スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍向けT-Xの現況、2,600機の最大需要を皮算用するボーイングの考え方がわからない


コメントは下にあります。

Boeing Sees Market for 2,600 T-X, Derivative Aircraft

5/15/2019
​––JOHN A. TIRPAK


T-X 高性能練習機、2019年5月14日、ボーイングのセントルイス施設にて。Staff photo by John A. Tirpak.


ーイングはT-X高性能練習機の需要規模を最大2,600機と見ており、練習機にとどまらず軽攻撃機、軽戦闘機にも転用できると同社でT-X事業を統括するウィリアム・トーガソンが述べている。


内訳には「空軍がT-X競作時に求めていた最大475機があり、練習機仕様以外の米空軍用は含んでいません。60年も供用中T-38の分だけです」(トーガソン)
トーガソンはメディア向けにボーイングでT-Xを生産するセントルイス施設のツアーで説明し、参加メディアの旅費宿泊費は同社が負担している。
.  
ボーイングは空軍向けのT-X年間48機生産を準備中だが空軍が前倒し調達を求めてくれば、あるいは海外販売が成立すれば60機まで増産できるとトーガソンは説明。


具体的な導入国が出現すればボーイングあるいはSaabが対応すると説明し、Saabが同社のJAS-39グリペン戦闘機を運用中の諸国の発注に対応すると示唆した。SaabからはT-Xの部品製造をインディアナ州ウェストラファイエットで行うとの発表が先週あったばかりだ。生産分担で具体的な説明はなかったが、トーガソンはSaabがコックピットより後部の機体を製造し、ボーイングは主翼、尾翼、機体前方を担当すると概略説明をしていた。


トーガソンはT-Xの海外販売への期待に触れ、「他に競争相手がない」とし空軍がボーイング提案に対して「100億ドルの節約効果を産んだ」とコメントしたことを紹介。


ボーイングがT-Xコンペ用に製造した2機で空軍は飛行性能データを集めたが、2機は試作機ではないとする。そもそも試作機の仕様はなかったという。例として2機には空中給油装備はついていない。ただし搭載用のスペースは残してある。トーガソンは2機は技術生産開発用すなわち飛行可能でデータを提供しソフトウェア機能を実証しつつ空軍、ボーイングで共同でT-Xの性能を定義していく機材だという。一号機は競作で71回のフライトをこなし二号機は15回飛んだという。信頼性の証明として一日で四回飛んだこともあり、「空軍の使用条件を再現した」とトーガソンは説明。


ボーイングは初号機をランドルフ共用基地(テキサス)で2023年に運用し初期作戦能力獲得を2024年に想定している。空軍と機体は「お互いに学習いている」とし、つまり空軍はT-Xの潜在力を最大限活用する方策を探っているのだ。


T-Xはアルミ製の機体で複合材は機首に使っているだけだ。金属性機体は製造が簡単で修理も容易だが軽量素材の活用は要求内容に入っておらず設計段階から「考慮の必要はなかった」とし第一線戦闘機材の想定ではないことがわかる。それでもT-Xは8G以上に耐えられるという。


ボーイングは機体と並行して訓練用ソフトウェアも開発中だ。新型機の導入で飛行形態も変わる際にシミュレーターで発生する潜在問題をいかに排除するかが開発の狙いだ。機体搭載と同じソフトウェアがシミュレーターにも導入される。ボーイングは最小でもシミュレーター46式を製造し、空軍は120式までの導入を想定する。またデスクトップコンピューターと操縦装置でパイロットはT-Xのスイッチ操作と飛行を学ぶ「アプリ」もあるという。


実際にT-Xデスクトップシステムを児童に使わせてみたところ「iPhone同様に」直感的に制御できたという。「アプリ」方式だとオープンシステムアーキテクチャーの機材に機能を簡単に追加できる利点がある。T-Xで訓練を受けるパイロットはこの方式を自然に体得するはずとトーガソンは述べた。


T-Xでは整備性も設計で考慮した。高翼構造で容易に機体まわりを移動できるし、アクセスパネル開閉に特殊工具は不要だという。コリンズが製造する降着装置はF-16と共通で機首部分が前方に格納される点のみ異なる。


T-Xでは機内酸素供給系統を新規設計し他機種で見つかった問題の再発を予防するという。■


いつまでたってもT-Xというのは変だなと思っていましたが、採用したボーイング案を煮詰めて最終仕様の機体にするという作戦なのですね。その時点で制式名が発表になるのでしょう。それにしても破格の価格で空軍に売り込んだボーイングは海外向けや派生型で充分利益を確保するという魂胆なのでしょう。さすがですね。それにしてもどうやって2,600機になるのか内訳を聞きたいものです。

コメント

  1. 空自もT-4後継にはこれを使うのでしょうか?単発なのが気になりますが。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM