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AH-64アパッチで小型AESAレーダーのテストへ(The War Zone)―ウクライナ戦で脆弱性を露呈した攻撃ヘリの将来をAESAが変える可能性はあるのでしょうか

 





米陸軍は、アパッチのスタブウィング下に収まる小型アクティブ電子スキャンアレイレーダーを求めている


陸軍は、AH-64アパッチ攻撃ヘリコプターの武器パイロンを使いアクティブ電子スキャン・アレイ(AESA)レーダーをテストしたいと考えている。この種のレーダーは、特に悪天候時や、空中の脅威を含む遠距離の標的を発見、追跡、交戦するための非常に貴重なツールとなるが、その他にも機能があり、一般的な情報収集や状況認識の向上も可能になる。このレーダーが成功すれば、陸軍の他のプラットフォーム(回転翼と固定翼の両方)に搭載される可能性がある、と陸軍は述べている。

 AH-64に搭載される可能性のあるレーダーの機内デモンストレーションに関する情報提供要請書(RFI)が最近、米国政府によって公表された。アパッチ攻撃ヘリコプタのプロジェクト・マネージャーが適切なレーダーを提供してくれそうなソースの市場調査を行っている。その後、アラバマ州レッドストーン工廠で最新のAH-64E V6バージョンを使用したデモンストレーションが実施される。


A U.S. Army AH-64E Apache Guardian helicopter, assigned to the 12th Combat Aviation Brigade, simulated an opposing force for an attack on a patrol base at Grafenwoehr training area, Germany, Aug. 14, 2024. This exercise enabled the unit to practice engagements using stinger missiles mounted to the Avenger weapon system and to track the helicopters in the air with the Sentinel Radar.

第12戦闘航空旅団に所属する米陸軍AH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプターが、2024年8月14日、ドイツのグラーフェンヴォーア訓練場で、哨戒基地への攻撃のために相手部隊をシミュレートしている。 米陸軍 リアラ・シュメイト少佐撮影


 RFIによると、最新鋭のAESAレーダーは、「火器管制、操縦、劣化した視覚環境下での操縦支援(DVE)、電柱/タワーとケーブルの検出、空中危険、地形追従(TF)、地形回避(TA)、拡張現実(AR)技術を使用した海岸線のマッピング」を含む、幅広い機能にわたってテストされる。

 このようなRFIは、問題群に対処するための可能性のある選択肢を広く募集するために、オープンエンドとなることは珍しいことではないが陸軍が潜在的なレーダーソリューションにも興味を持っていることを指摘している。

 また、少なくとも機内デモに関する限り、アパッチがこのプログラムの中心となる一方、陸軍はUH-60ブラックホークやCH-47チヌーク・ヘリコプター、さらに近々発表されるFLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft)にも同じレーダーを搭載する可能性を検討しているという。 RFIはまた、非公開の陸軍固定翼機にレーダーを搭載する可能性も言及している。


米陸軍のティルトローター「フューチャー・ロングレンジ・アサルト・エアクラフト(FLRAA)」の完成予想図。 ベル


可能性としては、複数ベンダーが機内デモンストレーションのために選ばれることになるかもしれない。さらにRFIによると、陸軍は「まだ(AESAレーダーを)代替機に統合できていない」企業からの回答も求めており、「技術成熟度の限界やその他の実現可能なデモンストレーション能力を強調する」ことが奨励されている。

 試験は3週間にわたり、最終的にデモンストレーションが行われる。

 AH-64E V6のデモンストレーションでは、AESAレーダーを使って「様々な距離」で「関連するターゲット」に対しデータを収集するとある。 ターゲットは静止と移動があり、陸上(オートバイ、トラック、戦車)、沿岸環境、空中(AH-64、MD530、T-6 Texan II、非公開のドローン)が予定されている。

 提案されている飛行デモンストレーションのシナリオには、地上、空中、沿岸のターゲティングのための攻撃プロファイル、地形マッピング(TM)、TF、TAのためのnap-of-the-earth(NOE)ルート、パイロット支援シンボロジーをプレビューするためのDVE着陸プロファイル、海岸線/合成開口レーダー(SAR)マッピングのための水上ルートが含まれている。

 AESAレーダーが従来のレーダーと異なるのは、レーダー・アンテナが物理的に動いてターゲットを狙うのではなく、電子ビームを「操縦」するのに非常に小さなレーダー・モジュール数百で形成されたマトリックスを使用する点だ。 このため、AESAは機械スキャンするタイプよりもはるかに信頼性が高く、探知距離、忠実度、電子戦への耐性が向上し、探知から電子攻撃、通信まで複数タスクをこなすことができる。 AESAレーダーのビームは、素早く移動したり変調したりすることができるため、レーダーは複数タスクを同時実行することもできる。例えば、陸軍のデモでは、地上と上空で戦場のターゲットを監視したり、AH-64の飛行経路に沿って天候を監視したりする。

