2017年10月3日火曜日

★★SR-72はすでに完成しているのか、それとも...



なぜ人はブラックの世界に惹かれるのでしょうか。長年愛好家が語ってきたオーロラがSR-72なのか、それとももっと奥深いブラックの世界があるのか。興味は尽きません。また世間に公表する際に必ず「消毒」したストーリ―が紹介されますのでそれをうのみにせず、裏の世界を知りたいと思うのは筆者だけではないようです。

Rumors of Secret Warplanes Preceded SR-72 Reveal

SR-72の前に謎の機体の噂あり

Has the SR-72—or something like it—been flying all along?

SR-72あるいは別の機体は実はすでに飛行しているのか

Rumors of Secret Warplanes Preceded SR-72 Reveal
September 29, 2017 Kyle Mizokami


  1. ロッキード・マーティンは2013年にSR-72偵察攻撃無人機の提案を発表した時点で、SR-71後継機がついに現実のものになる思われた。そして2017年7月にSR-72が初めて機影を目撃されたようだ。
  2. 1990年代初頭から謎のソニックブームが記事になっており、正体不明の航空機の目撃が伝えられ、ロッキード・マーティンの社内でも謎の機体が描かれている。
  3. SR-71は1998年に退役し、後継機があるといわれてきたがその存在は確認されてこなかった。航空機愛好家はこの謎の機体をオーロラと呼び、航空業界のビッグフットとでも呼ぶべき存在になった。
  4. オーロラの物語は1990年に初出したのはAviation Week & Space Technologyが「オーロラ」が1986年度国防予算に計上され、「ブラック機材生産」の一つと報じてからだ。オーロラ予算は1986年に23億ドルに達し、SR-71後継機の登場が迫っているとの観測が高まった。
  5. だがそこで止まり、以後謎の機体の追跡が続く。だが果たしてその対象がオーロラなのか、それとも全く別の機体なのだろうか。
  6. 1988年にThe New York TimesがSR-71後継機開発を報じ、マッハ5飛行可能とした。記事の二年後にSR-71は用途廃止となり1990年代末に一時的に復帰している。
  7. 1990年代初頭に謎のソニックブームがカリフォーニア沿岸地方で相次ぎ、事情説明できない事態になった。今日でも南部カリフォーニアではソニックブームがたびたび報告されている。たとえば2009年4月には地元新聞紙が調査したものの説明がつかなかった。
  8. 多くは自然現象で隕石が大気圏突入する際に発生する。だが一部は明らかに軍が発生源だ。そこでオーロラ観測者たちは説明を組み立てた。ブームはオーロラが太平洋上空の飛行からカリフォーニア南部の基地に帰還する際のものだというのだ。
  9. ソニックブームの発生源がなんであれ、カリフォーニア各地の地震探知網が毎回拾ってしまう。2001年にはカリフォーニア工大の航空学研究室の論文がブームを解析し正体不明だが沖合発生を突き止めた。
  10. 規則性ある形で発生していることから疑問が二つ出ている。ソニックブームが自然現象ならなぜ突然発生するのか。さらに米軍機が発生源なら軍からの説明がないのはなぜなのか。
  11. 謎の機体目撃をオーロラに結びつける動きもある。1989年にクリス・ギブソンから謎の機体を北海沖合の海上石油掘削施設から目撃したと報告が入った。ギブソンによれば同機は二等辺三角形の形状でKC-135給油機が随行していた。
  12. 1992年には航空愛好家スティーブン・ダグラスが「ロープ上の連続ドーナッツ」飛行機雲の撮影に成功した。この異例な飛行機雲はパルスエンジンの排気だ。これもオーロラの存在を信じる向きにはパルス爆発ウェイブエンジン技術がオーロラに採用され極超音速を実現したと解釈された。
  13. 1992年に Aviation Weekが軍の動向を観察する愛好家がエドワーズ空軍基地と正体不明の高高度航空機「ガスパイプ」と呼ばれる機体との交信を傍受したと伝えている。エドワーズの航空管制官が「ガスパイプ」に高度67千フィートと確認したと伝えおり、通常の機材よりはるか上の空域で空軍はU-2、SR-71のいずれも該当時間には航空管制の対象ではなかったと確認している。
  14. ここから話は荒唐無稽になる。
  15. 1990年代末にJane’s Defence Weeklyの記者ニック・クックがロッキードの有名なスカンクワークスを訪問しジャック・ゴードンとのインタビューの他構内を視察した。その際に遭遇した奇妙な出来事がずっと頭を離れなかった。
  16. 「(スカンクワークス)本館を離れる前にロビー壁面の前で足がとまった。前は気づかなかったが、スカンクワークスが手掛けてきた機体の系譜が描かれていた。XP-80からはじまり、U-2、SR-71ブラックバード、F-117Aステルス戦闘機の姿もあった。戦闘機ではYF-22やダークスターがあったが、もうひとつ『アストラ』と呼ぶ機体が描いてあった。「進化の木のてっぺんでアストラは超高速偵察機のように見えた」とクックは述べている。「専門家がみな思い描くオーロラの姿がそこにあった」
  17. クックはロッキード広報に「アストラ」の正体を問いただしたが、数週間後に30年前の「高速旅客機コンセプト」だと告げられる。
  18. 30年前のコンセプト機がスカンクワークスのあゆみの樹上に位置するとは....変だ。
  19. オーロラがここまで多くの人を魅了しているのは、目撃報告を噂と記事でつなぐと実機開発の時系列と一致する姿があらわれるためだ。また高速飛行可能な機体はみんなが好きだ。
  20. ロッキード・マーティンがマッハ6飛行可能とするSR-72は「ブラック」機の秘密開発の世界で本当に存在する機材のひとつなのか。また公表できる機材として「ホワイト」になる過程にあるのだろうか。そうだとしてもなぜこのタイミングなのか。
  21. 結局この質問になる。戦略偵察飛行の重要性は米軍にとって当たり前だが、なぜSR-71後継機が長年存在していないのか。スカンクワークスが今になって発表した機体が(20年前の)オーロラのコンセプト図と酷似しているのはなぜなのか。なぜスカンクワークスの壁画でそのような機体が実用機と並んで描かれているのか。
  22. 結局、オーロラなどという機体は存在しなかったのかもしれない。あるいはロッキードの2013年の発表、さらに2017年7月の目撃がオーロラなのかもしれない。20年の時間経過があっただけなのかもしれない。■

もし戦わば(18)F-22対J-20のステルス機対決!


