2009年10月6日火曜日

USAF 代替燃料の開発最新状況

USAF Progresses On Alternative Fuels
aviationweek.com 10月5日


米空軍はフィッシャー・トロプシュ法(F-T)による合成燃料の2011年使用開始に向けて準備中だが、同時並行で水素処理再生可能ジェット燃料(HRJ)用のバイオ燃料の型式証明の準備も開始した。また、セルロース系原料からの燃料にも関心を示している。「混合比50対50のHRJの型式証明の日程ができています」(ビル・ハリソン 空軍燃料部次長) 「F-T法を詳細に研究して迅速かつ円滑な型式証明を期待しています」

【有望な原料は】 ハリソンによると、航空用バイオ燃料の会議が9月上旬に開催され、米国の農業関係者に望ましい原料についてのガイダンスがあった。短期的には種子植物のカメリナが一番有望と見られるが、中長期的にはセルロース系原料(例 トウモロコシ茎葉)が期待されるという。「セルロースに大きな関心があり、事実大きな進展があります」とハリソンは語る。年間10億トンもの原料が利用できることを指摘している。

【各社の動き】 国防エネルギー支援センター(DESC)が各軍向けの燃料を調達しており、テストと型式証明用に合計600千ガロンの再生可能燃料の調達契約を発注した。DESCによるとこの発注量は前例がない規模だという。サステイナブル石油(Sustainable Oils)、ソラザイム(Solazyme)およびハネウェル子会社のUOPが空軍向けに400千ガロン、海軍向けに190千ガロンを供給する。このうち、サステイイナブル石油はカメリナ、ソラザイムは藻、UOPは動物脂肪をそれぞれ原料とする。各社とも処理方法にはUOPの技術を利用する。ジェネラルエレクトリックはアミリスバイオテクノジーズ(Amyris Biotechnologies)製のバイオ燃料(工業的に甘蔗糖を直接発酵させて酵母に工業的に炭水化物にする)のテストを実施中。同社はブラジルとカリフォルニアにバイオディーゼル燃料の試験工場を持ち、ジェット燃料への商業利用を早ければ2012年に開始する予定だ。

【合成燃料のグリーン化を目指す】 バイオ燃料への関心が高まる中、DESCは平行して石炭および天然ガスからF-T法により合成ジェット燃料JP-8の抽出の試験工程を実施中だ。一方、エネルギー省は予算700百万ドルでF-T法で生成された合成燃料から温暖化効果ガス排出量削減を炭素捕捉・隔離ならびにバイオマスの投入で実現できないかの研究を実施中で、実証実験を2012年に行い、実用化を2020年にめざしている。

コメント 代替燃料の模索は民間航空よりも軍事航空が一歩先を行っている観があります。今まで価値のなかった農作物の一部が大きな資源となる可能性があるわけで、やはり農業の価値が大きいことがわかりますね。一方で高温高圧力が必要でかつ環境にやさしくないF-T法の合成燃料のグリーン化はそれはそれで大切です。とくに石炭の莫大な埋蔵量を考えると無視できない技術分野です。農業も石炭も日本には不利な分野なので、高度な技術蓄積で貢献するしか方法がないのかなと思います

2009年10月5日月曜日

USAF 先行きが心配な新型機開発計画

U.S. Air Force Programs Face Challenges
aviationweek.com 10月 2日

QDR(四年ごとの国防力見直し)で空軍の各開発プロジェクトと空軍力全般をどう扱うかを巡り空軍関係者は不安感を隠せない。ゲイツ国防長官は空中給油機選定の権限を空軍に戻す譲歩を示した。一方、同長官は予算編成方針で不正規戦闘が重視されていることを認め無人航空機他の通常戦装備増強には不利となったことへの同情の意を示したが、「年間175百万ドルを不正規戦闘用予算に計上したところで軍全体の装備近代化には影響は全然ない」とも言及した。装備近代化で突出した規模の計画は二つある。空中給油機と共用打撃戦闘機(JSF)である。

【KC-X】 給油機については政治的に墨がついた前回の競争提案の繰り返しをいかに避けるかと言う点が関心の的だ。前回2008年にはノースロップ・グラマン/EADS連合の採用決定に対してボーイングが抗議している。そこで今回は提案協議仕様書(RFP)の作成で留意してボイコット、抗議のいずれも発生しないようにすることが最初の一歩だ。

ただし、RFPの作成部門は競合各社の提案内容がわかっている。仮にRFPが具体的になると、大型・中型・小型いずれかの機体に有利との誹謗中傷を招き、逆に具体性を欠くと、今後はあいまいすぎるとの非難をあびることになる。

【JSF】 JSFは空軍にとって重要だ。ゲイツ長官、シュワルツ参謀総長ともに同計画の進展に高い自信を示しており、ゲイツ長官は繰り返し、JSF計画により「中国が第五世代戦闘機の一号機を配備する時点で空軍はF-22とF-35合計1,000機を運用できる」としており、同戦闘機のテストに追加500百万ドルを2010年度予算に計上するとしている。このことからQDRはJSF開発の進展度合いを評価しているのではないかと思われる。

JSFの推進以外に空軍には代替計画がない。F-15C/DおよびF-16の近代化改装で機体寿命を延長する策もあるが、抜本的な改装がないと各機体の構造的な限界から戦闘部隊がかなり減少することにもなりかねない。

今後の退役機数を補うべく年間80機以上となるF-35の生産規模から考えるとJSF予算のわずかな変動が空軍予算全体への大きな影響を与えることがわかる。そのため、ペンタゴンによりJSF開発の進捗に対し半ば独立的な視点を期待されて設立された合同評価チーム(Joint Estimating Team, JET)への関心が高まっている。JETによる調査の第一回目は昨年のことで、運用テストの完了が2年予定より長くなり、コスト上昇と生産ペース低下を招くだろうとの内容だった。これは関係者からの冷笑を招く結果になった。

ただし、JSF開発の副主任C.D.ムーア少将が記者団に対しJSFのフライトテストの現状を説明した際にテスト用機体の納入が昨年よりも6ヶ月から9ヶ月遅れている点が明らかになっている。計画管理統括事務所はこれに対して12-12-12だとしている。つまり、12ヶ月以内に(2010年9月まで)テスト機材合計12機を利用可能にし、月産機数を平均12機にするのだという。

しかし、これだと2010年度に12機をテスト場に納入することになるのだが、過去2年間の納入機数はゼロである。2010年度に新造機12機を納入することは、過去2年間に2機が飛行可能となっていて実現する。(テスト用に未完成の10機と低レート初期生産型のF-35Aが2機必要) そして目標である12ヶ月以内を実現するには一ヶ月150回の飛行が必要となるが、第一号機AA-1がこれまで三年間に実績として飛行した時間を50%上回るペースである。

その結果でワシントンの高レベル関係者に懐疑的な声が高まっており、JSF開発の遅延とコスト上昇の結果、予算が制約される環境の今日、空軍のどの計画がしわ寄せを受けるかが関心の的となろう。

