速報)アサド政権が崩壊。脱出用ジェット機の墜落の可能性について主張が飛び交っている(The War Zone)―反乱勢力の中心HTSは米国がテロ組織と指定。トルコ、イスラエルが動きはじめた。一方ロシアは足場を失う。
オマル・ハジ・カドゥール/AFP/ゲッティイメージズ
12日間にわたる電撃作戦で、反体制派はバシャール・アサドをシリア支配から追い出した。
メディア報道複数によると、シリアの独裁者バシャール・アサドが土曜日に国外脱出のため飛行機に搭乗した。驚くべき蜂起が途中でいくつかの主要都市を制圧しながらダマスカス首都まで電撃的に進撃してから12日後となった。アサドを乗せたジェット機は撃墜されたか、あるいは機械的な問題が発生し、シリア北西部に墜落したとの主張もある。
「国内のあちこちで目覚ましい進撃を遂げた後、ダマスカスに入ったと主張する反体制派に先んじて、アサド大統領は非公表の場所へ出国した」と、AP通信は、シリア人権監視団(SOHR)のラミ・アブドルラフマンへのインタビューを引用し報じた。アブドルラフマンはAP通信に対し、アサド大統領は日曜日にダマスカスから飛行機で出国したと語った。
「バシャール・アサドは家族と共にロシアに出発し、数時間以内に辞任演説を行う見込みである」と、ステップ通信社はツイッターで報告していた。
状況は流動的であり、現時点ではアサドの運命は依然として不透明であることを強調しておかなければならない。新たな情報が、現時点でメディアで流布されている一般的な見解を大幅に変える可能性がある。
アサドが飛行機で脱出したという報道は、「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS率いる反体制派がダマスカスに突入した直後に伝えられたと、ニューヨーク・タイムズが報じた。
「シリア各派は日曜の明け方、アサド大統領がダマスカスを離れたと発表し、国外に逃れた難民に『ダマスカスが解放されたので、自由なシリアに戻ってください』と呼びかけた。一方、軍事作戦管理局の司令官は、ダマスカスにいる部隊に公共施設に近づかないよう指令を出した」と、Al Hadath TV が報じた。「各派はテレグラムで公開したメッセージで、バシャール・アサドが逃亡したとし、『ダマスカスを解放したと宣言する』と述べた。さらに、『バース党支配下の50年間の抑圧と13年間の暴政が終わった』と付け加えた。
イラン国営テレビ局プレスTVもアサド政権の終焉を確認した。
プレスTVは「アサド大統領の統治は終わった:シリア軍司令部が士官に伝える」とテレグラムで報じた。「シリア軍司令部は、首都ダマスカスに武装勢力が侵入したため、バシャール・アサド大統領の統治は終わったと士官に通知したと、ある士官が語った」
アサド大統領を乗せたと思われるイリューシン Il-76 輸送機が撃墜されたか、あるいは機械的な問題が発生したという未確認情報がある。その位置からすると、シリアのラタキアにあるロシアの空軍基地に向かっていた可能性がある。この基地は、シリアの強権者にとって最も安全な場所のひとつと考えられてきた。
「アサド大統領を乗せたと思われる飛行機がレーダーから消えた後、突然高度3,650メートルから1,070メートルまで数分間で急降下したという未確認情報が流れています」と、エジプト人ジャーナリストのKhaled MahmouedはTwitterで主張している。「バッシャール・アル・アサド大統領を乗せた疑いのある飛行機の3D飛行レーダーデータは墜落したことを示しています。シリア空軍のIL-76機の高度が急に下がったことから、撃墜されたようです」。
FlightRadar24の3D飛行データによると、機体は墜落したようだ。
「シリアにおける最近の出来事については、提供できる内容はない」と、アサド大統領が逃亡したことや航空機の状況に関する質問に対して、米国防当局者は本誌に語った。「状況を注意深く監視しているが、シリアにおける米国の任務は変わらない。詳細については、ホワイトハウスを参照してほしい」
ダマスカス中心部のオマヤド広場は、アサド大統領の失脚を祝う人々で賑わった。
トルコが支援する自由シリア軍はダマスカス中心部まで進軍し、オマヤド広場を占拠しているのが目撃された。
ダマスカスには、アサド大統領に忠誠を誓っていた軍人たちが脱出した際に脱ぎ捨てたシリア・アラブ軍の制服が散乱していました。
同日、戦車が大統領官邸を含む複数の戦略的要所につながるオマヤド広場に向かっているのが目撃されたとの報告があった。
アサド大統領の軍の一部は、イラク国境を越えて東に逃亡したとの報告もある。
アサド大統領が退去したとされる数時間前、本誌はシリアのロシア軍ハメイミム空軍基地で避難の兆候を示す画像を投稿した。IL-76やAN-124など輸送機数機が同基地に到着した。通常、An-72は同基地に前進配備されている。滑走路にはSu-24もいるようだ。これは、同基地における輸送機の存在が過去の日々と比較して大幅に増加したことを意味する。
今日の一連の動きは、反体制派がアレッポを制圧し、続いて国内中央部のハマとホムスを制圧し蜂起の頂点となった。一方、米国が支援するクルド人主導のシリア防衛軍はシリア北部と東部の町を制圧し、ドゥルーズ派民兵組織は南部の旧体制地域を掌握した。
地中海沿岸のアラウィ派の飛び地(シリアの港湾施設とロシアの基地がある)の状況は依然不明なままだ。アサド大統領はアラウィ派で、シリアで同民族から非常に強い支持を得ている。シリアの公式ニュースチャンネルSAMA-TVは、Telegram上で、アサド大統領に忠誠を誓う軍部隊は撤退していないと主張している。
「テロリストのメディアプラットフォームによって流された、ラタキア北部の田舎から軍が撤退したというニュースは真実ではありません。また、総司令部は、このニュースはすべて偽りであると確認しています」とSAMA-TVは主張した。
ホワイトハウス報道官によると、ジョー・バイデン大統領とそのチームは「シリアで起こっている異常事態を注意深く監視しており、地域パートナーと常に連絡を取り合っている」という。
次期大統領のドナルド・トランプは、シリアに関する外交政策の課題について、シリアに約900人の部隊を駐留させている米国は同国に関与すべきではないと示唆している。
「シリアにおいてロシアが得るものはほとんどない。オバマ大統領を本当に愚かに見せること以外には」と、トランプはソーシャルメディア上で述べた。「いずれにしても、シリアは混乱しているが、我々の友人ではない。米国はシリアに関わるべきではない。これは我々の戦いではない。成り行きを見守ろう。関わるな!」
一方、イスラエルはシリアとの国境にある占領地域ゴラン高原の防衛を強化したと発表した。エルサレムは、HTSやその他の反政府勢力がイスラエルに対してどのような姿勢を取るのかを警戒している。
イスラエル国防軍(IDF)はテレグラムで、「参謀本部長は、攻撃と防御の準備態勢の高度化、国境沿いの部隊の増強、情勢の継続的な監視を強調した」と述べた。また、「これらの取り組みと並行して、シリアでの事態には介入せず、同地域における脅威の阻止と防止に努め、さまざまな選択肢を視野に入れた計画を準備している」とも強調した。事態の進展に伴い、IDFは情報部や偵察部隊を含む国境沿いの配備を強化した。地上部隊と航空部隊は国境沿いで増強され、各セクターの即応態勢も強化されている。
イスラエル軍が予防措置として「緩衝地帯」を設けるためシリア国内にも進出したという未確認情報もあるがIDFはこれについてまだコメントしていない。
今日の展開は驚くべきものに他ならない。2011年に始まり、数百万人を避難させ、30万人以上の民間人を殺害した内戦を含む、24年間にわたる(父親の時代と合わせると50年以上にわたる)残忍な支配の後、アサドの治世は終わったが、現時点では彼の地位は不明ばなままだ。次に何が起こるのかが大きな問題だ。一部反アサド勢力は反政府勢力から政権与党へ立場を変えることになるが、どのような立場を取るのか不明だ。
