米空軍の次世代戦闘機開発に200億ドルが必要(The War Zone)―コンセプトの再整理で相当悩んでいることが伺われますが、中国に先を越されたことは米空軍にも相当のショックだったはず。やはりB-21が重要な存在になりそうです。
Collins Aerospace
米空軍は当初の計画通り第6世代ステルス戦闘機の開発を進めることも可能だが、その場合はさらに数十億ドルの追加資金が必要となる
米空軍は、次世代航空優勢(NGAD)システム群の一部として、高価な有人6世代ステルス戦闘機の代わりに、長距離攻撃能力に重点を置く選択肢を検討している。協調戦闘機(CCA)無人機の「クォーターバック」としての役割を主に担う低コスト設計も依然として検討対象であり、また、高度な有人戦術ジェット機の開発プロセスを完了させるにはさらに200億ドルが必要となる当初の計画を継続する選択肢も残されている。空軍はすでに、同プログラムの徹底的な見直しに基づく勧告に基づいて、今後どうするか、あるいはしないかについての最終決定を、次期トランプ政権に委ねることを発表している。
米空軍長官のフランク・ケンドールは、本日シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、第6世代新型戦闘機NGADの当初の計画に代わる選択肢について、さらに詳細を明らかにした。昨年、空軍はNGADの開発作業を保留し、同プログラムの中核となる要件と目的の徹底的な見直しを開始すると発表した。見直し作業は完了には至っていないものの、ほぼ完了していると見られている。
「空軍は(当初)本質的にはF-22の後継機となる航空機の要件を定めました。そしてここ数年、私たちはその作業に取り組んできました。」とケンドール長官は語った。「今、設計を完了し、生産に入るべきかの段階にきています。そしてこれは最も重要なマイルストーンなのです。」
「F-22の後継機コンセプトの代替案には、F-35に近い安価ものもあります」と、空軍のトップ文民は付け加えた。「検討したもう一つの選択肢は、長距離攻撃への依存度を高めるというものでした。
「乗員を乗せることも、航空機を追加することもやめるべきだと話している向きもあります。しかし、私はまだそこまで来ていないと思います。ただ検討の余地はあると思います。」とケンドールは続けた。「F-35に頼り続け、当面の間同機を維持し、CCAに焦点を当てる選択肢もあります。しかし、個人的にはそこまでの準備ができていません」。
空軍当局、特にケンドール長官は、NGAD戦闘機計画を、より具体的にはCCAの制御に重点を置いた低コスト設計に置き換える可能性を繰り返し強調してきた。前方無人機制御機は、燃料とネットワーク能力を最大限に活用し、管理対象の無人プラットフォーム全体に武器やセンサーを分散させる航空機となる可能性がある。これにより、より低コストで小型の機体が生まれる可能性がある。本誌は以前、このような設計がどのようなものになるかについて、詳細な特集記事で取り上げていた。
昨年10月、空軍参謀総長デビッド・オールビン大将は、NGAD戦闘機計画の見直しにより、B-21レイダーステルス爆撃機がより多くの役割と任務を担う可能性を示唆した。B-21はすでに、長距離攻撃に加え、戦闘管理や情報、監視、偵察(ISR)など、幅広い任務を遂行できる能力を備えることが予定されている。
また、ケンドール長官が今日、この件について直接言及したかどうかは不明だが、長距離攻撃という用語は、B-21を含むより大規模なシステム群を指す空軍の専門用語でもある。また、核弾頭搭載の航空機発射巡航ミサイルAGM-181 遠距離スタンドオフ(LRSO)も、LRS「システム・オブ・システムズ」の一部として知られている。
米空軍は「長距離攻撃」に重点を置くと強調しているが、これは「いずれにしても我々にできることだ」とケンドール長官はCSISでの発言で付け加えた。「つまり、選択肢のひとつとして検討されているということだ。比較的安価で、おそらくその方法でより多くを行うことに一定の理があるだろう」。
ケンドール長官は、NGAD戦闘機に代わる長距離攻撃機の代替案について、それ以上の詳細を明らかにしなかった。しかし、オールヴィン大将が昨年B-21についてコメントした後、本誌は次のように書いた。
「われわれが調査した通り、B-21のサイズ、長距離、高高度、広帯域低可視性(ステルス性)、その他の能力は、実際には空対空戦闘の支援に適している可能性がある。レイダーは、特に特大の超長距離タイプの空対空ミサイルの発射プラットフォームとして機能する可能性を秘めている。そのペイロード容量により、大量の小型空対空ミサイルを搭載することも可能だ。B-21は、敵防空システムの制圧・破壊(SEAD/DEAD)任務を支援する空対地兵器を使用することもでき、これもまた制空権の要素の一部となる。
最も重要なのは、B-21は対空ミッションを支援する空中神経中枢としても機能できることだ。特に、空軍が計画している無人機群の制御に適しており、最も激しい空中戦が繰り広げられている空域でもその能力を発揮できるだろう。無人機は、空対空兵器を搭載したレイダーにターゲットデータをフィードバックすることもできる。B-21は、無人機を自ら発進させる母機になるかもしれない。
長距離攻撃への重点化は、米軍全体として今後の航空優勢がどのようなものになるかという、広範な概念の再整備にもつながる可能性がある。これは、空軍当局者が以前にも示唆していたことである。NGAD戦闘機の最終決定には、新しい運用概念や戦術、技術、CCAsの運用に関する手順、新しいステルス空中給油機の計画など、その他の運用要因も影響するだろう。