2009年10月3日土曜日

北朝鮮の軍事脅威度 在韓米軍司令官の見方

New Technology Threatens South Korea
aviationweek.com 10月2日

北朝鮮の戦闘遂行能力はイラク、アフガニスタンの例を参考に技術、戦術両面で向上している。
【特殊作戦部隊】 韓国にとっての最大の脅威は特殊作戦の訓練を受けた北朝鮮部隊合計8万名の兵員だ。特に即席爆発装置(IED)の新型取り扱いの訓練を最近活発に行っている。この装置の改良は中東で進んできた。特殊作戦部隊の再訓練はイラク・アフガニスタンの教訓を基としていると国連軍・在韓米軍司令官ウォルター・シャープ大将は考えている。軍事休戦ラインの南側で活動を展開して韓国を混乱に貶めるのが大規模戦闘の初期段階で特殊部隊の果たす役割だ。特殊部隊は長期的な支援を受けられないと見られがちだが、米国情報機関関係者は本誌に対して特殊部隊の投入の目的は鋭利な一撃を首都ソウルの人口稠密地帯に加えることで、その後の連合軍による大規模反撃が加えられる前に和平交渉を北朝鮮が提案するのだという。「通常型攻撃を必ずしも中心にとらえていません。勝利を収めることは不可能と北は理解しています。」(シャープ大将) 
【特殊兵器】 いびつな軍事装備開発が弾道ミサイル、サイバー攻撃、核兵器で見られ、これらが「北朝鮮が重点としているもの」(同大将)という。「資金を継続的に投入する対象はミサイル、核兵器、特殊部隊でしょう」(同大将) 大量破壊兵器搭載のミサイルが一発あるだけで大量の市民が逃げ場を失うというのである。「心配なのはサイバーです」とシャープ大将は言う。「北朝鮮はサイバー攻撃の利点を理解しており、我がほうの指揮命令系統がデジタルネットワークにどれだけ依存しているかも知っています。サイバー攻撃を挑発行為あるいは限定攻撃に使うでしょう。その他の軍事装備は旧式です。現在はミサイル防衛能力の確保をめざしているところです。また、イラク、アフガニスタンの事例からIED対抗の戦術を樹立するべく努力しています。そのほかにも北朝鮮は外部事例から学んでいるはずです。特殊作戦部隊がその成果を使うことは確実です。」
【通常兵力は脅威にあらず】規模は大きいが、装備が旧式で機動力が不足する北朝鮮陸上部隊は連合軍航空力の前に悲惨な目に会うだろうとシャープ大将は語る。そのため、陸上兵力は大きな脅威とは考えられていない。米軍情報筋によると北朝鮮の攻撃作戦案は徒歩で移動する陸上部隊を中心とし、韓国の軍用車両・民間車両を略奪することを狙っているという。また、北から南に通じる道路は巾がせまく、すぐ渋滞で通過速度は低下すると予測される。軍事情報筋は北朝鮮の継戦能力は7日から10日程度と見積もる。この制約条件により、北朝鮮陸海空軍は戦闘においては軽微な役割しか果たせない一方、非通常装備を中心に使うと見られる。
【北朝鮮崩壊の方が脅威】 もうひとつ米韓両国の心配するのは北朝鮮国内の不安定要因だ。金正日総書記の死去あるいは経済の完全破綻がきっかけとなり、難民が大量に出国するか権力をめぐり内戦状態になるのではないかとシャープ大将は見ている。
【防衛は空軍力中心】防衛の第一線は米韓の強力な空軍力であるが、シャープ大将は爆撃用と電子攻撃用の演習地の不足、戦術空域管制の共同運用能力、偵察機の不足を指摘する。このためシャープ大将は新型装備の導入に加え問題解決の段取りをつけているという。グローバルホーク部隊がグアムに展開して朝鮮半島上空で作戦可能となるまではU-2の飛行を継続させるという。「U-2はグローバルホークが任務につくまでは維持します。国は自国で偵察能力を整備する方向ですが、当方のグローバルホークの供与の可能性を韓国が検討しています。」米韓空軍はアラスカでレッドフラッグ演習を実施しているほか、グアムの演習地他を使い、両軍が共同して作戦を実施する体制を維持している。そのほか実弾演習地、仮想演習地の整備も検討している。「事態を困難にしているのは韓国の領土の面積が小さいことと都市化の進行です。必要な演習地の確保は課題ですね。米国内の演習地を韓国軍に提供する案を実施する準備段階です。今のところ演習地不足を解決するにはこの半島の外で確保するしかありません。」(シャープ大将)
【共同運用体制】 米軍の戦術航空管制部隊と韓国の航空管制との間で通信・データ交換を実施する能力開発が進展していると同大将は明らかにした。「韓国はデジタル機器を大幅に増やしている。韓国の国防2020案では今後数年間で相互運用能力を確保することが重点項目に挙げられています。」

2009年9月25日金曜日

チャイナレイク 電子戦の開発最前線


Push For New Weapons Transforms China Lake
aviationweek.com 9 月24日

カリフォルニア州チャイナレイクにて----非運動性、高度運動性、指向性のエネルギー兵器および電子兵器のニーズにより当地の米海軍航空戦闘センターにおける研究開発活動の様相が変わってきた。「当地には電子戦、高出力マイクロウェーブならびに運動性兵器に加えて空中からの電子攻撃の環境がそろっています」とマーク・ストーチ海軍大佐は海軍航空戦闘センターの武器開発部の指揮官代行として語る。「砂漠地帯から太平洋の孤島まで各種の演習地があり、今後戦闘が予想される各種の環境を再現できます。さらに研究開発施設の拡充が進んでいます。」
「特に高地と深い谷があることが当地の利点です。」とマット・ボッグス(地上演習地施設管理担当)が語る。例を挙げると、エチロン渓谷はこれまでステルス開発の地として知られているが、今日では電子攻撃と指向性エネルギー照射実験の現場であり、谷底まで7000フィートあることから電子照射の混入を心配する必要がない。その近辺には低温の山地と森林がある一方、反対側には高温の砂漠と乾燥した水のない湖底がある。
「湖底を武器試射につかっています。G地区は空対地、空対空、ならびに地上発射武装のテスト用です。C地区はベトナム戦争後放置されてきましたが現在は無人機と短距離射程兵器用です。B地区は高速投下用に改造した通常型爆弾演習地です。」(ボッグス)
各演習地区は何百マイルに及ぶ舗装道路と高速通信網ならびに高速撮影カメラで結ばれている。そのほか各種遠隔操作移動目標を使うことも多い。米国最大の回転台が開発中止となったA-12用に建造されており、レーダー断面積(RCS)テスト地区の中にあるが、同地区は現在は指向性エネルギー兵器の開発用に使われており、高出力マイクロウェーブ、レーザーおよびGPS妨害装置のテストが実施されている。地形を生かして電磁テストの影響が外部に漏れないようにしている。GPS妨害への対抗手段の開発には放射線測定と1万ポンド搭載可能の回転台により大型車両への影響を把握できることが役立っている。この回転台は水平面から35度垂直方向に上方移動できるほか、最大5度の下方移動もできるのでアンテナの干渉問題を回避できる。このチャイナレイク施設の詳細については10月5日号のAviation Week & Space Technology誌を参照されたい。
コメント: チャイナレイクはサイドワインダーミサイルはじめ「飛び道具」の試射・開発場所として知られていましたが、相当変わってきたようです。電子戦については今後も話題となっていくでしょう。当ブログでも追っていきます。

2009年9月18日金曜日

KC-X選定を空軍に任せる 国防長官



Gates Names USAF to Oversee KC-X Procurement
aviationweek.com 9月16日

ロバート・ゲイツ国防長官はKC-X次期空中給油機の選定(予算規模350億ドル以上)で監理権限を空軍に与える。同長官が空軍協会の年次総会でのスピーチで表明した。会場から賛意の拍手が寄せられた。このスピーチの後、同長官は本件について「考えが変わった」わけではないが、空軍が今後の競争を監理する最善の組織であると確信を持っていると語った。ボーイングとノースロップ・グラマン/EADSの間で合計179機の空中給油機の受注を争うことになる。

これは空軍の調達業務の信用回復につながる大きな一歩となる。次期戦闘捜索救難ヘリCSAR-X、宇宙防衛装備調達、給油機で何回も失敗を重ねてきたからだ。給油機では二回仕切りなおしとなっており、先回はエアバスA-330が一度選定されたものの、ボーイングの抗議で政府監査部門が精査し、契約過程に問題ありと判定したため破棄された経緯がある。

今回は調達決定権限を国防長官官房に与えることも可能であったし、事実ゲイツ長官はオバマ大統領から国防長官職に再任命される以前に官房中心の調達方式を検討していた。

国防長官のスピーチを受けて空軍長官マイケル・ドンリーは声明を発表し、提案競技仕様書ドラフトが近日中に「発表可能となり、提案者に検討する時間が十分取れる」見込みとした。正式な仕様書がその後は交付され、契約成立を2010年と予定する。KC-X初号機は2015年の引渡しが予定されている。「空軍は本日の長官発表を歓迎し、空軍が契約業務の中心となることに自信をもっている」とドンリー長官は表明した。

2009年9月14日月曜日

気になるF-22関連の動きと2010年度国防予算(上院)

Senate panel seeks end to F-22 export ban

ロイター9月10日配信


上院委員会が9月10日、輸出型F-22の開発を空軍に求めた。同機に関心を示す国は日本、イスラエル、オーストラリアの各国だが、海外向け販売は1998年法案で禁止となっている。上院歳出委員会で上程の法案が通過すると、国防総省が極秘情報・高度技術ならびに米軍の戦闘能力水準を秘匿したままF-22改造型の開発を進める道が開ける。


同法案に添付の報告書では「本委員会は空軍に対し研究開発試験評価費として歳出済みの予算を利用してこの努力を開始することを求めるもの」としている。これに対し、ロッキード・マーティンも空軍はいずれもコメントを出していない。輸出型の開発が可能となると米国内の雇用が確保され、米国にも必要であれば高額な生産再開コストを支払わずに追加購入が可能となる。

米空軍の見積もりでは日本向けラプターの開発費用総額は23億ドル。日本が希望するのは2飛行隊合計40機の購入。北朝鮮との緊張から現実味を帯びた要望といえる。同法案は質疑応答なく15分間で賛成30反対ゼロで可決された。

【2010年度国防予算法案】 さらに、委員会ではオバマ大統領の国防計画見直しを支持して6,363億ドルとする2010年度国防予算(10月1日より)を可決。このまま次年度予算が本会議を通過すると戦闘捜索救難ヘリコプター、大統領専用ヘリコプターならびにミサイル防衛のうち運動エネルギー迎撃機構想が中止となる。総額のうち1282億ドルが「海外緊急作戦」用で、主にイラクとアフガニスタンの戦闘を想定したもの。

F-22に関しては総生産187機を上限で生産停止するが、冷戦期の空軍計画では750機の調達を見込んでいた。ゲイツ国防長官は4月にF-22生産終了の案を発表しており、各軍はイラク・アフガニスタン型の戦闘に備えた準備にいっそう向かうべきという。

【F-35代替エンジン】  議論の的のF-35共用打撃戦闘機用の第二番目のエンジン予算は盛り込まれず。オバマ政権はこの代替エンジンを予算の無駄とし、ホワイトハウスからは盛り込んだ場合は拒否権を行使させる罠と見られていた。下院では5.6億ドルで開発が承認済みである。メーカーのGEとロールスロイスは上下両院協議で同エンジン開発の承認が下りることを楽観視している。一方、上院歳出委員会委員長兼国防省委員会委員長のダニエル・イノウエ議員は報道陣に対し第二エンジンの行方はわからないと語っている。

上院の決議はライバルのユナイテッドテクノロジーズ傘下のプラットアンドホイットニーにF-35純正エンジンメーカーとして推定1000億ドルの商談の独占を一歩近づける。F-35には三つの基本形があり、とりあえず11カ国で導入されるためエンジンおよび今後の部品販売の規模が大きいものであることが問題だ。

【C-17では大統領意向に背く】 一方、上院委員会はオバマ政権とボーイングC-17を巡り反対の意思を表示した。25億ドルの追加予算で生産ラインを維持し、2010年度内に10機の追加購入をする。政府は追加購入なくC-17を終了させる意向。下院は6.74億ドルでC-17を3機追加購入する案を通過ずみ。

【今後の上程日程】 上院本会議での国防予算法案投票の後、上下両院の代表が会合し、各通過法案を調整した後、ホワイトハウスへ送る。両院協議は今月末の予定。

2009年9月12日土曜日

それでもF-22をあきらめない日本


Japan Still Eyes F-22
Aviation Week & Space Technology 9月7日号


新政権が過激な変化、短期的な変化をもたらす可能性は低い。

民主党による新政権にはかつて自民党所属議員が多数含まれると見られ、ワシントンは過激な政府運営の変化を予測していない。総選挙前の取材では米政府関係者は日米関係の変化は基本的に肯定的なものとなると見ていた。「日本との同盟関係に変化が出てきました。その一部は日本の国防で必要な能力は何かを日本が議論していることから生じています。同盟国として相互にリスクを受け止め、一方が保有していない能力を提供する必要があります。」(エドワード・ライス米空軍中将 第五空軍司令官)

同中将の言っているのは日本がロッキード・マーティンF-22の取得を希望していることで、同機の持つ速度、高度、ステルス性、精密爆撃、長射程電子偵察能力で日本南西部の沖縄での既存装備の能力不足を補いたいとするもの。ただ、F-22生産ラインは日本への同機販売が承認される前に閉鎖の可能性がある。生産終了となると日米両国にとって日本向けのステルス戦闘機の調達が課題として残る。航空自衛隊幹部への取材の結果、F-22部隊が米国所属であれば同機の性能を活用した即時運用、効果のある運用が困難と日本側が考えていることがわかった。特に米空軍が日本国内の基地に同機を駐留させてもF-22の持つ戦略的な意義が減じてしまうと見ている。米側は日本防衛にF-22が利用可能とする。ライス中将も両国の能力ギャップを最小限にするため装備体系の変更が必要と認める。「米国はF-22の持つ性能を日本に提供できます。この性能を日本が持つ必要はない。第五世代戦闘機のみで構成する空軍力を実現するには別の方法があるはずです。」

一方、日本を長年にわたり担当しているある情報機関関係者は次のように見ている。「日本は地域内の脅威を非常にはっきりと認識しています。(米国と違って)機敏です。ただしローテク戦闘があちこちで頻発しており、日本の分析は集中を乱されています。憂慮すべきは当然としても北朝鮮については長期的には脅威度が減るでしょう。日本経済が最悪の状況を脱していきますから、米国の軍事技術を応用する希望が高まるでしょう。それ自体は悪いことではありません」

日本の中長期的な防衛方針と米国のQDR(四年周期の防衛体制見直し)との整合により、量億の考える防衛体制と安全保障体制に変化が生じよう。日本の政権は変わるが「当分は両国の間でうまく対応できると思います。地域的にも世界的にもいっそう関与を高めていくという日本の決意は重要です。今後もその方向で決断をしていくでしょう」(ライス中将)

コメント 上院には輸出型F-22の開発を進めるよう圧力をかける動きがあり、別途まとめてご報告しましょう。日本ではF-22への片思いは成就しないとあきらめている動きがありますが、航空自衛隊は違うようです。まだまだ当分は目が話せない話題です。

2009年9月10日木曜日

F-35Bの垂直着陸テスト予定


F-35BTo Restart STOVL Tests
aviationweek.com 9月9日

ロッキード・マーティンはF-35B共用打撃戦闘機の飛行テスト機BF-1が9月4日に飛行に復帰したことで初の垂直着陸のカウントダウンを再開した。

短距離離陸垂直着陸(STOVL)を行う初の機体となるBF-1は初回の飛行とボーバーピットでのテストの結果を受け改修のため長期間飛行ができない状態だった。

BF-1はフォートワース(テキサス州)で飛行を実施するが、STOVL用のドアを開き、リフトファンを飛行中に始動し、飛行制御ソフトウェアの作動状況を確認する。 その後同機はパタクセントリバー海軍航空基地(メアリーランド州)内の海軍テストセンターに移送され、STOVLの「ビルドダウン」テストを行った後、初の垂直着陸を10月に実施する予定。

二号機BF-2は空中給油テストに成功しており、フェリー飛行が可能となった状態が確認されたので地上で最終仕上げに入っている。同機は今週にホーバーピット入りし、飛行再開の準備が始まる。

BF-3(三号機)の地上テストは延長になっているので、次のF—35で飛行を予定されるのは生産型とほぼ同一の通常型離着陸機AF-1とSTOVLテスト機としては最終のBF-04となる。

コメント: それにしても格好の悪い飛行機ですね。どうしてもF-35は好きになれません。ただ実用化されるとSTOVL性能は日本の関心にもかなうかもしれません。海上自衛隊の新型「護衛艦」との組み合わせも考えられないことではないでしょう。

