「もがみ」級フリゲート艦の4番艦「みくま」を進水させた三菱重工業。 出典:海上自衛隊
インド太平洋における今年最大の話題のひとつは、日本が平和主義の隠蔽を捨て、防衛費を増やし、主要な兵器システムを実際に輸出することに動いたことだ。
政策方針は過去10年以上にわたって打ち出されてきたが、今年は日本がこれらを現実のものとする具体的な一歩を踏み出した年であった。 この進展の重要性は、2024年のアジアから5つの記事を抜粋し、さらに中国軍における眉をひそめるような揺り戻しや、オーストラリアが行ったいくつかの重要な動きについてのレポートにも反映されている。
1. 日本の防衛省が海外航空ショーに初登場、武器輸出を求める
2月に開催されたシンガポール・エアショーで防衛省ブースを見た本誌は衝撃を感じた。
確かに、ブースは比較的小さかったが、制服姿の日本政府関係者が、海外報道陣や企業、外国政府の代表者に積極的に働きかけていた。そして彼らは本誌と話し、企業にメディアと話すよう促した。
2. 取り調べ対象の中国軍トップに国防相が加わったのは「大きな意味合い」がある
日本が中国が最も恐れていることの1つ、真剣で力を誇示する地域大国になろうとしている一方で、中国の最高指導部は少し気が狂っているように見えた。人民解放軍を統治する組織、中央軍事委員会の幹部が「停職」処分を受け、第3代国防相が姿を消したのだ。
他国の大きな軍であれば、このような行動は世界的な警鐘を鳴らすだろう。中央軍事委員会のメンバーと最新の国防相が姿を消して1カ月以上が経過したが、なぜこのようなことが起きているのかについては、まだ推測しかない。しかし、アナリストたちは、中国軍においてすべてがうまくいっているようには見えないという点では一致している。
3. オーストラリアと日本が水中技術に関する初の研究開発試験に合意
中国が最も注視するアメリカの同盟国2カ国が今年かなり接近した。 毎年6ヶ月間オーストラリア北部で活動する米海兵隊に加え、日本は毎年海兵隊をオーストラリア北部に派遣することになった。
さらにオーストラリアと日本は、「水中戦のためのロボット・自律システムにおける戦略的能力」のために、最先端かつ高度に機密化された軍事装備の一部について共同作業を開始することに合意した。
4. 「憂慮すべきこと」だが「驚くべきことではない」: オーストラリアで運用可能な潜水艦は1隻しかないと報じられている
オーストラリア海軍の潜水艇艦隊に今年、亀裂が入り始めた。コリンズ級潜水艦隊は事実上機能不全に陥り、政府は6隻ある老朽潜水艦のうち1隻しか配備できないことを認めた。 政府は、必要であれば2隻目の潜水艦を出航させることができると宣言し、艦隊は運用上の要件を満たしていると主張した。しかし、このニュースは、オーストラリアがコリンズとAUKUSの最初の潜水艦が到着するまでの能力差を埋めることができるのかという基本的な疑問を投げかけた。
5. 豪州海軍が70億ドルで水上艦隊を倍増させる案を提示したが資金は不透明
オーストラリア海軍は、老朽化したANZAC級駆逐艦をはじめとする水上艦艇が抑止力としてますます手薄になっている認識で、111億豪ドル(約72億ドル)を投じ水上艦隊を倍増させる計画を決定した。
その重要な部分が汎用フリゲート計画で、ティッセンクルップ・マリンシステムズのMEKO A-200と三菱重工業のもがみ級フリゲートの競争に絞られた。MEKO-200はANZAC級をアップグレードしたものである。「もがみ」は、日本が外国に主要兵器システムを売り込む初めてのケースとなる。■
From Japan’s build-up to stumbles in the Lucky Country: 5 Pacific stories for 2024
Key reports covered Japan's defense expansion, China's internal troubles and Australia's uneven pursuit of more naval power.
By Colin Clark
on December 26, 2024 at 9:03 AM
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