「有人航空機には、無人航空機に対する信頼性の高い通信と指揮統制が必要であり、それは戦術的な有人航空機がCCAと連携することで実現できます。おそらく、私たちはこのモデルをしばらくの間は採用することになるでしょう」と、ケンドール長官は本日語った。「次世代空中給油。従来型の航空機をベースにした長距離型航空機はすべて、超長距離型、さらには超超長距離型の防空システムの前に脆弱になっています。我々は、その生存性の問題に対処しなければなりません」。
NGAD戦闘機に関しては、ケンドール長官は今日、このプログラムに関するこれまでの考えをほぼそのまま繰り返した。また、空軍が単に当初の計画を継続する可能性についても、これまでと同様に可能性を残している。
「このプラットフォームについて再考するに至った理由は2つあります。1つは予算です」と、空軍長官は説明した。「現在の予算レベルでは、そのプラットフォームをどうやって手に入れられるか、まったく見通しが立ちません。研究開発にさらに200億ドル以上が必要で、…F-35の数倍のコストがかかる航空機を、少数しか手に入れられないのに購入し始めなければならなかったのです」
NGAD戦闘機プログラムで空軍がこれまでに費やした金額は不明である。正式な競争は2023年から継続している。リスク軽減やその他の開発作業のために、国防総省は2024年度と2025年度にそれぞれ2億7600万ドルと8億1500万ドルを要求した。これは、NGAD事業全体に対する、各会計年度における19億ドル強と27億5000万ドル近くの資金提供要求の一部だ。また、過去10年間にわたる支援活動に費やされた資金や、飛行デモ機の製造を含む機密扱いの資金源も、この一部だ。F-22プログラムの総費用は約700億ドルで、そのうち300億ドルは初期の非反復研究開発費であったことが注目に値する。
また、空軍は以前、F-22戦闘機の後継機種としてNGADジェット戦闘機を約200機購入する計画を立てていた。ケンドール長官は過去に、航空機1機あたりの価格はF-35の平均単価の3倍、つまり3億ドル以上になる可能性があると、公開情報に基づいて述べている。
「空軍のオペレーター、上級オペレーターたちがやって来て、こう言いました。この航空機について考えた結果、それが正しい設計コンセプトであるかどうかは確信が持てません。本当に必要になるのはこのようなものなのでしょうか?」とケンドール長官は紹介した。「そこで私たちは3~4ヶ月ほどかけて分析を行い、多くの元参謀長や、これまで知り合った尊敬する人々を招き、正しい行動とは何かを理解しようと努めました。
「最終的に、グループの意見は概ね一致し、この計画を進める価値はあるし、産業基盤の観点からも進めるべきであるが、他に資金を優先的に提供すべきものがあるというものでした」とケンドールは語ります。「ですから、決定は最終的には2つの判断に依存することになります。1つは、必要なものすべてとNGADを購入するのに十分な予算があるのか、そしてNGADを購入することが正しい選択なのかどうか、というものです」。
ケンドール長官は昨年、NGAD戦闘機だけでなく、第2弾のCCAや新型ステルス空中給油機を購入する余裕が自国のサービスにあるのか、また、B-21やSentinel大陸間弾道ミサイルなど、他の重要な優先事項の費用も支払わなければならない中で、その余裕があるのかどうか懸念していることを明らかにした。空軍長官は、NGAD航空機の計画見直しの主な要因として、Sentinelのコストが膨らんでいることを挙げている。
「これから発足するトランプ政権が国防予算を増やすのか、減らすのか、今のところ私にはわかりません」と、長官はCSISでの講演の最後に付け加えた。「誰かがその答えを知っていることを願いますし、それに沿った計画が立てられていることを願いますが、今のところ私にはわかりません」。
トランプ次期政権がどのような決定を下そうとも、長距離攻撃能力の重視や、NGAD戦闘機の代替案としての低コスト版F-35後継機のようなジェット機の開発など、さまざまな選択肢が提示されることになるだっろう。
更新:米国東部時間午後6時30分 —
空軍の調達・技術・兵站担当次官補アンドリュー・ハンターは、Breaking Defense(本日公開)のインタビューで、米国が第6世代の航空戦闘能力に関して中国と「競争」状態にあると述べた。また、空軍の「技術的優位性」は依然として「有意義であり、我々のシステムは優れた資材を生み出している」と強調しました。
「中国が何をやっているかには、私たちはかなり注意を払っていると言っても過言ではありません。ですから、すべてが公表されるわけではありませんが、12月にこれまで見たことのない2種類の中国のステルス戦闘機が出現したことは衝撃的でした。彼らのペースは信じられないほど速いのです。
「だから、何かについてIOC(初期運用能力)の期日を設定した場合、彼らはその点で我々を上回る可能性がある。我々の方が優れた能力を持っていると思うが、我々は時間を無駄にする余裕はない。彼らが我々より先に先手を打つ可能性がある。」と彼は続けた。■
$20 Billion Price Tag To Complete Development Of USAF’s Next Generation Fighter (Updated)
The Air Force could also still proceed with its original 6th generation stealth combat jet plans, but would need billions more in funding.
Joseph Trevithick
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