2026年11月4日水曜日

突如浮上してきた米中ロ首脳会談は新たなヤルタ体制への布石となるのか―米国が世界に指導力を今後も発揮できるのか懸念が生まれてくるだろう

 

米中ロ首脳会談は新たなヤルタ会談になるのか?

The Donald Trump-Vladimir Putin-Xi Jinping Summit: A New Yalta?


プーチン・習近平を交えた前例のない首脳会談は、ワシントンの外交的影響力を示すものとなるかもしれない。しかし、同時に、米国の力と信頼性の間に広がる溝を浮き彫りにしかねない。


ドナルド・トランプ大統領が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領および中国の習近平国家主席との前例のない3カ国首脳会談に前向きな姿勢を示している。この会談は、今年11月に深センで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットの場外で行われる可能性もあるが、その意義はウクライナ戦争をはるかに超える。

報道によると、提案はモスクワ発で、プーチン大統領はトランプ大統領との関係改善を活かすことを狙っている。しかし、トランプ大統領は、こうした会合ではウクライナ問題より核軍縮に焦点を当てるべきだと示唆している。

とはいえ、このような首脳会談の意義は、当面の議題をはるかに超えて広がるだろう。国際関係におけるより広範な変容――すなわち、確立された機関、同盟、多国間枠組みを、大国間の直接的な取引に置き換えたいという誘惑が高まっていること――を反映する。

もっと根本的な疑問は、このアプローチが米国の力そのものについて何を明らかにしているかという点だ。ワシントンは国際秩序を形作る独自の能力を示しているのか、それとも、その力をこれほどまでに効果的なものにしてきた信頼性を徐々に損なっているのか。

トランプ・習近平・プーチン首脳会談で最大の恩恵を受けるのは誰か?

提案されている首脳会談は、ワシントンが最近モスクワに対し示している姿勢の変化という文脈で捉える必要がある。今月初め、トランプ大統領はロシア産ディーゼル燃料の輸入を認め、10月16日には 施行を免除し、 「リンジー・O・グラハム・ロシア・イラン制裁法」に基づき ロシアに対する新たな制裁や関税を一時停止した。法的には許容される措置ではあるが、共和党内からも批判を浴びたこれらの決定は、相応の譲歩を引き出さないまま、ロシアへの経済的圧力を弱めている。

一方、ウクライナは、こうした制限措置が衛星通信に影響を及ぼし、情報支援を妨げていると懸念を表明している。ワシントンはこれらの主張の一部を否定しているが、ロシアが民間施設へ攻撃を続ける中、この不確実性はウクライナが米国に依存している実情を浮き彫りにしている。こうした背景において、華々しい三カ国首脳会談は、物議を醸している米国とロシアの和解への注目をそらす役割も果たすかもしれない。

ドナルド・トランプにとって、首脳会談は、非効率的と見なす多国間機関よりも大国間の直接交渉を好む本人の姿勢や、確立された枠組みや伝統的な同盟関係よりも、海外指導者との個人的な関与や目に見える合意を優先する取引的な外交アプローチを反映するものとなるだろう。また、戦略的な計算の表れでもあるかもしれない。ウォルター・ラッセル・ミードが論じているように、ワシントンは、ロシアの北京への依存を制限し、エナジー市場を管理し、イスラム過激主義に対抗することにおいて、モスクワと共通の利益を見出している可能性がある。

この論理に加え、トランプが欧州の戦略的懸念に対して比較的無関心であることから、欧州の安全保障が、より広範な地政学的妥協における交渉材料となる可能性が高まっている。しかし、首脳会談がもたらす当面の利益は、主に政治的かつ象徴的なものとなるだろう。ロシアと中国の指導者を一堂に集めることは、米国の主要な競争相手と直接交渉できる「ディールメーカー」としての彼のイメージを強めることになる。