2009年9月9日水曜日

MV-22 オスプレイの運用実績


Marines Are Satisfied With MV-22
aviationweek.com 9月8日

米海兵隊はベル-ボーイングMV-22オスプレイ・ティルトローター機の運用で先行している。一方米空軍特殊作戦軍団(Afsoc)もCV-22の運用実績を着実に増やしている。

【外部からの疑問】 海兵隊は同機の費用対効果で批判を受けている。会計検査院(GAO)の報告書では「同機の運行効率と適正度の問題が解決されておらず」としている。しかし、海兵隊は同報告書に反論。「GAOにはすべてを公開してきたが、それでもこの報告書には肝心の点が漏れていると思います」(ジョージ・トラウトマン海兵隊中将、海兵隊航空部隊副司令)同報告書はこれまで20年間以上に及ぶ同機の開発を総括しながら、同中将によれば、海兵隊により解決ずみか取り組んでいる課題も問題の一部として挙げている。

【議会の動き】 議会では同機への支援は依然高い。ジョン・マーサ議員(民主、ペンシルバニア州)は下院歳出委員会国防小委員会の委員長としてキャンプ・レジューン(ノースキャロナイナ州)へ飛び、MV-22の「真実」を求めようとした。「海兵隊はMV-22の運用に非常に満足しています」(マーサ議員)

【稼働率】 海兵隊がMV-22の戦闘運行稼働率をイラクで62%から引き上げようと奮闘している一方で、Afsoc関係者は昨年の実績で74.2%と報告している。Afsocの数字は93ソーティで延べ314飛行時間をフリントロック演習がアフリカで展開された際のもの。MV-22はイラクへの三回の展開で合計55,000時間を飛行している。同機の信頼性と整備性は「期待水準に到達していない」とトラウトマン中将は語る。

【運行コストが高い】もうひとつの問題はMV-22の飛行時間あたりコストが急上昇していること。2009年度は一時間5,362ドルの予測だったが、実際は119%高い11,748ドルだと、下院軍事委員会海上戦力・派遣部隊関係小委員会向けの書簡が示している。この原因のひとつが同機の修理費用。

【ほかにも問題あり】 そのほかの問題の例を挙げると、MV-22のピッチコントロール用のベアリングで、機体寿命と同期間使えるよう設計がすでに磨耗が見つかっているとマット・マルハーン大佐(前MV-22計画主査)は語る。また、エンジンの空気・粒子分離機(EAPS)の不調から現在の油圧式から電気式に交換できないか関係者が検討している。EAPSの不調とエンジンの磨耗・損傷に相関があることが判明している。短期的には空気取り入れ口にある羽根でEAPSへの空気の流れを整流することが期待されている。

また関係者はエンジンナセル内の合計85箇所の配線束の改修に取り組んでいる。水蒸気に含まれるほこりが配線表面上から配線内部に摩擦を生じていることが判明した。

【電子戦ほか兵装】AfsocはCV-22の訓練・運用で実地経験をつんできた。装備の中には無線周波妨害装置(Sirgc)があり、複雑な機体防御装置でその開発の難易度からかねてから注目されていたもの。ただし、デイル・リナフェルター少佐(Afsoc所属)によると同装置は順調に作動し、各種の電子戦を想定したテストに使用中。フリントロック演でCV-22にM240銃も搭載された。Afsocでは50口径銃をCV-22で使う訓練も行っており、機体側面からの射程距離は両方の装備で優れている。

【救難ミッションへの投入】海兵隊MV-22がはじめて艦から陸上に医療搬送するミッションを実施した。6月29日、海兵隊はMV-22Bを2機投入し、USSバターンで負傷した水兵を救助した。同機は着艦し、患者・医療関係者を37分で147海里を飛行し、飛行場に着陸して患者が病院に搬送された。もともとオスプレイは海兵隊員を安全・迅速に戦闘区域に運ぶべく配備されているが、今回の救難ミッションで戦闘捜索救難(CSAR)ミッションへの投入が注目される。ティルトローター機は空軍のCSAR-X候補で最も有望と見られていた。(CSAR-Xは現在のところ開発中止)だが、ティルトローターはあまりにも高価なため最終的に選定から外れた。国防総省がCSARミッション全体の見直しを命じており、V-22が再度候補となる可能性がある。

【アフガニスタン】 オスプレイのアフガニスタンへの投入に関心が集まっている。柔軟性に富む機体で高温下の高地で作戦を展開するニーズが高まっており、ヘリコプターのほとんどがこの要求を満たせない。海兵隊はMV-22がこのミッションを実施できると考えている。「南部で兵力が分散している南アフガニスタンはオスプレイにうってつけの場所です。ほかの機体では不可能な役目をオスプレイが実施するのを目撃できるでしょう」(トラウトマン中将)

2009年9月7日月曜日

核抑止力の見直しを進めるアメリカ

U.S. Rethinks Nuclear Strategy
aviationweek.com 9月3日


オバマ政権下の国防力見直し(QDR)と平行して進行している核兵器体系の見直しによってこれまで長く結論の出なかった二つの計画にゴーサインが出る可能性が出てきた。次世代のミサイル発射用潜水艦(SSBN)と新設計の核弾頭である。実現すると核抑止力が長年にわたり軽視されてきたと杞憂してきた核兵器関係者には朗報となる。この間にフランス、英国、ロシア、中国は米国を上回るペースで核兵器の近代化を進めてきたからだ。

「この二十年間で一番よい話です。国防総省では戦略抑止力に相当の時間を投入してきましたが、まるまる一世代がこの話題を避けてきました。わが国の理解力は進展がなくなり、気がつくと崖っぷちにおり、あまりに長くこの崖にいたのです」(ケビン・チルトン戦略軍司令官)

オバマ政発足時は核兵器に関しては「数量、任務、重要性」のいずれも縮小する意気込みで、ロシアとの兵力削減交渉を再開し、不拡散を改めて重視し、核実験禁止・核分裂物質の規制で実現しようとした。

ただし政府のアクションでは対応できない新しい核の問題があると危惧の声を上げる核抑止論の研究者がある。ジョン・ハムリ(前国防次官・現戦略国際問題研究所長)がいみじくも「米国では核は使えない兵器と考えている。しかし世界の多くの国が使用可能と考えているのだ。」と言う。

実際そのとおりだ。ロバート・ヘイワード海軍中将(合衆国統合軍副司令官)が昨秋に実施された5日間の模擬戦ゲームの内容を解説している。実現可能性のある事象を取り入れている。新興核保有国が戦術核兵器の使用に踏み切る。核兵器の最初の選択ではないが、最後の手段でもない。その結果「核兵器の存在が戦闘部隊運用を麻痺させる」

フランク・ミラー(ジョージ・W・ブッシュ政権下で兵器管理専門家を務める)が追加する。「イランと北朝鮮は米国の核兵器を抑止する目的では自国の核兵器を使わない。むしろ、米国の通常兵力を抑止する目的で使うだろう」

ならず者国家や新興核保有国だけが核兵器を開発しているのではない。ロシア、中国ならびに両国と国境を接する「新規保有国」の三カ国はそれぞれ核運搬手段と新型弾頭を開発中だ。今年後半にフランスは核実験をせずに核弾頭を配備する最初の国となる。まず、空中発射ミサイルASMPにTNA弾頭を配備する。潜水艦発射のM51ミサイル用のTNO核弾頭が来年に登場する。国内で議論の結論が出ていないが英国の核弾頭開発方針(核実験を伴わない)と新型ミサイル潜水艦開発は同国の政策として既定路線だ。

そこで米国も核兵器体系の見直しをしている。クリントン政権は核実験を1996年以降中止し、エネルギー省の各研究施設に貯蔵済み核兵器の信頼性を評価させ、核実験を必要としない新型核弾頭開発方法を研究課題として与えた。これは実施済みで信頼性の高い新型弾頭(RRW)の開発のめどがついたとしているが、議会がこの開発予算支出を何度も否定している。

RRW開発に反対の論拠は弾頭の老朽化が過大に強調されており、プルトニウムの寿命は事実上無限だとしている。ただし研究施設関係者はこの主張に同意していない。核弾頭ではプルトニウムの「穴」から低水準放射線が時間をかけて全体に影響を与えていく化学構造だという。

