スキップしてメイン コンテンツに移動

X-44 MANTA:第6世代「NGAD」戦闘機の原型は1999年に登場していた(19fortyfive)


X-44 Manta

X-44 マンタ。 アーティスト・レンダリング。


空軍の第6世代NGADステルス戦闘機の起源は、1999年のX-44 MANTAコンセプトに遡ることができる


-ロッキード・マーティンが開発したX-44 MANTAは、F-22をベースにした無尾翼の完全水平ステルスジェットを想定していたが、垂直安定板やフィンを持たずに操縦できる設計だった

-同機の革新的なデザインは、広帯域ステルスと操縦性を組み合わせたもので、現在のNGADのデザインの原型となった

-MANTAは予算の都合で中止されたものの、無尾翼ステルス機の基礎を築いた

-同プログラムから学んだ教訓は、ステルス性と敏捷性を1つのパラダイムシフト・プラットフォームに統合したNGADデモンストレーターの形成に役立った


X-44 MANTAはNGAD戦闘機の基礎を築いたのか?

現在飛行中の米空軍の第6世代NGADステルス戦闘機の初期のブレークスルーは、30年近く前にさかのぼることができるのだろうか?

1999年に構想されたロッキード・マーティンのX-44多軸無尾翼機(MANTA)の実験機をよく見れば、答えはイエスかもしれない。


X-44マンタ: "無尾翼版のF-22"?

F-22の主要部分に基づき、X-44は、尾翼、垂直安定板、いかなる種類のフィンも必要とせずにベクトル制御が可能な「無尾翼」完全水平ステルス戦闘機として設計された。

 聞き覚えがないだろうか?

 高速操縦可能なステルス戦闘機に組み込まれた同機の超ステルス技術は、出現しつつある第6世代航空機の重要なコンセプト基盤である。

 第6世代NGADのデモ機は、保安上の理由で公開されていないが、防衛業界の初期のレンダリングでは、X-44 MANTAの初期のコンセプトビジョンと一致する無尾翼、完全な水平飛行、ステルス性の機体が描かれていた。

 もちろん、完全に水平な爆撃機のような混合翼の機体は、垂直構造の機体よりもはるかにステルス性が高いが、垂直構造なしでF-22のような「推力ベクトル」と操縦が可能な機体を作る可能性は、現在第6世代に組み込まれている「巨大な」ブレークスルーの種類と一致する。


第6世代機の基礎作業は、1999年にX-44MANTAのビジョンや概念的な作業で検討されたのか、あるいは予期されていたのか?

簡単に言えば、X-44MANTAは垂直構造やテールパイプなしで完全にピッチ、ヨー、ロールができる機体として構想された。

 プロジェクトは予算の都合で中止されたが、そのコンセプトの存在は長期的な影響を与えた。

 このビジョンの影響力は、今にして思えば同機を決して中止すべきではなかったことを示唆している。

NGAD Fighter

NGAD戦闘機のモックアップ。 画像出典:クリエイティブ・コモンズ


第6世代ステルス戦闘機が登場する何十年も前に、空軍は機体を手にしていた可能性

新しい空力的ブレークスルーで垂直構造やフィンスタビライザーなしでベクトル制御可能ということは、パラダイムを変える空力的ブレークスルーを意味する。尾翼やフィンは、急旋回や高速操縦に必要な機体周囲の気流を制御するのに重要であることが知られている。

 完全に水平な構造の航空機の最も重要な利点は、ステルス性だろう。

 垂直構造は、電磁波の「ピング」が跳ね返ってくる物体や鋭角を提供するため、防空や敵のレーダーが探知しやすい。

 具体的には、大量の電磁信号が光速で飛び交い、機体のさまざまな角度や構造物、出っ張った部分に跳ね返るため、敵のレーダーは物体の鮮明な画像や「レンダリング」を得る可能性が高くなる。

 B-2のような完全水平混合翼の胴体設計は、敵のレーダーには「鳥」のように見えるため、最もステルス性の高い機体として知られている。

 電磁ピンが跳ね返るような尖った構造物は存在しないが、「広帯域」ステルス・プラットフォームはF-22のように機動飛行ができない。B-2は高度、速度、そして防空網から逃れるために利用可能な最高のステルス構成に頼っている。

 しかし、垂直構造物のため、F-22はB-2よりもステルス性が低く見えるかもしれない。つまり、敵の地上レーダーによってターゲットロックされるのを避けるために、ステルス構成を補うためスピードと機動を使う必要が出てくる。


広帯域ステルス

B-2やB-21に組み込まれている広帯域ステルスは、低周波の「監視」レーダーや高周波の「交戦」レーダーから逃れる設計だ。

 その発想は、敵に存在を知られることなく、秘密裏に任務を遂行することをめざしたものだ。

 例えば、F-22やF-35は「交戦レーダー」からは逃れても、何かが「そこにある」と判断できる長距離低周波「監視」レーダーには捕捉される可能性がある。

 監視レーダーは広域エリアのどこかに「脅威」を発見するかもしれないが、ターゲットと交戦したり、ロックオンしたり、完全に「交戦」することはできない。つまり、F-22はそのスピード、機動性、ステルス性を活かし、敵に狙われたり命中したりすることなく敵の防空網を破壊することができるのだ。

 一方、低周波数の監視レーダーは、航空機のターゲットロックを確立することができないまま、エリアを捜索することができる。


ステルスと機動: NGADとX-44マンタの接点

広帯域ステルス性と機動性、この2つの特性を1つのプラットフォームに統合したらどうなるか?

 可能な限りステルス性の高いコンフィギュレーションを作りながら、F-22に匹敵する機動性、ベクトル、命中速度を「維持」することとなる。

 NGAD第6世代機の基本は1999年のロッキードのX-44 MANTAまで遡るようだ。■



Written ByKris Osborn

Kris Osborn is the Military Affairs Editor of 19 FortyFive and President of Warrior Maven - Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


X-44 MANTA: The 6th Generation ‘NGAD’ Fighter from 1999

By

Kris Osborn


https://www.19fortyfive.com/2025/01/x-44-manta-the-6th-generation-ngad-fighter-from-1999/


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...