ウラジーミル・プーチンにとって、得られる利益はさらに大きくなる可能性がある。ワシントンの最近の決定によりモスクワへの圧力は緩和された一方で、ワシントンとキーウ間の緊張は高まっている。米国および中国の大統領と並んで首脳会談を行うことは、2022年のウクライナ侵攻後に孤立したロシアの国際的地位を正常化させることになるだろう。また、西側主導の秩序を、競合する大国と影響圏を軸とした秩序に置き換えたいプーチンの野望を前進させることにもなる。ウクライナをめぐる交渉がキーウの直接的な参加なしで進められれば、モスクワは自らの侵略行為をワシントンとモスクワ間の交渉材料に変えて、さらなる優位性を獲得することになるだろう。

もしこの首脳会談が、キーウの直接参加なしにウクライナをめぐる交渉への道を開くことになれば、モスクワはさらに重大な成果を収めることになる。すなわち、自らの軍事侵略をワシントンとモスクワ間の交渉材料へ変えることになる。

習近平の計算は異なる。このような会合を主催することは、中国が国際安全保障ガバナンスにおいて不可欠な役割を担う存在であることを強固にする。しかし、北京には慎重になる理由がある。習近平は、ウクライナの解体を正当化し、欧州連合との関係をに損なう解決案を支持することには消極的かもしれない。また、中国の犠牲を代償として交渉された米露の和解を歓迎する可能性も低いだろう。

したがって、3人の指導者全員が利益を得る立場にあるが、このサミットの広範な意義は、その象徴性にある。すなわち、数十年にわたり国際安全保障の枠組みを形成してきた機関や同盟の外で機能する、非公式な大国間の協調体制の台頭である。欧州にとって、これは不安定化要因となり得るほか、ロシアが国際的な正当性を回復しつつ、軍事的目標を追求できることを示唆する可能性がある。

核軍縮:真剣な目標か、それとも外交上の口実か?

トランプ大統領がサミットではウクライナ問題より核軍縮に焦点を当てるべきだと示唆したことは、ワシントンがモスクワに対してどのような譲歩をする用意があるかという点から世間の関心をそらす可能性がある。しかし、核軍備管理を単なる外交上のパフォーマンスとして一蹴すべきではない。世界は核競争の新たな時代に突入しているからだ。

トランプは第1期政権において、中国を排除した軍備管理協定に疑問を呈した。2019年にワシントンが中距離核戦力(INF)条約から脱退した理由の一つは、中国が同条約に参加していなかったことだったが、主な正当化理由は依然としてロシアによる条約違反であった。また、トランプ政権は中国をより広範な戦略的軍備管理交渉に引き入れようとしたが、成功しなかった。

それ以来、課題は深刻化している。新START条約は2026年2月失効し、米国とロシアの戦略核兵器を制限していた最後の拘束力ある二国間条約が終了した。ワシントンとモスクワで合わせて世界の核兵器の約86パーセントを保有している一方、中国の核兵器の拡大は、二国間であった均衡を三極間の競争へ変容させつつある。

しかし、三カ国間の軍備管理には大きな障害が立ちはだかっている。中国の核兵器保有数が米国やロシアの保有数よりはるかに少ない現状では、北京側に数量制限を受け入れる動機はほとんどない。一方、ワシントンは、主要な核競争相手2つと同時に対峙する可能性を考慮しなければならない。

欧州とインド太平洋地域も相互に関連し合っている。モスクワへの譲歩は、北京に対する米国の抑止力計算に影響を及ぼす可能性がある。一方、ロシアは戦略的優位性を確保するため核の威嚇を使い続けており、中国は核兵器の近代化と増強を進め、米国は核三本柱の近代化を進めている。

こうした情勢下でも、軍備管理が不可能になるわけではないが、信頼性のある合意には、継続的な交渉、検証メカニズム、相互の約束、そして戦略的な予測可能性が必要となる。個人間の外交で知られる3カ国の首脳による即興的な首脳会談では、意向表明は出ても、持続可能な合意の制度的基盤は築けないだろう。