もし戦わば(18)はF-22とJ-20の対決です。全く思想の違う両機ですが、両国の考え方の違いが出ていますね。直接両機が対決するというよりも米中空軍力の対決の一断面としてそれぞれの機体の活躍ぶりを想像するのがいいかもしれません。どちらかといえばJ-20の方が攻撃的で未来のコンセプトに近くなっている気がします。対決の場面がこれからも発生しないよう祈るばかりですが。



Stealth Showdown: America's F-22 Raptor vs China's J-20 (Who Wins?)

ステルス機対決 米F-22ラプター対中国J-20、勝つのはどちらか
The National InterestOctober 1, 2017


  1. 中華人民共和国はこのままだと米国と今後50年間にわたり互角の戦力を有する唯一の国家になりそうだ。直接対戦が発生する可能性は低いが、米国はたえず備えておく必要があるのは言うまでもない。
  2. 現代の通常戦では航空優勢確保がカギとなる。米国ではステルスのロッキード・マーティンF-22ラプターが最強機材として当面空を支配する役割を期待されているが、ゆくゆくは米空軍の進めるF-Xに交代するはずだ。
  3. 中国でラプターに最も近い存在が成都J-20だが、米国の最強戦闘機にどこまで対抗できるのだろうか。
  4. この中国機について分かっていることは少ない。伝統的な戦闘機の域を脱した特殊任務機かもしれない。米側が兵力投射機能を西太平洋で展開するのを妨害し中国全土で接近阻止領域拒否(A2/AD)を実現するための機材かもしれない。支援機材の給油機、AWACS、JSTARSへの攻撃に特化している可能性もあり、長距離巡航ミサイルを搭載し各地の米軍基地や空母を狙う構想なのかもしれない。
  5. J-20で判明している事実から同機はステルス機といわれるがラプターや同じロッキードのF-35共用打撃戦闘機から大幅に設計を参考にしているのがわかる。偶然ではない。中国がF-35の機密情報を大量に盗んだ可能性が高いことは知られている。
  6. J-20の基本が攻撃任務にありながら空対空能力も相当程度あることがわかる。F-35同様にJ-20試作型は電子光学式目標捕捉装備を機首下に搭載している。このセンサーはBeijing A-Star Science and Technology製のEOTS-89電子光学目標捕捉システム(EOTS)で、航空優勢を主任務とする機体にはこの種のセンサーは本来不要だ。
  7. またJ-20はアクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載しているようだ。1475型レーダーと思われ、China Test Flight EstablishmentがツボレフTu-204に搭載してテストしていた。ただし、この情報の真偽を確認できないのは人民解放軍空軍(PLAAF)が情報開示する様子がないためだ。中国がSu-35に関心を示しているのはフランカー搭載のレーダーやエンジン技術の習得が狙いなのだろう。筆者は中国がAESAを自国でどこまで実用化しているのか疑わしいとみている。
  8. J-20が攻撃任務に特化していることの一番説得力のある証拠は機体は巨大だが主翼が比較的小さいことだ。兵装庫も相当の大きさがあるようだ。この設定は超音速攻撃機の想定であり、航空優勢戦闘機としては向いていないのは明らかだ。
  9. ただし中国はこれだけの大きさの戦闘機に十分な出力を確保するエンジン技術を実用化していない。国産WS-10エンジンの完成にてこずっており、次世代WS-15の開発もおぼつかない。また十分な信頼性がある国産エンジンの実用化にも至っておらず、ロシア技術を盗んだエンジンでも同様だ。だが攻撃機にとてつもない推力重量比は不要で、同機が現在搭載するロシア製サトゥルンAL-31F双発で中国の目的には十分なのかもしれない。
  10. だがF-22やF-35はともに短距離戦術戦闘機で西太平洋での作戦実施には不適だ。距離が長いわりに基地の数が足りないからだ。この地理的制約は中国にもあてはまり、中国は米軍他との直接対決の代わりに米側の継戦能力を奪おうとしてくるはずだ。そうなるとJ-20は中国にとって航空優勢の実現手段となり、F-22に対しても優勢となるかもしれない。
  11. もちろんすべては推測に過ぎない。PLAAFだけがJ-20がふさわしい戦闘状況を把握しているはずで手ごわい敵になりそうだ。■
Dave Majumdar is Defense Editor for The National Interest. You can follow him You on Twitter: @DaveMajumdar.

韓国空軍の北朝鮮攻撃構想


ここまで作戦内容が漏れているということは別の構想があるのでしょう。ただし開戦直後で韓国民間人の犠牲発生は防ぎようがないとの評価は冷酷ですが現実なのでしょうね。開戦の事態はないと韓国の皆さんが考えているはずはないので、むしろ「考えたくない」と拒絶しているのでしょう。一方で独自のISR能力がない韓国は米軍の情報に基づいて行動する「下請け」の役目に甘んじるのでしょうか。同じことは航空自衛他についてもいえるわけで、このブログが伝えたいことのひとつ、ISR能力と解析能力の強化が必要ですね。


How South Korea Would Strike North Korea in a War

韓国空軍はこうして北朝鮮を攻撃する

F-15K Slam Eagle(Photo: Flickr, 247Sports)





