米国防総省は6月、アジアにおける軍事力強化の一環として、B-2爆撃機をグアムに派遣した。Credit: Airman 1st Class Manasseh Demissie/U.S. Air Force
トランプ政権は、少なくとも国防総省の計画上、中国との紛争が目前に迫り、北京とモスクワ、そしてテヘランと平壌の間で安全保障協力が深まりつつある時期に政権を取ろうとしている。
バイデン政権の初期で国防総省は、中国の習近平国家主席が台湾侵攻の準備をこの10年で整え、その目標を2035年から前倒しすることを望んでいるのではないかと心配し始めた。
当時、米インド太平洋軍司令官だったフィル・デビッドソン海軍大将は2021年春に早ければ2027年にも紛争が起きるかもしれないと議会に警告した。この時間軸は「デビッドソンの窓」として知られるようになった。
第2次トランプ政権は、就任後すぐに予算要求を発表するだろう しかし、財政計画の現実は、その後の2027年度の予算要求まで抜本的な変更は起こらないことを意味する。事実上、現在計上ずみのプログラムが、戦争シナリオが実現した場合に利用できるものになる。
中国と対峙する国家安全保障上の準備は、複数の政権にまたがり、ドナルド・トランプ次期大統領がホワイトハウスで最初の4年間を過ごす前から、何年にもわたって進められてきた。このことは、原子力潜水艦や極超音速兵器などの分野におけるオーストラリアやイギリスとのAUKUSパートナーシップの重要な部分など、中国封じ込めを狙ったバイデン時代の取り組みが今後も続く可能性があることを示唆している。
2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻したことは、国防総省がアジアでの軍事衝突に備えるきっかけとなった。この戦闘は、兵器の深い在庫の必要性を浮き彫りにし、固体ロケットモーターの高出力化やミサイル迎撃ミサイルの増加といった分野への重要な投資を知らせた。 例えばロッキード・マーチンは、最新のペイトリオットPAC-3迎撃ミサイルの生産能力を、2023年の年間400基以下から2027年には年間650基に引き上げる。
ウクライナ戦争はまた、敵対国に大きな犠牲を強いるための、低コストの浮遊攻撃弾の群れや同様のシステムの有用性を、より鮮明に浮き彫りにしている。米国や台湾は、自国の兵器庫にこれらのシステムを追加することに重点を置いている。しかし、これらの比較的短距離のシステムが、幅110マイルの水路にまたがる戦いでどの程度適用できるかについては疑問が残ったままだ。
中国側は、日常的に台湾近くまで軍用機を飛ばしている。台北の発表によれば、10月のある事例では、中国は153機の航空機を台湾の近くに飛ばし、うち111機が台湾海峡の中央線を越えたという。
フィリピンは、マニラが自国領とみなす領土を北京が争っているため、中国とのもうひとつの潜在的な火種として浮上している。この緊張でワシントンとフィリピンが結びつきを強め、米陸軍は4月、RTXのトマホーク巡航ミサイルとスタンダード・ミサイル6の陸上バージョンを発射できるミッドレンジ・ケイパビリティをフィリピンに初めて配備するに至った。
しかし、アジアにもっと焦点を当てたいというワシントンの願望は目新しいものではない。イスラエルとその近隣諸国との間で戦闘が続いていることは、この状況が来年も変わらないことを示唆している。
トランプ大統領が脅したように、ホワイトハウスが紛争中のウクライナへの支援を打ち切っても、欧州が完全に後退することはないだろう。 欧州諸国はウクライナへの支援を継続することを表明しており、これは生産資源の奪い合いとなり、中国との睨み合いのため在庫を増したいワシントンの能力に挑戦する可能性がある。■
U.S.-China Security Relations Enter A Dangerous Period
Robert Wall Steve Trimble December 10, 2024
Robert Wall is Executive Editor for Defense and Space. Based in London, he directs a team of military and space journalists across the U.S., Europe and Asia-Pacific.
Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.
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