核軍備管理は重要な戦略的目標である。問題は、派手な首脳会談が交渉のきっかけとなるのか、それとも根本的な戦略的課題を解決しないまま、政治的妥協の外交的口実を提供するに過ぎないのかという点だ。

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米・露・中による核合意が米欧関係に与える意味

核軍備管理プロセスの再開は欧州の安全保障に利益をもたらす可能性がある。SALTからSTARTに至るまで、米ソおよび米露間の合意は、戦略的競争を抑制し、核リスクを低減するのに寄与してきた。

危険が生じるのは、米国、ロシア、中国が、自国を世界的な核均衡の唯一の仲裁者と見なし始めた場合である。

何十年もの間、欧州における米国の拡大抑止は、核による保証だけにとどまらなかった。通常戦力の駐留、共同計画、情報共有、兵站支援、そして作戦上の統合が、ワシントンの公約に実質的な裏付けを与えてきた。したがって、欧州同盟国との有意義な協議なしに交渉された核合意は、NATOの核態勢を形式的には変更することなく、米国の安全保障保証に対する信頼を損なう可能性がある。

その影響は、ワシントンとパリ、ロンドンとの二国間関係にも波及するだろう。フランスの独立した核抑止力と、英国の主権を保ちつつも米国と緊密に統合された核関係は、それぞれ異なる課題に直面することになる。とはいえ、モスクワや北京との広範な妥協において、欧州の核に関する利益が交渉材料となれば、両関係とも試練にさらされる可能性がある。いずれの関係も自動的に崩壊するわけではないものの、政治的な打撃により、欧州が自律的な抑止体制を構築する動きが加速する恐れがある。

逆説的なことに、核リスクを軽減することを意図した取り組みが、大西洋両岸の分断を深め、欧州に大きな戦略的責任の追求を加速させる可能性がある。したがって、いかなる合意でも重要なのは、核兵器削減につながるかどうかだけでなく、欧州の安全保障が依存する同盟関係を弱めることなく、戦略的安定を強化できるかどうかである。

ヤルタ会議との類似性の限界

ヤルタ会議との象徴的な比較は避けがたい。1945年2月、フランクリン・デラノ・ローズベルト、ウィンストン・チャーチル、ヨシフ・スターリンは、戦争の最終段階と戦後の秩序を協議した。その後、ヤルタは、小国の全面的な参加なしに大国がそれらの未来を決定した象徴となった。関係国抜きでウクライナの将来や、欧州・台湾に影響を及ぼす安全保障上の取り決めを決定しようとする深センでの首脳会談も、同様の批判を招くだろう。

しかし、この類比には限界がある。1945年、ソ連軍は東ヨーロッパの大部分を占領しており、西側指導者は現地の軍事的現実を覆す手段をほとんど持っていなかった。ヤルタ会議が単独でヨーロッパを分割したわけではなく、それは数十年にわたり大陸の様相を形作ってきた戦略的状況を反映したものに過ぎなかった。今日、ウクライナは抵抗を続けており、欧州諸国は防衛能力の再構築を進めており、世界的な経済的相互依存関係が、排他的な影響圏の確立を複雑にしている。

したがって、現在浮上しつつあるのは、新たな「ヤルタ」というより、取引の多極化である。すなわち、大国は二国間や三国間の取引を追求しつつも、完全に制御できない軍事的、政治的、経済的現実による制約を受け続けている。

さらなる違いは、モスクワと北京の間の非対称性だ。1945年のソビエト連邦は、ナチス・ドイツ打倒への軍事的貢献によって戦後秩序に対する絶大な影響力を確保したが、今日のロシアは経済、産業、技術の面で中国への依存をますます高めている。その核兵器と軍事力は重要な戦略的自律性を維持しているものの、北京の包括的な世界的な力に及ばない。3カ国首脳サミットに見られる表向きの対等性は、この不均衡を覆い隠すだろう。

また、そのような会合からどのような具体的な合意が生まれるのかは不透明だ。それは、世界を再編する試みというより、大国外交を慎重に演出した見せ物に過ぎないかもしれない。危険なのは、ヤルタ会談の再現というより、大国が他国の同意なしに、その安全保障や主権を交渉できるとの原則が常態化してしまうことにある。

