢力が発射した無人機を撃墜するだけでなく、米英軍は関連する軍事目標を攻撃している。防空システム、武器貯蔵所、司令部などだ。しかし、ほぼ絶え間ない武器投下の大部分は、発射準備中の無人機やミサイルなど、一刻を争う標的に集中している。この困難な任務の多くは、IKEの航空団に委ねられている。

BBCの最新レポートでは、IKEに搭載された別のスーパーホーネットのドローンキルマークの画像と、空母が同地域で対応している進行中の危機についての詳細も掲載されている。

記事は、作戦区域を通過する他の海上交通を保護するIKEと4隻の米海軍水上戦闘艦を指揮するデイブ・ロウ大佐の言葉を引用している。大佐は、この作戦は「危険なもの」であり、米海軍の資産に対する直接的かつ永続的な脅威は、いつ何時でも発砲される可能性があるという点で、第二次世界大戦以来、最も危険であると述べている。

BBCもキル・マーキングに注目し、こう報じた:「コックピットの側面には、投下した爆弾、破壊したレーダー基地、空から撃墜した無人機のシルエットが描かれている。すでに300発以上の爆弾やミサイルを発射している」。

一ヶ月前、米海軍は、フーシの無人機や巡航ミサイル、弾道ミサイル攻撃を受けながら、水上戦闘機が地対空ミサイルのスタンダード・シリーズを100発以上発射したと発表した。F/A-18E/Fが無人機撃墜に使っているものについては、AIM-120が最も成功していることが証明されているが、AIM-9Xもドローン対応に使うことができる。銃の使用は、このような小型で動きの遅い標的に対しては、はるかに困難で潜在的に危険な提案である。

一発50万ドル、高くても数百万ドルもするミサイルを、数千ドルの無人機を撃墜するために使用することの高い代償と、このような作戦がミサイル在庫に与える影響については、これまで詳しく述べてきた。海軍は現在、議会に対し、フーシの猛攻への対抗で消耗した兵器の補充に必要な資金を、補正予算案以外と別に提供するよう求めている。

IKEの航空団司令官であるミゲス少将は、BBCの取材に対し、バブ・エル・マンデブ海峡と周辺におけるフーシ派の航行妨害作戦の背後に誰がいるのかを明らかにした: 

「フーシを支援しているのはイランだ。武器や技術だけでなく、標的の情報提供や支援も行っている。根源はイランからだ」。

海軍で2番目の古参現空母IKEが、いつまでこの地域の対フーシ作戦の拠点として現場に留まるのか定かではない。同艦は2023年10月14日にノーフォークを出港した。

この地域の危機がすぐに解決される兆しはなく、IKEは5ヶ月間、少なくとも当分の間、非常に高いテンポの作戦を迫られている。■

Navy Super Hornets Are Now Wearing Houthi Drone Kill Marks

BYTYLER ROGOWAY|PUBLISHED MAR 19, 2024 5:49 PM EDT




コメント

  1. ぼたんのちから2024年3月20日 16:34

    フーシ派によるミサイル攻撃を防ぐために行われている空爆に目立つ効果が無いことは明らかだ。また、高価な対空ミサイルによる迎撃もいつまでも続けられない。これらのことは、現在の対抗策が適切でないことを意味する。
    フーシ派は、さらに攻撃範囲を拡大し、インド洋全域に広げ、喜望峰周りの船まで攻撃し、東西の物流に障害を与えるつもりだ。
    こうなると事態は、一部中東問題から国際問題へと拡大し、大きな世界的政治・経済問題となる。パレスチナでも、イスラムの問題でなく、世界的な問題となる。
    そして、これは国連軍等を派遣し、フーシ派を壊滅させるべき問題となる。そして、フーシ派を操っているのがイランならば、経済的制裁を越える、軍事行動が必要なのかもしれない。
    それ以前に地域の有力国を巻き込み、フーシ派対策を行いたいところだが、老いぼれバイデンのお粗末な中東政策は、トランプの時に築こうとしていた様々な安全保障策などを反故にし、サウジ等と不必要な敵対を生み、現在の事態を招いたとも言える。
    日本もシーレーン防衛のために参加を求められるだろう。やれやれ!

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