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ウクライナ向け戦闘機譲渡構想はまだ死んでいない。ゼレンスキー大統領の米議会演説の一方で、バイデンの対応の鈍さがこれから批判されるだろう。

 

ボーランド空軍のMig-29がポーランド軍記念日に 編隊飛行した。

Aug. 15, 2015. (Czarek Sokolowski/AP)

 

ーランド保有のMiG-29をウクライナへ譲渡する構想をめぐる政治関係は複雑だが、専門家によれば、技術的・物流的に問題はないはずだという。

 

 

ポーランドでは、米国製機材の埋め合わせを前提に、ソビエト時代の機材をウクライナに譲渡すべきか、2週間にわたり議論が続いている。取引構想が公になった後、ポーランドが米国がウクライナ支援として航空機を提供すると発表し、バイデン政権がひっくり返した。

 

共和党議員を中心にジョー・バイデン米大統領へ航空機譲渡を促進するよう圧力がある中、バイデンは水曜日、無人機や高度対空ミサイル含む8億ドル軍事支援を発表した。政権はすでに10億ドル以上の援助を約束済みで、東欧のNATO同盟国に数千人の米軍を送ることで、ロシアの抑止をめざしている。

 

国防総省高官は、支給ずみのジャベリン対戦車ミサイルやスティンガー対空ミサイルの効果を強調している。ウクライナの空はロシアの対空システムで埋め尽くされており、MiG-29はウクライナ軍の戦力強化にならない、と主張している。さらに、ロシアはMiG-29のウクライナ移送をエスカレートとみなし、報復に出る可能性もある。

 

メディア関係者の皆様へ MiG29といったありえない機種名称を伝えるのはご遠慮ください。

 

下院軍事委員会のアダム・スミス委員長Adam Smith(民、ワシントン州)はバイデンの発表後、記者団に「ロシアの地対空ミサイルや戦闘機の性能を考えると、ウクライナ領空でMiGは1分も生き残れないだろう」と述べた。

 

しかし、元空軍の戦闘機パイロットで、保守的なヘリテージ財団に所属するジョン・ベナブルJohn Venableは、取引は可能であり、公表されていなければ、成立していたかもしれないと述べた。

「これは脳科学のような複雑なものではない。政権が主張するハードルは...誇張されすぎ」「飛行機を飛ばすのを恐れるなら、MiG-29をトラックで国境を越えさせればよい」

 

ウクライナ装備にすでにMiG-29があるので、ウクライナ軍はすぐ対応できる、とベナブルは言う。ポーランドのMiGの取り扱いには数時間の指導で済むだろう、と指摘した。

 

ポーランドのミグ機には、IFF(敵味方識別)装置など、デジタルシステムが搭載されているという。IFFボックスは、機密性が高いと判断されれば、1時間ほどで取り外せる。これは、スティンガーミサイルの機密システムの消毒より簡単だ。

 

ウクライナ軍パイロットは奮戦しているが、状況が長引けば、機材の損傷や消耗は避けられない。少なくとも、ウクライナ空軍は寄贈されたミグから部品や武器を調達し、自国機材の維持ができる、とベナブルは言う。

 

さらにべナブルは、ポーランドはAA-11空対空赤外線ミサイルをウクライナに補充すべきだという。

 

ベナブルによれば、ウクライナのミグがロシアのS-400などの防空ミサイルを回避するためには、超低空飛行が数少ない対処方法だ。空軍はS-400を世界有数の地対空ミサイルシステムと見ている。「最も殺傷力が高く、最も長い射程距離を持ち、一度捕捉されると、ロック解除が最も難しい」「S-400は致命的なSAMシステムだ」

 

ポーランドのミグ搬送を支持する向きは、アメリカは取引の一部としてポーランドにF-16を送るべきだと言う。これは、ミグを失うことでポーランドが直面する航空戦力のギャップを埋めるものだ。

 

3月9日ワシントンの会議で、航空戦闘軍団のトップ、マーク・ケリー大将Gen. Mark Kellyは、米空軍にはF-16が十分あり、政権が決定すればポーランドへの移動は理論的に可能と述べた。

 

また、同大将はアリゾナ州デービスモンサン空軍基地第309航空宇宙整備再生グループの航空機墓場にある退役F-16の再生も、オプションになると示唆した。

 

しかし、ケリー大将の心配は、プーチン大統領のような指導者が、紛争が自分に不利になった場合に何をするかを歴史が示していることだ。

 

「独裁者は負けるか、化学兵器を使うか、選択を迫られれば、負けないことを選ぶ。「率直に言って、F-16をどこから調達するかより、これが安眠できない理由だ」。

 

水曜日、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻から自国を守るためウクライナが使用できる「強力で強い」航空機の必要を、感情的に米議員へ嘆願した。

 

ゼレンスキー大統領は、ウクライナの都市の荒廃ぶりや負傷・死亡した民間人の映像や写真を使うプレゼンテーションで、「航空機は保有しているが、地上にあり、ウクライナの空の上にはない」と述べた。

 

今週、ミッチ・マコーネル氏を含む上院の共和党議員42人が、ソ連時代の航空機の移送をバイデン政権に求める書簡に署名した。署名は超党派であり、リチャード・ブルメンソール上院議員Sen. Richard Blumenthal(民、コネチカット)は、MiG-29譲渡に賛成すると表明する民主党の一人。

 

「ウクライナ軍が地上で互角に戦えれば、ロシア軍をウクライナから追い出すだろう」とブルメンソールはゼレンスキー演説のあとで感想を述べた。

 

バイデン大統領の追加援助の発表を前に、議員らは、ウクライナや一部NATO加盟国が運用するロシア製対空システムS-300や、エアロビロメントAeroVironment製の無人機Switchblade 300が、次にウクライナに向かう装備品となると述べた。

 

下院外交委員会のグレゴリー・ミークス委員長Gregory Meeks(民、ニューヨーク)は、ポーランドのMiG-29を直接供給する最初の取引は、ワルシャワが「ロシアの報復の可能性」を懸念したため決裂したが、交渉自体が決裂したわけではないと見る。

 

ミークス議員は、「すべてまだテーブル上にあると思うが、一方で、何かをしなければならないし、S-300はゼレンスキー大統領が代替案としたものだ」と述べた。■


'Not brain science:' Here's how the Ukraine fighter swap could work

By Joe Gould and Stephen Losey

 Mar 17, 03:51 AM


ゼレンスキー大統領の米議会向けメッセージが効果を上げつつあります。その反面バイデン-ハリスの正副大統領の無能ぶりが浮き彫りになりそう。では、来週にも予定される日本の国会におけるゼレンスキー大統領の演説がどんな効果をあげるのか、あるいはウクライナ支援に反対する勢力の存在を顕にするのかが見ものです。



コメント

  1. こういう色々と国際情勢が激動している時期には、果敢に動いた国が成果を得ると思うのです・・
    ポーランド・チェコ・スロバキアの首脳が、キーフでゼレンスキーと会談したようですが、
    ポーランド渋ってるなら、ウクライナと国境を接している、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアがリスクを負う選択をすれば、その国の名声は高まると思います

    日本はリスクを負うべきだと思っています。こんな時期に岸田だと心許ないですね

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