2015年4月8日水曜日

☆ 米空軍の考える近接航空支援の新しい姿とは



空軍が必要か、との議論もこのCAS任務に端を発しているのではないでしょうか。またここではA-10引退か否かの問題もからんでいます。一方で空軍とすればデビューしても当面は期待通りに使えないF-35を抱えてしまうのは大変との思いもあるのでしょうね。



USAF Eyes New Era Of Close Air Support

U.S. Air Force’s campaign to reinvent CAS
Mar 30, 2015Amy Butler Aviation Week & Space Technology - Defense Technology Edition
http://aviationweek.com/defense/usaf-eyes-new-era-close-air-support

2001年秋、ペンタゴンは史上最大規模の機体開発になるロッキード・マーティンF-35にゴーサインを出したが、その時点で近接航空支援(CAS)は任務の前面に掲げられていなかった。
契約交付の数週間前に9.11のテオロ攻撃が発生しており、CASミッションはイラク、アフガニスタンで普通のことになっていた。その時点ではF-35AにCASを激戦空域で実施させるのは補足的な扱いで空軍は同機にF-22と組んで深部侵攻をさせようと考えていた。現在は議員の側から空軍のA-10退役案に異議が入っており、F-35対A-10の単純な議論ではなくなっている。空軍はA-10全機退役を実施できなくなり、議論の「活性化」に追い込まれていると参謀総長マーク・ウェルシュ大将は語り、将来のCAS機材として各種戦闘機や爆撃機を投入し、F-35だけには任せないことになっている。
この問題は空軍で喫緊の課題。財政圧力の中で国防予算削減が計画されており、空軍は再度A-10退役案を提示して、単一任務しかできない機材の維持にあてる予算はないと主張。
JTACチームがA-10パイロットに航空支援ミッションで敵味方の区別を教えている。A-10の低高度低速度飛行特性と強力な火力は地上部隊には安心感を与える。Credit: USAF Airman First Class Chris Massey

将来のCASを検討すべく空軍はサミット会合を開催し、A-10の投入がなくてもミッションを実施できるのか、空の完全制圧をどう実現するかに関心を集約させようとしている。

政界の反応
議会は空軍のA-10全機退役方針を覆そうと、まず同型36機のモスボール保存に同意したが、節減効果は想定規模には到底及ばない。空軍長官デボラ・リー・ジェイムズ Deborah Lee James はこのうち18機を予備機材に編入することを認めたが計36機が現役から退ければ一飛行隊以上の規模の縮小だ。A-10計18機の整備要員はF-35A対応の訓練に回されるが、F-15Aが2016年に初期作戦能力獲得の予定なので整備要員がもっと多くしかも迅速に要請する必要は明白だ。
今も抵抗は根強い。A-10維持を強く主張する向きのひとつは米地上軍で、議会内でも選挙区にあるA-10用基地の維持を願う議員がここに加わる。ただし変化の兆しも見られる。陸軍参謀総長レイ・オデイエルモ大将Gen. Ray Odiernoは昨年はA-10支持派だったが、今年になり陸軍長官ジョン・マクヒューJohn McHugh が退役を支持する側に回った。「地上部隊の兵員が必要とするのは敵陣地に爆発物をお見舞いすることで、しかも効果的かつタイムリーに実施できればよい」と記者に語っている。

「提案内容に賛同しない議員がいるのは承知しています」とジェイムズ長官も認める。「そうなると再び『これをしないとどうなる』とこちらから尋ねることになり、それなら強制削減をやめてもらってもっと予算をいただけるのでしょうか」 A-10温存だけで2016年に520百万ドルが必要とウェルシュ大将は議会で語っている。2020年まで温存すれば4,200百万ドルとなる。「A-10を温存したくなる状況もあるが、予算的に無理」
ジェイムズ・ポスト少将 Maj. Gen. James P ost(航空戦闘軍団副司令官)がA-10を支持する将官は裏切りと同じとしている。また議会にA-10の性能内容を伝えるものは反逆分子と発言したと軍関係のブログJohn Q Public が伝えている。
空軍はなんとかして議論がA-10対F-35に向かわないようにしてきた。そのためCASをメインにした報道陣向けイベントも2回開催している。問題はA-10以後の機材をどうするかだとウェルシュ大将は言う。「メッセージそのものを再定義するつもりはない」とし、「将来にCASミッションを再設定があるかもしれないが、現在の検討はまだ二年目に入ったばかり」
機種別戦役別CASの実績
統計が物語るCASの実態
2006年から13年の間にCASミッションの67%はアフガニスタン(不朽の自由作戦)、イラク(イラク自由の作戦)で各戦闘機により実施されおり、A-10は24%をこなしたと米空軍大佐タッド・ショーティスCol. Tadd Sholtis (米空軍中央司令部報道官)は説明する。A-10だけがCAS機材ではなかったというのだ。ただし同機の貢献度には疑いの余地がない。
地上部隊にとって同機はCASの象徴であり、近接戦闘に巻き込まれた兵員の生命を空軍力が救った事例は多い。これはA-10の特徴である強力な30‑mmガトリング砲によることが多く、低速・低高度飛行で地上部隊を支援したことが大きい。これは目で見える助けになった。これに対して通常の戦闘機にも機関砲があるが、飛行速度はずっと大きく、高度も高くなり、地上部隊には存在が見えない。
ここでウェルシュの不満が繰り返される。「CASとはミッションであり、機材そのものではない。」A-10支持派が米空軍がCASミッションを放棄したと主張するのに大将は明らかに苛立っているのだ。「年間2万回はCASミッションを実施しているのにいつになったら正しく認知されるのだろうか」
肝心なのな実際にCASミッションを9.11以降に飛ばしたパイロットに尋ねることだ。CASとはつまるところ訓練だとわかる。
米空軍の機種別CAS能力と搭載可能兵装