ただRRW開発にも利点があるとすれば、それは確実性である。核兵器維持にかかる巨額の費用の中には事故と盗難防止関連が含まれる。だが、もし核爆弾の安全性を向上できたら(例 起爆剤の感度を下げる)または事実上盗難されても使用不可能となれば、取り扱いが容易になる。

この点で英国が先行している。2005年の時点でリヴァモア武器開発部長ブルース・グッドウィンが英国の核開発は「活発」で核実験禁止条約に準拠した弾頭の作成をめざしていると語っている。同部長は英国が力を入れているのは「こざっぱりとした」爆弾正式名称は高確実弾頭というもの。英米協力がそれ以前より密接になっているとも話している。2008年後半よりAWEマネジメント(英国内の研究施設を運営)はロッキード・マーティンおよびジェイコブスエンジニアリングが各3分の一株式を保有し、米国系の企業となっている。

抑止兵力装備の新体系には通常兵器装備の弾道ミサイル(CBM)もある。「短時間で目標に到達する兵器システムはこれまで核兵器しかなかった」とカートライト海兵隊大将(統合参謀本部副議長)は語る。「敵は当方がそれを使用するだろうと考える点で意味がある」とユージン・ハビジャー空軍大将(退役)は言うが、CBMに1,000ポンドの通常弾頭をつけて数メートルのCEP(誤差半径)があれば50キロトン核弾頭と同じ効果があるという。

CBMについてハビジャーは「すごい発想だ。海軍は試算して5億ドルあればCBM100基を調達できるとしている。しかし、戦略軍司令部は各地域司令官を巻き込んで国務省長官、国防総省長官にこれが必要だと説得してきれていない。これでこの構想が消えるのは残念だ」

それでもカートライト大将が注意を引いているのはCBM(トライデントミサイルに通常弾頭を装備)は実戦配備までに18ヶ月あれば十分としている。さらに「四ヶ月あるいは五ヶ月」のテストを実施すれば発射ミサイルが核弾頭つきなのかどうかの問題は解決できるという。

CBMは別の重要問題の答えにもなる。その問いとは核兵器が生物化学兵器の脅威に対する抑止力として機能するか、というもの。ハムリは化学攻撃で死者1、000名が発生したとして核弾頭の使用は確実な選択といえるかと問い、「自国内で意見が混乱している状況がベースで政策を立てても役に立たない」と言う。

2009年9月6日日曜日

QDRに見る米国防力の今後の方向性

QDR Is Beginning To Show Results
aviationweek.com 8月4日


QDR(四年毎の国防体制見直し報告書)から部隊構成ならびに運用能力の両面から大きな変化が読み取れる。これを「方向性で高Gの変化で、高Gで痛みが生じる」と米空軍の関係者が表現している。さらに、規模を縮小して再編する方向で検討中の多機能部隊の費用が今後5年間で500億から600億ドルと見積もりが出ており、2015年度まで実質予算増なしと言う目標があやうくなっている。国防総省による分析では分野によっては予算増が見られると、デイビッド・オクマネック国防副次官補(国防力計画担当)は語る。長らくランド研究所で調査に携わった同副次官補はQDRの中枢にいる。QDR提言が採択された場合の米国の国防力の評価を尋ねられ、オクマネックは以下回答した。「朝鮮半島での戦闘とイランへの対応を同時に実施する兵力は十分にあるだろうと思います」

この例としてF-22部隊は186機で調達打ち止めとなる見込みである。(187機のうち1機が墜落事故で全損しているため) 「F-22は両方の戦闘で同時に必要ではありません。規模の大きい方に投入すべきです。その他の装備の近代化が計画通り進行すれば、とくにF-35が装備されればその他の地域内の脅威に適切に対応できます。」(オクマネック)

米空軍中将ハリー・ワイアット3世はオクラホマ州判事を務め現在は州軍航空部隊の司令官である。同中将はF-22の生産継続を唱えていないものの、州軍部隊に空軍第一線部隊と同じ装備で訓練を課すべきと主張している。また、予備役部隊が長期の戦役では部隊交代が発生するため重要な役目を負うという。 巡航ミサイル迎撃含むF-22の機能は必要不可欠だ。そのほか、高度65,000フィートでの作戦行動、超音速巡航ならびに小型ステルス目標の捕捉能力、センサー統合、見通し線外通信、高機能レーダー装置があげられよう。

「だからといってF-22がもっと必要だと言うつもりはない。性能には関心があるが」と同中将は言うが、予備役及ぶ州軍でも同じ性能が必要となる日がすぐ来る。同中将は第四世代戦闘機が当面はニーズを満たしてくれると言うが、F-22が搭載するような第五世代センサーがついていればの話だ。

F-22のような高性能機を州軍で使用するのは理解できる。というのも実戦で同機が使われるのは平均的なパイロットであれば二回か三回程度だろうからだとワイアット中将は語る。しかし、継続して戦線に配備される状態が続くのであれば州軍には適さない。作戦能力を高く維持しながら州軍に向いているのは無人機の運航だ。ノースダコタ、テキサス、ネバダ、ニューヨークの各州軍がすでにこの任務についている。

将来の国防力はかつては二つの大規模戦闘を同時に実施する戦略と同じと表現されていたが、「この二つは違うものだ。時間とともに変化する戦闘規模に対応できる多面的な戦闘能力を維持したいと言う希望がある。それがあれば時が変わっても課題の多くに対応が柔軟にできる。」とワイアット中将は言う。

ただし、これまでのQDRが使えなくなったのも、混乱を招いたのも時の変化である。

「作戦展開のテンポを間違えることで、作戦と保守点検費用の予算を削りすぎたのは避けることができなかった。一方、将来の分析とシナリオを間違えて誤った指針を国家指導層が作るのは避けることが可能だ。」(オクマネック副次官補)

「大規模長期間にわたるプロジェクトが予算等資源を大幅に消費する。この国には60個編成の旅団規模戦闘チーム、空母戦闘群が11、前線基地に戦闘機部隊20編成が必要だ。しかし、戦闘終了後の治安安定作戦に戦力が消費されているのが現状だ」(オクマネック)

今回のQDRの焦点は予備役および州軍の人員と装備の利用方法改善のほか、、アフガニスタンとイラクで分散している部隊活動への支援、各軍の強みをうまく生かすためのバランス再配分、宇宙空間利用の通信技術による地球規模での支援、宇宙空間での監視能力強化、また衛星群の生存性をハイテク戦で以下に確保するかの極秘計画が中心。

その場合の選択肢のひとつに艦船あるいは高性能航空機から発射の対衛星兵器の開発に加えて電子戦対応、サイバー攻撃がある。

傾向として陸軍は今後はいっそう特殊作戦、対暴動、対テロ作戦に特化させ、空軍と海軍はハイエンドの「アクセスを阻害する」脅威に対応を迫ることになるだろう。

「ローエンドでは現場部隊はISRとしてプレデターおよびリーパーの増強を希望している。一方、垂直離着陸機は高い買い物だ。ハイエンドでは専門人材のニーズが高い、たとえばサイバー戦要員だが、これも簡単に手当てできない。」(オクマネック)

「実力のある人材は恒常的に不足している」(オクマネック)のは事実だ。

2009年9月4日金曜日

E-2D取得に関心示すインド海軍


Indian Navy Mulls Northrop Advanced Hawkeye
aviationweek.com 9月2日

先月の米国政府による輸出審査結果を受けて、ノースロップ・グラマンはE-2D性能向上型ホークアイ空中早期警戒管制(AEW&C)機の商談をインド海軍と行えることになった。インドは同機合計6機の要望を出しているといわれる。

米海軍のジョン・ボーリューがインド海軍向けに延べ8時間のプレゼンを行い、E-2Dの技術諸元を説明した。これは昨年にインド海軍から同機の情報開示の要望があったことへの対応。

「両国政府の共同体制はこれまでになく密接です。インド海軍向けに初期段階のブリーフィングをすべく当地にやってきました」(ボーリュー) 