  1. 2017年9月13日、韓国空軍(ROKAF)がトーラス Taurus 巡航ミサイルを試射したのは北朝鮮弾道ミサイルテストに呼応した動きだった。F-15Kが同ミサイルを発射しており、目標地点の地下に突入して爆発した。
  2. 長年にわたり韓国軍は国内都市特に首都ソウルが北朝鮮の砲兵隊攻撃、化学兵器、弾道ミサイル攻撃にさらされる前提の対戦に備えてきた。今や核兵器による大量殺戮も加わった。もちろんいかなる代償を支払ってもその可能性は回避すべきだが、開戦となった場合は韓米両軍が北朝鮮の強固なミサイル陣地、砲兵隊を迅速に排除することが死活的な意味を持つ。
  3. その任務にあたるのが60機あるF-15Kスラムイーグルで、F-15Eストライクイーグルを元に開発し、センサー能力と電子戦能力を強化した機体でバンカーバスター能力のある巡航ミサイルを発射し北朝鮮のミサイルサイロを叩く構想が現実になっている。
  4. また同兵器は強化防空壕に潜む北朝鮮指導部の斬首作戦にも投入でき韓国軍はこの作戦実施の効果に期待をしている。
  5. ストライクイーグルはF-15イーグルを戦闘爆撃機に転用し、兵装パイロン、燃料タンク増加、センサーを追加し推力重量比と操縦性が若干犠牲になっている。複座機としてマッハ2.5加速は可能だが23千ポンドという破格の兵装搭載量は第二次大戦中の戦略爆撃機の三倍近くに匹敵する。欠点として大型双発F-15は運航費用が高いが、ターボファンの追加で事故率は低くなった。
  6. 韓国は三段階のF-X事業の第一フェイズとしてジェット戦闘機部隊の近代化をめざした。ユーロファイター・タイフーンやラファールさらにSu-35をさしおき、F-15を選択しF-15K40機のを2002年に42億ドルで発注した。機体部品のほぼ4割が韓国国内生産で胴体、主翼、エイビオニクスがボーイングのセントルイス工場(ミズーリ州)に持ち込まれ完成された。
  7. スラムイーグルはF-15Eの供用開始から10年以上後のため、当時の最新性技術が初めから導入された。載標的指示装置でパイロットは頭をその方向に向けるだけで短距離用AIM-9Xの照準をあわせられる。
  8. スラムイーグルはF110ターボファンエンジンを搭載し推力はF100より1割以上増加している。エンジンノズルの違いで識別できる。
  9. 2008年に韓国はF-15K第二次発注をF-XフェイズIIとしてF-5Bフリーダムファイター戦闘機の後継として確定した。(発注には2006年に高G飛行で乗員が気絶し機体喪失に至った一機の補充分も含む)各機はスナイパーXR照準ポッドを装備しエンジンはF100PW-229にされKF-16戦闘機とエンジン互換性を確保した。
  10. F-15KはAAS-42赤外線探知追尾装備を搭載し、短距離なら敵機に気付かれずにレーダーを使わずに追尾可能だ。F-15KではAPG-63 (V)1レーダーの海上捜索標的識別モードを生かし艦船攻撃任務にも使えるとされたが、米空軍はその後F-15EにAPG-82アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで解像度とステルス性で大きく進展している。APG-63のアンテナはAESA方式にアップグレード可能だが、ROKAFがこの改修をいつ実施するか不明だ。北朝鮮空軍が旧式装備をそろえ、わずか35機のMiG-29が1990年代調達ながらいまだに最新鋭機としてまかりとおっているためもあるのだろう。
  11. 他方で北朝鮮には近代装備は少数とはいえ相当量の地対空ミサイルもあり、この脅威に対抗すべくF-15Kには軽量ながら強力な戦術電子戦装備が搭載され、ALQ-135M対抗装置は高速処理プロセッサーでSAM複数を同時に妨害でき、ALE-47チャフとフレアディスペンサーでミサイルを混乱させる能力がある。
  12. F-15Kは大邱基地に第11戦闘機隊として配備され、非武装地帯から170マイル南の後方配備となっているのは長距離ジェット戦闘機は最前線戦術機として迅速展開させず、攻撃や戦略任務に就かせるためだろう。このためF-15Kは3千ポンドの強力な威力を誇るトーラスミサイルを運用する唯一の機種になっている。
  13. 韓国は同ミサイル170発をドイツ-スウェーデン共同事業体へ発注し納入は2017年に完了した。全長5メートルのジェット推進式ミサイルはKEPD-350Kの名称がつき、音速ぎりぎりの速度で飛翔し、300マイル先の標的を攻撃可能だ。これだけあれば北朝鮮国内のいかなる地点も韓国国内から攻撃できる。
  14. トーラスは探知を逃れるため地上130フィートを低空飛行し、さらにレーダー探知を逃れるステルス性能と妨害対抗手段を備える。航法に四系統を使い(GPS、慣性、赤外線、地形参照)一つが故障してもコースを維持できる。標的近くまで到達すると三次元イメージのスキャン機能もプログラム可能となり目標捕捉に失敗すると付随被害を発生せずに任務を中止することも可能だ。
  15. 目標に近づくとトーラスは高度を上げてから急角度で目標への突入を二段式メフィスト弾頭で狙う。まず先行爆発で標的の強化外壁を破壊し内部に突入した爆弾本体を遅発性信管で爆発させる。6メートルまでの厚さのコンクリート壁を突破でき、ミサイルや火砲の強化施設を破壊し、韓国国内への攻撃を事前に防ぐことが期待される。
  16. 2016年12月に韓国はKEPD-350の追加90発分を発注した。これは平壌のミサイルテスト加速に呼応したものであった。さらに韓国はトーラスミサイルの軽量版にも関心を示しており、射程は250マイルになるが国産FA-50ゴールデンイーグル攻撃機へ搭載を狙う。もちろん北朝鮮との交戦となれば韓国は米空軍や海軍の追加投入を受けいれ爆撃機も到着するはずだ。さらに水上艦船やオハイオ級改造のミサイル潜水艦からのトマホークミサイルにも期待できる。
  17. ただしこれだけの火力が実現しても北朝鮮が開戦数日間で韓国民間人数千名の死傷者を生むことは防止できず効果を緩和させるのが精いっぱいだ。一部の北朝鮮火砲やミサイルは強固に防御された固定陣地にあるが、残りは移動式で反撃を避けようとするはずだ。米国が前回弾道ミサイル発射機を狩る作戦を展開したのは1991年のスカッドミサイルの事例で結果は惨憺たるもので、戦後の情報分析でスカッド発射機は一つも空爆では破壊できなかったと判明している。その後は戦術技術両面で進展しているが、この種の作戦が困難であることに根本的な変化は生じていない。
  18. スラムイーグルと米軍機はそのため北朝鮮の攻勢を緩和する効果しか期待できず、開戦直後に脅威を全部排除することは不可能だ。先制攻撃や迅速な反撃構想にだまされるべきでなく、せいぜい人的被害を抑える効果しか期待できないと知るべきだ。だからといってF-15Kの任務が限定されることにはならない。最悪の状況では韓国国民数万名とおそらく米本土の人命の行方は北朝鮮部隊をどれだけ早く除去できるかにかかっているからだ。
  19. さらに韓国はF-35ライトニング・ステルス戦闘機40機をF-X第三フェーズとして導入する意向で、長年活躍したF-4ファントムを退役させる。ソウルは同時に国産巡航ミサイル200発が実現すれば国産KF-Xジェット戦闘機に搭載したいとする。それまではスラムイーグルが韓国の第一線戦闘機として防衛最前線で極めて重要な存在となる。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

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2017年10月2日月曜日

★ペリー級フリゲート艦の再復帰を狙う米海軍だが...



50隻以上を連続建造し、海外でもライセンス建造されたペリー級は旧式とはいえコストパフォーマンスの高いフリゲート艦だったのですね。つじつま合わせのような今回の再就役構想ですが、次期フリゲート艦への影響も与えそうです。限定された就役となりそうですが、その行方には十分注目する価値があると思います。設計がすぐれていたのでしょうね。日本の場合は計画的に護衛艦など用途廃止していますが、いかんせん同時大量建造しておらず、完全に解体していますし、かりに用途廃止艦を再復帰しようにも運用科員が不足しますので実施は無理でしょうね

 


The U.S. Navy Wants to Bring Back Some Old Frigates (That Can't Fight) 米海軍が旧式フリゲート艦の現役再復帰を企画中(ただし戦闘能力はなし)

September 25, 2017


  1. 米海軍が退役済みオリバー・ハザード・ペリー級誘導ミサイルフリゲート艦の最大7隻程度の再就役を真剣に検討している。米海軍の水上艦隻数を確保するねらいがある。
  2. だが海軍は各艦を近代化改修せず、兵装追加もおこなわないと海軍長官リチャード・V・スペンサーRichard V. Spencerが言明している。
  3. 中東や混雑し危険な西太平洋に派遣せず、排水量4,100トンのペリー級はカリブ海で「限定的麻薬輸送阻止任務」に就かせるとスペンサー長官は述べている。
  4. 麻薬密輸阻止任務に投入されれば現行の駆逐艦や沿海域戦闘艦(LCS)がもっと高度のミッションに使えるようになるが、議会は軽装備艦を艦隊に復帰させる案に懐疑的だ。
  5. ペリー級は1977年から1989年にかけ調達され、冷戦期で対空ミサイル、ハープーン対艦ミサイルと対潜ヘリコプター二機を搭載し使い勝手が良い艦として活躍した。
  6. また頑健な艦でもある。上部艦橋はアルミ製だが、1987年にUSSスタークはイラクのエクゾセミサイル二発の攻撃に耐えた。USSサミュエル・B・ロバーツは1988年にイラン機雷に接触したがこれも生き延びている。2016年の実弾園主杖退役艦サッチはハープーン4発命中に耐えヘルファイヤ、マーベリック各ミサイル数発も命中し、魚雷一発と爆弾2発が命中しても沈没まで12時間を要した。
  7. だが海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦を優先し、フリゲート艦は退役させるに任せた。2000年からペリー級のミサイル発射装置撤去が始まり、各艦は防御用に砲しかつかえなくなった。
  8. 晩年にはラテンアメリカで麻薬阻止パトロールに投入されたほか、二隻にファイヤスカウト無人ヘリコプターが搭載されアフリカ沿海で特殊部隊支援にもあたった。最後の現役艦USSシンプソンの用途廃止は2015年9月だった。
  9. 海軍が一部ペリー級の現役復帰案を検討し始めたのはドナルド・トランプ大統領の就任式典があった2017年1月ごろだ。トランプはオバマ政権のレイ・メイバスRay Mabus海軍長官がすすめようとした第一線艦船280隻を最大355隻程度まで拡大する構想を支持していた。
  10. バーク級駆逐艦の追加調達、攻撃潜水艦や多用途海上輸送艦の建造が検討された。一時は2009年に退役した空母キティ―ホークの再復帰も検討されたが冷笑を買っただけだった。ペリー級の現役復帰に抵抗は少なかった。国防総省は一部ペリー級を海外に支給していたが7隻が国内に残っている。
  11. スペンサー長官からはフリゲート艦復帰費用は高額ではないとの発言がある。台湾がペリー級二隻を再就役させたが、費用は各艦35千ドルにすぎなかったという。
  12. だが費用には近代化改修は入っていない。「戦闘システムには手を付けず航行可能、レーダー稼働可能の状態とする」とスペンサー長官は発言。「これなら安価に性能証明済みの艦がすぐ使える」
  13. ペリー級を運用中の外国海軍は近代装備を追加しており、好例がオーストラリアだが、米海軍は再就役で重装備を導入する予定はない。「トマホークをいまさら装備しても意味がない」とスペンサー長官は述べている。
  14. 旧型ペリー級を再就役することの悪い点は使い勝手で制約がつくことだ。麻薬密輸の阻止には最適だが、フリゲートには自艦防御能力がない。そのため重武装の敵艦を攻撃できない。
  15. 同じ問題は沿海域戦闘艦にもあてはまる。ペリー級の後継艦として海軍が導入中の艦種である。当初は対空対艦ミサイル装備なしで導入されたLCSは危険地帯での第一線投入には不向きとされた。
  16.  2016年初頭にジョン・マケイン上院議員(上院軍事委員会委員長)はLCSでは敵艦を沈める能力が不足しており、「敵が軽装備の小舟艇で極端に近距離にない限り無理」と述べている。
  17. 議会の圧力に負けて海軍は2015年にLCSを計画52隻から40隻に削減し新型誘導ミサイルフリゲート艦を十分なミサイル武装付きで導入すると発表せざるを得なくなった。米国ならびに海外造船所が新型フリゲート艦20隻の建造を2020年に開始したいと競い合う。
  18. その一方でペリー級は艦隊規模拡大の一助として控えめかつ限定的な任務に投入される。だが海軍が同級に大規模改修を認めない限り、旧式フリゲート艦を再就役させても米海軍の規模拡大では短期間かつ部分的な効果しか期待できない。いかなる場所でも戦闘能力のある艦が必要なのだ。■
This first appeared in WarIsBoring here.