CASミッション訓練の実態
「セスナ172にAK-471丁を載せて飛べばCASだ」と言ったのはF-15Eのパイロットだった。標準手順とはCAS機材を準備することで、A-10だけが機材ではない、というのがその主張だ。地上部隊からの要請が入れば、支援要員全員が出撃を迅速に行えるように準備し、タキシーング中の機のパイロットを敬礼で送り出し、危機に直面中の地上兵員を支援するミッションが実施される。
各基地でCASミッションの経験がある8名のパイロットと話してみると、異口同音にCASとは機材ではなく、訓練だとの答えが帰ってきた。地上要員の空軍兵員(別名合同最終攻撃管制官(JTAC))には攻撃機を呼ぶ任務が与えられており、やはり同じ意見だ。「一日が終わる段階で戦術的にはどの機材でも実用に耐えるとわかる」とJTACの一人がネリス空軍基地(ネヴァダ州)で語っている。この人物はウェポンスクールで戦術開発にあたっている。JTAC要員と各種機材(F-16, F-15E、A-10, B-1やB-52)のパイロットは多様な気象条件や地理条件のもとで各種武装を展開する訓練を受けており、精密誘導弾や必要に応じて機関砲の使用も含む。”
空軍要員は空域に到着して、対象の地上部隊の上空でJTACと報告連絡する訓練を受ける。JTACは欲しい軍事効果を伝え、具体的に兵装の種類を伝えることが多い。パイロットは信管を準備する。最近は各軍共通プログラム式信管が空中発射弾に使われている。最新鋭の目標捕捉ポッドやセンサーがあってもJTACはパイロットに口頭連絡することが多く、山岳地や集落の中に潜みながら、投下武器の規模が大きすぎたり、数メーターの誤差が出て友軍に死傷者が発生しないようにする。このミッションを「近接危険」 “danger close”と呼ぶ。
CAS機パイロットがグリーン・フラッグ演習を言及する事が多い。この演習は年間を通じてネリス空軍基地あるいはバークスデール空軍基地(ルイジアナ州)で開催される。レッドフラッグ演習は空対空戦の訓練で有名だが、グリーンフラッグには陸軍地上部隊も米空軍要員とともにCAS技術を磨くシナリオに参加する
同演習では最近の中心はCASを遂行できるパイロットの資質をどう維持するのかに移ってきた。A-10パイロットは自然にCASを中心に考えるが、F-15E、F-16やB-1のパイロットでは戦術訓練が関心の的だ。各機のパイロットは大尉クラスが多く、ハイエンド戦闘をほぼ同等の敵勢力を相手に行うことは学術的な課題と考えてきた。
だが空軍の戦闘部隊の半分以上でハイエンド戦闘への準備が不足している。ジェイムズ空軍長官はイラクやアフガニスタンのような無害な空域での作戦遂行を前提としてきた取り組みの変更が必要と議会で語っている。敵空域に進入して高度の防衛体制の中で目標攻撃する技能が萎縮したままだという。

技術面ではどんな進展があるのか
各機種のパイロットもA-10がCAS専用機材と認めている。同機はパイロットに地上の広い視野を与える設計で低高度低速飛行に特化し大量の精密攻撃弾薬と機関砲弾丸を搭載できる。だが「CASをこなせるのはA-10乗りだけというのはいいすぎだ」とA-10パイロットが語っている。空軍関係者によればCASシナリオが想定する武器は多様で地上掃射から5,000ポンドのバンカーバスター爆弾まであり、各種機材が投下可能だという。
しかし精密誘導弾薬の登場によりCASの正確性が飛躍的にあがり、ミッションをはるかに高速かつ高高度を飛行中の機材で実施するのが可能となった。直近では新型250ポンドの小口径爆弾(SDB)をF-15Eが使っている。もともと長距離誘導弾として作ってあり、SDBは直接攻撃の想定はなかったが、F-15Eパイロットは投下高度を変更する戦術を編み出し、メーカーのボーイングも滑空時間を短く調節できる改修を加えた。
戦闘機が不在あるいは能力不足の場合、A-10が呼ばれ航空支援の任にあたることがある。とはいえ戦闘機に標準搭載のシステムでも低空飛行などCASミッションの実施が可能だ。
F-15Eのパイロットからアフガニスタン東部の渓谷で地上部隊が攻撃を受けた際の経験談を聞いた。「このまま爆弾投下をしてもうまくいかないとわかっていたが、支援は重要だと認識していたが一番怖い状況だった」といい、「支援不可能とは言えず搭載のシステムで実施できるか、もう一度地形を観察した。機内の地図表示で地形の高度がわかる。そこで決断した。高度を下げ、目標上空を高速で飛ぶと敵はばらばらに走りだした。それだけで十分なことがある。こちらの姿を見ると逃げ出すのだ」
空軍はこれを「力の誇示」のミッション“show of force”と呼び、現場に到着するだけで敵を追い払えるとする。パイロットからは力の誇示により敵が逃げる事が多いとの報告もあり、弾薬投下が省略できる。
空軍関係者にはA-10退役で、能力ギャップが発生すると危惧する向きがあるが、新たな戦術の開発で他機種でも対応可能だ。
だが空軍上層部によれば結局は資金の問題だという。単一任務しかこなせない機種を維持する予算がない。「たしかにA-10のCAS能力はすごいが、他の機種でもミッションはこなせる」 と航空戦闘軍団の司令官ハーバート・カーライル大将Gen. Herbert Carlisle はAviation Weekに語る。「機種を変更すればリスク発生は発生するが、CASを重要に考えて、ほぼすべての機種をCASに投入する」
米空軍で精密目標捕捉ポッドや精密弾薬の利用が進んでいるが、陸軍や海兵隊のヘリコプターでも同様だ。回転翼機の弱点は速度と航続距離の不足で、友軍から遠く離れるとこれが顕著となる。また敵砲火にも脆弱だが、条件があえば強力な効果を発揮する。陸軍のAH-64アパッチとA-10はISISと戦う地上部隊に頼りにされている。
ここに空軍がCASを重視する背景がある。多様な機種で必要な支援は可能と関係者は強調したいのだ。またA-10の退役でCAS任務の実施が完全に実証がすんでいないF-35にすぐには任せられない。

移行期間にどう対処するのか
ウェルシュ大将が強調しているのはF-35Aの初期作戦能力獲得予定が2016年12月となっているがあくまでも初期能力である点で、航空戦闘軍団のカーライル司令官は3つのミッションを重視している。CAS、航空阻止、敵防空網の限定付き制圧だ。同司令官もF-35のCAS性能はIOC獲得時点では「初歩的」だと認める。IOC時点で想定する武装は500ポンドレーザー誘導爆弾と2,000ポンドの共用直接攻撃弾に限定される。パイロットも合成開口レーダーの性能はフルに引き出せず、ブロック4ソフトウェアの装着を待たねばならない。これはまだ相当先のことで、地上管制官とのビデオリンク機能もIOC獲得時点では利用できない。
「IOC時点での基本性能に通信機能がある」とカーライルは説明する。「Roverデータ共有システムは装備していない。これがあればポッドが撮影する目標画像を見て僚機間で話すことができる」 F-35の能力が向上するまでは他機種にミッションを実施させるという。ただし制空権が確立していない空域は別だという。
ウェポンスクール関係者は「CAS調査」でCASにF-35をどう投入するかを戦術面で検討していると第422試験評価飛行隊(ネリス空軍基地)のベンジャミン・ビショップ中佐 Lt. Col. Benjamin Bishop は述べている。検討内容にはF-35パイロットとJTAC間の連絡方法も含む。その結果は同機の戦術マニュアルに盛り込まれる。CASは海兵隊機材のIOCでも取り上げられている。海兵隊のIOCは7月1日予定だ。ビショップ中佐によれば空軍は3iソフトウェア搭載機でIOC宣言をするが、より強力なブロック4ソフトウェア搭載を待つという。
「3iではすべての兵器を運用できません。3Fだとより多くの種類を運用できFOC(完全戦闘能力)になります。そこで戦術を開発し、作戦テストで試します」とジェイ・シルヴェリア少将 Maj. Gen. Jay Silveria (航空戦センター司令官、在ネリス)は語る。「3Fでより多くの機能が利用可能となればもっと多くの兵器を想定した戦術とテストを展開します」
対照的に海兵隊機材はブロック2B搭載とはいえF/A-18やAV-8Bでできなかった能力を発揮できる。「搭載センサーによりパイロットの状況認識が向上し、精密弾を迅速に利用できるようになります」とポール・グリーンバーグ少佐Maj. Paul Greenberg(海兵隊報道官)は語る。「従来機では不可能だった地上支援ができる」のは同機のステルス性によるものだという。
ブロック3Fではデータ融合が向上し、赤外線捜索追跡能力が完全に利用できるようになるほか、機関砲が利用でき、レーダーの活用範囲も増える。電子光学式目標捕捉システムによりF-35をCASに適正に投入できるとシルヴェリアは説明する。.

今後の展望
空軍は制空権が確保した空域だけでなく戦闘中の空域でもCASを実施するべく、技術と戦術で複数の段階を想定している。
空軍主催のCASサミットには各軍の代表も出席し、今後の道のりを確認した。その中で注目を集めるのはCASの実績を持つ空軍要員の経験集約だ。A-10パイロットたちをF-16、F-15E、F-35の各飛行隊に派遣する。「CAS関連の技量を各隊に移転しCASの素養を維持する」とカーライルは語っている。「ブロック4搭載のF-35が利用可能となればCAS機材として相当の性能を発揮できる」
また空軍はCAS統合グループをネリス基地に立ち上げ、訓練、戦術開発、技術面で支援にあたらせる。ここに各軍要員のほか地上管制官も入れる。米空軍はまた仮想訓練を教程の一部に取り込みJTAC要員を増員する。「1990年時点では450名で要請すべてに対応していた」とカーライル大将は回想する。湾岸戦争では空軍力は敵防空網制圧のほかイラク国内の敵対的航空機の破壊に投入されたためCAS需要は大きくなかった。「現在は1,500名いるが要望に応えきれない」 
このCAS統合グループでは制空権が確立していない空域でCASの成果をどう発揮できるかも検討する。「激戦環境で戦う場合に自らを守りながらミッションを実施するには高い水準の訓練が必要だ」(カーライル)
さらに将来のCASに使うウェポンシステムの概念も検討する。その場合専用機投入も検討の一部だ。まだ検討段階に過ぎないが、カーライル大将は性能だけでなく今後戦闘機の機数が減ることからこのCAS機種を追加投入する可能性も慎重に検討させるという。
「将来発生する脅威への対策として必要な性能がひとつあり、定数問題もある」とカーライルは説明。「ハイエンド機材の性能水準をいかに維持するかを絶えず考えているが、必ず変化点がやってきて低コストで今より高度の性能が必要になる時が来るはずだ」 ただし、現状の脅威内容と予算環境を考えると「まだそこまで到達していない」という。
一方で空軍研究機関は長年の夢である爆発効果調整兵器“dial-a-yield” weaponsの検討を続けている。これはパイロットが破壊性能を機内で調整できる兵器のことだ。同じく期待されるのは多用途兵器でF-35機内に搭載し、激戦区で使うもの。「もうひとつ鍵になるのがポイントアンドシュートなのかキューアンドシュートかだ。A-10では機首を向けるが、ヘルメット装着の指示器で発射させることを目指している」とカーライルは発言している。「まだ実用段階にまで開発が進んでいない」とCASを想定して述べている。
これ以外にウェルシュ大将はCAS兵器では独創的な発想 out-of-the-box thinking を期待していると言う。たとえば指向性エネルギーや小型精密誘導兵器などだ。「次世代の近接航空支援で中心を置くべきものはなにか。技術で解決可能な内容でも見方を変えるべきだ」という。「前方発射型のレーザー誘導ロケットで内部から数千個の弾丸を放射してはどうか。結果として数千発の破裂が発生する」と従来よりも弾丸数が増える効果になる。「現在は機体の前方に搭載している銃を取り外しても同じく効果が得られないか」
まだ発想の域を出ないが、空軍がCASミッションの再強化に必要な予算を空軍が確保できるかとなると意見は一致していない。■