インドは長年にわたりAEW&C能力獲得に関心を示してきた。「相互共通運用は大変大事な要素です」(ボーリュー) 「この早期警戒機が空中にあればとても有益ですが、自国部隊だけでなく世界の同盟国舞台と通信ができなければ役に立ちません。インドが米海軍やNATOとデータリンクを通じて共同部隊運用を希望するのなら、この機体はその要望にかなうものです」

ノースロップは同機の陸上基地運用型提供を求められている。インド海軍の運用機はスキージャンプ発進能力が必要とされ、通常型のカタパルト発進はないため。

現在のところ、陸上基地からの運用が最も実現性が高い。冷戦時代の遺物の元栄海軍空母ヴィラートは退役間際であり、ロシア空母アドミラル・ゴロシコフの引渡しは延期されている。

E-2D用に開発されたAN/APY-9レーダーはイージス戦闘システム搭載の水上艦艇と協調して巡航ミサイルの補足、追跡、攻撃が広範囲で可能であることに関係者は注目している。
インドはすでにP-8I長距離海上監視偵察機合計8機を発注済で、老朽化の目立つツボレフTu-142M海上監視ターボプロップ機を代替させる予定。

2009年9月1日火曜日

ジョイントSTARSの行方



Joint STARS Eyed As Budget Victim
aviationweek.com 8月28日


議会が9月に会期を再開すると、国防予算を巡る論戦が再度活発となり、E-8C共用監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)の性能改修が予算削減の対象となり大鉈を受ける可能性がある。地上監視を目的とした同機は来年の夏よりアフガニスタンに投入される予定で、これはリアルタイムの空中監視システムで荒れた土地の上で人員を追尾できる能力が必要という現地の要望にこたえるもの。しかし、JSTARSを高地航空基地で運用するには機体、エンジン、センサーの改修が必要で、岩だらけのヒンズクシ山脈で情報収集・監視・偵察(ISR)任務を実施するのは難易度が高くなる。さら現地では人員は徒歩で移動しており、JSTARSの想定する車両移動は見られない。

【改修の中身】 近代化改修には旧式PW-TF33-102Cエンジンを新型PW-JT8D-219に交換することもある。新型エンジンで推力の増加以外に、発電容量も増え、追加センサーに供給される。搭載済みのAPY-7フェーズドアレイレーダーはソフトウェアの改修で小型・低速移動の目標が追跡できるようになる。また、エンジン換装でJSTARSの強力なレーダーが高高度で運用されることで情報集能力が改善されると期待される。新規装備のSYERS III(シニアイヤー電気光学偵察システム)はもともとU-2用に設計されたが搭載されなかった装備で、多重スペクトラル検知およびフルモーションビデオ画像が利用できるようになる。JSTARSはレーダー画像のみで武器投下を指令することはない。目標の画像イメージが必要となるが、レーダーとSYERS IIIを同じ機体に搭載することで迅速に視覚的識別が可能となるとJSTARSはいっそう手ごわいリアルタイムの戦闘航空機となる。

【先行きは不透明】 改修装備でこれだけの性能向上となる一方で、空軍は地上監視データの収集戦略の再考を進めており、JSTARSの今後は不確かなものになっていると、業界および政府関係筋が認めている。ゲイツ国防長官は問題を抱える計画の取り消しあるいは棚上げになんら躊躇しておらず、厳しい財源と変化する国防ニーズを考慮して想定される効果について厳しい質問を投げかけている。E-8Cの新エンジン開発は進んでいるが、調達予算の承認は凍結の様子だ。JSTARS部隊のエンジン換装の決定はひいては地上移動目標表示(GMTI)についてこれから出てくる研究結果次第。「空軍がGMTI能力を放棄することはない」とマーク・シャックルフォード中将(調達担当)は語るが、この研究内容の検討が来年から始まり、必要となるGMTIの種類および内容を明確化していくと、今後開発するべきセンサーの技術的な要求内容を左右することとなり、装備を搭載するのに最適な機体も判明する。

【KC-Xとの関連】 JSTARSは中古707を改装したもので腐食問題が深刻な機体もある。このため、空軍はJSTARSの機体寿命延長と新型機種導入の費用比較検討をしている。ボーイング767かエアバスA330のどちらかになると見られるが、空軍向けの次期空中給油機の機種選定がひとつの契機となり、検討用の機体となるだろうし、次世代のGMTI収集、情報収集機の候補となることも考えられる。

写真  古色蒼然たる707の改造とは外見上は見えないE-8Cの機体とGMTIのサンプル画像。対テロ戦では能力を持て余しそうですね。本ブログではISR機材の重要性を強調し、ニュースを追っています。

2009年8月30日日曜日

UAV運用の制約:空域と操縦適性



Debate Soars Over UAVs in Civil Airspace
aviationweek.com 8月18日

英国防省はMQ-9Aリーパーの導入を断念する発表をした。経済情勢を理由としているが、実は英空軍は無人機の自国領空内での運用に自信が持てないのだ。米空軍は小型のMQ-1Lプレデターから大型のリーパーに総入れ替えする方向にある。これによりホロマン空軍基地(ニューメキシコ州)に第二の訓練基地を準備しているところ。またリーパーの運用に当たり、24時間監視体制の維持には州軍航空部隊の人員も利用する意向だが、24時間飛行体制が平時に必要なのか、確信が持てない状態だ。戦場の上空で無人機を飛行させるのは民間航空の行き来する空域よりもはるかに容易。米空軍高官がある会議の席上で民間空域内で無人機を飛行させる可能性を聞かれたことがあった。「連邦航空局(FAA)の方はここにおられますか。いない? よかった」と前置きして同高官は航空領域を管轄する民間航空当局への不満を表明した。「何年間にわたりFAAに対して無人機運用をいつどれだけできるのかとたずねてきたが」 戦闘地帯ではプレデター・リーパー部隊は3次元の空域ブロックをGPSで定義した中で飛行し、その空域内には他の航空機は飛行を禁止され、各地上局は軍事航空管制システムに接続される。しかし米国内では「小型民間機で敵味方識別装置や警告装置のないものがたくさん飛んでいる」のが現状。

空中衝突や突然の降下の回避が大切。その際に空軍、陸軍あるいは税関・国境パトロール(CBP)が運用する無人機の区別は出来ない。特にCBPのMQ-9リーパーが誤ってアリゾナ州ノガレス近郊の地上に激突している事例がある。当初、CBPは同機の機体構造に故障が発生したと説明していたが、実は同機は完全に作動しており、遠隔操作の誤りでエンジンを停止してしまったと判明した。陸軍が長距離長時間飛行のUAV運用を開始するに当たり、空軍が支援をしている。陸軍の計画はMQ-1Cウォーリヤーを多数配備するもの。「陸軍が自前の空軍を作る決定をした際に当方との間で考え方の相違があることが判明しました。」と米空軍リメイ政策開発教育センター所属のデイブ・ハイデマン中佐は語る。「陸軍の考えは一等兵ならみんなパイロットになれると言うもので、猿にもバナナをたくさん与えれば空を飛べるようになるというものだった」

陸軍・空軍で共同実施した訓練内容のベータテストで「バナナをたくさん与えてもだめな人もいるとわかった」(ハイデマン中佐)。ビデオゲームが上手な志願者からオペレーターを選抜する試みは、うまくいかなかった。ゲーム好きは現実世界の複雑さに直面するまではうまく操作できた。複雑な事態に直面すると他の任務がおろそかになった。

イスラエルは今年1月のガザ侵攻作戦(Operation Cast Lead キャストレッド作戦)でそれとは別の課題に直面した。部隊は接近戦を展開中で、人口稠密の都市部での戦闘であった。近接航空支援がなければ死傷者とともに付随的損害が増える一方であった。そこでイスラエルは複雑な航空作戦をガザ上空で展開し、12機以上のUAVが同時に狭い空域に展開し、その他ヘリコプター、攻撃機、観測機等と同時に飛行した。同空域の管制は空中と地上を一体化させ、友軍による誤射(砲弾、ロケット弾、誘導弾が同空域を通過)を防止するとともに敵軍による潜在的な脅威の所在を発見した。この区域内管制のシステムは近い将来ロケット攻撃に対抗するするアイアンドームに統合される予定。イスラエルがその際に使用したUAVにはエルビットシステムのエルビットシステムズのハーミーズ450とIAIのヘロンIが同作戦に投入されたほか、低空飛行のスカイラークIドローンも使われた。大型UAVは空軍が管制し、地区内管制センターがその動きを把握。しかし、そのペイロードの決定は地上部隊でビデオ端末を持ち、ペイロード操作装置からによるもの。一方、低空を飛ぶスカイラーク(ミニUAV)は地上部隊で個別に操作された。

