スキップしてメイン コンテンツに移動

駆逐艦USSカーニーの乗員が紅海での激戦での緊迫した夜を回想;米海軍が新たな記録を公表(Task&Purpose)―こうした実戦で米海軍は鍛えられているのですね。中国海軍と大きく異なる点です

 USS Carney battle

USSカーニーの乗組員による砲撃練習 海軍は、乗組員が紅海で19の無人機とミサイルを撃墜した2023年10月のカーニーの10時間の戦いの新しい詳細を発表した。米海軍




USSカーニーがフロリダを出港した2023年後半に、「第二次世界大戦以来、米海軍艦艇による最も激しい戦闘交戦」に加わるとは乗員の誰も想像していなかった



USSカーニーの乗組員は、通常の展開だと思っていた。"通常"とは、少なくとも乗組員の数名は、上陸での楽しみを考えていたということだ。少なくとも、Mk.160砲のコンソール技術員で海外ん派遣が初のカメロン・ミラー2等火器管制官はそう考えていた。

 「話だけは聞いていたけど、港に停泊してパーティーでもしようかと思っていた」とミラーは言う。

 そうではなかった。

 ミラーとUSSカーニーは9月27日フロリダのメイポート海軍基地を出港した。10月7日、乗組員が第5艦隊の任務のため紅海に到着した矢先、ハマス戦闘員が大規模なテロ攻撃でイスラエルに侵攻し、1,000人以上が死亡した。数日のうちに、カーニーは急速にエスカレートする戦闘の最前線に立たされた。

 Mk.45砲の技術員チャールズ・カリー一等砲手士官は、「副長は、状況がどうなっているのか、直面する可能性を、はっきりと教えてくれました」と語った。 「その時点でクルーは準備を始めました」。

 イランが提供したハードウェアで支援されたイエメンのフーシ派反乱軍は、重要な貿易ルートを封鎖しようと、紅海の民間商船にミサイルや無人偵察機を撃ち始めた。カーニーはその妨害をする米海軍の主力艦となった。

 10月19日、フーシ派はカーニーを狙った。

 今週海軍は、この戦いに関する新たな詳細を発表した。その中には、平穏な任務や楽しい寄港を期待していたミラーなどの乗組員のコメントが含まれている。


不慣れな寄港

10月19日の戦闘はあまりにも唐突に始まったため艦内放送に戸惑う脳裏組員もいた。

 「停泊中に、"ウェザーデッキを空けろ "というアナウンスを聞いたんです」とSPYレーダー技術員ジャスティン・パーカー2等火器管制官は言う。

 放送直後、パーカーは駆逐艦の主砲5インチ砲と同様に、ミサイルが発射される音を聞いた。予定されていた実弾射撃訓練ではなかった。

「訓練ではなく現実の世界でアドレナリンが出まくりでした 」。



2023年10月19日の交戦中に艦内の戦闘情報センターを見守るUSSカーニー艦長ジェレミー・ロバートソン中佐。艦の兵器システムの「ライブ」使用を描写しているため、写真のスクリーンは海軍によりぼやかされている。 海軍撮影:アーロン・ラウ2等兵曹。


 カーニーはアーレイ・バーク級駆逐艦で、艦隊を航空攻撃から守ることを任務とする海軍の主要艦級だ。 乗員300人以上を擁するこの艦は、機関銃、5インチ砲、90発もの対空ミサイル、対艦作戦用と対潜作戦用の別々の武器で武装している。

 10時間に及ぶ睨み合いが終わるまでに、カーニーは15機の無人偵察機と4発の陸上攻撃巡航ミサイルを撃墜し、海軍はこの交戦を「第二次世界大戦以来、米海軍の軍艦による最も激しい戦闘交戦」と呼んだ。

 戦闘が始まり、艦が自衛する中、水兵たちは冷静さを保っていたという。

 「ナーバスになったとしても、自分のことではない」と、同艦の法務士官ウィリアム・ヒンクリー少尉は言う。「みんなの安全を守るためです。自分のことだけでなく、皆のことを考えることが重要なのです」。


新たな脅威

それから5ヶ月間、カーニーはこれまで米艦船が直面したことのない脅威と交戦した:対艦弾道ミサイルは、カーニーのような艦を沈めるため特別に設計された巨大なロケット弾である。

 「フーシ派は、対艦弾道ミサイルを使用した世界史上初の組織である」とブラッド・クーパー中将は2月に60ミニッツで語った。「対艦弾道ミサイルを民間船舶、ましてや米海軍の艦船に使用した例はない」。

 空母アイゼンハワーのF/A-18スーパーホーネットとE/A-18グラウラーもASBMと交戦したが、カーニーの乗組員は自分たちが標的であることを知りながら対峙した。

 「ASBMの脅威は非常に挑戦的です。とてもダイナミックで、とても速い」と、5月にUSSカーニー艦長を務めたジェレミー・ロバートソン中佐は語った。「そのため、戦術行動士官すべての監視チーム、そしてそれを検知し、艦が自らを守っていることを確認するために設計されたすべてのシステムに100%の信頼を寄せなければなりません」。

 12月16日、『ウォー・ゾーン』の報道によれば、カーニーはさらに14機のドローンを破壊した。

 カーニーの対潜水艦戦担当のヘブン・ヴィッカーズ中尉は、乗組員は何をすべきかわかっていたと語る。「配備前に行なった訓練のひとつひとつが、われわれの拠り所だった」とビッカーズ中尉は語った。

 カーニーは5月にフロリダに戻った。海軍作戦部長のリサ・フランケッティ提督は、1991年の湾岸戦争以来、海軍の乗組員として初となる戦闘行動章(CAR)を授与した。

 「カーニー・チームによる9月以来の活躍をこれほど誇りに思うことはありません。 まさしくアメリカの戦争遂行海軍だ。

「私の人生の中で、おそらく最もやりがいのある経験のひとつだった。 「それは単に世界を旅するということではなく、人々の命を救い、仕事を成し遂げるということだった」(ミラー)。


Sailors on USS Carney recall tense night of combat in fierce Red Sea fight

Navy sailors were expecting a typical deployment in late 2023 when the USS Carney left Florida. Instead, they fought "the most intense combat engagement by a U.S. Navy warship since World War II."

Matt White

https://taskandpurpose.com/news/uss-carney-combat-sailors/


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...