2015年4月7日火曜日

訪日直前、カーター国防長官が見る太平洋への展望



カーター長官が日本、韓国をまず訪問することの意義を考えたいですね。なんといっても日本と韓国がきくしゃくすることは防衛体制上マイナスなので中を取り持ちたいということでしょうか。またTPPにも言及し、経済も含めた統合的な国力を視野に入れていることがわかります。カーター長官自身は技術の意味を理解できる人のようなので今後が期待できます。

SecDef Carter Reasserts US Pacific Vision

By Aaron Mehta 4:02 p.m. EDT April 6, 2015


Carter speaks at State(Photo: US Department of Defense)

WASHINGTON — アラビア湾岸地区や欧州で現実的な課題が残っているが、それでも太平洋がアメリカの未来を決める場所とアシュトン・カーター国防長官が6日に述べた。
  1. アジア太平洋地区に焦点をあわせた初の政策演説でカーター長官は昨年の中東湾岸地区、欧州での出来事があったがアジアに軸足を移す政策自体に変更はないとアリゾナ州立大に集まった聴衆に述べ、太平洋再重視は長官が直接監督する課題と語った。
  2. カーターはさらに将来の安全保障に影響を与える「場所と出来事を考える」のが課題とし、将来の中心地は太平洋との見方を示した。
  3. 長官の発言は就任後初の太平洋地区歴訪に出発する前のタイミングで出たもの。
  4. 4月8日-9日は日本、その後韓国を2日間訪問する。最後にの米太平洋軍司令部(ホノルル)を4月11日訪問する。
  5. 今回の演説はカーターが太平洋の戦略的課題にペンタゴンを取り組ませるロードマップを示した。
  6. その中には新技術の重視が含まれ、長距離打撃爆撃機や新型対艦巡航ミサイルの開発が典型例となる。両事業ともアジアの地理的条件を考慮し長距離の有効範囲を実現する。また現時点の技術ではF-35共用打撃戦闘機を順調に本格生産することが課題だ。
  7. しかしながらカーターがより重視するのは各国との関係だ。アジア各地で「奇跡のような迅速な発展」が見られたのは「米国の一環したプレゼンスと対米関係」によるものとカーターは説明し、今後も関係維持を図ることが各国歴訪の主要メッセージになるだろう。
  8. 日本との新ガイドラインの準備が進んでおり、協力関係は「全く新しい段階に」入るとカーターは発言し、外遊中は日、米、韓の三カ国情報共有の段取りをつけたいとする。両国とも米国と長く同盟関係にあるが、カーターはあわせてベトナムにも言及し、駐米大使ファン・クアン・ヴィンが聴衆の一人であることを意識していた。
  9. カーターは環太平洋パートナーシップ(TPP)と呼ばれる通商協定にも言及している。TPPを妥結させることは空母建造予算の獲得と同等に「重要」だとし、各国との財政金融上のつながりは「米国の強みを維持する重要な要素であり、我が国の戦略的な影響力のしるし」と表現した。
  10. 長官はあわせて中国との協議にについてはとりあえず積極的に臨むとし、「米国と中国に同盟関係はないが敵対する理由もない」とした。「中国が勝てば、我が国の負け、というゼロサム思考は受け入れられない」とカーターは発言。「双方が勝利できる別のシナリオがある」■

2015年4月6日月曜日

★アラブ首長国連邦に謎の新基地が突如出現



ここまでわかってしまうと各国の防衛当局がグーグルアースに警戒心を抱くのは理解できますね。これだけの基地があっという間に完成するのも、用地取得の工程がおもいっきり省略できるアラブ首長国連邦ならではの展開なのかもしれません。

UAE’s Mysterious Airbase

Apr 2, 2015 by Tony Osborne in Ares
グーグルアースの画像で名称不明の謎の空軍基地がオマーン、サウジアラビアに近いアラブ首長国連邦の砂漠地帯で見つかった。
名称不明の空軍基地の近況  Credit: Google Earth

  1. コンクリート滑走路が一本あるだけだった飛行場が急速に拡張されている。当初の滑走路一本は3,000メートル級並行滑走路二本になった。駐機エプロンが建設済みあるいは建設中である。
拡張前の姿 Credit: Google Earth

  1. UAE軍がこの基地を戦闘機作戦用に準備していることは明瞭で、滑走路両端には拘束ケーブルを装備し、緊急着陸に備え、南西のランプには太陽光から機体を守る遮光シェルター10個が視認され、各シェルターには戦闘機が2機ずつ格納できる。
戦闘機用遮光シェルターが南西にあるランプ上で視認できる Credit: Google Earth

  1. 増設中の駐機場の規模はかなり広く、基地北側で建設中だ。長さ1,000メートル幅400メートルとグーグルアース付属の測定ツールでわかる。ランプは米空軍のアルウデイド空軍基地 Al-Udeid air base (カタール)より若干狭いがグーグルアースで一見するとKC-135やB-1サイズの大型機が40機50機駐機できる広さはある。

  1. この新基地がサウジ主導で実施中の決着の嵐作戦Operation Decisive Stormでイエメンのフーシ勢力Houthi rebels の空爆実施に使われる可能性は十分ある。

  1. 基地が遠隔地にあることが重要だ。UAEで一番近い入植地はアル・キスAl Khisだが50マイルは離れている。UAEはかねてから軍事施設の脆弱度とともに空軍基地の数が少ないことを懸念いsていた。このためアル・サフラン Al-Safranに戦闘機部隊用の空軍基地が新設され、ミラージュ2000飛行隊が少なくとも一隊展開されている。同基地は2008年頃に稼働開始したとみられる。
UAE空軍のミラージュ2000-9はアルダフラ、アルサフラン両基地に展開している Credit: Google Earth

  1. 新基地のグーグルアース画像では航空機は一機も視認できないが、格納庫や遮光シェルター内に巧妙に隠されているのかもしれない。戦時の本土防衛用に機体を隠ぺいするオーストラリア戦術に似たものかもしれない。

  1. この他の基地でも拡張が進行中で、うちグーグルがアブダビ北東基地 Abu Dhabi Northeast と呼称する場所で以前は2,000メートルだった滑走路が一気に4,000メートルに拡張されている。この基地にUAEで特殊作戦部隊が配属されているようだ。セスナキャラバン、AT-802農業機やDHC-6ツインオッターを運用している。

  1. UAE空軍の一部機材はアブダビ国際空港に移動されているが、以前は各基地に輸送機が分散配備されており、C-17がアルミンハドAl-Minhadへ、A330多用途給油輸送機はアルアインAl Ain に展開していた。空輸部隊をアブダビに集結させたのは作戦運用上の効率を考えてのことなのだろう。■


着々と進むイスラエルのミサイル防衛システム開発の現状


イスラエルのミサイル防衛システムは相手方の発射する単純なロケットから弾道ミサイルまで多層的な対応を目指しているのが特徴です。米国も共同開発することで成果の一部を利用しようとしているのですね。

Israel Declares Successful Stunner Intercept Tests

By Barbara Opall-Rome3:49 p.m. EDT April 1, 2015
635635000941103799-vs150331-010(Photo: Israel Defense Ministry)

TEL AVIV — イスラエルのミサイル防衛機構(IMDO)が4月1日に開発中のスタナー Stunner ミサイルの三回目の迎撃テストに成功したと発表した。
  1. スタナーは国営ラファエルレイセオンの共同開発で米・イスラエルで資金を分担し、イスラエルが進める David's Sling 自動防衛システムの一部となる。
  2. 「数日間の連続テストのデータ評価から完全成功と言える」とIMDO長官ヤイヤ・ラマティ Yair Ramati が発表した。
  3. ラマティは各テストは長距離ロケットおよび短距離ミサイルを想定した目標を相手に実施したと明らかにした。それぞれDavid's Slingの想定脅威である。
  4. またIMDOは米ミサイル防衛庁が今年中に第四回テストを予定していると明らかにし、その後イスラエル空軍が初期作戦能力獲得宣言をする。
  5. イスラエルは David's Sling をアイアンドームに次ぐ自動防衛手段として配備する意向で、カチューシャやグラッドといったロケット弾への迎撃はアイアンドームで有効性が実証されている。 David's Sling はこれに対してアロー2の下の位置づけだ。アロー2はスカッドやシハッド級の戦術弾道ミサイル迎撃用。
  6. 高高度迎撃ミサイルアロー3が米イスラエル共同で完成すればイスラエルは高高度でも自動防衛体制を整備して核弾頭搭載弾道ミサイルの迎撃が大気圏外で可能になる。■

2015年4月3日金曜日

★大変悩ましい次期長距離爆撃機開発企業の選定(米空軍)



一方が採択されれば他方は業界に生き残れないとは厳しい状況です。極秘予算の話も後半に出てきますがなんとか高度技術を散逸させない配慮が求められます。日本の産業政策をあれだけ批判していた米国が自ら防衛産業の基盤維持を図る政策を展開せざるを得ないとはなんとも皮肉な話です。LRS-Bという呼び方がLRSBに変わっていることに注目です。2020年というのはもうすぐですが、予算上は大変な時期になりそうです。