Tu-95発射の新型巡航ミサイルでシリア国内ISIS拠点を攻撃したロシア


弔い合戦のつもりなのでしょうか、その中でも米国へ責を求めるところに外国人嫌いのロシア人気質がうかがえますね。10メートル以内の精度というのはGPSを使っている証拠でしょう。かつてのスペイン内戦と同様にロシアは各種兵器を投入して実用的な用兵案を蓄積しようとしているようですね。

Russian Tu-95 “Bear” Bombers Hit Daesh Terrorist Camps With KH-101 Cruise Missiles In Long Range Strike

ロシアのTu-95ベア爆撃機がISIS拠点をKH-101巡航ミサイルで長距離攻撃

Cruise Missile Attack from Russia Avenges Lieutenant General Valery Asapov Death.

巡航ミサイル攻撃はロシアのバレリ・アサポフ中将Lieutenant General Valery Asapovの死亡への報復だ。
 By Tom DemerlySep 27 2017 -


  1. ロシアのツボレフTu-95ベア爆撃機編隊が巡航ミサイルでISISタクフィリ戦闘員が支配する拠点をシリアのデルアルズールDeir al-ZourおよびイドリブIdlib の二地点を対象に2017年9月26日に攻撃した。
  2. 今回の攻撃はロシア軍司令官ヴァレリー・アサポフ中将の死亡に対する報復攻撃の性格が強い。同中将は第五赤旗陸軍の指揮官だったといわれる。シリアへ展開し上級軍事顧問として活躍していたが、ISISの迫撃砲攻撃で先週末にダイルアルザワルDayr al-Zawrで戦死している。死亡地点はダマスカスより450キロ北東の地点で、ロシアのブログでは米国の介入に責任の一部を求めており、情報が漏えいしたことが中将の死につながったと非難している。
  3. 長距離巡航ミサイル攻撃を実施したのはロシア空軍のTu-95MS「ベアH」または「MSM」型で第184重爆撃機連隊所属の可能性が高い。同隊の愛称は「セパストポル」連隊で、1941年から42にかけて展開された同地奪回の戦いに由来している。投入された機体はツボレフのターボプロップ爆撃機(初飛行1952年)の中でも最新鋭の機材だ。Tu-95MSMはシリア戦域に2016年11月に初めて投入された。
  4. Tu-95は米B-52ストラトフォートレス八発ターボジェット戦略爆撃機にほぼ匹敵する機体で両機種の初飛行年は同じであ。Tu-95はターボプロップ4発で二重反転プロペラ―を回す点が独特だ。ロシアはツボレフの代名詞と言える二重反転プロペラ―の採用で長距離航続距離を実現しながら比較的高速度を実現している。ツボレフ/クズネツォフのターボプロップ採用でTu-95は無給油で9,400マイルの飛行が可能で、B-52は8,800マイルとベアより7%短い。飛行速度でもB-52、B-2スピリットステルス爆撃機とベアはほぼ同等であり、B-52の最高速度は644MPH、B-2が628MPHでありTu-95は575MPHとターボプロップでジェットエンジン搭載の米爆撃機とほぼ互角だ。最高速度の差はB-2にくらべわずか8%低いに過ぎない。
  5. Tu-95MS爆撃機は今回新型のKH-101巡航ミサイルを発射している。KH-101は開発が最近完了した長距離巡航ミサイルで米トマホークにほぼ匹敵する存在だ。Tu-95はこのKH-101を八発搭載可能でシリア空爆で公表された画像では4発のみ搭載されていることがわかる。

新型KH-101長距離ステルスミサイルが今回の攻撃に投入された (Photo: Russian Air Force) 
  1. KH-101巡航ミサイルの有効攻撃射程は2,790-3,000マイル(4,500キロ以上)で各種弾頭を目標の種類に応じて変更できる。低視認性(ステルス)だといわれ、飛翔中に調整可能で指定した目標を狙う能力がある。精度は「10メートル以内」といわれロシア報道ではミサイルが大型建物やシリア砂漠の野営地を攻撃する様子が紹介されている。
  2. ロシアがベアでKH101による攻撃をデルアルズールおよびイドリブを攻撃した際の直掩にはSu-27戦闘機が飛び、イラン、イラク両国上空を通過してミサイル発射地点に向かっている。
Top image credit: Russia Air Force

https://theaviationist.com/2017/09/27/russian-tu-95-bear-bombers-hit-daesh-terrorist-camps-with-kh-101-cruise-missile-in-long-range-strike/#U2K5zVSjIsvglLkB.99 で詳細を読む

★ドイツがF-15(F/A-18)導入の構えを示し、思わず経済効果を期待するセントルイス地元紙報道をご覧ください。



さすが地元紙ですね。ちゃっかりボーイング受注で予測される経済効果にそろばんをはじいています。そういえばこれまでドイツがF-35に食指を動かさなかった理由があるのでしょう。ユーロファイター・タイフーンが運用に面倒な機材になっている分だけしっかり稼働するF-15などが魅力的に見えるのでしょうか。F-15やF/A-18E/Fにもまだまだチャンスがあるということですね。それにしてもヨーロッパは結構面倒な市場ですね。

Germany asks for Boeing fighter data as weighs order options

発注検討中のドイツがボーイングに戦闘機データ開示を請求
By Andrea Shalal Reuters
Sep 29, 2017
Boeing-made F-15 fighter
ボーイングF-15はセントルイス製だ。ボーイングの防衛部門に陽光の兆しが見えてきたのか。(Boeing Corp. photo)






