米国によるトルコ向けF-35売却をイスラエルの反対が阻止する可能性
Israel’s F-35 Veto: How Tel Aviv’s Opposition Could Block a US Sale to Türkiye
イスラエルは同機が搭載するイスラエル技術の移転に反対し、さらに安全保障上の懸念を理由に、米国によるトルコへのF-35戦闘機売却を阻止しようとしている
Updated Jan 9, 2026, 5:22 PM EST

米国、英国、イタリア、オランダ、トルコ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、オーストラリアの9カ国が開発に関与するF-35は、米国および連合パートナーの安全保障を確保する、21世紀の国際協力の新たなモデルだ。米空軍、カレン・J・トマシク上級曹長撮影。出典:DVIDS
イスラエルがF-35売却を阻止する意向
イスラエルのシャレン・ハスケル外務副大臣は、米国がアンカラへF-35ジョイント・ストライク・ファイターの売却を承認したとしても、同機に組み込まれているイスラエル開発の技術のトルコへの移転は許さない、と公に表明した。イスラエルのこの立場は、戦略的な不信感、地域の勢力均衡への懸念、そして機密性の高い軍事技術に対する懸念に起因している。
ドナルド・トランプ大統領がトルコへのF-35売却合意を「非常に真剣に検討している」と示唆した発言について、ハスケル氏はイスラエルは「懸念」を抱いていると述べ、「たとえ彼らが同機を入手したとしても」、イスラエルの技術は合意の一部にはならないと付け加えた。
この立場は、産業参加や輸出規制が、多国籍の兵器プログラムにどのような影響を与えるかを浮き彫りにしている。
イスラエル当局者の発言は、イスラエル製システムを除外するように構成されたワシントンによる売却承認の可能性に直接反応したものである。そのシナリオでは、イスラエルは航空機自体に対して直接的な技術的拒否権を行使できないが、質的な軍事的優位性の考慮事項が依然としてある場合、構成の選択、輸出承認、および地域の軍事バランスに関する評価についての米国の審議には、イスラエルの反対意見が考慮されることになるだろう。
背景:F-35プログラムからトルコを排除
トルコは当初はF-35プログラムのパートナーで、産業参加国として参加し、数十機の受領を予定していた。だがトルコは、ロシア製S-400防空システムを導入したことを受け、米国はこの措置が同盟国の軍事技術の安全保障を損なうものだと指摘し2019年にF-35プログラムから排除された。
その結果、米国はトルコを多国籍のF-35プログラムから排除し、トルコ空軍向けに製造されていた機体の納入を停止した。アンカラは排除措置を不当と主張し、復帰を繰り返し求めてきたが、戦闘機協力に関する米トルコ間協議が再開されたとの報道を受け、この問題は再び浮上している。
排除措置により、トルコはF-35のサプライチェーンからも締め出された。同サプライチェーンは、複数のパートナー国の生産貢献に依存している。特にイスラエル企業は、主翼の外側部品やヘルメットマウント型ディスプレイ技術など、同機の主要なサブシステムを製造している。
こうした産業面での組み込み的な役割は、米国の武器販売に対する正式な拒否権には当たらないが、イスラエル製部品や第三者からの技術移転承認が必要な場合、技術移転を制約する可能性がある。
排除決定以来、アンカラは空軍の維持・近代化に向け代替案を模索してきた。これには、英国がトルコへの販売に合意した「ユーロファイター・タイフーン」など欧州製先進戦闘機の購入や、独自の戦闘機開発プログラムの推進などが含まれる。

イスラエルのF-35「アディール」2機が編隊飛行を行い、テネシー州空軍州兵のKC-135から給油を受けた後、米国とイスラエルの国旗を掲げている。米国は、戦略的施設の建設において両国が提携する「対外軍事資金(FMF)」プログラムを通じて、F-35プログラムに関して数年にわたりイスラエルと提携してきた。(米空軍写真:エリック・D・アンソニー中尉)
イスラエルの懸念が当てはまる点と当てはまらない点
F-35プログラムは、パートナー諸国間の技術、ソフトウェア、産業参加の共有に依存する多国籍事業である。イスラエルは、るF-35I「アディル」を運用しており、これにはイスラエルが開発した電子戦システム、エイビオニクス、ミッションシステムが組み込まれている以外にイスラエル企業もプログラム全体に部品を供給している。
しかし、報道によると、トランプ大統領は、トルコへのF-35売却については、イスラエル由来の技術を用いず進めることも可能との見解を示しており、これにより、技術的な理由を根拠にイスラエルが移転を直接阻止する能力は制限される。
条件付きとはいえ、イスラエルの反対意見は、正式な拒否権として機能しないものの、米国の政策上の考慮事項と重なる部分があるため、一定の意味を持ち続けている。イスラエルの懸念は、中東における大規模な武器売却を承認する前に米国法で義務付けられている「質的軍事的優位性(QME)」の評価に反映される。
この評価では、提案された移転がイスラエルの通常戦力における軍事的優位性を損なう可能性があるかが検討される。つまり、たとえ航空機の構成からイスラエル固有のシステムが除外されても、イスラエルの反対意見は米国の意思決定に影響を与えたままとなる可能性がある。
米国の政策および立法上の障壁
米国がトルコへのF-35売却を決定した場合、国内の政策および法的条件も乗り越えなければならない。「制裁を通じた米国の敵対者への対抗法(CAATSA)」や毎年の「国防授権法」の規定といった米国法令により、アンカラがS-400取得に起因する未解決の問題を解決していないため、トルコへのF-35移転はこれまで阻止されてきた。
トルコへのF-35売却を真剣に検討する旨を示唆したトランプ大統領発言は、NATOの南側防衛線を強化し、米=トルコ関係を固める戦略的計算を反映している。しかし、議員たちには様々な見解が示されており、戦略的連携や安全保障上の約束に関する明確な保証がないまま、トルコが西側の先端軍事技術へのアクセスを拡大することに多くの議員が依然として慎重な姿勢を示したままだ。
地域安全保障への影響
イスラエルがトルコへのF-35売却の可能性に公然と反対していることは、両国間の根深い戦略的不信を反映している。地政学的競争、シリアやガザをめぐる政策の相違、そして地域的野心の対立が協力関係にひずみをもたらしており、過去10年間で両国の外交関係は著しく悪化している。
イスラエルは、自国の安全保障姿勢に敵対するグループに対するトルコの支援を根本的な戦略的リスクと見なしており、機密技術へのアクセスを制限するよう主張しているのは、潜在的な地域上の敵対勢力に対して質的な優位性を維持するという同国のドクトリンに沿っている。
今後の展開
F-35の運用で必要となる技術移転を阻止するというイスラエルの意思表明は、トルコへのF-35販売や同国をF-35プログラムに再統合しようとするあらゆる取り組みにとって、重大な障害となる。これは、産業参加や同盟国としての技術権が、武器輸出の決定で政治的な影響力と結びつく姿を浮き彫りにしている。
ワシントンにとっての重要な課題は、S-400をめぐるトルコの公約が解決できるかどうか、議会が売却提案にどう反応するか、そして具体的な安全措置や代替案を通じてイスラエルの懸念に対処できるかどうかである。
その広範な影響は、F-35を超えて及ぶ。第5世代戦闘機が空軍力と同盟間の相互運用性の中心となる中、アクセスや技術共有をめぐる紛争は、多国間防衛協力の未来を形作る上で、政治連携、信頼、そして戦略的優先事項の共有が、純粋な能力と同様に極めて重要であることを浮き彫りにしている。■
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントをどうぞ。