スキップしてメイン コンテンツに移動

沿岸戦闘艦がヘルファイアミサイルで空中ドローンを迅速に撃墜可能に(The War Zone)―存在価値が低かったLCSが近接防衛で面目躍如となるかもしれません。アーレイ・バーク級への過度な依存が減るといいですね。

 

2018年、ヘルファイアミサイルをテスト発射したフリーダム級LCS USSミルウォーキー。USN


紅海でのフーシ派からの攻撃に対応し、海軍は対ドローン用ヘルファイア能力をフリーダム級LCSに急遽搭載した

海軍は2024年、レーダー誘導式AGM-114Lロングボウ・ヘルファイア・ミサイルを搭載したフリーダム級沿海域戦闘艦(LCS)が、未搭乗空中システム(UAS)、言い換えればドローンに対し搭載武器を発射できるようにするクラッシュ・プログラムを実施した。これは、紅海とその周辺で活動する米海軍艦艇へのフーシ派ドローンからの脅威に直接応えるものだ。

 フリーダム級LCSの新しい対ドローン能力に関するヒントは、今週初めの水上艦艇海軍協会の年次シンポジウムで初めて明らかになった。 海軍は、1月15日の本誌からの詳細情報の問い合わせに対し、翌日に発表されたプレスリリースに本誌を招待することで回答した。

 USSインディアナポリスが対ドローンアップグレードを得た最初のフリーダム級LCSとなった。 インディアナポリスは2024年3月から11月にかけて配備され、その間大西洋やヨーロッパ周辺でも活動した。インディアナポリスはフリーダム級インディペンデンス級あわせLCSとして戦闘行為綬章を初めて受章した。


USSインディアナポリスのストック写真。 米海軍


米海軍のリリースによると、「2024年秋、[海軍の沿海域戦闘艦ミッションモジュール]プログラムオフィスは、展開中の艦の防御を強化するべく、地対地ミサイルモジュール(SSMM)のソフトウェアとハードウェア双方をアップグレードしました。C-UAS(対航空機システム)能力のこの迅速な展開は、地上、陸上、空中の課題を含む様々な脅威に対処するSSMMの柔軟性を強調しています」。同じくリリースによると、「C-UASのこの迅速な展開は、地上、陸上、空中の課題を含む様々な脅威に対処するSSMMの柔軟性を強調している」。

 SSMMの主要要素は、最大24個のAGM-114Lを搭載できるランチャーである。他のヘルファイアと異なり、ロングボウ・ヘルファイアはレーザー誘導ではなくミリ波レーダーを搭載する。 LCSのレーダーがミサイルを誘導し、ミサイルのシーカーが自律的にロックオンして指定された目標を破壊する。SSMMは2019年にフリーダム級LCSで初期運用能力を達成した。同年、海軍はインディペンデンス級LCSで同モジュールの試験を開始した。

 「米第5艦隊の責任領域(AoR)における最近の出来事は、新たな脅威を寄せ付けない最新のC-UASシステムを艦艇に装備する重要性を強調しています」と、LCSミッション・モジュール・プログラム・オフィスの責任者であるマシュー・レーマン海軍少佐は声明で述べた。「実績ある技術を活用することで、我々は艦隊の重要ニーズに応えることができた。この成果は、沿海域戦闘艦ミッション・モジュール・プログラムの創意工夫と機知を示すものです」。

 「このC-UAS能力の迅速な統合は、私たちの戦力投射能力を向上させ、戦闘環境での機動性の自由を維持します」と海軍海上システム本部(Naval Sea Systems Command:NAVSEA)のケビン・スミス海軍少将(Program Executive Officer for Unmanned and Small Combatants)も声明で述べている。「SSMMのような先進的で柔軟なシステムをLCSに装備することで、差し迫った脅威に対処するだけでなく、作戦の敏捷性、抑止力、沿岸地域における持続的な優位性のための海軍の全体的な戦略を強化している」。

 SSMMの主な目的は当初、フリーダム級やインディペンデンス級LCSに、友人・無人を問わず小型ボートの群れに対抗する能力を追加することだった。イエメンでは、イランに支援されたフーシ派武装勢力が、爆発物を積んだ無搭乗の神風ボートを使用する先駆者となった。しかし、ウクライナが黒海とその周辺で神風型含む無搭乗の水上艦艇を大幅に使用していることが、神風型がもたらす危険性を主流意識に完全に押し上げる原因となっている。2022年、海軍はSSMMが陸上目標にロングボウ・ヘルファイアとして使用できることを示した。

 SSMMを活用し、LCSに対ドローン能力を追加する迅速な道筋をつけだことは理にかなっている。艦船自身にとって、乗員なしの空中からの脅威に対する自己防衛の追加レイヤーを提供するだけでなく、近くにいる他の友好的な艦船に短距離ながら防御を提供できるかもしれない。  AGM-114Lが空中からではなく地上から発射された場合の射程は不明である。ロングボウ・ヘルファイアの空中発射モードでの最大射程は、5マイルから5.5マイル(8,000メートルから9,000メートル)と言われている。

 AGM-114、特にレーダー誘導型ロングボウを空中の脅威に対して使用するというアイデアは新しいものではない。 イスラエルのAH-64攻撃ヘリコプターは、ヘルファイアでドローンを撃墜しており、米陸軍もアパッチで同じ訓練が増えてきた。他の米軍ヘリも空対空でヘルファイアを使用できるかもしれない。陸軍は過去に地対空迎撃ミサイルとしてAGM-114Lの採用も検討している。■


Littoral Combat Ship Can Now Rapidly Shoot Down Aerial Drones With Hellfire Missiles

Houthi attacks in the Red Sea prompted the Navy to rush the counter-drone Hellfire capability to the Freedom class LCS.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/sea/littoral-combat-ship-can-now-rapidly-shoot-down-aerial-drones-with-hellfire-missiles


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...