  1. BERLIN •ドイツ政府が米軍にボーイング製戦闘機二機種の機密情報開示を請求した。ドイツはトーネード後継機を検討中で成約となればカナダ、英国との紛糾で動きが取れない同社に大きな商機となる。
  2. ドイツ国防省の企画計画部の書簡はロイターによればボーイングのF-15とF/A-18E/Fをトーネード後継機として想定している。ともにセントルイスが生産拠点だ。
  3. 機密情報の開示は11月にも行われる見込みで、同様に7月には米側がF-35戦闘機の情報開示を行っている。
  4. 同省によれば同様にヨーロッパの大手エアバスにもユーロファイター・タイフーンの情報開示を求めている。
  5. この案件はボーイングにとってはカナダ、英国と揉めている同社にとっては大きな追い風になる。同社の訴えで米国政府はボンバルディア製Cシリーズに220パーセント関税をかけるようになった。
  6. ボーイングは米国政府と連携しドイツが請求中の情報開示に向け作業を開始している。
  7. ドイツは2018年中にトーネード後継機の決定をする予定で、7月にフランスと共同で戦闘機を生産する構想を発表している。だがこの新型機が稼働開始するのは2025年以降と見られ、それまでトーネード戦闘機は用途廃止を迎えてしまう。
  8. 内部に詳しい筋によればドイツは二段構えで既存機種をトーネード後継機として導入する一方でフランスと共同で新型ヨーロッパ製戦闘機をユーロファイター後継機として調達する方針だという。
  9. 専門家によればトーネード後継機発注の規模は数百億ドル規模になるが、ドイツはまだ導入機数と導入予定を決定していない。
  10. 書簡は正式な情報開示請求の形で価格とともに米国製戦闘機三機種の調達可能背について9月末時点の情報を求めている。
  11. 英国からボーイングに今週に将来の防衛契約で暗雲となる通告が届いている。これはカナダのボンバルディアとの貿易問題に端を発しており、米国による関税適用により英国の北アイルランドで4,200名分の雇用が危機に瀕していることを特記している。北アイルランドではCシリーズの炭素繊維主翼の生産が実施されている。
  12. カナダ首相ジャスティン・トルドー Justin Trudeau からも紛糾が解決しない限りボーイングF/A-18スーパーホーネット18機の調達は凍結すると発言があった。
  13. そこでドイツが米国製戦闘機導入に動けばエアバス労働組合からの強い反対は必至で、ドイツ国防省が米国製ヘリコプター二機種を大型ヘリコプター調達の選定対象としたことで同労組からは疑義が出ている。
  14. 英国、オランダ、ノルウェー、トルコ、イタリアといったドイツの主要同盟国でNATO加盟国はすでにF-35導入で現行機の交替を予定しており、ほかにもスイス、ベルギー、フィンランドからも第五世代機への関心が表明されているのはロシアとの緊張が今までになく高まっている中の傾向だ。
  15. 軍事筋によれば米製戦闘機を導入すればユーロファイターの技術問題に直面するドイツにとって理にかなった選択になるという。■

韓国が原子力潜水艦運用を開始する日が来るのか


著者の一人は現役韓国海軍潜水艦乗り組み士官です。果たして実現の可能性はあるのでしょうか。虫の良い主張にも聞こえる反面、展開されている効果も実現の可能性はあるように思えます。日本との微妙な関係に配慮した文脈になっていますが、独島と竹島を併記する一方原文では東海となっていますのでやはり韓国だなという感じは残りました。皆さんはどう思いますか。


Should South Korea Start Building Nuclear Submarines?

韓国は原子力潜水艦建造を開始すべきか

September 26, 2017

  1. 北朝鮮が潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)開発に取り組む中、韓国は米国支援を得て原子力推進式潜水艦(SSNs)の取得に近づいている。国連本部訪問時の協議で韓国大統領文在寅はドナルド・トランプ大統領と韓国が長年目指すSSN建造を議題にした可能性がある。
  2. 韓国国防筋はすでに国産SSN建造費と効果を試算しているが、米国でこの話題はほとんど議題になっていない。米国防政策筋が米韓同盟に韓国SSNsが実現した場合の結果を真剣に検討することこそ重要である。一方で米国支援で韓国がSSNを実現した場合の同盟関係への潜在リスクを検討してみる。
4Dの強化
  1. 韓国国産SSNの一つの効果は同盟軍による「4D」作戦構想の実現が強まることだ。この構想は北朝鮮核ミサイルの「探知、妨害、防衛、破壊」detect, disrupt, defend against, and destroyを行う内容でいわゆる「キルチェーン」の一部として北朝鮮内部深くを攻撃する能力で北朝鮮ミサイルの発射前にこれを排除する構想が4D構想の中心だ。北朝鮮がSLBM開発に進んでいるため、現在のキルチェーンの有効性に疑問が生まれている。同盟側も対潜戦(ASW)能力を向上しないと北朝鮮潜水艦が4D構想そのものを揺るがしかねない。
  2. そこで韓国製SSNsが決定的な役割を果たす。SSNは騒音も大で韓国が供用中の孫元一Son Won-I級およびl張保皐Chang Bogo級ディーゼル電気推進潜水艦(SSKs)より艦体も大きくなるが航続性能や推進力の増加、センサーの能力向上、水中速力の増加で有利だ。米海軍が指摘するようにSSNsは水中無人機(UUVs)の運用、充電が可能で偵察用途に投入できる。
  3. そうなるとSSNは4Dのうち「探知」と「破壊」で威力を発揮する。また海中配備センサーやP-3オライオン哨戒機を補完するほか、同盟国のASW機能にもそのステルス性を生かし北朝鮮沿岸に前方展開することで効果を発揮する。北朝鮮港湾部を監視し、ミサイル潜水艦を追尾する中でUUVsやセンサーの威力をいかんなく発揮できるはずだ。SSKsではバッテリー充電で居場所を露呈してしまうがその心配はない。また必要ならSSNsの高速と武装を生かして北朝鮮ミサイル潜水艦を事前に排除できるので「水中キルチェーン」の基盤にもなれる。
  4. だがそれなら米海軍がSSNsを定期的に黄海や日本海に配備すればすむのではないかという疑問が出るだろう。残念ながら米海軍は世界各地での展開とくに中国ロシアへの対応で潜水艦展開に余裕がない。さらに水中キルチェーン実施の任務を与えれば米潜水艦隊には一層の負担となる。そのため韓国が小規模のSSNs部隊を編成し4D任務を韓国近海で実施できれば米海軍機能の補強戦力になる。
支配力と抑止力
  1. 韓国版SSN部隊には北朝鮮相手の力による交渉力を強化する効果も期待できる。韓米同盟側が4D実施能力を高める中で韓国の北朝鮮核兵器に対しSSNsは「拒否による抑止」の手段となる。北朝鮮がSLBMを投入する可能性を減らすだけでなくSSNsにより北朝鮮はSLBMで有頂天になれなくなる。言い換えれば同盟側の4D機能が充実し効果を上げれば、北は報復を恐れるあまりSLBMでの強硬挑発策に躊躇するはずだ。
  2. 米国による技術移転ならびに韓国の大規模支出を実施するかで同盟側の決意が試される。米韓両国は追加負担を受け入れれば北朝鮮の挑戦に果敢と立ち向かい抑止効果の機能をさらに高められる。
同盟間の結合
  1. 米国支援のもと韓国がSSNs開発に走れば韓米同盟の結合にも好影響が出る。同盟間でたえず付きまとう恐怖が韓国の「放棄」である。この懸念は北が米本土直撃能力を整備するにつれて一層現実のものとなっており、もし北朝鮮が米本土を核攻撃する構えを示せば米国は韓国防衛に向かわないのではとの心配が韓国側に根強い。ただし米国が海軍用原子力利用の支援をおこなえば、米国が韓国防衛にただならぬ決意をしている証となり、韓国も同盟関係への信頼を高めるだろう。
  2. 同時に韓国に防衛上の責任を強化することとなれば韓米同盟関係も好転するはずだ。ワシントンがソウルに負担増加を求めているのは財政、人的資源両面で半島および域内の安全保障上の役割拡大を望んでいるためだ。トランプ大統領は韓国は自国防衛の能力がありそうすべきと繰り返し発言してきた。SSNs小部隊が整備されれば韓国はこの実現に大きく近づく。米海軍SSNsに依存せずに北朝鮮SLBM脅威への負担分担として韓国は自国軍の強化をはかるべきだ。
遠距離運用能力
  1. 韓国SSNsの二番目の戦略意義として韓米同盟の適用範囲を地域からグローバル両面へ拡大する効果が見込まれる。近年の同盟協力関係では安全保障協力範囲を拡大する傾向が大で「グローバルパートナーシップ」を強調しがちだ。しかるに韓国の軍事力投射能力は限定されたままである。韓国ではこれに対して迅速展開部隊の整備として独島級強襲揚陸艦を中心とした装備を企画しているが、展開部隊の護衛には鈍足で航続距離が短いSSKsを充てるしか選択の余地がない。韓国SSNsははるかに高機能の護衛となり、高速かつ遠距離に展開可能となる。
  2. 能力拡大により韓米同盟は域内およびグローバルな安全保障への貢献を朝鮮半島を超えて実現できるようになる。かつてマイク・マレン提督が呼んだ「1,000隻海軍」つまり志を共有する各国海軍の集合で海洋の安全安定を守る構想が有効だ。韓国の迅速展開部隊は核拡散防止構想、シーレーン防衛、海賊対策、人道救難活動の海外展開に有益だ。
水中軍拡の恐れ
  1. 韓国版SSNs整備で別のリスクも発生する。韓国の隣国である日本、中国が韓国の新規能力の整備に警戒する可能性がある。各国との関係が悪化したり韓国の意図を誤解しての軍拡競争につながりかねない。
  2. 特に中国が同盟国の4D機能整備でこれまでも悪い反応を示している。同盟国による高高度採取段階地域防衛(THAAD)の展開に敏感に反応して中国は韓国への自国民旅行を停止させ独自に長距離レーダーの稼働を内蒙古で開始した。
  3. 日本はそこまで過敏な反応はしめさないはずで、北朝鮮ミサイル脅威への懸念を共有していることに加え米韓含む三カ国体制でも利害を共有しているためであるが、もし韓国が独島(竹島)を舞台とした韓日対立にSSNsを展開する事態になれば日本の計算も変わるはずだ。
  4. 水中戦力整備は東南アジアですでにはじまっている。中国の潜水艦部隊の整備が1990年代以来進んだことで各国も独自の潜水艦部隊整備に乗り出している。シンガポール国防省の予測では2025年までに各国保有の潜水艦は合計200隻ないし250隻になる。韓国SSNsの整備が軍拡競争を一層激しくしないよう慎重に事業を進める必要があろう。
核拡散の潜在性
  1. 一方で韓国SSNsは一歩間違えば深刻な核拡散問題を引き起こしかねない。海軍用原子炉には濃縮ウラニウムが必要で使用済み核燃料は貯蔵あるいは再処理が必要となる。このため原子力推進技術でその国の核燃料サイクル技術理解が進み核利用の潜在力が高まる効果が生まれる。問題となるのは海軍用原子炉では高濃縮ウラニウム(HEU)が必要となり、ウラニウム235を90パーセント程度まで高めた燃料を使うが、これは武器にも転用できることだ。実際にイランはSSN開発を言い訳としてHEU製造を過去に行っている。
  2. もし韓国がSSNを利用して核兵器開発に向かっていると周囲国や世界から見られれば、域内の安全保障のみならず世界規模の非拡散方針に重大な影響を及ぼしてしまう。またこれまで北朝鮮に核兵器開発を放棄させようとしてきた努力を無駄にしてしまいかねず、他国も独自核兵器開発に向かいかねない。同盟各国はこの懸念が現実にならないよう十分な配慮して韓国版SSNs推進を理解する必要がある。
リスク緩和と効果の増大をめざせ
  1. トランプ-文間で米韓協力体制でSSN建造が合意できれば、リスクを慎重に避しつつ前に述べたような効果を最大限に実現する方法を模索すべきだろう。韓米同盟も韓国SSNsが実現した場合の効果を最大限に発揮できると強調すべきだ。米国には技術面で韓国を全面的に支援してもらう必要があり、その他人員面や作戦構想面でも韓国が効果的に各艦を運用できるよう支援を期待したい。
  2. 韓米同盟は外交面でも協調して信頼醸成と軍同士の接触を中国とさらに三カ国体制として日本とも確立して軍拡競争に陥らないようにすべきだ。同時に各国は堂々とSSN整備で北朝鮮SLBMを無力化でき、北朝鮮が半島の安全と安定を損なう行動に出るのは許さないとの決意を強調すべきだ。
  3. 韓米同盟は核拡散への懸念の打ち消しにも努力すべきだ。特に米国は韓国に米保有の濃縮ウラニウム購入を許しSSNs燃料とさせるべきで、韓国独自の濃縮化は許すべきでない。さらに米国は今後も韓国とともに使用済み核燃料貯蔵の課題解決に向けた努力をすべきだ。特にドライキャスク方式の核燃料保存技術が再利用に代わる手段として脚光を集めており、核拡散の懸念を生まない技術になっている。■


Jihoon Yu (LCDR) is a submarine officer in the ROK Navy. He earned his PhD in Political Science at the Maxwell School of Syracuse University and MA in National Security Affairs at the U.S. Naval Postgraduate School. He can be contacted at yjhnavy3@hanmail.net.
Erik French is a PhD Candidate in Political Science at the Maxwell School of Syracuse University, an adjunct instructor at American University’s School of International Service, and a young leader with Pacific Forum CSIS. He can be contacted at edfrench@syr.edu. Twitter: @Erik_D_French.
Image: The Ohio-class ballistic missile submarine USS Tennessee returns to Naval Submarine Base Kings Bay, Georgia in this February 6, 2013 handout photo. REUTERS/Mass Communication Specialist 1st Class James Kimber/U.S. Navy/Handout via Reuters