Tough Choices For DoD On Long Range Strike Bomber

By COLIN CLARKon April 02, 2015 at 4:30 AM

An artist's concept for a stealthy future Long-Range Strike Bomber.ノースロップ・グラマンのLRSB概念図
WASHINGTON:  でペンタゴンはあと数ヶ月で長距離打撃爆撃機(LRSB)の契約企業を選定するが、興味深い結果になるだろう。ボーイング=ロッキード・マーティンが選定されるとロッキードが高性能ステルス機の設計をほぼ独占することになる。逆の場合だとノースロップ・グラマンがステルス爆撃機を独占する。
  1. 結果は米国の産業基盤にも重大な影響を与えるが、問題が山積していた空中給油機選定の比ではない。
  2. 「この十年間で新型戦闘航空機の開発契約は皆無だったが、これからの十年も同様だろう」とリチャード・アボウラフィア( Teal Group の航空宇宙分野主任アナリスト)がフォーブス誌で解説している。「言い換えればLRS-Bに絡むは大手三社のうち、次の戦闘航空機開発に生き残れるのは二社だけだ。ロッキード・マーティンはF-35のおかげで心配の必要はない。残る二社は今回受注できなければ業界に残れなくなる。つまり2030年ごろに就役予定の次世代戦闘機開発の競合に参入できない。」
lockheed boeing long range strike bomberロッキード=ボーイングのLRSB概念図
  1. ボーイング主導のチームの主張はボーイングがこれまで大型機多数を予定通りに生産しており納得の行く価格で実現した実績を基にしている。ただしKC-46では困難に直面しているが。
  2. 「ボーイングは大量の大型機生産でずばぬけた実績を持っています」とアボウラフィアは記者に語った。「ただし同社もつまづくことがあります」とウェッジテイルの例とやや規模は小さいがKC-46の例を示唆した。両機種とも民間商用機を軍用に改装して、軍用機を完全新設計した場合に発生する諸問題を回避するはずだった。
  3. もしボーイングチームが敗退すれば、米国は「重要な生産能力を失い」、雇用も喪失する。「反対にロッキード・マーティン=ボーイング案が採用となれば、ノースロップ・グラマンが軍用機から撤退しそれもつらい結果になる」
  4. ペンタゴン調達部門のトップ、フランク・ケンドールからは産業基盤の配慮は選定で大きな要素にならないと発言があった。採用企業はあくまでも提案内容により選定規程に従って決まるという。ケンドール副長官が設計チームの選定を今後も守るべき大切な存在と表現していることから意味深長ながらもあきらかに意図を伝えようとしている。
  5. 空軍は機体単価550百万ドルで100機調達にこだわっているが、これとは別に研究開発段階で200億ドルが必要であり、これを見るとボーイングに有利に働く。というのは機体生産では技術の革新性よりも現場の生産活動が重要に働くからだ。
  6. またボーイング、ロッキード組には議会からの支援も期待できる。というのは両社とも規模が大きな企業で倒産させるわけにいかないからだ。しかし両社は予算縮小の影響を受けやすい。2020年に予算不足が発生したらロッキードはF-35を諦めてLRSBに集中できるだろうか。ボーイングがKC-46で譲歩するだろうか。ともに実現の可能性は薄く、新型爆撃機だけに専念できるのはノースロップ・グラマンである。
  7. ノースロップのステルス機設計技術を維持してロッキードだけに独占させないためにもアボウラフィアは「設計能力を温存させてきた秘密予算の世界が存在してきた」と指摘する。ノースロップが契約受注に失敗すれば同社が爆撃機を組み立てることはないが、ペンタゴンとしては同社の高度技能を有し情報に通じた従業員を高度の秘匿事業に関与させたいと願うだろう。こういった事業は予算書には姿を見せない。
  8. アボウラフィアもB-2の製造、保守管理を通じて得た同社の技術水準が重要と考える。
Over the Pacific太平洋上空を飛行するB-2
  1. それでもアボウラフィアでさえどちらが受注するのか直感でもデータでも答えられないという。
  2. ボーイングが受注の場合はロッキードが重要な設計工程を受持つが知的財産をボーイングと共有することは皆無と言ってよい。ボーイング=ロッキードチームには航空機生産で信用実績があり、ロビースト多数を送り、豊富な資金で議会に影響を与え、予算危機が今後発生しても事業の温存を図るだろう。
  3. もしノースロップが受注すれば、米国にはステルス機設計能力を有する企業が二社となる。
  4. 宇宙分野は技術や産業基盤の議論とずれるが、高性能技術の要求で共通要素がある。ボーイングが自社では十分な技術的知見を有しない高性能情報集衛星の受注に成功したが、結果として事業費の超過日程も大幅に狂う損失が数年にわたりつづき、事業が終了された事例(将来画像アーキテクチャ事業)がある。選定委員会が正しい判断を下すことを祈ろう。■


2015年4月2日木曜日

新型中国商級原子力潜水艦は要注意 特殊作戦部隊用小型潜航艇を搭載



中国の特殊部隊が想定する任務がNavy Sealと同様とは思えませんが、ハードウェアが整備されているということはミッション想定があり、訓練も進んでいることを意味します。今後の選択肢として小規模のエリート部隊による強襲、撤収が加われば中国海軍=党も活用範囲が広がりますね。近隣諸国の我々には歓迎できないことですが。

New Chinese Nuclear Sub Design Includes Special Operations Mini-Sub

March 25, 2015 6:11 PM
A Computer generated image of a Type-93T or Shang-class nuclear attack submarine タイプ93-T 商級原子力攻撃潜水艦の想像図

最新鋭の中国原子力潜水艦はミニ潜航艇を搭載し、特殊部隊(SOF)運用が前提のようだ。
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  1. この艦はタイプ93T 商級 ShangでSOF用潜航艇の収納場所が特徴だ。3月17日付けの国営参考消息 Reference NewsではSEAL運用の米海軍潜水艦と同等としている。.
  2. 火曜日には Jane’s Defence Weekly が英語版ではじめて報道しているが、参考消息は米海軍のSEAL運搬移動機SEAL Delivery Vehicles (SDV)用とは異なり、商級潜水艦改良型の格納容器は潜航艇の船体3分の2を格納すると説明。
  3. 「そのためSDVへの移送は潜水艦が潜行中は容易ではない。特殊部隊要員は潜水艦へはヘリコプターで移動しているのが写真でわかる」とJane'sは報道している。
A U.S. Navy Seal Delivery Vehicle onboard Los Angeles-class attack submarine USS Dallas. US Navy Photoロサンジェルス級攻撃潜水艦USSダラス艦上に搭載されたNavy Seal移送機. US Navy Photo