低空での航空攻撃機との空中衝突を防止するため、各オペレーターはミッション前の計画立案、侵入・退出ルートの検討を手順どおりに厳格に行った。これはすべて同戦闘区域の状況把握を完全にしている航空管制官の監督下で実施。同作戦の三週間の期間中に航空機同士の事故は一回も発生していない。

イスラエルが応用したのは狭い空域であり、敵軍の状況は把握できていた。これとは逆に平時のUAV運用が直面する難易度はもっと高い。米空軍関係者は「プレデターでもグローバルホークでも初めて週末の小型機が飛行する空域に入れば、FAAは当方のUAV全機の飛行を停止させ、地上待機が長く続くだろう」と言っている。

コメント:なるほど、FAAでさえそうであれば、日本でUAVの活用をするには相当の調整が必要ということですね。それもあって目に見える形でUAV導入の話が進展していないのでしょうか。

2009年8月23日日曜日

ミサイル防衛 Thaadの改良型開発


MDA Eyes Longer-Range Thaad Options
aviationweek.com 8月17日

終末高高度防衛ミサイル(Thaad)は最新鋭の弾道ミサイル迎撃システムであるが、その有効範囲を広げる検討が進んでいる。 現行のブースター直径14.5インチに対して21インチに拡大したブースターの採用が一番の関心となっている。「21インチにすると射程距離が3倍から4倍に増え、防衛対象面積も増えます」(ウィリアム・ラム陸軍大佐 ミサイル防衛庁(MDA)Thaadシステム主査) 同大佐によるとMDAは主契約社のロッキード・マーティンが提示した案を検討中で、2011年度予算案に盛り込むことを考えていると言う。

ブースターを大型化することで現地指揮官にミサイル迎撃の判断をする時間が増える。指揮官が最初に発射した迎撃ミサイルの効果を確認の後、必要に応じて第二弾を発射するというもの。

「これだと迎撃ミサイル一基を発射して、向かってくる敵の再突入ミサイルを破壊できたのかを判断します。つまり、まず発射して、評価し、その後、破壊できなければ再度発射するわけです。」(ラム大佐)

無駄な迎撃ミサイルを発射しなくてもいいのであれば装備の節約になると同大佐は強調する。

Thaad用の推進装置を作成するエアロジェットは21インチ試作機と第二段部分の静止作動試験を
2006年に実施している。ロッキード・マーティンのトム・マグラス副社長によると、試験結果は成功だったという。

二段式発射の構想で性能の幅が広がり、交戦段階で側方運動性が高まるとマグラスは説明する。21インチへの拡大で速度が高まり、対応範囲が広まる。

この2方向の改良でロッキード・マーティンはThaad先端の攻撃部分へのハード上の設計変更はないと見ている。ただしソフトウェアの改良が必要となる。

MDAがThaad改良型の開発案を承認すれば、地上配置の発射システムにも改良が必要となる。直径21インチの本体だと現在は8基を格納する発射機に5基しか入らない。Thaadの各部隊は最大9基の発射機を扱うこととなるが、現行では3基を想定している。

ただし、MDAでこのプロジェクトの予算化に向けた動きはない。それでも、ラム大佐によれば21インチのブースターの発射実験は承認が下りれば三年で実現できると言う。MDAには試算資料が行っているが、承認をしていないのが現状。

21インチへの移行で地上配備システムもイージスのSM-3ブースター(レイセオン製)と同じような変化を受けることになる。米国と日本は共同で21インチのSM-3ブロックIIAを開発中であり、現行の13.5インチのSM-3ブロックIAとBよりも大幅に性能を強化する予定。

2009年8月11日火曜日

USAF:グローバル打撃軍団が作戦実施可能状態に



USAF Global Strike Command Announces IOC
aviationweek.com 8月10日

米空軍が公式に空軍グローバル打撃軍団(AFGSC)を立ち上げたことで核戦力の展開が再強化されると空軍長官マイケル・ドンレイと空軍参謀長ノートン・シュワルツ大将が発言。空軍上層部により同軍団の概要が発表され、司令部はフランク・クロッツ中将の指揮の下、「アメリカの持つ大陸間弾道弾、核任務遂行可能爆撃機の編成、訓練、装備を進め、重要な任務に熱意と職業意識を持って遂行できるようにする」(シュワルツ大将)のが目的なのだと言う。

同軍団は初期作戦能力を獲得したが、完全に機能するには今後数ヶ月かかる。ミサイル部隊の移管は12月初旬に完了し、爆撃機部隊は来年2月に移管されるとドンレイ長官が明らかにした。さらに、第20空軍も12月までにAFGSCに移管され、その後第8空軍が2月までに編入されるとドンレイ長官が発表している。

AFGSCは監査長を持ち、部隊監査を「より厳しく、内部に踏み込んで、より要求水準を上げて」(シュワルツ大将)実施する。この監査には国防脅威削減庁も全日程に参加する。

同軍団は2009年1月のシュレジンジャー報告の産物。同報告書では国防総省が核抑止力の心理的・政治的重要性への理解が不足と批判し、核装備管理の大幅な刷新を提言していた。

AFGSCの管轄に入るのは空軍の戦略核ICBMおよび有人爆撃機。司令部はバークスデイル空軍基地(ルイジアナ州)で、今回の再編により5年間で750百万ドルの支出が見込まれる。

AFGSCはミノー空軍基地(ノースダコタ州)とバークスデイルに各2飛行隊という現在のB-52部隊編成に加え5番目の飛行隊をミノーに編成する。

米空軍の運用する爆撃機3機種のうち、B-1は核任務機体ではないので、引き続き航空戦闘軍団に所属する。残るB-52とB-2は両用任務が可能な機体としてグローバル打撃軍団に移管する。この根拠はグローバル打撃軍団には核攻撃ミッションに専念させ、B-2およびB-52部隊は「通常兵器ミッションにも転用できるように編成、訓練、装備していく」ことを確実にすることだ。とくに協調されたのが、B-2には新型の地下深くの強化施設を目標とする設計の大型貫通型爆弾を搭載可能なことだ。

通常戦は統合部隊司令部(JFC)が担当し、空軍からは航空戦闘軍団がその中に参加している。米国戦略司令部が核作戦を担当し、グローバル打撃軍団が参画する。通常兵力による攻撃の必要性が認められるとJFCは傘下の航空機を前線司令部に移管し、運用される。

2009年8月9日日曜日

第一線配備に近づくEA-18G


Classified Tests Show Growler Ready for Ops

aviationweek. com 8月6日

EA-18Gグラウラーの本格生産の決定をにはQDR(四年毎の国防体制見直し)で海外展開部隊に26機から30機の空中電子攻撃(AEA)航空機が必要としていることがはずみとなるだろう。米海軍によるデジタル電子攻撃機の運用テスト結果が完了してグラウラー/グリズリー電子攻撃機の生産機数が増えることになろう。ペンタゴン高官が海外展開部隊で機数が不足していることを議会公聴会で明らかにしている。敵のレーダーの存在しない戦闘空域でどんな空中電子攻撃機能が必要なのかを論じることを関係者が躊躇しているが,同機のデジタル方式による位置発信と識別能力が機能リストの上位に来る。敵の指揮命令内容を探知し、ネットワーク構造を解明し、通信内容を傍受できる。また簡易爆発物の駆除にも大きな役目を果たすことが出来る。

ボーイングのF/A-18E/F ならびに EA-18Gの生産ラインは海外展開部隊からの要望で生産増加となりそうだ、とリック・マーティン(ボーイング社EA-18G計画主任)も認めている。これまでのところ海軍に引渡し済みは12機で9月と10月に2機追加されるが、契約全体では34機の製造で、一機あたり価格は65百万ドル。海軍が運用能力を実証したことで今秋に追加54機の完全生産の決断が下る見通しで合計88機の調達計画になる。

EA-18Gは運用効果が高いとのお墨付きを得て、空母部隊への配備が7月に勧告されたもの。

この勧告をしたのは海軍運航テスト評価部門。これでグラウラーは実戦で電子戦実施能力ありとみなされたことになる。

グラウラーはEA-6Bを代替し、グリズリーへの搭載がはじまった新型のデジタルICAPIII電子攻撃システムを搭載することで能力ギャップを埋めるように設計されている。今後は次世代ジャマー計画で改修を受ける。次世代ジャマーはより高度の電子戦、サイバー戦、ネットワークかく乱の分野で大きな飛躍となる能力を発揮する。

同機のシステムの柔軟性が高い例としてマーク・ダラー大佐(F/A-18とEA-18G計画主査)はソフトウェアの問題をあげる。テスト中に発見されたソフトウェア上の欠陥は今年後半にはリリースされる次回のソフトウェアでは更新され解決されるという。

このソフトウェア問題はグラウラーの送受信能力には関係がないが、主翼に搭載の電子攻撃ポッドと機内の電子攻撃装置の調整に関係するものとマーティンは説明している。

コメント: F-XだF-XXだと騒いでいますが、日本が真剣に強化しなければならないのが電子戦の分野でしょう。オーストラリアはEA-18Gの輸入を希望しているようですが、日本も検討する価値は十分あるのではないでしょうか。もっとも電子戦はきわめて攻撃性の高い性質のものですが、それだけに対応度を高く求められることになるでしょう。F-22も対応できることになっていますが、システムの設計が新しいEA-18Gは十分魅力的な選択となるはずです。

2009年8月4日火曜日

順調に進むP-8Aポセイドンの開発


U.S. Navy To Buy More P-8A Test Aircraft
aviationweek.com 7月31日


米海軍はボーイングP-8Aポセイドン洋上パトロール機を三機追加購入し、運用テストと機体評価に使用する。追加機体は基本契約分5機(飛行テスト用3機と地上テスト用2機)に上乗せされる初の追加発注。P-8Aの初期作戦能力獲得は2013年末の予定で、海軍航空部隊への完全投入は2018年となる。「P-3からP-8への機種変換に6ヶ月を見込んでいますが、P-3の残存寿命は2018年までの完全変換の実施には十分なものです」(海軍のパトロール・偵察部門責任長ビル・モラン少将) 海軍は最大117機のP-8Aが必要と書面で表明しており、これは当初の108機から増加しているが、現用中のP-3の合計数は164機である。モラン少将はP-8Aのロールアウト式典がワシントン州レントン工場で行われた際に発言したもの。同工場で飛行テスト用機体三号機T-3もお披露目された。これに先立つT-1とT-2の二機はボーイングフィールドに移動ずみで、テスト機材および初期段階のミッション用機材の積載が進行中。初飛行は「来月ごろ」になると同機開発計画の主査マイク・モラン大佐は話す。テスト用機材には静止試験用のS-1と疲労試験用S-2があり、後者の胴体組立がカンザス州ウィチタのスプリント・エアロシステムで進行中である。

T-3はレントンからボーイングフィールド(シアトル)まで9月に「丘を越える飛行」をする予定で、2010年にパタクセントリバー海軍航空基地(メアリーランド州)に移動しさらにテストを続ける。T-2も2010年にパタクセントリバー基地に移動するがその前に西海岸で二ヶ月のテストを完了する。

P-8Aは737-800型の胴体構造を強化して、主翼は-900型の設計を基礎に補強され手いる。胴体後部には兵器庫があるのが特徴。また、主翼下部には兵器搭載部分がとりつけられ、ウィングレットにかわり主翼には角度がつけられている。

2009年8月2日日曜日

F-22生産ライン閉鎖は時間の問題なのか、それとも.......



House Joins Senate In Push To End F-22 Line

aviationweek.com 7月30日

修正案が通過したことで、下院が承認ずみの368百万ドルのF-22調達予算は現有機の保守点検ならびに生産ライン閉鎖費用に振り向けられる。「政治的に見て現有の装備で十分と見ます。他の選択肢はありません。」とジョン・マーサ下院議員(民主 ペンシルバニア州)は発言。下院国防歳出委員会委員長を務める同議員はF-22の生産継続の推進派であった。

マーサ議員によると現有機の稼動状態を最高に保つことが優先順位が高くなるのだという。「つまり、187機を完全な状態に保つのに予算を使おうということです」 さらにこの予算をC-17の予備エンジン、大型機材用赤外線妨害装置、高性能目標捕捉ポッド、高性能レーダー開発に振り向ける。同修正案は賛成票269反対票165で通過した。マーサ議員は政界での風向きの変化で優先順位付けが変わったと説明する。今回の下院の議決は7月21日の上院議決でF-22生産を187機で終了させるものに呼応し、オバマ大統領とゲイツ国防長官の要望に沿っている。マーサ議員は7月22日に予算の再配分とF-22を指名した内容を法案に盛り込むつもりだと発言していたが、上院における同議員の同僚となるダニエル・イノウエ上院議員(民主 ハワイ州)は初期の立場を撤回し、ラプター支持から退くと伝えられていた。「制空権確保には大きな関心がありますが、(追加調達の)賛成票が多数となる見込みがありませんでした。こうなれば調達分の各機に十分に予算手当てをすることに全力を尽くすのみです」とマーサ議員は木曜日発言していた。

コメント:二転三転していますが、次第に方向が定まってきました。しかし、第五世代戦闘機の配備薄の状態でアメリカは本当にこれからの安全保障が実現できるのでしょうか。日本はイスラエルとともに資金供出しても生産ラインを維持するべきではないでしょうか。その意味でF-Xは飛び越してF-XXとしてあらためてF-22取得の希望を表明してもいいのではないでしょうか。時間がどんどんなくなっていきます。この状況はE-3AWACSがほしいときに生産ラインが閉鎖になってしまった場合と似ていますね。

2009年8月1日土曜日

SM-3で小型飛翔体体迎撃に成功


SM-3 Scores Hit After Fixes Implemented
aviationweek.com 7月31日

ミサイル防衛庁(MDA)が小型の短距離ミサイル迎撃実験に成功した。
【今回の実験の詳細】7月30日にイージス駆逐艦から発射したSM-3ブロックIAによるもの。目標ミサイルは東部標準時間午後11時40分にハワイ州カウアイ島の太平洋ミサイル試射場より発射、二分後に駆逐艦ホッパーが迎撃ミサイルを発射し、太平洋上約100マイル上空で目標に衝突させたとMDAは発表。
【背景】 今回の実験は昨年の迎撃失敗後の変更作業の効果確認として追加された。昨年失敗したのは日本の海上自衛隊から発射のSM-3。その際のMDAの評価は「目標の飛翔状態、迎撃ミサイル発射と飛翔状態、イージスシステムの操作にいずれも問題はなかったが、迎撃につながらなかったとするもの。その根底にある原因は解明されておらず、MDAは今回の実験にハードウェアまたは発射手順に変更が加えられているのかを明らかにしていない。また、なぜ小型目標が使用されたのかも明らかにしていない。
【参加した海軍艦艇】 実験演習では米海軍のイージス艦3隻が参加し、SPY-1レーダーによる目標捕捉を行った。参加したのはホッパー以外に巡洋艦レイク・エリーと駆逐艦オケインであり、各艦がミサイル発射の解を得ている。レイク・エリーにはソフトウェア更新後の効果確認の機会となった。これはSM-3ブロックIBの搭載で必要となったもので、高性能のシーカーを搭載した同迎撃ミサイルは2010年後半まで飛行実地テストを受ける。今回の演習ではレイク・エリーは新ソフトウェアを駆使し、発射管制機能をフル作動させたとMDAが発表している。