 テストキャンペーンにドローンのターゲットが含まれていることは興味深く陸軍とAH-64運用部隊で特に関心が高まっている分野だ。

 以前にも述べたように、陸軍のAH-64は現在、中東への前方展開中も含め、敵の空中ドローンを探知し破壊する能力を磨く練習をしている。 同時に、AESAレーダーは、一方向攻撃弾やその他の小型の「神風ドローン」の探知に関しては、レガシーレーダーよりも顕著な利点を提供する。 とりわけ、AESAレーダーは通常、小型のものやレーダー断面積の小さいものであっても、より速く、より遠くにある関心対象を発見することができる。


2024年9月23日、CENTCOM AORでの訓練中、小型無人機にヘルファイアミサイルを発射する米陸軍AH-64D。 米陸軍撮影:Spc. Dean John Kd De Dios


AH-64にAESAレーダーを試験搭載する米陸軍の決定は、ボーイングがつい最近本誌と詳細に話し合った同機の近代化計画に照らしても興味深い。

 AESAレーダーについては特に言及されなかったが、AH-64の現在のLongbow火器管制レーダーをマストマウントの位置から移動させ、胴体に統合し、空力的な改善をもたらすという野心がある。

 当時本誌が観察したように、レーダーを搭載する1つの方法は、コンフォーマルAESAアレイを使用することである。


AH-64の将来の近代化バージョンで予想される主な改良点を示すボーイングのプロダクトカード。 ボーイング


しかし現在、陸軍はAH-64のスタブウイング下にAESAレーダーを取り付けるという、シンプルな解決策を検討している。一方で、このような取り付けは、武器や外部燃料、その他の格納庫に使用される貴重なスペースと重量を奪うことになる。

 AH-64の最新バージョンは、この種のレーダーを設置する際にも大きな利点がある。オープン・アーキテクチャーのおかげで、このようなシステムの「ボルトオン」がはるかに簡単かつ迅速に行えるからだ もうひとつの大きな利点はAH-64のデータリンク・システムにある。つまり、AESAを搭載したアパッチ1機で、同型の編隊や他のプラットフォームに照準を合わせることができるのだ。

 AESAレーダーがヘリコプターに搭載されることは、ごく一部の空中早期警戒型以外には皆無に近いが、ロシアがKa-52ホクム攻撃ヘリコプターにこの種の技術を搭載しようとしていことは注目に値する。

 海軍仕様のKa-52KにはレゼッツAESAレーダーが搭載されているが、陸上仕様のKa-52Mには新しいAESAレーダーが搭載される見込みで、おそらくザスロンのV006レゼッツだろう。このレーダーはXバンドレーダーで、メーカーによると25マイルから戦車群を、31マイルから戦闘機を探知できるという。


アクティブ電子走査アンテナを備えたV006またはRZ-001 Rezets(カッター)レーダー。 ピョートル・ブトフスキ


Phazotron-NIIR社のFH02は、Ka帯用のメカニカルスロットアレイとX帯用のAESAという2つのアンテナを組み合わせている。同社によると、Kaレンジでは12.4マイル、Xレンジで21.8マイルの距離から戦車を探知できるという。


Ka-52の機首に搭載されたFH02レーダーを示す図。 ファゾトロン


 ヘリコプター用に最適化された既存の欧米製AESAレーダーとしては、欧州のレオナルドがOsprey 30を提供しており、すでに米海軍の回転翼ドローンMQ-8C Fire Scoutで制式名称AN/ZPY-8として搭載されているほか、レオナルドAW101ヘリコプターのノルウェー版にも搭載されている。


レオナルド・オスプレイ30 AESAレーダーを搭載したノルウェーのレオナルドAW101ヘリコプター。 Airwolfhound/Wikimedia Commons tim felce


 特に、オスプレイ30はコンパクトなので、回転アンテナのない設置場所でも、最大4つの固定アンテナを使って360度カバーすることができる。その小型サイズと、米軍がすでに使用しているという事実により、オスプレイ・レーダーは米陸軍AH-64でのデモンストレーション用の魅力的な選択肢となり得る。

 小型AESAレーダーは、ノースロップのAN/ZPY-5 Vehicle and Dismount Exploitation Radar (VADER)など、陸軍が固定翼機の一部でテストしているもので、ビーチクラフト・キングエアー350をベースとするEnhanced Medium Altitude Reconnaissance and Surveillance System (EMARSS)のポッドに搭載されている。

 今のところ、AESAのデモンストレーションのためにどのようなオプションが提案されるかはわからないが、AH-64が就役開始して40年が経過し、陸軍が現在、照準とナビゲーション機能の両方で、さまざまな環境において主要な新機能の追加につながる新型レーダーの導入を真剣に検討していることは確かに重要である。■


AH-64 Apache To Be Tested With Wing-Mounted AESA Radar

The U.S. Army is looking for an active electronically scanned array radar small enough to fit under the Apache's stub wing.

Thomas Newdick


https://www.twz.com/air/ah-64-apache-to-be-tested-with-wing-mounted-aesa-radar


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