  1. 今回の中国報道で運搬艇の説明は、これまでの中国の艦船設計の特徴と共通している、と U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World 編者エリック・ワーサイムは説明している。「中国は西側の艦船設計を参考にしつつ我が方の潜水艦活用方法を研究し、自国の運用を実現している」とUSNI Newsに語っている。
  2. 人民解放軍海軍(PLAN)の誘導ミサイル駆逐艦(DDG)は驚くほど西側のDDGに類似している。SOF運用能力はともかく、商級改良型の出現でともすれば秘密のベールに隠れがちな中国の潜水艦建造に光が照らされる格好だ。
  3. 商級一号艦が進水したのは2002年だったが、翌年の二号艦進水のあと中国は一旦建造を中断していることが2014年に海軍情報局による中国艦船建造状況の評価報告で示されている。
  4. 「ほぼ10年が経過して中国は商級の改良型4隻の建造を開始し、その一号艦は2012年に進水している」と同上報告書は記述している。旧型のタイプ91漢級の後継艦の位置づけだが、原子炉の静粛化に手こずり改良型の開発が中断したとの報道が広く流布している。.
  5. 格納スペース以外に画像からは艦体側面にソナー格納部分と思われるものが4点あり、曳航式ソナーの取り付け装置も見られるとJane'sは分析している。
  6. 中国潜水艦部隊の能力が向上して作戦海域が本国海域から広がるのは近隣各国にとって気の休まる話ではない。
  7. イ商級SSN1隻がインド沿岸付近を昨年12月から2月にかけてパトロールしていた事実にンド海軍が憂慮しているとの報道が3月24日付のThe Telegraphに掲載されている。■


サウジ主導のイエメン空爆、決着の嵐作戦、で何が起こっているのか


この空爆作戦は名称はおろか、どんな機種が参加しているのかまではとても国内では報道されていないので様子を知るには貴重な内容ではないでしょうか。

Operation Decisive Storm -- Air Power Over Yemen

Mar 31, 2015 by Tony Osborne in Ares
サウジアラビア主導で中東、アフリカ諸国が参加した大規模な作戦が始まっており、イエメンのフーシ反乱勢力 Houthi rebels を空爆している。作戦名 Decisive Storm 決着の嵐の現状をお伝えする。
  1. フーシがイエメン政府を転覆させ大統領アブド・ラブー・マンスール・ハディAbd Rabbuh Mansur Hadi はアデンに避難を迫られたが、サウジ主導の多国籍軍が空爆で同国への介入を開始した。
  2. 決着の嵐作戦は3月26日開始され、近年でも例のない各国機材の集結が見られる。湾岸協議会加盟国ではオマーン以外の各国が参加しており、さらにモロッコ、エジプト、スーダンとヨルダンが機材を派遣している。
  3. サウジアラビア他隣国がフーシがアラビア半島南部で拡大することを看過できなくなっためだ。
  4. サウジアラビアは100機を派遣しており、サウジ王立空軍 (RSAF)のF-15Sストライクイーグルの一機が3月28日に機体に技術上の問題が発生しアデン湾に墜落したが乗員2名は脱出し米海軍が救助している。
Credit: Tony Osborne - Aviation Week
  1. バーレーンはF-16 を8機から12機の間で派遣し、カタールは12機保有のミラージュ2000のうち10機を参加させている。アラブ首長国連邦は30機、モロッコヨルダンは各6機のF-16を派遣している。ヨルダンの参加が注目を集めるのは同国がすでにイラクシリアでISISへの大規模作戦を実施中のためだ。報道ではクウェートもF/A-18を15機派遣している。
  2. エジプトの派遣規模は不明だが、隣国のスーダンの参加は予想外といってよく、スホイSu-24フェンサー三機を送り出している。
  3. ただしSu-24部隊がどこまで貢献できるかは不明、というのは同機が西側標準の弾薬を運用できないためだ。そのためスーダンは専用の爆弾ミサイルをサウジアラビアの前方基地まで自国で輸送している。
  4. パキスタンもサウジアラビア政府からの参加呼びかけを検討中だ。
  5. サウジアラビア国内のキング・ハリド空軍基地からの作戦の映像が入ってきた。3月31日公開の映像では サウジのF-15C、F-15S、トーネードIDS、タイフーン各機が発進している様子がわかり、その他クウェート、カタールの所属機さらにスーダンのSu-24も確認できる。アルアラビヤAl Arabiya テレビがYouTubeに公開した映像ではRSAFの第99飛行隊所属のAS532Sクーガーヘリコプターが戦闘捜索救難に投入されていることがわかる。また同テレビのカメラにはRSAFのF-15Sにグッドリッチ製DB-110偵察ポッドが機体下部に装着されているのがわかる。■

2015年4月1日水曜日

スコーピオンでまだ成約はないが楽観的なテキストロン CAS,T-X,海外採用の可能性


スコーピオンは言ってみれば常識破りの機体であり、既存の機種ヒエラルキーと無関係の期待でもあるので導入したくても一線が超えられずに結局今まで誰も購入していないのでしょう。機体に加えて支援システムもパッケージにして長期間の経済的な運用をうりものにしてみたらどうでしょうね。T-Xへの採用は難しいと見ていますが、どうなりますやら。