2017年10月1日日曜日

KC-46の開発最新状況:フライトテストで課題解決を目指す


あれやこれやと色々問題が発生し思ったように進展しないKC-46A開発ですが、ボーイングも黙っているわけにいかず積極的な解決策に向け努力しているということでしょうか。もちろん自社負担分は同機導入を決めている日本向け機材に盛り込んで一部回収を図るのでしょうから高い買い物を日本は覚悟せねばならないでしょう。しかし日本の発表では3機導入というのは寂しいですね。

Aerospace Daily & Defense Report

Upcoming KC-46 Tests To Focus On Key Deficiencies

10月のKC-46飛行テストは重要欠陥の解決を主眼に

Sep 23, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

ボーイングKC-46のフライトテストでは判明している給油機能関連欠陥三点のデータ収集が主眼か。
Boeing

  1. KC-46ペガサス給油機では10月のフライトテストで米空軍・ボーイングは欠陥三点の対処方針を決める。
  2. 固定価格開発は予定から遅れており、費用超過した分はボーイング負担となっている。空軍は給油業務で欠陥三点を指摘しており運用開始に先立ち解決を求めている。
  3. 喫緊の課題は二点で、給油相手機と接続解除するとブームが勝手に伸び燃料が流出すること、ならびに操作員が相手機の受け入れ口にブームが外れているか判断できず機体塗装に損傷を与えてしかねない点だ。
  4. この二点が認識されたのは今年早々だが、高周波(HF)通信機関連の問題が2016年末に見つかっている。
  5. HF通信では機体表皮をアンテナとして使うだがスパークやアーク電流の発生が見つかっている。空軍は通信が確実に作動し、かつ火災の恐れがあるため給油中は発信はできない構造にしたいと考えている。
  6. 各問題の解決は容易で安価に実現でき事業進展の支障につながらないはずだ。しかし米政府側は10月から11月のフライトテストでデータ収集が必要で最適解決策の決定はその後だとする。
  7. 空軍で給油機開発主査のドナ・シプトン准将Brig. Gen. Donna Shiptonおよびペガサス事業総括のジョン・ニューベリー大佐 Col. John Newberryからは各問題を注意深く監視しており、事業経費や日程への影響も間もなく把握できると発言した。
  8. 両名は9月22日に報道陣に対しボーイングが機体型式証明・引き渡しの前に各問題を解決する義務があると述べた。同社はすでに20億ドル超の追加負担が2014年以降に発生しているとの報道がある。原契約は2011年2月交付で仕様を実現するため必要な追加改修は全部同社負担となっている。
  9. 「システム検証を引き渡し前に行い、仕様を満たしているか確認します」とニューベリー大佐は述べた。「製造済み機体の後付け改修は全額同社負担となります」
  10. ただし問題点が当初のウェポンシステム仕様書で想定されていない場合は空軍予算で変更すべきか決定することになる。
  11. 政府支出増になりそうなのは「給油口以外での未探知コンタクト」 undetected contacts outside receptacle (UCOTR)の問題だ。この解決には高性能遠隔カメラの設置が必要となる。空軍報道官は9月20日にボーイングがカメラ費用を負担すると述べていたが、空軍は今は「フライトテスト完了後に仕様書準拠の決定を下す」としている。
  12. 空軍は過去の空中給油型式証明データを洗い出して給油口以外の箇所に接触した事例がよく発生しているのかを把握し、KC-46事例と比較しようとしている。空中給油テストが10月に再開されるとこの問題を精査することになりそうだ。
  13. この問題は特にステルス機の場合でリスクとなる。B-2、F-22、F-35の表皮が損傷すれば、敵レーダーに探知されてしまう。ペガサスはC-17、A-10、F-16、F/A-18へ給油したが、ステルス機への給油は未実施。
  14. シプトン、ニューベリー両名はボーイングが機体の型式証明取得に向け進展中と認めるが、政府想定の引き渡し開始は2018年春季で変更がない。
  15. ニューベリー大佐はKC-46開発は比較的「低リスク」事業とするが、いろいろ障害があり、遅延発生でボーイング負担が増えた。空軍の義務は49億ドル上限のままで、ボーイングが認めた固定価格契約の効果が生まれている。
  16. 大佐はボーイングは767-2C型を改装して軍用仕様KC-46としての型式証明取得を各問題を安易に考えすぎていたと述べている。
  17. 「複雑かつ広範囲の作業を低く見積もった結果で今同社は代償を支払っています。大局では進展がありますが、予定より遅いペースで進んでいます」
  18. ボーイングはまず34機を納入する契約に取り組んでおり、次の15機分の契約は来年1月に成立する見込みだ。最終的にKC-46は179機を空軍に納入する。■

気になる北朝鮮ミサイルの移動


North Korea reportedly seen moving its missiles from development center

北朝鮮がミサイル複数を開発拠点から搬送したとの報道
Reuters
north korea slbm missile parade金日成広場をパレードする潜水艦用ミサイル、April 15, 2017.AP Photo/Wong Maye-E
SEOUL (Reuters) - 北朝鮮のミサイル複数が平壌のロケット施設から搬出されていると韓国KBSが29日遅く報道しており、北が更なる挑発行動の準備に入っているのではとの観測が生まれている。
報道では匿名の情報筋から韓国米国の情報機関がミサイル複数が平壌北部のSanum-dongにあるミサイル研究開発施設から搬送されるのを探知したとある。ただし報道は搬送の日時および目的地の言及はない。
ミサイルは中距離弾道弾火星-12あるいは大陸間弾道弾火星-14のいずれかの可能性があると記事にあるが、Sanum-dongは大陸間弾道ミサイル製造専用の施設だ。
韓国国防省筋によれば報道の詳細について確認できず、また記事で言及した地域でとくに異常な動きはないという。
韓国関係筋は北朝鮮が労働党創設記念日の10月10日ないし中国共産党人民代表会議の開催される10月18日に何らかの挑発行為に出ることを懸念している。■
(Reporting by Heekyong Yang; Editing by Simon Cameron-Moore)