更新:米国東部時間午前1時15分
Il-76の墜落の可能性については、さらに議論する価値がある。現時点では状況についてほとんど不明だが、シリア上空での誤射事件の前例がある。2018年、シリア防空部隊はロシアのIl-20偵察機を撃墜し、搭乗員全員が死亡した。この事件は、イスラエルがシリア領空またはその近辺で活動していたと思われるタイミングで発生した。複雑な状況であった可能性はあるが、この24時間における混乱状態は、まさに前例のないものであり、ロシアとシリアの防空部隊は、防空網が途切れたり、存在しなかったりする悪化する状況下で活動しており、このようなミスを犯すリスクは極めて高い。さらに、はるかに有利な状況下でも、近年、ウクライナ国境付近のロシア上空で複数回発生した自国機撃墜や、イラクの米軍基地への弾道ミサイル攻撃の直後にイランが旅客機を撃墜した例など、誤爆による撃墜が発生している。
また、アサド政権打倒派が複数の地対空ミサイルシステムを含むの地対空システム多数を捕獲している。捕獲することと、それらを運用することは別問題だが、もし運用することができた場合、その空域を飛行するものすべてに極めて大きな危険をもたらすことになる。これは、より広範な防空ネットワークと、それによって得られる状況認識の欠如、および訓練不足のオペレーターやストレス下にあるオペレーターの存在の可能性を考慮すると、特に真実味を帯びてくる。
IL-76は、ロシア軍基地と同じ地域で、反アサド勢力に攻撃されていない地域(沿岸地域)にある反政府勢力の支配地域の上空またはその近くで墜落した。
また、イラン航空機が目的地に向かって飛行中に、イスラエル空軍によって撃墜の脅威にさらされ、シリア西部への進入を拒否されたという報告があったことも注目に値する。
繰り返しになるが、これらは追加の背景情報に過ぎない。航空機が墜落した理由は他の可能性もあり、その運命は依然として不明だ。今後数時間で、航空機に何が起こったのか、そしてアサド大統領に何が起こったのかさらに詳しいことが明らかになるだろう。
一方で、ダマスカスからの映像は歴史的なものだ。反体制派の軍勢によって、像が倒され、政権の施設が探索されている。
イスラエルはシリアでの緩衝地帯作戦の実行を確認した。■
The Assad Regime Has Fallen, Claims Swirl Around Possible Crash Of His Escape Jet
In a stunning 12-day blitz, anti-regime forces have ousted Bashar al-Assad from Syrian rule.
HOWARD ALTMAN, TYLER ROGOWAY
アサドは、ロシアに亡命し、政権は崩壊した。トルコが支援する反政府勢力の見事な電撃攻撃である。
返信削除イランイスラムカルト教団の手先、革命防衛隊(IRGC)や、ハマス、ヒズボラ、フーシなどはイスラエルの攻撃により弱体化し、シリア政府軍やカルト教団の支えとならず、ウクライナ戦争で疲弊している在シリアロシア軍は、逃亡するしかないようだ。これは一連のドミノ倒しのようだ。だが、倒れるドミノ牌はこれで終わりでないかもしれない。
予想以上にカルト教団の統制は乱れ、IRGCは、自国やイラクの反対派の統制、弾圧に駆り出され、地中海側の失地回復に手が回らない。次のドミノ牌は、イラク国内の親イラン勢力であり、カルト教団かもしれない。そして孤立化したフーシを根絶やしにするチャンスでもある。
そしてこの状況は、米国にとっては、1期目のトランプが推進していた「アラブ版NATO」、地域安定化構想成立に絶好の機会を与えるだろう。
中東が安定し、さらにトランプがウクライナ和平を成就させたなら、その時こそ米国は東アジアに全力で向き合うことが可能になるだろう。そんな近未来の可能性がたかまると予測する。
これは、習、及び「北京枢軸」にとって悪夢以外のなにものでもない。