Textron Eyes Scorpion CAS, T-X Missions

By Aaron Mehta3:49 p.m. EDT March 31, 2015
Scorpion Atlantic Flight(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON — テキストロン・エアランド Textron AirLand のスコーピオンは正式採用がまだないが、ISRと軽攻撃を想定した同機の将来に同社は楽観的だ。
  1. 同社社長ビル・アンダーソン Bill Andersonは3月の取材時に機体を「公表18ヶ月でまだ成約がないが、社として同機を全面的に支援している」と語っていた。
  2. 「販売に大いに自信がある。予算は確保ずみで開発をここで中止する理由は見当たらない」
  3. スコーピオンがあらためて注目されたのはホーク・カーライル大将(米航空戦闘軍団司令官)が同機が近接航空支援(CAS)機材に最適と発言したためだ。
  4. 「ローエンドのCAS機材を模索する中で、飛行時間あたり費用が妥当ということで同機に注目し、検討をしている」
  5. アンダーソンはカーライル大将発言に勇気づけられ、スコーピオンで実施可能なミッション各種のデータを米空軍に提供しており、中にCASも含まれている。
  6. 「最初から想定している機能です。空対地攻撃ミッションで同機が有する多機能ISR性能と地上部隊との交信能力で難なく実施可能です」(アンダーソン)
  7. スコーピオンの設計思想はペイロードの柔軟選択で、六ケ所のハードポイントに各1,700ポンドを搭載できる。同社は各種の兵装搭載を想定し、小口径弾から誘導ロケット弾まで運用できる。
  8. またガンポッド搭載も可能で、50口径または20ミリ砲を想定するが、アンダーソンも空軍関係者と同様に将来のCASの実施手段は銃でなく、精密誘導弾と見ている。
  9. 「現代のCASで機関銃が最適な手段とは思えません。ただし地上部隊には銃を積んだ機材が必要で、機関銃搭載も想定しました。すべては作戦の中身次第であり、相手とする脅威の内容いかんですが」
  10. もうひとつスコーピオンが想定するのが米空軍向けT-X次期練習機への採用だ。テキストロンはスコーピオンの練習機改修を検討中。
  11. T-Xの要求性能が公表されたのは3月20日のことにすぎず練習機型の最終案は決定されていない。ただアンダーソンによればスコーピオンの飛行時間あたり費用3,000ドルは差別要因になるという。
  12. 「米空軍が求める機体の作成は可能」とアンダーソンは言う。「問題は費用がどれだけになり、開発がどれだけ長くなるかだ。鍵は運用費用であり、一時間あたりの飛行経費をいくらにしたいかだ」.
  13. 米空軍向け需要が同社の関心事であるが、防衛専門家の中には最初の成約は海外になるとの見方が多い。
  14. アンダーソンも海外顧客数カ国との商談は「とてもうまく進行している」とするが、具体的な国名の言及は避けている。
  15. 消息筋によればUAEが導入に前向きだが、顧客一号になるのは避けたいらしい。
  16. そこでローンチカスタマーとして数か国まとめての想定が可能かアンダーソンに聞いてみたところ、可能性を熟考していると答えた。
  17. 「ある小国の空軍参謀長が昨年のファーンボロショー会場で同機は数か国で共同導入したら素晴らしい機材だと語っている。数か国まとめての商談が発生すれば当社も対応する。規模の経済というメリットを顧客各国に還元できる」
  18. ただし、アンダーソンは「現時点で数か国共同の商談をしているわけでなない。対応は可能だが、まだ先のことだろう」と釘をさす。
  19. 今年の夏も各国がスコーピオンを検分するチャンスがある。パリ航空ショーとロイヤルインターナショナルエアタトゥーの両会場で地上展示される。■

★韓国KF-XはKAI-ロッキード連合が受注へ



S. Korea Opts for KAI-Lockheed in Fighter Deal

Agence France-Presse2:42 p.m. EDT March 30, 2015

SEOUL, South Korea — 韓国は韓国航空宇宙工業(KAI)と共同事業者ロッキード・マーティンをKF-X国産戦闘機120機の調達先に選定した。KF-Xは現有F-4、F-5の代替となる。
  1. 総額8.6兆ウォン(78億ドル)規模の事業獲得は提案内容が大韓航空ーエアバスチームより優れているためとみられる
  2. 「KAI提案を選定したのは費用、開発工程、開発能力の点で優れていたため」と国防調達事業庁 (DAPA) が声明で発表している。「正式契約の調印は今年上半期中を予定」としている。
  3. 韓国政府が開発費用の6割を負担し、残りはコンソーシアムとインドネシアが負担する。インドネシアは韓国との防衛協定に基づき事業に参画する。
  4. KAI-ロッキード連合はもともと有利と見られていた。韓国初の国産超音速練習機T-50を生産の実績もある。ロッキードはF-35A40機の販売にも成功しており、KF-Xでは中核技術を韓国に移転すると確約している。
  5. KALはユーロファイター生産の実績を有するコンソーシアムの一員エアバスとチームを組んで技術支援を売り物にしていた。エアバスは韓国向け空中給油機で13.8億ドル規模の成約を期待する。
  6. KF-Xでは韓国国防省は新型設計を求めているが、専門家の中には既存機種の大幅改造が現実的と見る向きが多い。
  7. また韓国は12.8億ドルでペイトリオットPAC-3ミサイルの導入も決め、北朝鮮の弾道ミサイルへの防衛体制を強化する。DAPA関係者はPAC-3ミサイル(数量不明)を2020年までに導入すると述べた。
  8. 韓国の現有PAC-2ではレイセオンが改修事業契約企業に選定されており、発射制御システムを改良しPAC-2、PAC-3双方を運用できるようにするという。■