米国は比類なき能力を持つものの、外交的信頼度は低下している

トランプ・習近平・プーチンによる首脳会談の可能性は、米国の力に内在する根本的なパラドックスを浮き彫りにしている。米国は、世界的な同盟ネットワークに支えられ、比類なき軍事的、技術的、財政的、そして外交的能力を保持している。プーチンがトランプとの直接交渉を推し進めていることや、いかなる合意においても中国が重要な役割を果たすという事実は、ワシントンの中心的な役割を浮き彫りにしている。しかし、物質的な優位性だけではリーダーシップは保証されない。信頼できる公約、予測可能な意思決定、そしてパートナーの信頼も不可欠である。

多国間機関に対するトランプの長年にわたる懐疑的姿勢――そして、こうした機関に主要な紛争を解決する能力がないという認識――は、大国間の直接交渉を好む本人の姿勢を強め、その外交を形作っている。個人的な会談、劇的な発表、そして派手な合意は、力の誇示として目に見える形で示される。しかし、この傾向は戦略的な代償を隠してしまう可能性がある。すなわち、合意が威圧を助長したり、商業的な取引が敵対国への圧力を弱めたり、あるいは同盟国の利益を交渉の材料にするというワシントンの姿勢を露呈したりする恐れがあるのだ。

同盟国にとっての問題は、もはや単に米国が自国を守れるかどうかというだけでなく、政治情勢が変化したり、取引的な取り決めが魅力的に見えたりした際に、米国の公約が持続するのかという点にある。こうした疑念は欧州にとどまらない。アジアの同盟国は、自国の安全保障の保証を評価する中で、ワシントンがウクライナ問題をどう扱うかを注視しており、中東のパートナー国も米国の公約の持続性に疑問を抱いている。こうした認識は、敵対勢力の計算にも影響を及ぼす。抑止力は軍事力だけでなく政治的意志にも依存する。たとえ圧倒的な優位性を有していても、交渉の余地があるように公約が写る場合、抑止が失敗する可能性がある。

敵対国との二国間取引を優先させることで、ワシントンは自らの最大の戦略的優位性の一つ、すなわち世界的な影響力、作戦上の深み、そして正当性を提供する同盟ネットワークを損なうリスクを負っている。ロシアも中国も、これに匹敵するシステムを保有していない。これらのパートナーシップは、米国の力に対する制約ではなく、その主要な源泉の一つなのである。

深センで首脳会談が実現した場合の核心的な疑問は、トランプが単に劇的な外交パフォーマンス以上のもの――すなわち、欧州の安全保障上の利益を犠牲にする可能性を伴いながら、大国間の選択的な取引に基づく地政学的な再編――を追求しているのかどうかという点である。米国の問題は、力の欠如ではなく、力の「見せかけ」を「実効的な行使」と混同するリスクにある。同盟関係の基本となる信頼を顧みずに短期的な外交的突破口を追求することで、ワシントンは実質的に依然として無敵の地位を維持しつつも、その最大の戦略的優位性の一つである「パートナーからの信頼」を弱体化させる可能性がある。

深センからどんな宣言が発せられても、より深く、国際秩序を一変させることになるだろう。■

著者について:ツィポラ・フリード

ツィポラ・フリード は、ハドソン研究所の客員上級研究員であり、大西洋横断の安全保障、軍事戦略、防衛イノベーション、および新興技術の戦略的意味合いを研究の中心としている。彼女はフランス統合参謀本部副議長のシニアアドバイザーを務め、戦略的フォアサイト、ネットアセスメント、人工知能、ウォーゲーム、防衛イノベーションに関する業務を主導した。国立行政学院(ENA)を卒業し、パリ政治学院(Sciences Po)で政治学の修士号、国立東洋言語文明学院(INALCO)でロシア語・ロシア文明の学位を取得している。


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