スキップしてメイン コンテンツに移動

空軍の新レビューは有人の第6世代NGAD戦闘機構想を支持(Breaking Defense)―マスクからの挑発に答えたものでしょうか。しかし、NGADなどの決定はすべてトランプ新政権発足後に先送りですね

 Lockheed Martin Skunk Works concept art of a sixth-generation fighter

ロッキード・マーチンのスカンクワークスによる第6世代戦闘機のコンセプトアート。 (ロッキード・マーチン)




米空軍による軍事分析が第6世代ステルス戦闘機の実戦配備を支持していることがわかった。



近の空軍内部による分析は、有人の次世代戦闘機の開発を支持していると情報筋3名が本誌に語った。

 一時停止中のNGADを進めるかどうかの最終決定はトランプ政権が下すことになるが、今回の見直し結果は、プログラムを存続させ、将来の戦闘機の契約を結ぶケースを強化する可能性がある。

 フランク・ケンドール空軍長官は本日、本誌に寄せた声明の中で、分析の全体的な結論が次世代有人戦闘機を支持するものであることに異論はなかったものの、コストなど他の要因がその結果を左右することに注意を促している。

 「我々の分析は、次世代有人プラットフォームには価値があることを示しているが、現在のNGADのデザインは総コストと単価が高く、手が出なくなるかもしれない。

 「我々の分析ではDAF(空軍省)の戦略的優先順位と空軍と宇宙軍の予算の潜在的なレベルを考慮すると、NGADの推進に関連する重要な機会費用がある。各種リスクや資源レベルにおいて、相互依存関係や代替案が多数あり、次期政権が決断を下す前に検討する必要がある。すべての選択肢はテーブルの上にある」とケンドール長官は付け加えた。

 NGADプログラムが一時中断されたのは、空軍が、継続的な予算制約、敵対する脅威の猛烈なペース、競合する優先支出事項、特にCollaborative Combat Aircraftと呼ばれるドローンのウイングマンを実戦配備するため芽生えつつある取り組みに関する技術進歩に照らして、高価な次世代戦闘機を購入する余裕があるかを検討したためである。   CCAのウイングマンは、空軍の有人機にとって重要な戦力増強になると期待されており、構想されているNGADシステム・ファミリーの重要な構成要素であると説明されている。

 ケンドールは木曜日のパブリックコメントで、このプラットフォームが空軍のアジャイル・コンバット・エンプロイメント(破壊的な攻撃を避けるために作戦を分散させる方法)にどのように適合するかなど、他の懸念も遅延に影響していると述べた。空軍はまた、次世代タンカーのようなNGAD戦闘機をサポートする装備にどのような要素が必要かを検討している。

 空軍の指導者たちは、秋にNGADのコンセプト見直しを決定し、元政府高官や研究者たちに協力を仰ぎ、追加分析を行った。このプロセスは、空軍の2026年度予算要求に間に合うように終了する予定だったが、空軍は最近、プラットフォームの運命に関する決定を次期トランプ政権に委ねると発表した。

 ケンドール長官は木曜日、NGADの分析結果は「ほぼ終わった」と公言したが、その一方で、トランプ新政権が登場した際には「追加分析が必要になるかもしれない」と注意を促している。 彼は、空軍は "そのプログラムが現在の形を継続するならば、進行する準備に非常に近づいている "と指摘した。

 空軍のNGADへのためらいは、防衛業界に衝撃を与えた。10年にわたる開発の後、当初は今年と予想されていた選定に向け準備を進めていた。 ボーイングロッキード・マーチンは、世界初の第6世代戦闘機となる可能性が高い機体で有利な契約を争う主契約者であると考えられている。

 次世代戦闘機への取り組みは、エンジンの産業基盤にも大きな影響を与える。 NGADプラットフォームは、燃料効率と推力に飛躍的な進歩をもたらす可能性のある「適応型」パワープラントを使用することが公に計画されている唯一の航空機だ。 GEエアロスペースプラット・アンド・ホイットニーは、「次世代適応推進」と呼ばれるプログラムのもと、NGADエンジンの製造を競っている。

 空軍による分析は第6世代戦闘機の必要性を立証しているが、F-35統合打撃戦闘機、B-21レイダー・ステルス爆撃機、最近価格が81%も高騰した核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルシステム「センチネル」など、他のプログラムからの大きな予算圧迫を考えると、空軍がNGAD機とエンジンの開発を継続するための資金を確保できるかどうかは不明だ。

 ケンドールは今年初め、本誌の取材に対し、第6世代戦闘機の製造に自信を持っているが、オプションで有人機とする可能性も残されていると語った。ケンドールは、主に中国の台頭に起因する作戦上の課題は、「脅威の蓄積」で定義されていると述べ、冷戦時代の仮定はもはや通用しないと指摘した。

 「もうソ連が相手ではないのです。「私たちは、主に中国と対峙している。そして、我々が正しいことをしていることを確認しなければならない」。

 次期トランプ政権がNGAD問題をどう扱うかは未知数だ。 ドナルド・トランプ次期大統領は、空軍長官候補をまだ指名していないが、イーロン・マスク(トランプ氏の有力な仲間で、政府効率化省構想を運営する予定)は、自身の見解を明らかにしている。

 「ドローンの時代に有人戦闘機は時代遅れだ」とマスクは最近、自身が所有するソーシャルメディア「X」に投稿した。■


EXCLUSIVE: New Air Force review supports manned 6th-gen NGAD fighter concept

Military analysis supports the fielding of a sixth-generation stealth fighter, Breaking Defense has learned, though a final decision on the Next Generation Air Dominance platform now rests with the Trump administration.

By   Michael Marrow and Valerie Insinna

on December 20, 2024 at 2:06 PM


https://breakingdefense.com/2024/12/exclusive-new-air-force-review-supports-manned-6th-gen-ngad-fighter-concept/


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...